ウィーンで研究留学!

以前はウィーンでの留学生活を綴っておりました。今後はクラッシック音楽を中心に細く長く続けていけたらと思っています。

ウィーン国立歌劇場の「ドン・ジョバンニ」

2007年02月17日 06時24分40秒 | 音楽(クラシック)
しばらくどたばたしていてここに来れませんでした。これからも今までと同じように気まぐれに続けていきます。
ということで1月の末に行ったドンジョバンニ、書き掛けで時間が経ってしまったので、当日書いたものを載せることにします。



Wolfgang Amadeus Mozart
Don Giovanni

Dirigent
          Peter Schneider
Don Giovanni
          Bryn Terfel
Donna Anna
          Ricarda Merbeth
Don Ottavio
          Saimir Pirgu
Donna Elvira
          Cellia Costea
Leporello
          Erwin Schrott


ろくにキャストも見ないでドン・ジョバンニだからといきなりとってしまった今日のチケットでしたが、実は声楽陣かなり揃っており素晴らしい舞台でした。そして昨年の夏に行ったアンデアウィーン劇場のドン・ジョバンニとは180度方向性の違う落ち着いた大人のドン・ジョバンニでした。ただし肝心の主役が一番声が出ていなくて迫力がないという大問題がありましたが。。。

私がこのオペラの中でも一番だと思っている2幕の地獄落ちの前のドンナ・エルビラのアリアでは、歌い手も思い入れがあるようで、やや早すぎるオケのテンポを自分のテンポに絶妙に引っ張り込み、丁寧にそして劇的に歌いこんでいました。ここら辺も夏のとは全く印象が違い、最大限に激しく感情を込めて歌うのではなくて、決して余分な力を込めずに微妙な感情の移り変わり・矛盾を表現してました。私はこのアリアにはいつも注目して(というか息を呑んで)聴いているのですが、新境地を見た思いがしました。ただ、彼女はやや声量が低く、艶も欠けていたので調子が悪かったのかもしれません。聴衆の拍手は私が受けた感激に比べて大したことがありませんでした。

それにくらべてドン・オッタービオは二番目に喝采を浴びていました。私の見解からするとこの役柄は難しいことを考える必要がなく、描かれているキャラクターとしても正義感は強いけどそんな繊細な感性も持ち合わせていない青年なので、音楽も内容的には単純と思うのですが、今日のオッタービオはその範囲内で素晴らしい演技をしていたと思います。

石像の騎士長が登場する最も有名な場面では、はじめの「どーん、じょばーん、にー」を引っ張りすぎて次の「あーてーなー・・・」と入るのが完全に遅れ一瞬指揮者も焦ったようで棒が乱れたのが見て取れました。こんなところでミスがあるとどうなるかとドキドキしてしまいました。そのあとは何も無かったかのように続きましたが、はじめが締まらないと緊張感がやや失われます。そして夏のドンジョバンニと違って地獄落ちの後には他のキャストが勢ぞろいしての重唱が入りました。これを入れるか入れないかは、この劇自体をどう捕らえるかということになるようなのですが、そういう意味では一貫していたと思います。難しい言い方は良く分かりませんが、劇的な側面を強調するのではなく、シニカルな喜劇としての演出ということなのだと思います。フィガロの結婚と同じく貴族を風刺しているんですね。そういう意味では今回は一貫していて、音楽もあくまでモーツァルト的、感情表現が過剰にならない、ウィーンらしい、大人の音楽でした。そういう意味ではドンジョバンニに対する見方がちょっと変ったかもしれません。

しかし一夜の舞台としてはやはりドンジョバンニとレポレロの力関係が反転しているのが痛恨。恐らくレポレロ役の方は自分の方が全然力量が上だと思っていて、舞台上でもまるでドンジョバンニのように堂々と振舞い、主役をたてる気配はまるでありませんでした。今回のドンジョバンニはこのままでは立場が危ういですね。まあ調子悪かったんでしょうけど、演技でも負けていました。