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ドログバに学ぶポストプレーと身体の使い方

2007年10月08日 | 考察集
■ UEFA Champions League 2007/2008  Group B
   バレンシア(1-2)チェルシー

    ・前半 9分 ビジャ  (バレンシア)
    ・前半21分 オウンゴール(モレッティ/バレンシア)
    ・後半26分 ドログバ(チェルシー)


■ FWドログバの能力を分析1 / ポストプレー

昨シーズンのチャンピオンズリーグ(以下、CL)での準々決勝で戦ったバレンシア、チェルシーが今シーズン、グループステージで同じ組み合わせとなりました。色々な意味で注目された試合だったと思うのですが、結果は、チェルシーが2-1とアウェイ(メスタージャ・スタジアム)で勝利しました。個人的には、非常に内容の濃い面白い試合だったと思いました。この試合、まず、バレンシアが前半9分に多少ラッキーとも言えるような感じで先制しました。その後、前半21分にチェルシーが同点にしました。そして、後半26分、チェルシーが逆転し試合を決めました。

今回、チェルシーの2ゴールに絡んだドログバのプレーはFWとしてはスーパープレーだと思いました。その一方で、バレンシアのDF陣の連携ミスによって生まれたゴールであったとも思うのです。今回は、チェルシーの2ゴールに絡んだドログバのプレーを細かく分析していきます。まずは次の動画をご覧下さい。


◆ ドログバのポストプレーとバレンシアのDFライン / 前半17分
実は、前半21分の(オウン)ゴールの伏線が、前半17分頃にありました。
アルビオルを手でブロックするドログバ DFラインの裏を指示するアルベルダ
ドログバのこの手を使ってブロックするプレーは秀逸。
この時のバレンシアのDFがアルベルダが後ろのスペースを指さして注意しています。
DFラインを上げるエルゲラ DFラインの裏を取ったドログバ
さらに、ミケルから裏のスペースへのパスが渡る瞬間にエルゲラが手を挙げてDFラインを上げさせています。このわずか数十秒の間に高度なDFラインでの連携が求められています。そして、それが噛み合わなかった一瞬のスキによりドログバがフィニッシュまで持っていきました。個人的には、この辺のバレンシアのDFラインが明らかにオフサイドを狙っているにも関わらず、ビシッと決まらない方が気になりましたし、結果それがチェルシーの同点ゴールへとなったと思うのです。(後述)

◆ ドログバのポストプレーとダイレクトパス / 前半21分-チェルシーの同点ゴール

結果は、(モレッティの)オウンゴールとなりましたが、モレッティが触っていなくともJ・コールがゴールを決めていたと思われるシーンです。ここでも、前述のドログバの「手(身体)の使い方の上手さ」が2箇所見られました。さらに、この一連のプレーの中で2つの異なるポストプレーをドログバがしています。

 1.ボールを受けるポジション(位置)とタイミング
ミケルからのパスを腰を落としてエッシェンへダイレクトでパス&ゴーで動き出しましたが、オフサイドラインを気にして動き直します。まずは、ここの動きについて解説します。

まず、この時、画面には映っていませんがマーカーのアルビオルが後ろからプレスに来るのが分かっていたと思うのです。アルビオルよりも早いタイミングでダイレクトで叩き反転して動き出します。この時、ドログバがしっかり腰を落としているということは、アルビオルがプレスに来ても耐えられる姿勢を作っていたということです。
次にドログバがボールにタッチした瞬間の位置です。アルビオルとの間に少し距離(スペース)がありますが、この受けるタイミング(ポイント)をドログバは、わざと早めていると思うのです。
 
通常、パスを受ける際には、受け手が出されたボールを待っているケースが多く、なかなか自分から“パスが出された後に”(パスが出された方向へ)迎えに行くことは難しいのです。(出し手のパススピードと受け手とのタイミングの関係など)

余談ですが、日本人選手でこのポストプレーが非常に上手いと思うのは、元日本代表の鈴木隆之です。彼のポストプレーの特徴は、自分の受けたい位置よりも1、2歩前に一度出てから、受けたい位置へ身体を引くようにして(ボールを呼び込むようにして)受けます。この際、背後からプレスを掛けて来たDFにドンッと身体をぶつけて、壁に寄りかかるような感じで受けます。この瞬間が彼が受けたい(トラップしたい)ポイントということになります。
また、背後にDFを背負った状態でパスが来るのを待ってトラップをすると、その瞬間を狙って、身体を密着させているDFが足を出してカットされてしまう危険性が高いのです。特に日本人の場合は、フィジカル面でどうしても海外の選手に劣るので、こういったボールを受けるポジション(位置)とタイミングが重要となります。


