マンション管理士綾さんのブログ

マンション管理士は「正義の味方・月光仮面」?

脱法ハウス対策のマンション管理規約改正を

2013-09-05 16:01:50 | ブログ

毎日新聞が25.6.28日に「脱法ハウスに国勢調査」総務省と題して
脱法ハウス問題を報じて以来、8月22日まで連続して、1面報道を
含めて、他紙を寄せ付けない報道を続けた。脱法ハウス問題。

福祉法の第2類社会福祉事業としての低額無料宿泊所が、
本来の趣旨を儲けのためにねじ曲げ、6畳を3室に分割、ホームレス等
貧困者を食い物にする貧困ビジネスとして指弾を受けて久しいが、

マンション管理士として見逃せないのが、この構造に酷似した状況で
マンションの居室が、管理組合の承認なしに、管理規約に違反して、
何時の間にか、改造され、管理組合の目的である財産としての保全、
良好な住環境の維持保全が害され、これを防ごうとする管理組合とし
ての正当な努力に対して、中には、自分の儲けを妨害しているとして
損賠賠償まで検討する不動産業者と管理組合の対立が表面化した
7月12日報道である。

礼金も敷金も要らない、額面としては小額の家賃で、賃借人を募集
カプセルホテル状の狭い空間に住まわせて、㎡単価としては1万
円という驚くほどの高額な家賃で、低所得者の住宅ニーズに応える
という形態をとっているが、通常の1戸の賃貸から見れば利益率
は220~300倍ときわめて収益率の高い構造になっているもの。
儲けのためには何をしてもよいとの儲け第1主義から、建築基準法
消防法違反の改造を強行して、37㎡に6人、63㎡に12人等に賃貸、
明らかに住居としての賃貸をしながら、さまざまな理由付けをして
法を逃れ(脱法)、通常の2~300倍の儲けを上げようとする行為が、
特にマンションで30%、事務所ビルで16%、合計46%と広がって
いることである。

現在規約改正に取り組んでいるいくつかのマンション管理組合の
規約検討委員会に、脱法ハウス問題を話してみると、そんなものが
自分のマンションに入り込んでは困るとの共通の声で、直ぐにも
有効な規約改正を望む声が強く、標準管理規約を元に、どの条項
にどのような規定を設けると、より効果的なのかの検討を続けた。

法制度としてはつい最近話題になった暴力団排除法及び今では
全ての都道府県で完成した暴力団排除条例に対応した、マンション
管理規約の改正とあわせて、最近の規約改正に係わる喫緊の
課題でもあると思った。

徹底解明「脱法ハウス」問題の分析と解決に向けて
と題して、8月22日、新宿、保育ぷらざでシンポジュムが開かれた。
開催団体は、住まいの貧困に取り組むネットワーク、
国民の住まいを守る先刻連絡会(住まい連)、
首都圏追い出しや対策会議の3団体、
連絡先NPO住まいの改善センターである。

1、脱法ハウス増殖の背景と全体像
2、脱法ハウスの実態と住宅問題の真相
3、脱法ハウスからの追い出し問題と法的課題
4、建築基準法違反と脱法ハウスの存在
5、脱法ハウスの入居者の状況と地域社会
そして、「脱法ハウス入居者の紹介と発言」があった。

住まいは人権としての観点からも、マンションの改造
シェアハウス問題、脱法ハウス問題は大きな問題を
抱えている。
労働者派遣法の改悪による、非正規労働者の増大、
ワーキングプアからハウジングプアへと、広がる格差
と貧困が、政府の住宅政策の結果であることが解明
されたと、私は感じた。