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 Dark matter, Hawking radiation, black holes,

Approaching the Identity of Dark Matter

その11・素粒子物理学の展望:セルン+アメリカ+日本

2024-06-16 | 日記

・セルン

・今後の10年間、LHCとその高輝度アップグレードを含むLHCは、高エネルギーの最前線を探るための世界の主要なツールとしての地位を維持します。

・ヒッグス粒子の特異な性質から、"ヒッグスファクトリー"として動作する新しい電子-陽電子衝突器の設置(注2)には、科学的に説得力のある論文があります。そのような衝突器は、非常にクリーンな環境で豊富なヒッグス粒子を生成し、ヒッグス粒子と他の粒子との多様な相互作用を詳細にマッピングすることで、劇的な進歩をもたらすでしょう。

・LHCのエネルギースケールよりも1桁高い感度を持つ将来のハドロン衝突器を構築することです。これには、関連する技術的および環境的課題に対処します。

欧州の戦略

・ヒッグス粒子を発見したセルンの続きとして、いまだよく分かっていないヒッグス粒子の秘密を探る事、そうしてそこから新しい物理を見つける事が一つ。

・もう一つはWIMPをHI-LHCで見つける事。それは同時にダークマターの正体の解明とSUSYの証明にもつながる、という「おおきな目標」。

 

・アメリカ

『最近のCERNのハイ・ルミノシティ・大型ハドロン衝突型加速器(HL-LHC)や、ディープ・アンダーグラウンド・ニュートリノ実験(DUNE)、ベラ・C・ルービン天文台(ルービン)注1)への投資』

それらを含んだ形で集中的に研究する主要プロジェクト

『1、CMB-S4:宇宙の最も初期の瞬間を振り返るCMB-S4
2、DUNE:長基線ニュートリノ振動実験の決定版として、強化された2.1 MWビームの早期実装による再構想されたDUNEの第二フェーズ。
3、ヒッグス粒子の秘密を明らかにするため、国際的なパートナーと協力して実現するオフショアヒッグスファクトリー。(海外ヒッグスファクトリー)
4、ニュートリノの霧(注2)に到達する究極の第3世代(G3)ダークマター直接検出実験
5、IceCube-Gen2:DUNEに補完的であり、ダークマターの間接検出のためのビームを使用しないニュートリノの特性研究のためのIceCube-Gen2。』

アメリカの戦略

・宇宙の初期の観測による解明、およびダークマターの直接観測および間接的な観測による正体の解明をめざす。

・もう一つはいまだ不明な点が多いニュートリノの特性の解明とそこからの新物理への展開。「ニュートリノ科学の国際実験」: https://www.dunescience.org/ :

 

・日本

ILC:(International Linear Collider、国際リニアコライダー):ヒッグスファクトリーとして機能する。日本が主導的に動いているものの、建設予定地は未定。

『・ヒッグス粒子の性質の詳細な解明: ヒッグス粒子の質量や結合強度などの性質を精密に測定し、標準模型の理解を深めます。
・新物理の探索: 標準模型の補完や新しい物理の発見を目指し、暗黒物質や超対称性などの未解明の現象を探索します。』by GPT3.5

「国際リニアコライダーの技術開発を推進 「ITNインフォメーション会議」に28研究機関が参加」: https://archive.md/lNOlI :

「250 GeV ILC の物理の意義」: https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/ILC/pdf/siryo2401-4.pdf :

継続投資分

・Belle II実験:KEKB加速器を使用して、Belle II実験が行われています。この実験は、Bファクトリーと呼ばれる高輝度電子・陽電子コライダーを使用して、B中間子やD中間子の振る舞い、CP対称性の破れ、およびレアな崩壊過程を研究することを目的としています。

これにはKEKB加速器の高輝度化が含まれる。

・T2K:(T2K実験、Tokai to Kamioka実験)は、日本の加速器施設であるJ-PARC(Japan Proton Accelerator Research Complex)で行われているニュートリノ振動実験の一つです。T2K実験は短基線実験であり、J-PARCからニュートリノビームを生成し、地下の大規模な水チェレンコフ検出器であるカミオカンデまでニュートリノの振動を観測することを目的としています。

他方でアメリカのDUNEは長基線実験で相補的な観測を行う。

・ミュオン異常磁気モーメント+EDM測定実験

日本の戦略

・欧州およびアメリカで行われるビッグプロジェクトへの参加。

・ILCの実現と日本への誘致

・ニュートリノについてはT2K、CP対称性の破れについてはBelle IIで成果を出す。

・WIMP/新物理についてはミュオン異常磁気モーメント測定で一定の成果をめざす。

但し日本には「コミュニティー全員が合意している戦略」という概念がないように見えます。

あるいは「コミュニティー全員が合意できる戦略を作る」という発想がなく、ただ単にそれぞれの研究者が自分の好みによって研究方向を決めて予算を文科省に申請する、というやり方をしている様です。