 2.身体と手を使ってブロック
次に、ドログバがボールを受けた2回目のポストプレーは、同じポストプレーでも1回目とはそのプレーの質(内容)が異なります。

まず、最初に“立っている状態で”アルビオルを身体(手)を使いブロックします。こうすることでステップが踏めるのでパスが出されから対応出来ます。
次に、トラップした瞬間に腰を落とすと背後でアルビオルが密着している状態ですので、アルビオルを後ろへ弾き飛ばす効果もあります。
 
但し、この場合、ある程度フィジカルの能力(ボディバランスや身体全体のパワーが)必要となります。逆にDFの方がフィジカルが強い場合は腰を落とせないスタンディングのままの状態となり、足元へ入った瞬間カットされる確率が高くなります。(押し相撲で負けるような感じ)
例えば、オーストラリア代表のマーク・ビドゥカなんかは自慢のフィジカルを生かしてDFを背負いスタンディングに近い状態でもボールが受けコントロールする事が出来ます。例えば、アジアカップでのタイ戦で見せた、このプレーなんかは、能力の差が大きく現れており分かり易いシーンだと思います。

もう一度、おさらいすると・・・
1回目のポストプレーは、『ボールを受けるポジション(位置)とタイミング』
2回目のポストプレーは、『身体と手を使ってブロック 』
同じポストプレーであっても、「柔と剛」とのような異なる質のプレーを行っています。この辺の能力がFWドログバの能力の高さを証明していると思う次第です。
次に、ポストプレーとは逆のDFラインの裏を取るドログバのプレーについて解説します。

■ FWドログバの能力を分析2 / DFラインの裏を取るプレー

◆ ドログバの裏へ抜けるタイミングとDFをブロックしながらのゴール / 後半26分
チェルシーが逆転した2点目のゴールは、(前記のポストプレーとは異なる)ドログバのFWとしての別の能力「DFラインの裏へ抜ける動きとDFをブロックしながらゴール」という、いわゆる純粋なFWに必要な能力を見せ付ける形となりました。ポイントは、大きく分けて2つ。


 1.裏を取る前のボールの受け方
 
上図内に解説を入れているので、簡単に。
ドログバが一瞬手を出して「ここへくれ!」という感じのアクションをしています。この時アルビオルの前に位置しています。次の瞬間、外へ膨らむようにしてJ・コールからのパスを足元ではなく、裏のスペースで受けるプレーに切り替えます。(ここは、初めから裏を狙っていたのかは、不明)
ちなみに、バレンシアの2CB(アルビオル、エルゲラ)のエルゲラのポジションがまずいですね。本来であれば、エルゲラは第2DFとしてカバーに回らなければなりません。ただ、このJ・コールからパスが通る前の(画面外の)2人のポジショニングが分からないのでなんとも言えない部分ですけど。つまり、初めは2人できちんとマークをしていたが、(J・コールが前を向いた瞬間)ドログバがマークを上手く外したのかもしれません。多分、そう考えるのが普通でしょう。なぜなら、エルゲラはベテランなので初歩的なミスはしないはずです。

 2.身体のぶつけ方とブロックしながらのゴール

裏のスペースへボールが通った後、追うアルビオルの前方に出たボールを並走して追うドログバが身体をぶつけて自分のシュートへ至る侵入ルートに変更しました。無理矢理、車線変更してきたようなものですね。
さらに、再び身体をぶつけてきたアルビオルをブロックしたままゴールを決めたのは、最高です。欧州でFWがプレーするにはこのブロックをしたままシュートを決められなければならないと思うのです。要は、どんな体勢であれ、ゴールを決めさえすればいいのですから。

個人的には、見た目の美しいゴールよりもこのドログバのゴールこそがスーパープレーだと思うのです・・・また、J・コールのトラップから右足のアウトにかけたスルーパスまでの判断の早さ、プレーの正確性は最高でした。

◆ 世界最高のFW、ドログバ
非常に好ゲームではあったので切り口があり過ぎてどうしようかな?と考えていましたので、とりあえず、ドログバのプレーを中心に今回は書きました。

