王道的な百合の短編集だと思った。一部を抜粋してみる。
露草の方は別れ方が聖栞みたいだ。
そういえば、この本では実在する女学校をモデルにしているようだった。
2校ほどわかってしまった私は女子高マニアw
「忘れな草」
やさしき人を胸に慕いつつ、ひねもす憧れていたとて、ただ一言をだに、(君を思う)とはもらし得なんだ気の弱い子は、ただ人にかくれて泪ぐみつつ美しいおもかげを胸に掻抱くより術もあらなんだを、あわれ、かくて一年のわびしい月日は、その人を慕い忍ぶ中に、あえなく流れて去った。
「露草」
秋津様――
私は今日お留守の間にお別れして帰ります。お目にかかると私は悲しくてせっかく決心した帰国の心が折れるといけませんからこの手紙を残したまままいり、もうけっして再びお目にかかる事はないと存じます。私はあなた様をお姉様のように心から世界でたった一人の方と思ってお慕いしておりました。
(中略)
お姉様をお慕いしていらっしゃる一条様やそのほかの方達は、けっしてお姉様の重荷にはならない、幸い多い方でいらっしゃいます。私はいくら自分は不幸な身の上でございましても、自分の不幸のためにお慕いするお姉様までにお苦しみをかける事は、できません。私はどうしてもお別れして行かねばなりません。
私は生きている限り、どんな処におりましても、お姉様の幸福を祈っております。
どうぞ幸いでいらっして下さいませ。
この最後の文字まで辛うじて読み終わった秋津さんは、気を失ったように露草の花の上に倒れて泣き伏すのでございました。
露草の方は別れ方が聖栞みたいだ。
そういえば、この本では実在する女学校をモデルにしているようだった。
2校ほどわかってしまった私は女子高マニアw
「忘れな草」
やさしき人を胸に慕いつつ、ひねもす憧れていたとて、ただ一言をだに、(君を思う)とはもらし得なんだ気の弱い子は、ただ人にかくれて泪ぐみつつ美しいおもかげを胸に掻抱くより術もあらなんだを、あわれ、かくて一年のわびしい月日は、その人を慕い忍ぶ中に、あえなく流れて去った。
「露草」
秋津様――
私は今日お留守の間にお別れして帰ります。お目にかかると私は悲しくてせっかく決心した帰国の心が折れるといけませんからこの手紙を残したまままいり、もうけっして再びお目にかかる事はないと存じます。私はあなた様をお姉様のように心から世界でたった一人の方と思ってお慕いしておりました。
(中略)
お姉様をお慕いしていらっしゃる一条様やそのほかの方達は、けっしてお姉様の重荷にはならない、幸い多い方でいらっしゃいます。私はいくら自分は不幸な身の上でございましても、自分の不幸のためにお慕いするお姉様までにお苦しみをかける事は、できません。私はどうしてもお別れして行かねばなりません。
私は生きている限り、どんな処におりましても、お姉様の幸福を祈っております。
どうぞ幸いでいらっして下さいませ。
この最後の文字まで辛うじて読み終わった秋津さんは、気を失ったように露草の花の上に倒れて泣き伏すのでございました。
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