そうしてまた文科省も「それを是」としていて、但し文科省は「短期的に目覚ましい結果が期待できそうな研究」、あるいは「有名な実績のある研究者の研究」に予算をつけている様に見えます。

そうしてその結果といえば「長期的な視野に立った野心的な、ブレークスルーをもたらすような可能性のある研究」には予算がつかない、という事になります。

そうであれば「日本のスタンスはセルンやアメリカに比べて近視眼的である」と言えます。

 

注1:ベラ・C・ルービン天文台:ベラ・C・ルービン『ベラ・ルービン(Vera Rubin)は、アメリカの天文学者であり、ダークマターの存在を初めて示したことで知られています。彼女は、1970年代に行った銀河の回転曲線の観測によって、銀河の回転速度が予想よりも速いことを発見しました。これは、通常の物質だけでは説明できない追加の重力源が存在することを示唆し、それが後にダークマターとして認識されることにつながりました。

ルービンの研究は、天文学や宇宙物理学におけるダークマターの理解を深め、宇宙の構造形成や進化に関する理論を発展させる上で重要な貢献をしました。彼女の業績は、その後の天文学や宇宙物理学の研究に大きな影響を与えました。』by GPT3.5

天文台にその名前を付ける程にアメリカはダークマター探究に本気になっている模様。

注2:ニュートリノの霧:大気ニュートリノの事らしい

大気ニュートリノ:『大気ニュートリノとは、地球の大気中で発生し、地球を横断するニュートリノのことを指します。これらのニュートリノは、太陽や宇宙空間からの宇宙線が大気中の原子核と衝突することによって生成されます。

大気ニュートリノは、主に以下の2つのプロセスによって生成されます。

太陽ニュートリノ生成: 太陽からの太陽ニュートリノが地球の大気に到達します。これらのニュートリノは、太陽の核融合反応で生成され、太陽の中心から地球に向かって放出されます。
宇宙線生成: 宇宙空間からの高エネルギー宇宙線が大気中の原子核と衝突することによって、ニュートリノが生成されます。このプロセスでは、宇宙線が原子核と衝突し、π中間子が生成されます。そして、これらのπ中間子が崩壊してニュートリノが生成されます。
大気ニュートリノは、その起源やエネルギーに関する情報を提供する重要な研究対象です。地球を横断するため、地中性子や荷電粒子が大気中を通過する際に受ける影響や相互作用を研究するための重要な手段として利用されています。』by GPT3.5

『大気ニュートリノは、ダークマターの直接検出実験において背景として邪魔になる可能性がありますが、その影響は実験の特性や設計によって異なります。

背景としての影響: ダークマターの直接検出実験では、非常に低いエネルギーのニュートリノが感知される可能性があります。大気ニュートリノは、宇宙線の相互作用によって生成されるため、その存在は実験の背景として考慮する必要があります。
背景の除去: 大気ニュートリノの影響を排除するために、直接検出実験ではさまざまな手法が使用されます。これには、実験装置の深い地下配置、シールドやバックグラウンドの抑制、さらには特定のエネルギー範囲や角度範囲での解析などが含まれます。
ダークマターの探索: 実験は、ダークマターからの信号を検出するために背景の最小化を試みます。これには、大気ニュートリノや他の背景源の除去や抑制が含まれます。さらに、特定のダークマターのシグナルを探索するための解析手法の開発も重要です。
総じて、大気ニュートリノはダークマターの直接検出実験における背景としての影響を持ちますが、実験の特性や設計によってその影響を最小限に抑えることが可能です。そのため、実験装置の設計やデータ解析の方法を適切に調整することで、大気ニュートリノの影響を十分に管理し、ダークマターの検出を試みることができます。』by GPT3.5

要するに「ダークマターの直接観測の感度を上げていく」と「通常は観測できない大気ニュートリノまで観測してしまう」=「それほどの感度を持ったダークマター観測器を『究極の第3世代(G3)』と呼ぶ」模様。

なんとなれば「それ以上感度を上げても大気ニュートリノを観測するだけ」になってしまうので「究極の=最後の」と呼ばれる事になります。

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現代物理学の展望 記事一覧

https://archive.md/dC24F

 


その10・素粒子物理学の展望:アメリカの2

2024-06-11 | 日記

アメリカの前々回のP5(May 2014)のメッセージは

『・ヒッグス粒子を新しい発見のツールとして活用する
・ニュートリノ質量に関連する物理学を追求する
・ダークマターの新しい物理学を特定する
・宇宙加速:ダークエネルギーとインフレーションを理解する
・未知を探求する:新しい粒子、相互作用、および物理的原則』