スピードや高さ、オフザボールの動き、ポストプレーなどなど・・・FWの能力・個性として欧州リーグには様々なタイプのFWがいますが、ドログバはその中でも5本の指に入るレベルのFWのような気がします。
昨シーズン終了後にニュータイプ のプレーヤーに関する考察2という記事でドログバに関して書いていましたが、今回のバレンシア戦で見せたプレーこそが彼の良さであり、こういうFWとして基本的ないくつかのプレーを(オールラウンドで)確実にこなし、そしてゴールへを挙げている彼は本当に凄いと思いますし、クラウチと交換してもらいたいものです(笑)

また、CLの時以外リーガのチームを見ることがないのでちょっとバレンシア寄りでもう一つ書こうと思います。ポイントは大きく分けて3つ。

 1.バレンシアが使っていた[4-2-3-1]フォーメーションの特徴
 2.近年増加傾向の3トップ系(チェルシー)と[4-2-3-1]対決のポイント
 3.オシムJAPANでも使用頻度の多い[4-2-3-1]をバレンシアとの比較


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■ Liverpool - UEFA Champions League 07/08 Group A
第1節9月18(火)ポルト 1-1 リバプール[A]
第2節10月 3(火)リバプール 0-1 マルセイユ[H]
第3節10月24(水)ベシクタシュ[A]
第4節11月 6(火)ベシクタシュ[H]
第5節11月28(水)ポルト[H]
第6節12月11(火)マルセイユ[A]




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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (shimada)
2007-10-08 23:36:08
ドログバは身体能力だけなら、ナンバー1でしょうね。弱点も特に見当たりませんし、恐るべきFWです。
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Unknown (yunapure)
2007-10-09 00:57:17
日曜にあったプレミアの試合ではカルーが3トップの中央にいましたが、もしバレンシア戦もドログバじゃなくカルーだったらこの結果はなかったと思います。
昨シーズンと違ってバレンシアのCBがドログバをつぶしきれなかったところがチェルシーの得点にも結びつきました☆
いつもドログバの能力には驚かされますが、この試合の2点目はさすがですね!
間違ってもクラウチと交換なんてしません。笑
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Unknown (yohan)
2007-10-09 09:05:48
腰落としてお尻でDFを押すんですよね。エイって。

ヒデなんか上手かったです。ヒップがでかかったなぁ。

ウイイレではアンリのほうが能力値が高いですよww


スペインてボランチをDFにするの多いですね。
阿部ちゃんをDFにするみたいな感じ。
エルゲラ、イエロとか。
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Unknown (チャン)
2007-10-09 16:01:31
まあ当たり前なんですが、長身=ポストプレー向きとは一概には言えないのかなと思います。

平山やクラウチ、矢野なんかはあんまり巧くはない印象があります。
日本でポスト出来そうなのは前田、森島という印象があります。フランサはJの頂点にいると思いますが。
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コメントのお返事 (コージ)
2007-10-10 21:13:13
shimadaさん

ドログバは、ブラック・アフリカン特有の身体能力だけではなく、FWとしてのスキルが高いと思いますね。
私も昔は、アフリカの選手=身体能力って先入観がありましたけど、改めて分析してみると、テクニック・スキルが高いです。
それも、欧州のその辺の選手よりもトータルのバランスが良くかつ、フィジカルの能力が高いので、現状では、無敵だと思います。
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コメントのお返事 (コージ)
2007-10-10 21:14:41
ユウナさん

こんばんは。
クラウチにベナユン付けますけど、トレードしませんか?
なんなら右SBできる選手もう一人付けます(笑)
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コメントのお返事 (コージ)
2007-10-10 21:16:30
yohanさん

こんはんは。
ヒデは、お尻というか腰から大腿部に掛けて・・・
要は上体でタックルするよりは下半身を入れてボールを奪うってイメージですね。
日本人でもあんな方法であれば、海外の選手に負けないかもしれませんね。
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コメントのお返事 (コージ)
2007-10-10 21:19:35
チャンさん

こんばんは。
要は、ポストプレーで何をするか?って所を考えれば、
ビルドアップ時の“タメや起点”になることで、必ずしも高さは必要なかったりするのかな?とも思いますね。
勿論、グランダーのパスだけではなく、ハイボールも胸や頭を使ってキープして展開出来ればいいんでしょうけど、
スペースで受けて・叩いて、受けた選手が前を向いて
“タメや起点”となる方法もあるわけですし。

相手のDFラインと常に勝負しなくても、引いてきたり、サイドに開いたりと方法論次第なんだと思いますね。
ちなみに、リバプールだとカイトが一番上手いかな・・・
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Unknown (団長)
2007-10-13 08:27:30
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