■ 現実を突きつけられたイングランド代表 |
◆ 敗戦の記憶
2007年11月21日 ウェンブリー・スタジアム。
試合開始前から雨が降り、ピッチはぬかるんだ状態だった。
イングランド代表は、引き分け以上の結果でユーロ2008の本大会への出場権を獲得することになっていた。
一方、クロアチア代表は、すでに本大会への1位出場を確定しておりこの試合の注目は、イングランドがクロアチアに勝利して2位通過ではあるが本大会へ出場することであった。
しかし、ホームのイングランドは、前半を0-2と折り返した。ほぼ絶望的な状況から後半11分、20分とゴールを決め2-2とした。
ドイツW杯後、エリクソンの長期政権から代表チームを引き継いだスティーブ・マクラーレンは、この状況で具体的な策を示すことが出来ず、そして、リオ・ファーディナント、ジョン・テリーというCBを欠いたチームは、ビリッチ監督率いる新生クロアチアの攻撃を封じきれず、2-3と敗れてしまったのである。
これにより、イングランド代表は1984年大会以来のユーロ本大会出場を逃した。
翌日、イングランドサッカー協会(FA)は、マクラーレンを解任。
その後、モウリーニョなど様々な後任者の名前が挙がったが、FAが決めたのは、06/07シーズンのリーガ・エパニョーラを就任1年目で優勝へと導いたファビオ・カペッロだった。
■ リアリスト・カペッロが与える影響 |
◆ カペッロの実績
イングランド代表がW杯で優勝したのは、1966年イングランド大会。つまり、自国開催での優勝。
それ以降は、1990年イタリア大会での4位という形式上の順位を獲得しただけで、ベスト8の壁を越えられないでいる。
ちなみに、ユーロでの優勝はなく、最高でベスト4である。つまり、決勝の舞台に立ったことがないのである。
前述のクロアチアとの一戦に関して、今売りのNumber696 内でカペッロは、次のように語っている。
特に後半は、技術とフィジカルの両面でクロアチアを圧倒していた。が、だからこそと言うべきか、彼らは試合へのアプローチで愚か過ぎるほどのミスを犯してしまった。 引き分けでも本戦出場という一戦、その条件は半ば容易にクリアできる、と。言うまでもなく、それは過信だった。このような思考が僅かでも脳裏をよぎれば勝てる試合さえ勝てるものではない。むしろ、時間の経過と共に亀裂を拡大させる最大の原因となる。 (中略) 無論、私の指揮下ではアプローチのミスなど絶対に許されない。たとえ親善試合であっても私のチームは勝つためだけにフィールドへ向かう。 引用元:Number696 P43 より |
カペッロ監督のこれまでの実績は、特に語る必要もないと思いますが・・・
90年代前半のACミラン(アリーゴ・サッキ後)
2000年以降は、ASローマ。
その他、ユベントス、レアル・マドリー。
各リーグでの優勝7回。(ユベントス時代04/05、05/06の優勝はのちに剥奪されたので含まず)
チャンピオンズ・リーグでの優勝1回。準優勝2回。決勝T進出9回という、現役監督の中でもトップクラスの成績(結果)を残してきました。
そのカペッロのサッカーは、「勝利至上主義で面白くない」などと揶揄されることもありますが、上記の通り監督としてきちんと結果を残してきたという事実は、評価すべきだと思います。
◆ 痛みの伴う改革
個人的な印象としては、イングランド代表は、他の欧州の代表と比べるとサポーターの関心度は、高いように感じます。つまり、それだけプレッシャーは大きい。そして、その代表を司る協会(FA)は古い体制が色濃く残るような気がします。また、マスコミもうるさいと思います。これまでFAは自国の監督に固執してきました。しかし、W杯、ユーロでの結果が伴わなく、ついに、初の外国人監督エリクソンを選出しました。きっとこれは、FAにとっては大きな改革だったかもしれません。ところが、再び、2006年ドイツW杯後、マクラーレン監督を据えた・・・が、結果は上記の通り。どこぞの協会と似てないでしょうか?(苦笑)
そこに、再び外国人監督、リアリスト、ファビオ・カペッロが就任。
少なくともこれまでのカペッロ監督のこれまでの実績を考えれば、カペッロ監督を選んだFAはベストな人選をしたと言えます。但し、南アプリカまでのプロセスは、マスコミやサポーター、そして協会関係者が夢に描くようなものでないかもしれません。ある意味、イングランドにとっては、大きな痛みの伴う改革かもしれません。あるいは、カペッロのやり方に拒絶反応を起こす人もいることでしょう(苦笑)
カペッロの改革にイングランドが耐えられるか?!そして、イングランドがどんな変化をしていくか?
