クリアファイルのその中は

何気ない毎日は、何気なく良い。

祇園精舎の鐘の音

2012-09-21 21:16:34 | 日記
子供の頃に観ていたNHK人形劇「八犬伝」。

そこで初めて辻村寿三郎という人形師を知った。

オドロオドロシイ人形なのに、子供心にも魅力を感じたのは、その人形の持つ「美しさ」だった。


ジュサブローの作る人形は、≪人間の醜い部分や弱い部分が引き立つ≫という印象だった。

人形は一つの表情しかない。
それなのに、怒らないはずの人形が怒りだし、泣かないはずの人形が涙する・・・そんな風に見えてくるのが不思議だ。



今日、京都の高島屋で開かれている「辻村寿三郎~平家物語縁起」を観てきた。




意外と小さな作品だったけれど、人形の持つパワーは圧巻だった。

HNKで大コケしてしまった「平清盛」ではあるが、先にこの人形展を日本中の人が観ていたら、今頃はNHKはウハウハものだったに違いない。
それほど人形たちに生のパワーがみなぎっていた。


絵画でも映画でも、「観る」ということをもっと楽しませるものは「想像力」だと思う。

一つの作品から自分ながらの想像力を働かせてその世界をもっと膨らませる作業は楽しいものだ。
私も今日は人形を見ながら、清盛をとりまく人々に勝手な物語を作って遊ぶという観覧を楽しんだ。

作り手であるジュサブローだって自分の想像力を駆使し、それを人形という作品に表現している。
観ている側がそこからイメージして、人形の世界観を感じ取る。

こんな風に作家と観覧者はお互いの想像力をぶつけあっているんだろうな。

これだから美術館巡りはやめられない。