で設備投資は

『・計画された高ルミノシティアップグレードにより新しい時代に入るLHCの巨大な物理学の可能性を最大限に活用します。

・アメリカは、短基線および長基線のニュートリノ振動実験の最適なセットを備えた世界をリードするニュートリノプログラムを主催し、その長期的な焦点はここでは長基線ニュートリノ施設(LBNF)と呼ばれる再構築された取り組みです。フェルミラボのプロトン改善計画-II(PIP-II)プロジェクトは、必要なニュートリノ物理学の能力を提供します。

・Mu2e実験:Mu2e(ミュー・ツー・イー)は、米国のフェルミ国立加速器研究所(Fermilab)で行われている素粒子物理学の実験プロジェクトです。Mu2e実験の目的は、ミュオンが直接電子に変換される現象(ミュオン-電子変換)を探すことです。もしミュオンが直接電子に変換される現象が観測された場合、それは標準模型を超える新しい物理学の存在を示唆する可能性があります。』

 

そうして今回のP5(2023 年 12 月)では

『・量子の領域を解読する
   ニュートリノの謎を解明する
   ヒッグス粒子の秘密を明らかにする

・物理学の新しいパラダイムを探求する
   新しい粒子の直接的な証拠を探す
   新しい現象の量子的痕跡を追求する

・隠された宇宙を照らす
   ダークマターの性質を特定する
   宇宙進化の原動力を理解する』

設備投資は

従来からの継続分として

『最近のCERNのハイ・ルミノシティ・大型ハドロン衝突型加速器(HL-LHC)や、ディープ・アンダーグラウンド・ニュートリノ実験(DUNE)、ベラ・C・ルービン天文台(ルービン)への投資』

それらを含んだ形で集中的に研究する主要プロジェクト

『1、宇宙の最も初期の瞬間を振り返るCMB-S4
2、長基線ニュートリノ振動実験の決定版として、強化された2.1 MWビームの早期実装による再構想されたDUNEの第二フェーズ。
3、ヒッグス粒子の秘密を明らかにするため、国際的なパートナーと協力して実現するオフショアヒッグスファクトリー。(海外ヒッグスファクトリー)
4、ニュートリノの霧に到達する究極の第3世代(G3)ダークマター直接検出実験。
5、DUNEに補完的であり、ダークマターの間接検出のためのビームを使用しないニュートリノの特性研究のためのIceCube-Gen2。』

 

アメリカの戦略は「加速器建設がメイン」と言う状況から「加速器については海外の計画に協力する」というスタンスに変わってきています。(注1

そうしてその代わりに「宇宙そのものを観測する事」に重心を移してきています。

これはセルンが高エネルギー加速器の分野でリーダーシップを取っている事に対して「宇宙観測ではアメリカがリーダーシップを取る」という意思表明でもあります。

そうしてこの宇宙観測と言う中には「究極の第3世代(G3)ダークマター直接検出実験設備をアメリカに作る」という意思表明が含まれています。

それに加えてもう一つのアメリカの軸は「ニュートリノの謎を解明する事」に向けられています。

ちなみに「ヒッグス粒子の秘密を明らかにする事」については「国際協力をメインに進める」がアメリカの戦略の様です。

 

注1:とは言いながら『理論的、計算的、技術的な資源の開発を支援し、分野の20年ビジョンに不可欠な努力を推進します。これは、技術的に困難でありながら、10 TeVのパートン重心(pCM)コライダー(注5)への現実的な道を示す革命的な加速器設計を生み出す可能性のある積極的なR&Dプログラムを含みます。

特に、ミューオンコライダーオプションは、フェルミ研究所の強みと能力を活用し、米国で主要なコライダー施設を主催する私たちの願望を支援します。』と言うように「次の世代の特徴的な加速器計画は持っている」のです。

そうしてまたアメリカは「ミューオンの研究が新しい物理を見つける上で重要である」という認識を持っている模様です。

これはこれまでアメリカが主導的に行ってきた「BNL~フェルミ研でのミュオン異常磁気モーメント測定」という「歴史的な研究経緯を重要視」していて、「その継続を考えているもの」と推測できます。

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現代物理学の展望 記事一覧

https://archive.md/238y9

 


その9・素粒子物理学の展望:アメリカの1

2024-06-05 | 日記

2008年素粒子物理プロジェクト優先順位パネル(P5)=(前々回のP5)の報告書以来、アメリカの素粒子物理学施設の2つの主要施設が運用を停止し、アメリカの素粒子物理学へのインフレ調整された資金は引き続き減少しています。さらに、以前の強力な投資によって主要な発見がなされ、今後の方向性に関する選択に情報が提供されました。

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May 2014の P5(前回のP5): https://www.usparticlephysics.org/wp-content/uploads/2018/03/FINAL_P5_Report_053014.pdf :

『コミュニティ全体で1年間行われた研究「スノーマス」は、新しいP5パネルの形成に先立ちました。多数の科学的機会が調査され、議論され、スノーマスの報告書に要約されました。それらの本質的な入力を5つの相互に関連する科学的ドライバーにまとめました。
・ヒッグス粒子を新しい発見のツールとして活用する
・ニュートリノ質量に関連する物理学を追求する
・ダークマターの新しい物理学を特定する
・宇宙加速:ダークエネルギーとインフレーションを理解する
・未知を探求する:新しい粒子、相互作用、および物理的原則

