マンション管理士綾さんのブログ

マンション管理士は「正義の味方・月光仮面」?

活躍するマンション管理士

2013-03-16 11:21:29 | インポート

マンション管理の総合情報誌、
マンション管理センター通信2013年3月号
の「活躍するマンション管理士」紹介欄に、
以下の記事が掲載されました。

専門的知識を活用して
マンションの適正化を援助する

   マンション管理士(富士見市市在住)

           綾  好 文

管理士になった経緯は

624年の市議会議員生活で、公共の土地買付等
を行う市土地開発公社理事の仕事の糧として、
宅建取引主任の資格を取り、マンション管理士
制度の存在を知りました。一方で、市議退任後も
「生活の困りごとなんでも相談」として、
毎年300件を超える市民相談活動を続けてきまし
たが、不動産トラブルやマンション管理の困りごと
相談も受けていたことが、今一つの契機となりました。

 マンション管理会社を経営する友人から
膵臓癌との闘病中、「次期社長としての息子
と会社の支援」を頼まれ、「勤務時間拘束なし、
好きな時に来ればよい」との誘いを受け、
管理会社に
4年間在籍、フロント業務や管理員研修など、
多くの現場で実務を学ぶことが出来たことが、
大きな経験となっていることに感謝しております。

この間のいくつかの活動から

1.固定資産税の一括課税解消の取り組み

Aマンション(所沢市、築15年、RC造6階建、
住戸22戸)から敷地の固定資産税が、
「理事長ほか○名として一括課税され、緊急避難
として管理費から全員の固定資産税を納付して、
各人に返還を求めたが、返還に応じない組合員がいる
こと、また、按分課税申請書を出したいが、全員の
同意が取れないで困っている」と顧問就任を依頼さ
れました。

ことの発端は、①分譲会社が、駐輪場の所有権を
保有し倉庫に改造使用していたことが容積率不算入
特例の適用外となるため、容積率違反として改善勧告
を受けたこと。
②交渉の結果、「所有権を放棄して駐輪場
を共用部分とすること」に合意し、
「共用部分たる旨の登記」を行った
結果、土地の持分割合と家屋共用部分の持分割合が
一致しなくなり、地方税法第
252条2により、
市は土地の按分課税が出来ないとして一括課税
としたのです。

解決には、①市長宛に全員同意による「土地課税
の按分課税を求める申請書」を提出し承認を得るか、
②持分割合を同一に戻すかしかありません。
どちらも困難を極めました。

土地家屋調査士も登記官も、初めてのレアケース
でしたが、「共用部分たる旨の登記」がなされ、
これに伴い当該建物の敷地権持分は抹消されるべき
でしたが、そのまま残されて、敷地権欄には
「○年○月○日非敷地権」と追記されました。
この持分割合の変更は無いとする登記官と市役所の
見解が異なり、両者の調整が一歩も進みませんでした。
また、これを元に戻す登記も先例がなく、
法務局所長、統括官等が「必要な全面協力をする」と
しながら結論が出ず、解決までに2年を要しました。

この間、管理士が法務局と市役所を何度も往復し
協議を重ねる一方、登記法に詳しい管理士の協力も得て、
法務省への質問状、法務局本局への協力要請等を
行いました。

人事異動で表示登記部門の関係者が一斉に入れ
替わり、新任の表示登記専門官が、「登記は有効
であり錯誤訂正の対象でもないが、元に戻すには
有効な登記が行われたことを前提として、
①規約共用部分とした規約を廃止。
②同不動産を管理組合法人の所有とする。
③敷地権分離処分を可能とした規約を廃止し、
従前同様の敷地権割合を設定するとの決議をして、
議決書を添付し、管理組合法人として申請すれば、
表示登記の変更は可能である。」との見解を示し、
霧が晴れたように一挙に解決することが出来ました。

なお、この間に、管理費滞納者から所有する
駐車場の買取り希望があり、この所有のために
管理組合法人を設立していましたので、このこと
も解決の一つの大きな要素となりました。

