台湾の情報ならお任せ RTIブログ

台湾の情報満載!RTIのホームページでは見られない情報をご紹介。

台湾の人にとっての「85」って何?アメリカでも?

2010年06月24日 06時05分50秒 | 台湾グルメ

(私立実践大学のそばにある「85度c」。夜12時まで営業しており学生が多い。店によって夜12時までと24時間営業がある)

何の調査もしていないので断言などできないが、台湾の人にとって「85」という数字を聞いて連想するのはこの店になりつつあるのではないだろうか。台湾の喫茶店チェーン、「85度c」(85℃)だ。台湾で現在のような喫茶店が立ち並ぶようになったのはここ20年ぐらい。それまではソファーにおじさんたちがどっしり座っている「純喫茶」といった趣の店ばかりで値段も高かった。それが20年ほど前からガラス張りのおしゃれな店が出だし、日本の廉価な喫茶店も進出するなどして、1998年にはついにスターバックスが上陸。若者やビジネスマンをターゲットにした喫茶店戦争が勃発したのだ。生き残ったのはスターバックスと台湾の喫茶店チェーン数社。さらにはコンビニエンスストアが殴りこんだため、今ではスターバックスの高級路線、その他チェーン店のお手頃および廉価路線、そしてコンビニの便利廉価路線といった三つ巴状態だ。スターバックスは昨年3月の時点で台湾全域に223店舗を持つまでになった。

(ロゴの右側には営業項目が図案で。右から「Tea」、「Bread」、「Cake」、「Cafe」)

(アラビア数字と漢字を組み合わせたロゴはなかなかファッショナブル。「8」は湯気のようにも見える。「85度c」というのは「コーヒーを入れるのに最適な温度」から来ているという)

「85度c」は2004年7月に「ファイブスター級のコーヒー、ケーキを大衆価格で」という理念でスタート、わずか6年間で台湾全域に320店舗(スタバより早く、多い!)、中国大陸に131店舗、オーストラリアに4店舗、アメリカに1店舗を展開するまでに成長した。「85度c」はコーヒー、ケーキ、パンを取り扱い、店舗はテイクアウトや配達を重視、客席は少しだけという形態だ。価格はスターバックスの半分程度。先ほどの分類では「お手頃路線」に入るだろう。台湾の経済雑誌『天下雑誌』が最近発表した、「2010年500大サービス業調査」で「85度c」を経営する「美食達人集団」は171位にランクされた。昨年は世界の景気が低迷する中、売り上げは前年比でなんと78.19%も増え、台湾元62億8300万元に達した。税引き後利益は7億5800万元。台湾における観光飲食業のトップだった。

(店内には大きなショーウィンドーにケーキがずらり。ストロボを使っていないのでセピア色になっているが、本当はもっと明るい雰囲気。右上にはサンドイッチも)

(上のものと90度の角度でもう一つ大きなショーウィンドーが。種類が多い)

中国大陸での成長は驚異的で、本格的に進出してわずか二年で、上海を中心とした長江デルタ地帯、広州を中心とした珠江デルタ地帯、北京などに131店舗を展開、常に行列ができるほどの繁盛ぶりだ。人気の理由は、中国大陸にそれまで無かった、飲料、ケーキ、パンの専門店という業態、24時間営業という営業方式、さらには大きなガラス張り店舗と店内の明るい照明、店舗と一体化した厨房で作られる出来立てのパンなどが客を引き付けた。従来、中国大陸のパン屋では、セントラルキッチンで作られた、冷めたパンが店舗に配達される形態だった他、衛生面でも問題があったという。「85度c」の進出はそういった従来型のパン屋を淘汰し、経営方式の大転換を促した。中国大陸で成績トップという上海南京路の店舗では一ヶ月の売り上げが人民元170万元(日本円で約2300万円)だという。「85度c」では今年、四川省成都などにも進出し、年内に中国大陸200店舗を目指す。
また、慎重な経営方針も中国大陸における成功の鍵。台湾では9割以上の店がフランチャイズ経営だが、「台湾ブランド」であることで問題が起きると、ことさら批判される恐れのある中国大陸ではすべてを直営店(131店舗が直営!)にして品質管理を徹底している。それには一店舗出すのに台湾元1000万元かけるという潤沢な資金力が物を言う。また、価格の安さとメニューの豊富さで他店に勝る他、内部的には株式割り当てなどで職員のモチベーションを常に高く保つなど、短期間での大成功にはもっともな理由があるのだ。

(二種類買ってみた。左が台湾で一番人気の「招牌コーヒー」:看板娘ならぬ「看板商品のコーヒー」の意味。右はアメリカで一番人気の「海岩コーヒー」。中型のカップに入ってどちらも台湾元40元、日本円では120円足らずだ。台湾ではエコロジーでビニール袋の使用が減っているが、「パン屋さん」はやっぱりビニール袋)

2008年10月に進出したアメリカ・カリフォルニア州アーバイン市の店舗では、「85度c」オリジナルの「海岩コーヒー」が一番人気だそうだ。「海岩コーヒー」は「Sea Salt」コーヒー。甘いコーヒーの上に塩っ辛いバターのようなクリームが一層浮かべられている。「海岩」は岩塩を使っているという意味。メニューは台湾の店舗とほぼ変わらないということだが、そこは地元の好みに合わせて調合が微妙に異なる。パンはアメリカ人の舌に合わせて甘さを3%ほど高め、ケーキの形も華人社会で人気のある丸いものではなく、アメリカで一般的な四角にしている。そのような努力のかいあってか、アーバイン市の店舗では開店当初、顧客に華人が占める割合が8割だったが今では5割に低下、華人以外のアメリカの人たちに広く利用されるようになった。「85度c」では年内にアーバイン市の近くに二号店(やはり直営)を出すことにしている。
今では、海外で成功する台湾の人や物の総称、「台湾之光」(「台湾の誇り」といった意味)のひとつに数えられるようになった「85度c」。アメリカでは「アジアのスタバ」と呼ばれているそうだ。台湾に来たら、「アジアのスタバ」の「海岩コーヒー」も試してもらいたい。(U)

(「招牌コーヒー」はすっきりしたのど越し。香りを強調しない万人向け)

(「海岩コーヒー」は上の一層が真っ白。木製マドラーが浮く。この部分はバターのような香りがして舐めてみると塩辛い。下のコーヒー部分は「招牌コーヒー」と似て万人向けの味付け。塩味が日本料理の隠し味のようでユニークだ)

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