これらのドライバーに対処するための優先順位のあるプロジェクトのセット、関連するおおよそのタイムスケール、そしてそれらがどのように組み合わさっているかのビジョンは、選択基準のセットを使用して開発されました。ドライバーは相互に関連しているため、優先順位はつけられていません。代わりに、素粒子物理学プログラムの建設コストに基づいて、大規模、中規模、小規模に分類される特定のプロジェクトの選択とタイミングに優先順位がつけられています。

・計画された高ルミノシティアップグレードにより新しい時代に入るLHCの巨大な物理学の可能性を最大限に活用します。

・アメリカは、短基線および長基線のニュートリノ振動実験の最適なセットを備えた世界をリードするニュートリノプログラムを主催し、その長期的な焦点はここでは長基線ニュートリノ施設(LBNF)と呼ばれる再構築された取り組みです。フェルミラボのプロトン改善計画-II(PIP-II)プロジェクトは、必要なニュートリノ物理学の能力を提供します。

予算制約、物理学のニーズ、準備基準に応じて、大規模なプロジェクトはピーク建設時期で順序付けられます:

・Mu2e実験(注1)、

・高ルミノシティLHCアップグレード、

・LBNF。』

注1:Mu2e実験:Mu2e(ミュー・ツー・イー)は、米国のフェルミ国立加速器研究所(Fermilab)で行われている素粒子物理学の実験プロジェクトです。Mu2e実験の目的は、ミュオンが直接電子に変換される現象(ミュオン-電子変換)を探すことです。

この実験は、素粒子物理学の標準模型(Standard Model)では非常に希少または存在しないと考えられる現象を探求します。もしミュオンが直接電子に変換される現象が観測された場合、それは標準模型を超える新しい物理学の存在を示唆する可能性があります。

Mu2e実験は、高エネルギーのプロトンビームを使ってターゲットに照射し、生成されたミュオンを観測することで、この現象を検出しようとします。検出器は、非常に精密な計測を行うために設計されており、標準模型を超える新しい物理現象の探索に重要な役割を果たします。

この実験の成功は、素粒子物理学の新しいフロンティアを切り開く可能性があり、将来の物理学研究に大きな影響を与えるかもしれません。(by GPT3・5)

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2023 年 12 月 8 日 P5: https://www.usparticlephysics.org/2023-p5-report/assets/pdf/P5Report2023_One-pager_121023-DRAFT.pdf :

『素粒子物理学は、私たちの広大で複雑な宇宙の最も小さな構成要素を研究します。そのような小さなスケールでは、量子物理学の基本原則が優位に立ちます。驚くべきことに、現在数十億光年に渡る観測可能な宇宙全体が、かつては量子的性質を持つほど小さかったのです。この宇宙の量子的歴史は、その大規模な構造に刻まれています。

推奨されるプログラムは、3つの科学テーマにおける素粒子物理学を記述しています。それぞれのテーマ内で、次の10〜20年の間に調査すべき最も有望な分野、または科学のドライバーと見なされる2つの焦点領域を特定しています。』

『・量子の領域を解読する
   ニュートリノの謎を解明する
   ヒッグス粒子の秘密を明らかにする

・物理学の新しいパラダイムを探求する
   新しい粒子の直接的な証拠を探す
   新しい現象の量子的痕跡を追求する

・隠された宇宙を照らす
   ダークマターの性質を特定する
   宇宙進化の原動力を理解する』

『過去の素粒子物理学の成功は、宇宙に対する理解を革命的に変え、新たな一連の疑問を生み出しました。これらの疑問は、粒子加速器から望遠鏡まで、最先端の施設の建設を促し、非常に小さなものと非常に大きなものの間にある深い繋がりを明らかにします。最近のCERNのハイ・ルミノシティ・大型ハドロン衝突型加速器(HL-LHC)や、ディープ・アンダーグラウンド・ニュートリノ実験(DUNE)、ベラ・C・ルービン天文台(ルービン)への投資は、米国が素粒子物理学においてそのリーダーシップを継続する位置にあります。国際的なパートナーと協力し、これらの施設の最大限の可能性を活用する一歩手前に立っています。』

『2023年素粒子物理プロジェクト優先順位パネル(P5)のビジョン

私たちは、量子の領域を解読し、隠された宇宙を明らかにし、新たなパラダイムを探求する科学的リーダーシップの新しい時代を構想しています。現在および将来の大規模・中規模プロジェクトと、小規模プロジェクトの機動性のバランスを取ることは、私たちのビジョンにとって重要です。高度なスキルを持つ科学者の育成や、コンピュータと技術インフラの強化に投資することの重要性を強調します。素粒子物理学は、新技術の創出において長い実績を持ち、量子情報科学、AI/ML(注2)、計算モデリング、金融、国家安全保障、マイクロエレクトロニクスを含む多様な分野でスキルのある労働力の訓練の場を提供しています。