2010年W杯南アフリカ大会が終わるまでイングランド代表、そして、カペッロが、監督として最後のミッションに注目していきたいと思います。(カペッロは、自ら監督として最後の仕事と語っている)
明日、カペッロ体制でのイングランド代表の親善試合(スイス戦)が行われます。
早速、カペッロ色が出たようです・・・
6日にスイス代表との親善試合を控えたイングランド代表のファビオ・カペッロ監督は、事前合宿に集まった選手たちに代表チーム内におけるルールを発表。食事や服装に関する規則は、厳格なカペッロ政権の始まりを象徴するものといえそうだ。 英国紙『デイリー・メール』が伝えたところによると、イタリア人監督が打ち立てたルールは7項目。合宿所での過ごし方における規則が中心となっているようだ。 ・合宿所に友人や代理人などの訪問者を招いてはならない ・選手は全員同じテーブルで食事をとること ・食事の時間に遅れないこと ・短パンとスリッパで歩き回らないこと ・外出の際は代表のジャージを着用し、試合会場へはスーツで向かうこと ・公共の場で携帯電話を使用しないこと ・合宿所内でプレーステーションで遊ぶことを禁止する 上記7項目の規則を打ち立てたカペッロ監督について、中心選手のひとりであるDFリオ・ファーディナンドは、「世界最高レベルの監督」と高く評価。新たなルールの導入にも、「当然」と理解を示している。 「今回が初めての合宿だけど、何だか初めて学校に行くような気分だった。いいトレーニングが出来ているし、選手の評価も高いよ。世界最高レベルの監督の下でプレーするのは楽しい。出来る限り多くのことを吸収したいと思っている。監督が変わったから、取り組み方が変わるのは当然だと思うよ」 厳しい規則の導入に加え、選手を名字のみで呼ぶなど、早くも厳格な監督像を作りあげているカペッロ新監督。その手腕を初披露するスイス戦は大きな注目を集めることになりそうだ。 引用元:欧州通信 - カペッロ新監督が打ち立てた7つのルール |
■ イタリア代表監督にならない、なれない?理由は? |
Numberで気になる発言があったので、引用しておきます。
---- イングランド代表の跡、イタリア代表を率いる、などということは? 「ノー。理由を明かすわけにはいかないんだが、いずれにせよこの私がアズーリを率いることはない。(後略)」 引用元: 引用元:Number696 P42 より |
すげぇ~、気になりましたね。カペッロとイタリアサッカー協会の中で何があるんだろ?
そう言えば、マラドーナもアルゼンチンサッカー協会の内部の一部の権力者と仲が悪く、代表監督に俺はなれないと諦めにも似たような発言をしていた記憶があります。
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関連記事 : イングランドvsクロアチア 【EURO 2008予選】
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短パンとスリッパで歩き回らない事・・・なんか本当に学校みたいです。
明日のスイス戦では特に変化は見られないかもしれませんが、
W杯2010予選をこなしていく中、イングランドがどんな変化をしていくのか楽しみです!!
拒絶反応はどこからか必ず出そうですけど・・・。
こんばんは。
多分、イングランド人はかなり拒絶反応は出ると思います(苦笑)イタリア時代のカペッロのサッカーを知らないと特にそうなんじゃないかな?とも思います。あとは、非常に規律を求めるので、選手達がどう考えるか?反応するか?でしょうね。
こんばんは、はじめまして。
おっっと、イジーミス!!・・・(笑)
指摘どうもです、直しておきました。
ミラン時代はサッキがやり散らかしたおっさんチームでリーグ優勝させ、ローマでは待望の優勝と同時にトッティをワールドクラスのフォワードに育て上げてイタリアのW杯獲得に貢献しました。
最近では「アノ」レアルを優勝させても事実上の解任をする力技の持ち主 カペッロ。よっぽど友達が出来にくい性格なのでしょう。笑
イングランド代表にロマンを求めても無駄であることは歴任者が実証済ですから、彼のような人間が指揮をとってみるのもおもしろそうですね。
レッズファンとしてはジェラードとの関係や起用の仕方が気になるところです。
それとスティービーにも一言、「センター取るなら今しかないぞーー」
セードルフをセンターハーフ、ラウールを左ハーフ、右にカランブー、ボランチにレドンドのあの中盤はヤバカッタですよ。
あぁ、パヌッチがいましたねww
イタリア式サッカーを持ち込んで優勝してブーイングだもんなぁ。
こんばんは。
イングランドファンや協会は、ロマンも求めているでしょうけど、カペッロの前では無理でしょうね。でも、面白いチームになるような予感もあります。(そういう意味で、楽しみ・面白そう)
それと、イングランドの一つのポイントになっている
「ジェラードとランパードの共存」もカペッロであれば、案外解決させるかもしれませんね。
こんばんは。
さすがに、FAもカペッロがどんなスタイルのサッカーを嗜好するかはわかっての選出でしょうから、楽しみではあるんですよね。
イングランド、スペイン、この辺はとにかく「結果」さえ出せば何かしらのきっかけとして代表チームとして強くなると思うんですよね。結局、毎回期待されながらも結果が伴わないのは、そういう勝者のメンタリティみたいなのが必要なんでしょうね。