働き方改革関連法ノート

労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)や厚生労働省労働基準局などが開催する検討会の資料・議事録に関する雑記帳

マタハラ指針とマタハラ防止措置 (就業規則・相談窓口)

2016年12月19日 | マタハラ防止
男女雇用機会均等法が改正され、妊娠、出産等を理由とするハラスメント行為(マタハラ=マタニティハラスメント)を防止するため、マタハラ防止措置(就業規則または防止規程へ懲戒規定記載・相談窓口設置)が義務化します。

厚生労働省はマタハラ防止措置の詳細を記載したマタハラ防止指針(妊娠・出産等ハラスメント防止指針)を2016年7月22日付で決定し、改正男女雇用機会均等法の施行日と同日の2017年1月1日から適用されます。

改正男女雇用機会均等法抜粋
第11条の2 事業主は、職場において行われるその雇用する女性労働者に対する当該女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法第65条第1項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第2項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものに関する言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう、当該女性労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
2 厚生労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めるものとする。(以下略)

マタハラ(妊娠、出産等ハラスメント)防止指針のポイント
マタハラ(職場における妊娠、出産等に関するハラスメント)には、上司または同僚から行われる次のものがあります。なお、業務分担や安全配慮等の観点から、客観的にみて、業務上の必要性に基づく言動によるものについては、マタハラ(職場における妊娠、出産等に関するハラスメント)には該当しません。

1 制度等の利用への嫌がらせ型マタハラ
雇用する女性労働者の労働基準法の規定による休業その他の妊娠または出産に関する制度または措置の利用に関する言動により就業環境が害されるものを「制度等の利用への嫌がらせ型」マタハラと呼びます。

*「制度等」とは、妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置(母性健康管理措置)、坑内業務の就業制限および危険有害業務の就業制限、産前休業、軽易な業務への転換、変形労働時間制がとられる場合における法定労働時間を超える労働時間の制限、時間外労働および休日労働の制限並びに深夜業の制限、育児時間になります。

・解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの
女性労働者が、制度等の利用の請求等(措置の求め、請求または申出)をしたい旨を上司に相談したこと、制度等の利用の請求等をしたこと、または制度等の利用をしたことにより、上司が女性労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いを示唆すること

・制度等の利用の請求等又は制度等の利用を阻害するもの
客観的にみて、言動を受けた女性労働者の制度等の利用の請求等または制度等の利用が阻害されるものが該当します。
(1)女性労働者が制度等の利用の請求等をしたい旨を上司に相談したところ、上司が女性労働者に対し、制度等の利用の請求等をしないよう言うこと。
(2)女性労働者が制度等の利用の請求等をしたところ、上司が女性労働者に対し、請求等を取り下げるよう言うこと。
(3)女性労働者が制度等の利用の請求等をしたい旨を同僚に伝えたところ、同僚が女性労働者に対し、繰り返し、または継続的に制度等の利用の請求等をしないよう言うこと(女性労働者がその意に反することを同僚に明示しているにもかかわらず、さらに言うことを含みます)。
(4)女性労働者が制度等の利用の請求等をしたところ、同僚が当該女性労働者に対し、繰り返し、または継続的に請求等を取り下げるよう言うこと(女性労働者がその意に反することを同僚に明示しているにもかかわらず、さらに言うことを含みます)

・制度等の利用をしたことにより嫌がらせ等をするもの
客観的にみて、言動を受けた女性労働者の能力の発揮や継続就業に重大な悪影響が生じるなど女性労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じるようなものが該当します。

女性労働者が制度等の利用をしたことにより、上司または同僚が当該女性労働者に対し、繰り返し、または継続的に嫌がらせ等(嫌がらせ的な言動、業務に従事させないこと、または専ら雑務に従事させること。)をすること(女性労働者がその意に反することを上司または同僚に明示しているにもかかわらず、さらに言うことを含みます)

2 状態への嫌がらせ型マタハラ
雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、その他の妊娠または出産に関する言動により就業環境が害されるものを「状態への嫌がらせ型」マタハラと呼びます。

・解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの
女性労働者が妊娠等したことにより、上司が女性労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いを示唆すること

・娠等したことにより嫌がらせ等をするもの
客観的にみて、言動を受けた女性労働者の能力の発揮や継続就業に重大な悪影響が生じるなど女性労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じるようなものが該当します。

女性労働者が妊娠等したことにより、上司または同僚が女性労働者に対し、繰り返し、または継続的に嫌がらせ等をすること(女性労働者がその意に反することを当該上司または同僚に明示しているにもかかわらず、さらに言うことを含みます)

3 事業者が職場におけるマタハラ問題に関し雇用管理上講ずべき措置
事業者は、マタハラ(職場における妊娠、出産等に関するハラスメント)を防止するため、雇用管理上次の措置を講じなければなりません。
(1)事業者の方針等の明確化及びその周知・啓発
(2)相談(苦情を含みます)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
(3)マタハラ(職場における妊娠、出産等に関するハラスメント)に係る事後の迅速かつ適切な対応
(4)マタハラ(職場における妊娠、出産等に関するハラスメント)の原因や背景となる要因を解消するための措置
(5)(1)から(4)までの措置を講ずるに際しては、併せて次の措置を講じなければなりません。

・マタハラ(職場における妊娠、出産等に関するハラスメント)に係る相談者・行為者等の情報は相談者・行為者等のプライバシーに属するものであることから、相談への対応または当該妊娠、出産等に関するハラスメントに係る事後の対応にあたっては、相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに、その旨を労働者に対して周知すること

・労働者がマタハラ(職場における妊娠、出産等に関するハラスメント)に関し相談をしたこと、または事実関係の確認に協力したこと等を理由として、不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること


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