私たちは以下を推薦します:
予算状況に関係なく最優先事項として、進行中の実験や研究の建設プロジェクトを完了し、その運用をサポートして最大限の科学を可能にすること。これにはHL-LHC、DUNEの第一フェーズとPIP-II(注3)、ルービン天文台による宇宙と時間の遺産調査(LSST)の実施、LSSTダークエネルギー科学協力を含みます。

宇宙のほぼすべての基本的な構成要素とその相互作用、ならびにそれらの相互作用が宇宙の過去と未来をどのように決定するかを集中的に研究する主要プロジェクトのポートフォリオを構築します。

1、宇宙の最も初期の瞬間を振り返るCMB-S4
2、長基線ニュートリノ振動実験の決定版として、強化された2.1 MWビームの早期実装による再構想されたDUNEの第二フェーズ。(注4
3、ヒッグス粒子の秘密を明らかにするため、国際的なパートナーと協力して実現するオフショアヒッグスファクトリー。(海外ヒッグスファクトリー)
4、ニュートリノの霧に到達する究極の第3世代(G3)ダークマター直接検出実験。
5、DUNEに補完的であり、ダークマターの間接検出のためのビームを使用しないニュートリノの特性研究のためのIceCube-Gen2

新しい科学的機会を開き、結果を最大化し、労働力の育成を強化し、創造性を促進し、世界の舞台で競争するために、小規模、中規模、大規模プロジェクトのバランスを改善します。提案されたポートフォリオには、機敏な実験を用いて科学と技術を前進させる推奨プログラム(ASTAE)を実装することが含まれます。

理論的、計算的、技術的な資源の開発を支援し、分野の20年ビジョンに不可欠な努力を推進します。これは、技術的に困難でありながら、10 TeVのパートン重心(pCM)コライダー(注5)への現実的な道を示す革命的な加速器設計を生み出す可能性のある積極的なR&Dプログラムを含みます。特に、ミューオンコライダーオプションは、フェルミ研究所の強みと能力を活用し、米国で主要なコライダー施設を主催する私たちの願望を支援します。

労働力の育成、関与の拡大、分野における倫理的行動を支援するイニシアチブに投資します。このコミットメントは、素粒子物理学だけでなく、国家全体にとって高度な技術的労働力を育むものです。

2023年素粒子物理プロジェクト優先順位パネルの草案報告』

注2:AI/ML:AI/MLは、AI(人工知能)とML(機械学習)の略です。これらは次のような意味を持ちます。

AI(人工知能): AIは、人間の知能を模倣する技術で、コンピュータシステムが学習し、問題解決、判断、認識、自然言語処理などのタスクを行うことができるようにするものです。

ML(機械学習): MLは、AIの一部で、データから学習し、パターンを見つけたり、予測を行ったりする技術です。MLアルゴリズムは、与えられたデータをもとにモデルを構築し、そのモデルを使って新たなデータに対して予測や分類を行います。

AI/MLは、さまざまな分野で活用されており、ビジネス、医療、金融、科学技術などでの意思決定や予測、データ分析などに大きな役割を果たしています。(by GPT3・5)

注3:PIP-II:PIP-II(Proton Improvement Plan II)は、米国のフェルミ国立加速器研究所(Fermilab)で進行中のプロジェクトで、加速器のインフラストラクチャをアップグレードして次世代の物理学実験に対応するためのものです。

PIP-IIの主な目的は、フェルミラボの既存の加速器を改善し、より高いエネルギーと強度の陽子ビームを提供することです。これにより、DUNE(Deep Underground Neutrino Experiment)などの大規模なニュートリノ実験や他の素粒子物理学実験に必要な高強度陽子ビームを生成できます。

このプロジェクトは、フェルミラボのリニア加速器の新しい部分を建設することで、加速器のパフォーマンスを向上させ、素粒子物理学の研究に貢献することを目指しています。また、PIP-IIは国際的なコラボレーションの一環として進められており、さまざまな国の研究者や機関が関与しています。(by GPT3・5)

注4:前のP5で「LBNF」と呼ばれていたものが「DUNE」です。

注5:パートン重心(pCM)コライダー:

「パートン重心(pCM)コライダー」というのは、素粒子物理学において特に高エネルギー物理学の実験で使われる用語です。

「パートン」とは、原子核内の陽子や中性子を構成するクォークやグルーオンのような素粒子を指します。これらの素粒子は陽子や中性子の内部に存在し、強い相互作用を通じて結合しています。

「重心(pCM)」は、「センター・オブ・マス(center of mass)」の略で、相互作用を行う粒子系の重心系でのエネルギーや運動量を指します。粒子同士の衝突実験では、重心系のエネルギーが非常に重要です。

