原題: LAST NIGHT
監督: マッシー・ダジェディン
出演: キーラ・ナイトレイ 、サム・ワーシントン 、エヴァ・メンデス 、ギョーム・カネ
観賞劇場: 新宿ピカデリー
公式サイトはこちら。
キーラとサムということで気になっていた本作なんですが、とにかく上映館が少ないので、新宿デーにしていろいろはしごしてきました。 その中の1本。
タイトルからして、また顔ぶれからして、コメディ?と思い込んでいたのですがこれが全くの方向違い、思ったよりもぐっとシリアスな男と女のお話。
1組の夫婦と、彼らを取り囲む男女の動きを描いています。
以下多少ネタばれあります。
NY暮らし、結婚3年目で共働きで子どもがいない夫婦となると、結婚歴が浅く自由な土地柄なので、実質独身者とそう行動は変わらないような気がする。
2人ともそれなりに仕事も発展して順調で、お互いに自由に動ける環境で、NYのnightclubbingなども楽しめる環境だったりすると、そこにはどうしたって自分のパートナー以外の異性に目を向けてしまうこともあるかもしれない。 ただ、そこから本当に付き合って一線を越えてしまうのか、あるいは引き返すのか。 様々な結末がある以上どれがどうと定義はしないが、それぞれのカップルの向き合い方にも関係してくるのだろう。
ジョアンナがローラとのことでマイケルに嫉妬したのは他でもない、彼のことを好きだから。 そしてマイケルも否定するのはジョアンナが大事だから。
互いに離れたくないと思っているはずなのに、外から勝手に元恋人やら魅惑的な女性がやってきてしまったら、どうする・・・? というスタンスです。
確かに互いのことは大事なのは大前提だけど、それは頭では十分にわかってはいるけれど、その場の雰囲気だったり相手の魅力だったりに飲まれてしまうことは大いにありえる。 しかしながら飲まれて当然の場合でも、辛うじて理性が勝つこともある。
男は愛していなくてもそそられれば女性とのセックスはできる、しかし女性はいくら好きでもそれより他に優先するものがあればセックスはしない。男女の性愛に対しての違いを端的に表しているように感じました。
必死に抑えようとしても抗えなかったマイケルと、引き返したジョアンナと。
だけどもしジョアンナがマイケルの行動を知ってしまっていたら、果たして彼女はアレックスとは映画のような終わり方をしただろうか?
ただ、理性が勝てばそれでいいのだろうか。 それで元の2人の関係は盤石と言えるのだろうか。
身体は求めても心はなびかないのと、一線は越えなかったけど想いを引きずるのとでは、どちらがより相手にとってダメージが大きいことになるのだろうか。
ラストシーンの2人の表情がいい。 お互いを信じてもいるが、何気ない小物でさえも十分に相手に疑念を抱く要素となりうる・・・。 この微妙な心情を演じた2人。 最後のサムの目つきだけでも、恋愛について何時間でも語れそうな要素がいっぱいある。
監督のマッシー・ダジェディンはイラン系アメリカ人ということもあって、直接的な表現よりもこうした観念的な描き方がお好きなのかもしれないですね。
空気感でストーリーを持って行く方法は、この映画のクールな設定に合っています。
ただし残念なのは邦題なんですよねー。 これではやたら「恋」「愛」を入れたがるコメディかと勘違いしてしまうし、確かにその通りと言えばその通りなんだけどこれではあまりにもそのまんま。 原題そのままの「ラストナイト」でも良かったのではないだろうか。 もちろんこの場合は「最後の夜」じゃなくて「昨夜」の意味ですが。 これではいけなかったのかな。
せっかく心理面をNYの街に合わせて、上手く持ち運んでいる作品なので、そこがちょっともったいなかったですが、映画の中身としては十分考えさせられる余地があり、クールでまとまっていました。
★★★☆ 3.5/5点
>男女の性愛に対しての違いを端的に表している
です、です~~!
>身体は求めても心はなびかないのと、
>一線は越えなかったけど想いを引きずるのとでは、どちらがより相手にとってダメージが大きいことになるの
コレも、もろに男女の差が出る回答になるような気がします。
愛がなくても寝られるか?という投げかけに近いし、それに対する答えも、
心がなびいただけでも、愛はなくて一線を越えただけでも許せないのは男性に多いのではないかと(笑)
それにしても邦題、そりゃないよ~でしたね
映画の内容とはズレるけど、それは言えてるね(笑)
男は勝手です。 自分がやりたい放題なのに、女にはそれを許さない。いい気なもんだなーと思うよ~(笑)
>男は愛していなくてもそそられれば女性とのセックスはできる、しかし女性はいくら好きでもそれより他に優先するものがあればセックスはしない。
映画では女はファムファタールで男は奥手だったりする作品も溢れているけど、
現実は男は本能的で、女はロマンチストなものなんですよね。
男女の本質を突いていましたね。
と言われてるしこの映画の中ではそうでしたね。
しかしながらラストシーンの抱擁を見てると、そうとも言い切れないのかもしれません。
もしマイケルがジョアンナのその夜の行動を知ったら激しく動揺するだろうし、ジョアンナがマイケルの行動を知ったとしても、意外と乗りきってしまうのかも。
よく「男の恋は『名前を付けて保存』、女の恋は『上書き保存』」って言ってて、身体の関係に対して男女はわかりやすい面があるけど、メンタルは反対なのかも。
本作はまず邦題がヒドいですね。原タイトルの“Last Night/昨夜”ですが、80年代、デミ・ムーアの「きのうの夜は/About Last Night」なんて映画があったのを思い出しました。
愛はなくともsexはできますからね。まぁ後悔もしてましたが、ストーリーが盛り上がりにかけてつまらなかったですね。
>きのうの夜は
このくらいのセンスが欲しかった。
margot2005さんはこれは今一つだったんですね。
私は、観客がいろいろ考えさせられるのが面白いかなと。