働き方改革関連法ノート

労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)や厚生労働省労働基準局などが開催する検討会の資料・議事録に関する雑記帳

検察庁法改正案とは 内容 わかりやすく 簡単に

2020年05月14日 | 検察庁法改正問題
検察庁法改正案の内容(条文)わかりやすく簡単に
今回の検察庁法改正案(検察庁法改正法案)とは国家公務員法等の一部を改正する法律案(2020年3月13日に閣議決定)第4条になるが、この第4条はかなりの長文。そこで検察庁法改正案の内容をわかりやすく簡潔にするため「国家公務員法等の一部を改正する法律案」第4条のうち問題になっている箇所だけ抜粋すると次のとおり。*抜粋条文だけでも長いので「わかりやすく」「簡単に」を望まれる方は、抜粋条文中の「赤字部分」だけ読んで、次の小見出し「検察庁法改正法案の問題点ー『内閣が定める事由』とは」に進まれることを推奨。

検察庁法改正案条文(国家公務員法等改正案第4条)抜粋
「内閣は、前項の規定にかかわらず、年齢が63年(歳)に達した次長検事又は検事長について、当該次長検事又は検事長の職務の遂行上の特別の事情を勘案して、当該次長検事又は検事長を検事に任命することにより公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める事由があると認めるときは、当該次長検事又は検事長が年齢63年(歳)に達した日の翌日から起算して一年を超えない範囲内で期限を定め、引き続き当該次長検事又は検事長に、当該次長検事又は検事長が年齢63年(歳)に達した日において占めていた官及び職を占めたまま勤務をさせることができる。」

また「内閣は、前項の期限又はこの項の規定により延長した期限が到来する場合において、前項の事由が引き続きあると認めるときは、内閣の定めるところにより、これらの期限の翌日から起算して1年を超えない範囲内(その範囲内に定年に達する日がある次長検事又は検事長にあっては、延長した期限の翌日から当該定年に達する日までの範囲内)で期限を延長することができる。」(衆議院ホームページより)

検察庁法改正法案の問題点ー「内閣が定める事由」とは
検察庁法改正法案の最も問題とされている点が、上記法案の条文抜粋に赤字で記載した「内閣が定める事由」が政府から明確に説明されていない。当然「内閣が定める事由」が具体的に説明されない限り採決することはできないし、採決を強行するようなことはあってはならない。もし「内閣が定める事由」の説明がないまま採決が強行されるなら、立法府の国会が行政府の内閣へ「白紙委任」するようなものとなる。

参考・東京弁護士会「会長声明」抜粋
東京弁護士会「あらためて検察庁法の一部改正のうち検察官の定年ないし勤務延長にかかる『特例措置』を設ける部分に反対し、『国家公務員法等の一部を改正する法律案』から当該部分を削除することを強く求める会長声明」(2020年5月11日)には次のように記載されている。

「(略)検察官は『公益の代表者』(検察庁法第4条)であって、刑事事件の捜査・起訴等の検察権を行使する権限が付与されており、ときに他の行政機関に対してもその権限を行使する必要がある。そのために、検察官は独任制の機関とされ、身分保障が与えられているはずである。にもかかわらず、内閣が、恣意的な法解釈や新たな立法によって検察の人事に干渉することを許しては、検察官の政権からの独立を侵し、その職責を果たせなくなるおそれがあり、政治からの独立性と中立性の確保が著しく損なわれる危険がある。」(東京弁護士会「会長声明」抜粋、東京弁護士会ホームページより)


追記(2020年5月15日)
検察庁法改正案(国家公務員法等の一部を改正する法律案の第四条)について本日(5月15日)の衆議院・内閣委員会に森雅子(まさこ)法務大臣も出席して審議。自民党などにより強行採決される懸念があったが、国家公務員法の担当である武田大臣への不信任決議案を野党が提出したため、本日は強行採決されることなく散会。なお、今後の審議予定については、まず不信任決議案を来週火曜日(5月19日)に衆議院本会議で審議する予定。


追記(2020年5月18日)
NHKのWebニュースによると「政府・与党は、国民の理解なしに国会審議を進めることは難しいとして、国家公務員の定年を段階的に65歳に引き上げるための法案とともに、今の国会での(改正検察庁法)成立を見送ることを決めました」とのことだが、検察庁法改正法は廃案になったわけではなく、先送りして国民の批判的な声が静まるのを少し待とうということだろう。しかし、今国会での採決見送りは「#検察庁法改正案に抗議します」というツイッターのタグつきコメントから始まった小さな声の結集が実ったものであることは誰も否定することはできない。


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