したがって、「パートン重心(pCM)コライダー」とは、クォークやグルーオンなどのパートンを重心系で衝突させるようなコライダー(粒子衝突装置)を指します。これは、非常に高エネルギーの陽子や他の粒子を衝突させて、パートン同士の相互作用を観測する実験を行う装置です。このようなコライダーを使って、素粒子の特性や基本的な相互作用についての研究が進められています。(by GPT3・5)

注6:ベラ・C・ルービン天文台のHPはこちら: https://www-lsst-org.translate.goog/news?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc :

 

追記:今回のP5については次のような解説記事もあります。

「P5 レポートはこちらです: 素粒子物理学者は今後の数十億ドルの道に照準を定める」: https://archive.md/Egp1p :

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現代物理学の展望 記事一覧

https://archive.md/C074C

 


その8・素粒子物理学の展望:日本の5

2024-05-30 | 日記

『ILCのこれまでと今後、大型計画の生みの苦しみ¶
ILCの源流となる電子陽電子線形コライダーは80年代にさかのぼる。その後40年にわたり計画は変遷しながらも本質は変わらず、国内では20年以上ずっと(少なくとも公式には)トッププライオリティの計画であり、海外からも実現を期待されながら明確な日の目を見ることはなく今日に至り、今ふたたびヒッグスファクトリーの一つとして国際競争のさなかにある。
なぜこれまで実現しなかったのか、これからどうするのかについてはここ数年将来計画委員会等でも議論が活発に行われてきた。その議論も踏まえて、個別の観点よりもできるだけ大型計画の実現という一般的な課題に関するケーススタディとしてこの問題に関する私見を述べ、皆様のさらなる議論のきっかけにしたい。(物理の話も少しはします)

Speaker: 末原 大幹 (ICEPP): https://conference-indico.kek.jp/event/236/contributions/4357/attachments/3277/4478/231222-ilc-ipnssympo-suehara.pdf :』

『• ILCのこれまでの歩みについて、個人の印象と感想
  – 私は、実は誘致の政治的なことにはあまりかかわっていませんので誘致活動に関しては「外から見た印象」に近いです
  – 一方、ILCグループの研究については(自分の仕事も含めて)それなりにwatchしてきたと思います
• 過去と現在の誘致戦略 (の個人的guess) とコミュニティの関係
• 今後のこと
 – 他のHiggs factoryがgoになる前にILCはgoになるの?
 – 他のHiggs factoryがgoになったらどうするの?
 – 他のHiggs factoryができなかったらILCはできるの?
• 物理は、途中で3枚だけ話します
 – 物理の面白い話は、JPSでMichael Peskinの話を聞いてください。(宣伝)

• 1980年代~ 3極でLC計画 (JLC, NLC, Tesla)
 – JLC(GLC), NLCは常伝導、Teslaは超伝導
 – 1986将来計画答申 (R&D), 1997答申 (2000年代初頭の建設開始)
• 2001: Tesla TDR (DESY)  採択されずXFELのみになる
• 2004: ITRPが超伝導加速空洞をendorse, ILCの発足
 – Tesla TDRにより超伝導が実現に近いと考えられた
• 2005: ILC Reference Design Report
• 2007: GLDとLDCが合体、ILDとなる

• 2008: ILC議連/AAAの設立 (国内建設に向けた活動スタート)
 – (2009-12: 民主党政権, 2011: 東日本大震災)

• 2009: Detector Letter of Intent (3つ)  ILD, SiDが残る
• 2012: Higgs発見
• 2013: 国内立地を2箇所に絞り、立地評価  東北をendorse
• 2013: ILC TDR (500 GeV) / detector DBD
 – 加速器デザインが基本的に固まる
• 2017: 250 GeV re-baseline (Higgs massが軽かったため)
 – 高エネルギー委員会の報告書(ILC250を検証する浅井委員会)

• ILC実現が近づいたことは2, 3回あったが実現しなかった
 – 重要な要素の一つは、コミュニティの熱量
• 現在、ILCが実現する確率は必ずしも高くない
  (けど極端に低くもない、と思う)
 – 現在の戦略はFCCeeの状況に左右される
  (FCCeeの実現は決して自明ではないが、可能性はある(?))
 – Higgs factory自体の実現性は高まっている
• FCCee or みんなで作るHiggs factory
• 国内のactivityを高めていかなければ、日本はenergy frontierの橋頭堡を失う』

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FCCee(Future Circular Collider - electron-positron collider)は、CERN(欧州原子核研究機構)が提案している将来の円形加速器プロジェクトの一部です。このプロジェクトは、将来の高エネルギー物理学研究のために設計されたもので、特にヒッグス粒子やその他の素粒子の精密測定を目的としています。

FCCeeは、周長約100kmの巨大な円形トンネル内で電子と陽電子を衝突させる加速器です。

これは陽子・陽子衝突も行える装置(FCChh)にもなる予定です。(~100Tev)

