謎パーク

いろいろな謎を考える。宇宙とか地球とかに関する謎や中南米謎の古代文明だとか。それとあっちこちの白昼の徘徊夜話だとか。

♪神話に生き、神話に殉じて滅んだ中世の古代帝国「アステカ」

2017-10-07 21:18:40 | 日記

 まやいんか、あすてからやりゃいいべ・・・ってな感じで延ばし延ばしにしてきたおさそいのページをやっと作りました。

 マヤ王国、インカ帝国、アステカ帝国など数ある「謎の中南米古代文明」のうち、いちばん最後にほぼ時を同じくして滅んだ(滅ぼされた)のはアステカ(1521年滅亡)とインカ(1533年滅亡)です。中南米古代文明というのは鉄と車輪を知らない、いわば新石器時代のままに大きく進化をとげた古代社会であり、世界のほとんどが中世の真っただ中にあるなか、唯一古代の衣をまとって中南米にひっそり生息していた冗談としか思えない奇跡の文明たちです。

 古代マヤでは、早く酩酊して神に近づこうと酒を浣腸していました。

 古代アステカでは、戦争の捕虜をピラミッドのいただきで生贄に捧げ、その心臓を太陽に献じるとともに、生贄の手足を食べました。

 文字を持たなかった古代インカでは、キープと呼ばれる結縄で情報を保存。キープの色、結び目の数・形・位置などで主に数字を表現しました。日本の相撲レスラーのサガリみたい。
 アステカ人は
「太陽は宇宙の暗黒を照らし、夜と死と悪の恐怖から人類を救ってくれる。この太陽の力が弱まれば、日照りや豪雨,雷、そして火山の爆発、地震などが襲い、人間が永遠の破滅に陥る。だから,太陽の力が弱まらないように、夜な夜な虚無の暗黒と戦う太陽に力を貸さねばならない。太陽は、夜の闇の中の無数の星と戦っている。その星の数のようにたくさんの捕虜を戦争でつかまえて、いけにえに捧げなくてはならない。一人一人の捕虜が、一つ一つの星に相当する。破壊的な宇宙の力ときわどい戦いをつづける太陽に栄養を与え、人間の世界の生存を確保するために、いけにえの捕虜はピラミッドのいただきで虐殺され、どくどくと流れるその血や、生身からとり出された心臓は,太陽に捧げられねばならない」
というきわめて強い固定観念をいだいていました。これは神話に由来するものです。現代の科学が明らかにしてきた客観的な宇宙の実像を知らなかったアステカ人は、いにしえより伝えられてきた神話によってしか神羅万象(宇宙)を理解することができませんでした。神話こそが彼らにとっては現代の科学と同等の無謬性を有していたのです。

アステカの首都「テノチティトラン」想像図
 
 そのアステカを滅亡の淵に追い込んだのはエルナン・コルテスというエスパーニャ(スペイン)人です。アステカの神話にはケツァルコアトルというかつて国を追われた神がおり、この神が自分はやがて帰還をはたすであろうと予言をしたまさにその年にコルテスが現れ、アステカの王は恐れおののいて、結局その思い込みがアステカ滅亡への引き金をひくことになったのです。
エルナン・コルテス
(the history notesより引用)
 
 そのアステカ滅亡に至るまでの詳しい経緯を偏執狂的なまでに詳細に生々しく書きしるしていた人物がいて、それはコルテス軍の一兵卒ベルナール・ディアス・デル・カスティーリョという男でした。このディアスの手記は日本でも翻訳されていて、「メキシコ征服記」というタイトルで岩波書店の大航海叢書エクストラシリーズの一環として出版されており、図書館で読むことができます。ただ中世人特有の語り口のくどくどしさ、冗長さ、デティールへの執拗なこだわりといったものにひたすら耐える覚悟が要ります。
ベルナール・ディアス・デル・カスティーリョ
wikipediaより引用)
 
 ところで、アステカ帝国の都(テノチティトランといいます)のあった場所は今のメキシコシティの中枢、大統領の執務する国立宮殿やカトリック教会の総本山メトロポリタン・カテドラルなどのひしめくソカロ(中央広場)のど真ん中にありました。テノチティトランは湖中に浮かぶ島の上に築かれた壮麗な都市で、エルナン・コルテスにひきいられたわずか600人ほどのエスパーニャ軍がこの都を破壊しつくしました。湖は都があった島もろとも埋め立てられ、その造成地の上にエスパーニャ人が築いたのが今や世界第7位の人口をほこるメキシコの首都、メキシコシティです。
 ここで「もし・・・」の話になります。もし、アステカの遺民たちがある指導者にひきいられてどこかしかるべき土地に移住し、そこで幾世代も生き延び、やがて独立して新国家を樹立したとしたら。アステカの魂はその国で脈々と息づいて現代に至り、しかも、その国でオリンピックが開催されたとしたら。そしてその国の所在位置が現在のテキサス州だったとしたら。
 テキサス州、そしてカリフォルニア、ネバダ、ユタ、アリゾナ、ニューメキシコ、フロリダの各州は、かつてはメキシコ領だったのです。アメリカは武力と金(買収)にまかせてこれらの広大な土地をメキシコから奪取しました。だから、テキサスの一州ぐらい、アステカの子孫が自領として現在まで守りぬいていたっておかしくはないと思います。
上の地図の黄色い部分がかつてのメキシコ領
塩はうまくてまずいです」より引用
 
 で、そのアステカの遺民らによって建てられた新国家の名前は「アストラン共和国」といいます。首都はテハス(テキサスのスペイン語読み)です。この地で開かれたオリンピックとはですから、テハス・オリンピコ(オリンピック)ということになります。
 アステカ帝国の生い立ちから滅亡、そして共和国として再生し、ついにはオリンピックまで開催されるに至るまでの遠大な歴史小説を書いてみたいと思いました。はからずもアストラン建国の父となってしまった主人公にそれを語らしめるというかたちで。タイトルは当初は「テハス・オリンピコ」としましたが、やはりアステカのヒストリーなので「アステカ物語」に改題しました。
 この小説の大半はコルテス軍によるアステカ攻略にさかれており、そこの部分の記述は前記ベルナール・ディアス著「メキシコ征服記」の流れにほぼ沿っていて、ディティールなどもほとんどそのまま踏襲して話を進めています。
 ところで、コルテスが初めてアステカに接触した頃は、現地の人々はアステカとは呼ばず、メシトリ神に由来するメシカと呼んでいました(ずっと昔にアステカと呼ばれていたこともあります)。アステカというのはアストラン人という意味で、アストランとははるか北の辺境にあるというメシカ族発祥の地です。で、「アステカ物語」においてもアステカとは言わずメシカとしています。かなり長いですが興味を感じられた方は ↓ からどうぞ。

アステカ物語

 

 

コメントを投稿