マンション管理士綾さんのブログ

マンション管理士は「正義の味方・月光仮面」?

次回マンション交流会の開催についてのお知らせ

2017-11-30 23:33:48 | 随想
 富士見市マンション交流会が定期的に開催されてまいりました。
役員を決め、役員の合議の中で、テーマを決め、日程を決めてまいりましたが、
今回、通例では11月中に開催する計画でした。
役員会で一度は日程を決めましたが、
講師都合、役員の都合等で、延期をすることとなりました。

ご期待されていた関係者の皆様に、お詫びするとともに、お知らせいたします。

尚、近日中に再度役員会を開催、次回の日程を決める運びとなっています。
しかし師走も押し迫り、年を超すかもしれませんが、
今しばらくお待ちいただくようお願い申し上げます。


再び、マンション管理にも福祉の観点を 大人の発達障害と老人取扱説明書

2017-11-30 23:08:44 | 随想
埼玉県マンション管理士会会報第171号の巻頭言として以下の一文が掲載されました。
尚、11月23日の管理士会総会において、私、理事選挙に立候補をせず、役員を辞任いたしました。
副理事長としての最後の巻頭言となりました。

                                                 

再び、マンション管理にも福祉の観点を
「大人の発達障害」と「老人取扱説明書」の2冊に学ぶ

                                         副理事長 綾 好文

 だいぶ前になりますが、2つの老い問題に関連して、埼玉県マンション居住者支援ネットワークのコラム(67号)に
「マンション管理にも居住福祉型の対応を」との一文を投稿したことがありました。
 1996年6月14日に第2回国連人間居住会議が開かれ、開催地名を冠して、別名イスタンブール宣言ともいわれる「人間にふさわしい住まいは、命の安全、健康、福祉、教育や本当の豊かさ、人間の尊厳を守る基礎であり、安心して生きる社会の基礎である。」が宣言されました。日本政府も調印、承認して、翌年から、6月14日「住まいは人権デー」として住宅関係団体が共同で取り組みを始めました。この日は、国連関連の記念日です。
併せて、進行する2つの老いに関して、管理組合にも居住福祉的な対応が求められた二つの相談事例を挙げています。

「安心できる居住環境は生存の基礎であり、社会保障の土台である」と言われていますが、昨今の格差と貧困の拡大は、住宅プアを生み出し、貧困ビジネスの脱法ハウス、違法民泊対策、さらに高齢化に伴う認知症の発症から、認知症対策や認知症サポーター養成講座、あるいは高齢者などの災害時避難要援護者登録制度や、住宅確保要配慮者への施策等々、管理組合としては行政とも連携して、一層福祉的な対応が求められています。しかし、残念ながらマンション管理士会やマンション管理業協会が「住まいは人権デー」に取り組んだ話は聞きません。

 マンション管理の要は「合意形成であり、合意形成なしには何事も進められない。いかにして合意形成を勝ち取るか」が永遠のテーマであり、そのために法律・管理規約等があり、各種工夫と努力が求められています。

「2020年マンション崩壊」とか、「生き返るマンション、死ぬマンション」などいろいろな視点からの提言がありますが、さらに認知症患者にいかに対応するか? 高齢者の困った行いにどう対処するか? クレイマークレイマーにいかに対応するか?等々、合意形成を目指して困難を抱えている管理組合からの相談に応える為に、心理学からケースワーク理論まで、我々が学ばなければならない分野はますます幅広いものに広がっているようです。

Aマンションは、初代理事長を務めた高齢者が、キングメーカーを自任し「自分の正しい基準」に照らして、新理事長に対して、毎月のように、A4数ページに及び意見、指導、批判、叱責をし、返事をすると、さらに輪をかけて陰湿さを増しました。そのために、輪番で就任した女性の理事長が精神疾患を患い、一人は投げ出し、その後の理事長も怒り心頭に達して、怒鳴りあう人、あきらめてすべての動きを止める人等々で、管理不全に陥ってしまいました。

Bマンションでは、ほとんどの組合員が高齢者・後期高齢者の中に一人だけ30代の若者が居て、不動産屋から聞いた話を基に、理事長を批判、対話を拒否、実力で関わりを拒否する状況となり管理組合も困り果ててしまいました。

世の中には、変わった人、困った人、あいつは病気だからかまうなと言われる人等々、いろいろありますが、合意形成を勝ち取るために、その変わった人、困った人達への対応も必要です。対応の仕方も、認知症サポーター養成講座を受けて、認知症者への対応がうまくできるようになるのと同じように、学ぶことにより大きく対応が変わることがあります。

 私自身が寄る年波で聴力が衰え、20名余の会議では発言を聴き取れなくなり、また運転免許証更新手続きで認知症検査を義務付けられるに及んだ時、優秀で実績豊富な友人が、難聴となり人の話が聴き取れなくなって、自分の都合のいい解釈をし、誤解を招き、自らの正義を振り回す困り者のレッテルを張られた事例を身近に見ました。そして、それを他山の石とする必要を感じていた時に、表題の2冊の本に巡り合いました。

老人取扱説明書」、著者は眼科医師であり、命名については、言い方が悪いがと前置きし、高齢者の困った行動について、高齢化に伴う「老化の正体」を知り、周囲も本人も正しく対応することで、解決できる道、即ち「現実的な取り扱い説明」を示しています。確かにKnow-how本といえます。

「高齢者が加齢とともに五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)のすべてが衰える。均一に衰えるのでなく、個人差を伴いながら衰える。高齢者の困った行動は、その衰えに起因したもので、「老化の正体」から来る現象はすべて医学的に説明ができる。その理解の上に対応、対処することが、周囲との協調性を確保し、その人を活かすことができる。」と解説し、例えば「都合の悪いことは聞こえないふりをする」など15の困った事例を挙げて、高齢者本人がしたい解決策、周囲がしたい解決策、自分がそうならないために等々の具体的提言をしています。

大人の発達障害」、著者は精神科医師、「人の行動に独特な特徴があるため日常的な社会生活に支障が出る。「変わった人」に困る場合があるが、ちょっと「変」には理由がある。」とし、「周囲の空気が読めない」等の10ケースを例に発達障害を徹底解説。「本人と周囲の取り組みによって、「変わった人」と良好な関係が構築できる。」と提言をしています。
 脳機能の偏り=発達障害だから治らないが、本人と周囲が正しく理解し、それに合わせた対応することで、社会的相互交渉・コミュニケーション障害などの克服の道を解説しています。感心ある方はご一読を。             

(了)