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・250 GeV ILC の物理の意義: https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/ILC/pdf/siryo2401-4.pdf :

『2012年の Higgs 発見後、LHC では、衝突エネルギーを 8 TeV から13 TeV にあげ、2015年から実験を続けている(LHC Run II 実験)。
様々な成果を挙げているが、これまでの所、標準理論を超える物理の兆候は現れていない。
→ LHC 探索領域に簡単に見つかる新粒子はない。
→ 500 GeV ILC での新粒子発見の可能性は下がった。
→ 標準理論を超える物理は必ず存在する。その効果はヒッグスの性質に標準理論からのズレとして刻印されている。新粒子の兆候がないことから大きなズレは期待できない。
→ 新物理発見ツールとしてのヒッグスの精密測定 への期待が非常に高まった。
→ 軽い新粒子が LHC の死角にある可能性はある。
→ 250 GeV ILC での探索で発見の可能性がある。』

従って

『ヒッグス粒子を大量に作って調べる!ヒッグス工場としての250 GeV ILC

250 GeV は特別なエネルギー->ヒッグス生成断面積が最大!

標準理論を超える物理の効果はヒッグス結合の標準理論の予想からのズレとして現れる<--従ってそれをクリーンな環境の下で精密に調べる事が可能なのが250 GeV ILCだ!』

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現代物理学の展望 記事一覧

https://archive.md/B28Pg

 


その7・素粒子物理学の展望:日本の4

2024-05-25 | 日記

『CMB実験の現状と今後の展望¶
宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の精密観測による物理成果は、宇宙物理学のみならず素粒子物理学においても歴史的に大きなインパクトを与えてきた。観測装置の向上や実験の大型化によって、CMBの偏光観測による宇宙のインフレーションやニュートリノの絶対質量等の重要な課題に大きな進展を迎えつつある。本講演では、現行のCMB実験の現状と将来計画の進展を紹介しつつ、それらの物理成果がもたらす宇宙・素粒子物理学の新展開に関して議論する。

Speaker: 櫻井 雄基 (岡山大): https://conference-indico.kek.jp/event/236/contributions/4351/attachments/3267/4464/IPNS_WS_CMB_Sakurai.pdf :』

『素粒子物理の今と未来:
CMB実験の現状と今後の展望

初期宇宙と素粒子の関係性
「CMB実験から何がわかるのか?」

● 初期宇宙䛿クリーンかつ超高エネルギーな天然の実験場
● その痕跡をたどる最も高感度なプローブがCMB
● CMB 温度 → SM(ΛCDM)の確立
● CMB 偏光 → BSM !?
○ Inflation, Light relic, Dark matter …

CMB Polarization = Science treasure trove

インフレーションの検証

インフレーション由来の原始重力波を捉える → CMB Bモード偏光が最も高感度なプローブ

インフレーション探索の今

測定量 r: テンソル・スカラー比
○ インフレーションエネルギースケールの指標
○ 理論的に興味ある領域 :0.005 < r <0.1

インフレーションモデル
● シンプルなモデル (Large-field inflation) はすでにほとんど棄却済
● 有力候補:Starobinsky R^2  inflation (1980)
○ 修正重力論 f(R)のR^2項からインフレーションを導出

10-15年後のCMB Bモード探索

LiteBIRD (衛星) Forecast ℓ < 200

CMB S4 (地上) Forecast 30 < ℓ < 5000

原始重力波を新たな目とした
量子重力時代䛾幕開けとなるか!?


CMB実験から多くの素粒子物理学に関連する重要な科学成果がもたらされる
● 原始重力波検出によるインフレーション
○ 前人未踏の σ(r) < 0.001
○ Discovery or exclusion of large/intermediate inflation models
ex) Starobinsky R^2
 Inflation, Higgs inflation, etc
○ 詳細なモデル選定 → 量子重力検証へ
● Light relics: σ(N eff) ~ 0.03, fermion or vector boson type
● ニュートリノ質量和: σ(Σmν) ~ 25 meV, 階層性の決定感度
● 現行実験䛾データが続々と出始めている → 数年以内に乞うご期待!
● 将来計画も着々と進行中、今後10-15年䛾結果で大きな変革を迎える。』

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『観測的宇宙論: 大規模銀河サーベイの現状と将来(zoom)¶
宇宙マイクロ波背景放射の精密測定を始めとする天文学観測技術の飛躍的な発展によって、宇宙のエネルギー密度のうち、既知の物質はたった約5%しかなく、残りの約26%は未知の物質である暗黒物質、約69%は加速膨張を引き起こす未知のエネルギーである暗黒エネルギーであることがわかった。宇宙の暗黒成分の正体を探るため、世界中で多くのサーベイ観測が実行・計画中である。宇宙の大規模構造は暗黒物質による引力と、暗黒エネルギーによる加速膨張とのせめぎ合いの下で形成される。よって、大規模構造の時間発展を測定することで、暗黒成分の性質を調べることができる。本講演では、すばる望遠鏡超広視野主焦点カメラHyper Suprime-Camによる広視野深宇宙サーベイデータの弱重力レンズ効果精密測定による最新の結果を中心に、他の競合するサーベイの成果や将来計画について解説する。