2.過小表示の専有部分の管理費
  回収事件の解決に貢献

Bマンション(都下所在、築16年、RC造
12階建、店舗・住戸36戸)も、建築確認時の
駐輪場と駐車場の一部が、分譲会社C社所有の
店舗に改造されて、容積率違反として改善勧告
があり、C社と交渉を始めるところでした。

私が最初に管理組合規約を拝見したところ、
共有持分割合と管理費等内訳表に整合性がなく、
店舗の管理費が、長年にわたり店舗拡張前の
面積で負担されていることが判明しました。

周到な準備で慎重に交渉、
   壁を作り直して、一括課税を回避

私は、現状と問題点、A管理組合の困難な事例を
説明するとともに、相手側の出方のシュミレイション
を作成、交渉前に準備すべきいくつかの点を提案しました。

 ①登記簿上の専有面積を確認し、正しい持分割
  合を規約別表に反映させる。

②拡張面積部分の未負担管理費を滞納管理費また
は不当利得返還として遡っ
て請求する。

③理事会で訴訟対応を可能にすると共に、弁護士
費用等の負担を明記する規約改正を行う。

これら6項目の提案を行い、理事会はこれを忠実に
実行していきました。

また、交渉に先立ち、法務局と市役所資産税課に
協力要請をしていたこともあり、壁を取り壊し
「建築確認時の状況に復元する」作業を両役所に
逐次報告、課税上の問題が起きないか検証を続け
ながら進めることができました。

一度完成した駐車場等の復元工事も壁厚の関係で
2・86㎡差が出ることが明らかになり、
法務局は「その程度であれば登記は受け付ける」と
の回答がありましたが、「課税庁が認めなければと
して、市役所に大丈夫との確答を求めるよう」に
要請しました。結果として、駐車場の壁厚を変更して
登記前の面積に原状回復させることができ、
課税上の問題もクリアすることができました。

管理費等不足分等も4倍の1921万円に

理事会では、C社社長のコンプライアンスを大事
にしたいとの言葉を評価し、裁判等の道ではなく交
渉による円満解決をと確認をした。
最初にC社が提示した不足分管理費の金額は、
遡及期間を5年で計算した460万円でした。
不法行為に5年の時効等ありえないと再計算を要求、
再提示は総額1,921万円、駐輪場と駐車場の管
理費は除をしてほしいというものでした。
管理組合は、このC社案を中間案として臨時総会
に提案。理事長がこの間の経過を報告、管理士が
補足説明と質問に答え、組合員の自由な意見を求め、
今後の交渉と最終案取りまとめの理事会一任を取り
付けました。

臨時総会では、駐輪場の無いマンションなんて
あるのか?など組合員の怒りは大きく、素朴な意見は
大きな力を発揮しました。再交渉の結果、

①総額1,921万円、管理費未納分を
  現金1,561万円、
②遅延損害金相当額として駐輪場を譲渡する。
③駐車場2台分を管理組合に事実上譲渡し運用を
任せるとの条件で和解契約を結び、定例総
会で全員一致承認を得ることが出来ました。
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理事長からのひとこと
 
Bマンション管理組合法人
       
 理事長 松村尚武

 私どもは、綾管理士の助力により、大きな問題を
解決することができました。

当初は問題があまりに大きすぎて、果たして解決
できるのか皆目見当が付きませんでした。
解決のために規約改正等、事前準備をしっかりし、
毎回の理事会に相手側の出席を求め、根気よく
話し合いました。
臨時総会では区分所有法はもとより登記法や税法
など詳しく、またわかりやすく説明していただき、
皆が納得いく道筋を指し示し、最終的
には定期総会で異議なく承認されました。
このような大きな問題を真正面から受け止め、
根気よく解決に導いていただき、良きパートナー
として勇躍されました。
管理組合として最善の結果が得られましたことに
感謝するとともに、今後の活躍を期待しております。


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