今夜は「諏訪内晶子 ヴァイオリンリサイタル、J.S.バッハ:無伴奏ソナタ&パルティータ 全曲演奏会」でオペラシティ。
諏訪内さんは昨年この作品の全曲録音に取り組んで、楽器もストラディヴァリからグァルネリに変えたという。
前回ぼくが諏訪内さんを聴いたのは2020年だからその時はストラディヴァリだったのだろう。
ソナタの1番が始まってすぐ、深い音色でよく鳴ってるって思った。
一挺のヴァイオリンがこんな多彩な音を奏でるのかとしばらく聴き入った。
1700年頃に作曲されたこの作品を、“やっと期が熟した”と本腰を入れて向き合った優れた演奏家がいて、それを聴くために押しかけた大勢の聴衆がいる。
300年も経ったというのに。
しかも古臭くもなく、陳腐化もしていない。
プログラムはパルティータ1番に進み、最後のソナタの2番へ。この2番の頃になると、主題がよく耳に残り、聴きたいような展開が来る。バッハのスピリットが身体の中に染み込んだからだ。
そんなふうに諏訪内さんの奏でるバッハ の世界に身を委ねて、リサイタルは終わった。
今夜のグァルネリの音色はしばらく耳から離れないだろう。
ぼくはこれからも諏訪内さんを聴く。