Speaker: 宮武 広直 (名古屋大): https://conference-indico.kek.jp/event/236/contributions/4355/attachments/3276/4474/galaxy_survey_miyatake.pdf :』

『観測的宇宙論
大規模銀河サーベイの現状と将来

H0テンション
• Ia型超新星: 距離梯子に何を用いるかによって結果が変わる。
• 距離梯子に依存しない測定(time delay, 重力波)の結果が待たれる。

大規模構造の進化による標準宇宙論の検証
ΛCDM標準宇宙論における5つのパラメータ:
Ωm• : 現在の物質のエネルギー密度
σ8• : 現在の宇宙構造の凸凹度合い

S8=σ8*sqrt(Ωm/0.3)

S8テンション
Abdalla et al. (2022), SNOWMASS
後期宇宙
初期宇宙 CMBの揺らぎ
弱重力レンズ
(cosmic shear)
弱重力レンズ+
銀河クラスタリング
銀河クラスタリング
銀河団個数カウント
赤方偏移歪み
CMB 大規模構造
• 大規模構造の測定には理論・測定の系統誤差あり。
• 異なる測定は異なる系統誤差を持つにも関わらず小さいS8 をprefer(「好む」や「選ぶ」)しているように見える。<--凸凹度合いが小さい??

チャットGPT

S8の値が大きい場合、密度ゆらぎの振幅が大きくなります。これにより、以下のような効果が生じる可能性があります:

・大規模構造の形成の促進: S8が大きいと、密度ゆらぎの振幅が大きくなります。これは、銀河や銀河クラスターなどの大規模構造がより速く形成される可能性があります。密度の高い領域がより速く重力によって集まり、宇宙の不均一性が増加することが予想されます。

・宇宙マイクロ波背景放射の異方性の増加: S8の増加は、宇宙の大規模構造の形成によって宇宙マイクロ波背景放射の異方性が増加する可能性があります。これは、宇宙マイクロ波背景放射に含まれる温度のゆらぎが増加し、それによって宇宙の構造がより複雑になることを意味します。

・重力レンズ効果の増加: 密度ゆらぎの振幅が増加すると、重力レンズ効果も増加する可能性があります。これは、光が密度の高い領域を通過する際に曲がる効果であり、宇宙の不均一性を観測する手段の1つです。

これらの効果は、S8の値が大きい場合に生じる可能性がありますが、具体的な効果は宇宙論的モデルや他のパラメータにも依存するため、一般的な効果を正確に予測することは困難です。』

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『重力波と天体と新物理¶
連星ブラックホールや連星中性子星が合体する際の重力波はLIGOを筆頭に地上重力波検出器によって多数検出されており、近年ではパルサータイミングアレイが低振動数での重力波背景放射の兆候を報告している。特に連星が関与する天体物理は不定性が大きく、いずれの重力波信号も標準的な物理で想定される天体物理のシナリオと整合的だと理解されている。今後は天体物理の理解自体が重力波の観測結果を参照する形で進み、整合性はより顕著なものとなり、翻って新物理が許される余地も限定的となることは一つのありうる未来であろう。本講演では、精密観測が得意とは言い難い宇宙観測の一つである重力波観測から、将来的にどうすれば新物理に迫ることができるか議論する。

Speaker: 久徳 浩太郎 (京都大): https://conference-indico.kek.jp/event/236/contributions/4349/attachments/3269/4466/kyutoku_KEK231222.pdf :』

『理論的に:
超大質量ブラックホールの連星合体を見ることで環境効果から暗黒物質の性質に迫れるかも?

実験的に:
新しい検出原理に基づく検出器を開発することでまだ狙えていない振動数領域を開拓できれば?

今では>30太陽質量も可能という研究も複数ある
観測に合わせて理論が更新されるのは健全ではある

パルサータイミングアレイ (PTA)

重力波の速度
GW170817は40Mpc=1.2億光年の遠方で合体したが
ガンマ線は重力波の1.7秒後にやってきた
1.7秒/1.2億年=0.0000000000000004
重力波は電磁波とほとんど同じ速度で飛んできている

重力波による宇宙論

宇宙の膨張速度、Hubble定数が新たに測定された

𝐻0 = 70^−8+12 <--中間に落ちている!!

Hubble定数問題
初期宇宙観測で得た値と近傍宇宙での値とが有意に違う(とされている)
未知の物理?
宇宙モデルの変更?
観測の系統誤差?
重力波で独立に検証!』

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現代物理学の展望 記事一覧

https://archive.md/h62sQ