「さなぎの食堂」へようこそ!

食券一枚で三食、現金300円から暖かい食事の出来る食堂です。からだに優しい「日替わり健康定食」をお楽しみ下さい。

さようなら、Sさん by 岡野ジュニア

2006-10-29 23:23:39 | Weblog
 朝の風が冷たくなってきた10月、僕はある人を待っていた。
名前はSさん ・・・。さなぎ食堂のアルバイトで働いてる、・・・いや働いていた人だ。

 遥かヒマラヤのふもとの国ネパールから彼はやってきた。「 シェルパ」とはネパールの少数民族の名で、この民族の人全員に「シェルパ」の苗字がつく。神聖なチョモランマの登山には彼ら「シェルパ」のサポートが必要だ。名前が3つもある人と僕は初めて仕事をした。

高地に生活するせいか肌の色は褐色で、黒い髪は日本人とよく似ていた。 ぶきっちょで、野菜や魚など切りものをするとよく手を切ってしまうのだが、 黒い瞳の眼は優しく、お茶目な性格だった。

彼には日本人の妻がいて、家族のために、ここ食堂ともうひとつのバイトをかけもちで働いていた。朝早くから、遅いときには日付が変わるまで働き、疲れて、眠そうな顔のときも少なくはなかった。

貴重な食堂の戦力だった彼が、ある日突然 「1ヶ月ネパールに帰らせてほしい。」と言い出した。 食堂の売り上げも減少していて、とても大事な時期だったが、 日ごろ彼ががんばってくれている事もあり、 「よし、待ってるからいってらっしゃい。」と 僕らは快く彼を送り出した。 なんでも日本で他の仕事にチャレンジする時の為に向こうで いくつか資格を取りたい、と言うのだ。

一人欠けた彼の分も、と僕らは皆で仕事をカバーしてがんばり、 あっと言う間に一ヶ月は経っていった。 そうこうしている内に待ちに待った、Sさんが帰ってくる日が近づいてきた。 それなのに、1日前になっても彼から何の連絡もなく、彼の携帯の留守電に 「日本に帰っていたらすぐに連絡ください。」とメッセージを残した。

出勤を予定していた日の夕方彼から電話があった。 「すみません、今日の予定でしたが今朝日本に着いたので 行けませんでした。」・・・ さらに彼は続けた。 「向こうで色々考えたんだけど、僕は他の仕事がしたいです。」 

その週の木曜に彼は別れの挨拶にきた。スタッフとも仲のよかったSさんはみんなに別れを告げ、もと軍隊にいたという、その大きな背中を後に帰っていった。 彼は食堂は好きだったのだが、家族のためにもっと割りのいい仕事を探していたのだ。

最後に握手したSさんの手は大きく がさがさだった。その手で大切なもののために日々がんばっているのだろう。
Sさんありがとう、またいつかボーリング行こうね。

もう10月も終わり近く・・・最近1年の流れの速さを感じる。 今年の残りの2ヶ月で、やり残したことをやってしまいたい。



さなぎの食堂のご案内です。

2006-10-22 17:25:05 | Weblog



さなぎの食堂は、さなぎ達 の5本の柱の内の「食」の面に重点を置いています。路上生活者に暖かい食事を食べてもらおうという趣旨で2002年から始まりました。「パン券」一枚(714円分)で三回の食事を提供し(一回分の食事は238円)テーブルで椅子に座って食事をすることができます。もちろん一般のお客様も大歓迎です!

