ウィーンで研究留学!

以前はウィーンでの留学生活を綴っておりました。今後はクラッシック音楽を中心に細く長く続けていけたらと思っています。

はっきり意見を言うこと~一刀両断ではない!

2006年11月10日 07時17分21秒 | 雑記
書くねたが沢山ある割にはゆっくり書く時間が全く無いので今日はふと浮かんだことを書きます。

卒業を迎えた人に色紙を贈るのは日本でかなり良く根付いた習慣だと思うのですが、私は大学院時代のそれを見てとても意外に思いました。「何事とも一刀両断にする○○さんの振る舞いには・・・」、「○○さんの白黒をはっきりつけられるもに言いにはじめはびくびくしていましたが・・・」などのコメント。もちろん色紙ですから否定的な言葉ではないし、こういうことを書いてもらえること自体、後輩との関係が悪くないことだと自尊するのですが、しかし僕はそんなにきついことを言っているつもりは無いのになあと思ったものです。そしてつい最近、日本のラボに短期間戻り仕事をしたときにも「何でもはっきり言ってくれる○○先生がいなくなったから・・・」ということを言われました。

今更になってよく分かったことは、自分としては単に自分の意見をはっきり言っているだけで、自分が物事の白黒をつけているつもりは全く無いのですが、私は基本的に(たとえその場の流れに大きく反しようとも)自分の意見ははっきり言ってしまう性格なので、周りに他にはっきり意見を言う人が居ない状況ではたしかに私が一刀両断した結果になってしまっていたということです。こんなことはもちろんある程度分かっていたことですが、海外に来て、語学力の問題でなかなか自分の意見を言ずほとんど静観する状況になって初めて、日本での状況が客観的に分析できるようになったように思えます。

何が違うのか。誰もが自分の意見をどんどんいえる状況と、自分の立場を推し量りながらでないとものが言えない状況の違いです。日本ではたとえばデータが沢山あって自信満々な大学院生は誰に対しても積極的に意見を言えるけれども、仕事の進みが悪くて教授との関係が余り良くない助手は意見を言いにくいなんて状況はよくあることではないかと思います。こちらではどうやらそんなことは有り得ません。誰もが言いたいことを言うし、誰が言った意見でも尊重されます。また少々棘のあることを言ってもそれで悪く思われるようなことも、余り無いようです。

言いたいことは月並みなのですが、この違いは科学者としては重大で、そして多くの留学帰りの科学者が遭遇する問題に繋がるように思えます。私はある人に「ボスがカラスは白いと言えば自分もカラスは白いと言うんや!」といわれて何を言っているのかさっぱり分からなかったのですが(笑)、これは極端にしても、私の知る日本の状況は時に何が正しいのかがもっとも大事ではない場合があります。自分がこの世界でどうやって生きて行ったらいいのか、見失いそうになります。

話を始めに戻せば、私は小学校では自分の意見を先生が恐れるような状況で、中高では凡人でしたが何事も自分のやりたいようにやれる環境で育ち、大学院のラボでは(途中まででしたが)自信満々で言いたいことが言える状況でした。周りの人はもっと常識的で立場をわきまえて発言する人が多かったですから、色紙に書かれたような状況になったのでしょう。逆にそのあと壁にぶち当たりましたが、それを経て、今は全く違う環境に居ます。多分今のラボのメンバーは私は物凄く控えめだと(もしくは何を考えているのか分からない)と思っていると思うのですが、このままでは日本に帰って問題にぶつかる権利すらないような状況なので頑張らなきゃいけないですね。

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