働き方改革関連法ノート

労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)や厚生労働省労働基準局などが開催する検討会の資料・議事録に関する雑記帳

育児・介護休業等ハラスメント指針と防止措置

2016年12月21日 | マタハラ防止
育児・介護休業法が改正され、育児休業や介護休業等の利用を理由とするハラスメント行為(マタハラ=マタニティハラスメント、パタハラ=パタニティハラスメント、ケアハラ=ケアハラスメント)を防止するため、マタハラ・パタハラ・ケアハラ(育児・介護休業等ハラスメント)防止措置(就業規則または防止規程へ懲戒規定記載・相談窓口設置)が義務化します。

厚生労働省はマタハラ・パタハラ・ケアハラ(育児・介護休業等ハラスメント)防止措置の詳細を記載したマタハラ・パタハラ・ケアハラ(育児・介護休業等ハラスメント)防止指針(妊娠・出産等ハラスメント防止指針)を2016年7月22日付で決定し、改正育児・介護休業法の施行日と同日の2017年1月1日から適用されます。

育児・介護休業等ハラスメント防止指針

1 マタハラ・パタハラ・ケアハラの内容
マタハラ・パタハラ・ケアハラ(育児・介護休業等ハラスメント)には、上司または同僚から行われる、雇用する労働者に対する制度等の利用に関する言動により就業環境が害されるものがあります。

なお、業務分担や安全配慮等の観点から、客観的にみて、業務上の必要性に基づく言動によるものについては、職場における育児休業等に関するハラスメントには該当しません。

*「制度等」とは、育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、育児のための所定労働時間の短縮措置、始業時刻変更等の措置、介護のための所定労働時間の短縮措置になります。

2 マタハラ・パタハラ・ケアハラの例
・解雇その他不利益な取扱い(育児・介護休業法に規定する解雇その他不利益な取扱い)を示唆するもの
労働者が、制度等の利用の申出等をしたい旨を上司に相談したこと、制度等の利用の申出等をしたこと又は制度等の利用をしたことにより、上司が当該労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いを示唆すること。

・制度等の利用の申出等または制度等の利用を阻害するもの
客観的にみて、言動を受けた労働者の制度等の申出等又は制度等の利用が阻害されるものが該当します。
(1)労働者が制度等の利用の申出等をしたい旨を上司に相談したところ、上司が労働者に対し、制度等の利用の申出等をしないよう言うこと
(2)労働者が制度等の利用の申出等をしたところ、上司が労働者に対し、申出等を取り下げるよう言うこと。
(3)労働者が制度等の利用の申出等をしたい旨を同僚に伝えたところ、同僚が当該労働者に対し、繰り返し、または継続的に制度等の利用の申出等をしないよう言うこと(労働者がその意に反することを当該上司または同僚に明示しているにもかかわらず、さらに言うことを含みます)
(4)労働者が制度等の利用の申出等をしたところ、同僚が当該労働者に対し、繰り返し又は継続的に申出等を撤回または取下げをするよう言うこと(労働者がその意に反することを当該同僚に明示しているにもかかわらず、さらに言うことを含みます)

・制度等の利用をしたことにより嫌がらせ等をするもの
客観的にみて、言動を受けた労働者の能力の発揮や継続就業に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じるようなものが該当します。

労働者が制度等の利用をしたことにより、上司または同僚が労働者に対し、繰り返し、または継続的に嫌がらせ等(嫌がらせ的な言動、業務に従事させないこと、または専ら雑務に従事させることをいいます)をすること(労働者がその意に反することを上司または同僚に明示しているにもかかわらず、さらに言うことを含みます)。

3 事業者が職場における育児休業等に
関する言動に起因する問題に関し雇用管理上講ずべき措置

事業者は、職場における育児休業等に関するハラスメントを防止するため、雇用管理上次の措置を講じる義務があります。
(1)事業者の方針等の明確化および周知・啓発
(2)相談(苦情を含みます)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
(3)マタハラ・パタハラ・ケアハラ(育児休業等ハラスメント)に係る事後の迅速かつ適切な対応
(4)マタハラ・パタハラ・ケアハラ(育児休業等ハラスメント)の原因や背景となる要因を解消するための措置
(5) (1)から(4)までの措置を講ずるに際しては、併せて次の措置を講じなければなりません。

・マタハラ・パタハラ・ケアハラ(育児休業等ハラスメント)に係る相談者・行為者等の情報は相談者・行為者等のプライバシーに属するものであることから、相談への対応またはマタハラ・パタハラ・ケアハラ(育児休業等ハラスメント)に係る事後の対応にあたっては、相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに、その旨を労働者に対して周知すること

・労働者がマタハラ・パタハラ・ケアハラ(育児休業等ハラスメント)に関し相談をしたこと、または事実関係の確認に協力したこと等を理由として、不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること


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