今では、単身かつ高齢者の多い町の中で、3食の温かいご飯を提供するだけでなく、ポーラのクリニックの協力を受けながら、生活習慣病へのサポートも行っています。
さなぎの食堂の目的は大きく分けて三つあります。
  ①暖かい食事の提供
冷たい食事しか食べられない路上生活者に暖かい食事を三食提供する。
  ②寿町地区生活者に就労機会を提供
不況の影響で、寿地区生活者の就労機会は減少しています。本食堂の従業員として、寿地区生活者を雇用することにより、雇用機会を創出します。
  ③寿町地区生活者の「元気度チェック」
食堂のスタッフが、利用者に声をかけていくことにより、寿地区生活者の健康状態、精神状態をチェックし、必要ならば医療機関との連携をとり対処します。とくに、こうして顔なじみになることにより、役所の手の届かない人々に様々なサービスを提供しています。

 メニューです。

◎ パン券一枚、又は現金300円

* 日替わり健康定食(魚、野菜を中心として・・・)
* 豚汁定食
* 納豆定食」
* カレー定食
* ハムカツ定食
* ハンバーグ定食
* 野菜炒め定食
*    とろろご飯定食
*    コロッケ定食
*    鯵フライ定食
*    鰻丼
*   麻婆丼

○    メンチカツ定食 400円

◎ 預かり券二枚、又は現金500円
* 特鰻定食
* カツカレー定食

◎ 現金150円(単品)
* ハムカツ
* ハンバーグ

◎ 現金 50円(単品)
  *納豆 *生卵 *豆腐 *かぼちゃのサラダ *きんぴら牛蒡 *里芋の     煮物 * ひじきの煮物 

営業時間は下記のようになっております。  
10時~14時
14時~15時(休憩時間・・・1時間に変更です。)
16時~18時 (19時より変更です。)

さまざまな方達がここ「さなぎの食堂」で顔を合わせ、同じテーブルで同じ食事をする・・・寿町という大きな家族やそこに集う仲間達の台所的な存在でありたい、と願っています。今後ともみなさまのご協力とご支援をお願い申し上げます。

住所 横浜市中区寿町2-7-7 神崎ビル一階
電話 045-662ー7234
sanagikitchen@mail.goo.ne.jp
   http://blog.goo.ne.jp/sanagikitchen/
ご寄付の振り込み先  郵便 記号002707ー番号80145

お米、味噌、醤油、だしの素、卵、野菜、調味料、カレールーなどのご寄付も大歓迎!!!です。

ゆっくり座って召し上がって下さい。 
 




Kさんのこと  by 岡野ジュニア

2006-10-18 23:21:06 | Weblog
「おっはよ~」  今日も元気にKさんは食堂に来た。 歳は還暦をとっくに過ぎ、背は小柄、髪は多くはないがほぼ真っ白・・・。

彼がここで働き始めて、もう何年になるだろう。 いまやフロア・洗い場のベテランである。 冗談と女の人が大好きで、 はじけるように笑う目のしわは深い。

 すこし前から食堂の昼休みにはスタッフたちが将棋を さしているのだが、Kさんも前からずっとやりたかったようで、 今では毎日のよう皆の仲間入りをしている。勝負の形勢が良くなると 「王手~っ!!!」と叫ぶのでどっちが勝っているのかは 見なくてもわかるのだ。
 
始めたころは負けることが多かったのだがだんだん強くなり、 ほかのスタッフもKさんと一局打ったり、見ていたりするのが 楽しみなのである。

 そんなKさんが昨日、お客さんとめづらしく喧嘩をした。 お客さんが食事中の前のテーブルを拭いた、・・・あやまった、・・・で もめたらしいのだが、二人とも興奮していて今にも 掴みかかりそうな勢いだった。僕が 「まあまあ」ととりあえずその場を収めた。

 今朝、Kさんと「おっはよー」と何気なく挨拶を かわしていると、「昨日はごめんね。」と言われた。 「ちゃんとすいませんって言ったんだけどね・・・ いつもはありがとう、って言ってくれるお客さんもいるのにね。」

そう話しているKさんの顔が何ともいえず輝いてる気がして、 Kさんはほんとにこの食堂・仕事が好きなんだな~って思った。
 
 僕はいつもは厨房にいることが多いけど、僕自身も ここのスタッフに支えられてることに気づいた。 そんなスタッフやお客さんのためにも この温かい食堂のためにガンバリたいと、思った。



右の青いバンナダがKさんです。

昼休みのひととき。

誕生日おめでとう!

2006-10-16 22:13:49 | Weblog
今日は先週20歳の誕生日を迎えた佐保子ちゃんの成人をささやかなケーキでお祝いをしました。佐保ちゃんは高校生の時から、ずっと食堂に関わって黙々とお手伝いを続けて下さっています。一週間に一回のこととはいっても、それを何年も継続していくのは実は大変なことですよね。本当にありがとう!

佐保ちゃんが寿町に関わるようになったきっかけは高校時代にヘボン・スピリッツ エッセイコンクールで受賞したことも・・・。大学を卒業したらなつこちゃんに続いて、ぜひ「さなぎ達」で働いてくださいね!???




開店記念日

2006-10-14 22:30:40 | Weblog
「さなぎの食堂」は2002年の10月14日にオープンをして、今日で4年めになりました。当時の大学生や若者が主になって、古い肉屋さんの店舗を、蜘蛛の巣をはらいながら、ペンキをぬったり改築を手伝い、食材の調達に走り回って出来上がったのが現在の食堂の始まりです。

あれから4年の月日が経って、「パン券食堂」としての役割は変わりつつありますが、目の前のお腹が空いている人に暖かいご飯を食べてもらいたい! という原点は変わることはありません。人間にとって一番大切な「食事をする」・・・ということ、そのために私達の食堂はどう進化していったら良いのでしょうか? みなさんのご協力を切にお願いしたい現状です。


10月からパン券が変わりました。

2006-10-10 16:12:17 | Weblog
ご無沙汰をしている内に、爽やかな秋風の季節となりました。
「食欲の秋」!・・・なのですが、 さなぎの食堂も新しい曲がり角にさしかかっていて・・・又又厳しい現実にさらされております。
その大本である、「パン券制度」の変更について、「さなぎ通信」より転載いたします。

パン券、ドヤ(宿泊)券が10月1日から大きく変わりました。一言でいえば発行の条件が厳しくなり、さなぎの食堂にも大きく影響します。
 
パン券、ドヤ券は1974年に横浜市が始めた寿地区緊急援護事業で、これまで利用者は1日平均パン券約900人、ドヤ券約600人とされています。パン券は、さなぎ食堂を含む地区内の指定店4店で750円分の買い物ができるというものです。
 
変更点は
(1)これまでの「日々の緊急援護」から「ホームレス等に自立を促す援護」となり、パン券は「食券」となる
(2)発行の援護は原則として食券と宿泊券は併せて支給。ホームレス状態のままでは援護を行わない
(3)援護を希望する方は、中福祉保健センターで面接を行い「常勤雇用」か「日雇生活」を選ぶ。

①「常勤雇用」では「はまかぜ」入所を希望して、その待機期間内では食券・宿泊券が支給され、支給を受けている間は就労支援が行われる。②「日雇生活」を希望する方は、月15日分を限度に食券・宿泊券が支給される-というものです。また、いずれの支援でも、不正防止のために中福祉保健センターの面接カードに顔写真を貼る必要があります。「他県などからの流入防止」「援助の削減」など、反発の声も強く9月現在、反対署名や横浜市との交渉も行われています。パン券の発行が減れば、さなぎ食堂への経済的影響が予想されます。

最初の目的だった「パン券で3食あたたかいものを」から「寿の食を考える食堂」へのシフトもにらみながら、一方で、パン券変更の問題点をチェックしていくことが必要です。


秋の新メニュー 「麻婆丼」300円は大好評です。


「メンチカツ」定食は400円。サクサクとした揚げたてを召し上がれ!


「豚汁定食」300円が帰ってきました。冬の寒さには「豚汁」で芯から暖まってね!!!

ご来店、お待ちしておりま~~~す!!!