傍流点景

余所見と隙間と偏りだらけの見聞禄です
(・・・今年も放置癖は治らないか?)

Manic Street Preachers@渋谷AX(2/10),Zepp tokyo(2/13)

2005-02-14 | 音楽
 目下、現役活動中の我が最愛バンド in UK代表・Manic Street Preachers。
92年の初来日から今回まで、来日は必ず観続けてきて今回で6回目になる。いつのまにやら干支一回り分、彼らを追いかけてきたらしい。やたら気が多くて飽きっぽい私にとって、このバンドとUS代表のPearl Jamだけは別格で“同期”の思いで追いかけつづけている人たちである。(ついでにManicsのメンバーは本当に同世代だし;; 年季入ったオールド・ファンですよ、ええ!)
 そんなわけで、思い入れだけでお腹一杯な文章が続くことを警告しておこう(笑)。
 東京2夜分のライヴを終えて、とりあえず一言。
 デビュー当時、さんざん場違いでアナクロな勘違い反体制パンク・バンド(但し音楽的には超ポップで、一聴する分には「普通のロック」という感じだろう)と呼ばれていた彼らは、今やすっかり、見事なまでに大人のバンドに成長していた。
 ただしそれは、耳に心地よいだけの当り障りのない音楽になった、という意味では、断じてない。

 Manicsの当初のテーマは、極めてポリティカルな「彼らを取り巻く世界(欧米資本主義中心の社会)への怒り」だった。(今でこそポリティカルな主張を語るロック・バンドは珍しくないが、彼らのデビューの91年当時、そんなバンドはほぼ皆無だったのだ。彼らは「遅れてる」と嘲笑されたが、今となっては「早過ぎた」とも言えるのではないだろうか)
 今まで生き延びてきた今の彼らにあるのは、揺ぎない「世界(政治だけではなく)への永続的な嘆き/透徹したメランコリア、その中で生きていく」という意志の強さだ。そして、ファンに対してはその共感や連帯を押し付けることなく、撥ね付けることもなく全て受け入れる。そうした意味での「大人」であり「成長」である。

 幼馴染4人から始まったManicsは、95年実質的リーダーであったメンバーの失踪(現在に至るまで生死不明)という悲劇を抱えて尚活動を続け、翌年のアルバムでよもやの№1バンドの座を勝ち取る。
 その後出身地のウェールズのみならず、UKの国民的バンドとして成功をおさめ、常に葛藤を抱えて歩んできたこの10年あまり___

 それを思うと、名実ともに風格さえ備えたステージ上の彼らの姿を観た瞬間、涙腺緩んでしまう自分がいた。まったく寄る年波には勝てないなあ(笑)……といっても、そんなに久しぶりではないんですけども。'03年にも来てるし(笑)。正直、ここ何年かは結構頻繁に来日してくれてるので、ある意味ありがたみは薄いのだが(>酷いぞ)それでもやはり、3人となったManicsの来日ライヴを観るたびに、格別の感慨に胸が詰まる。(演奏能力の目覚しい成長にも隔世の感があるけども、それはまた別の話)

 今回は去年末に出した新譜『Lifeblood』に伴うワールドツアーの一環であり、ライヴはこのアルバムの1曲目〈1985〉で幕を開けた。「1985年。ベッドで横たわる俺の手に、残されたものなんか、すっかり無くなっていた」というフレーズで始まるこの曲を聴くと、彼らの1985年がそのまま自分の1985年に変わっていく。もうそれだけで感無量になり、目頭が熱くなる。間違いなく、国は違えど時代を共有していた世代にしか伝わらない想い。
 しかし感傷に浸る間もなく、歴代名曲の連打。その曲ごとに思い返されるものに、我を忘れて突き動かされつつ、時に大声を張り上げて共に唄い、アッという間に時間は過ぎてしまう。外は真冬というのに__Manicsの日本公演は大抵そうだが__体は夏以上の熱で汗だくになって、ライヴが終わる。
 終わってしまうとしばらく虚脱状態になるのだが、これで今年も春までは暖かい気持ちで過ごせる気になる。そして改めて誓うのだ。世界はいまだに酷くて悪くなる一方で明るい未来なんて当分無理なんだろうけど、それでも生きていこうじゃないか。彼らが続く限り、私も付いて行こうじゃないか、と。

 近年の名曲群の中でも、個人的に愛している〈The Masses Against The Classes〉という曲がある。
この唄のフレーズで、とりわけ日本のファンの心を代弁しているような(笑)以下の一節を捧げて、〆の言葉に代えよう。
___俺たちは冬を愛している。なぜなら冬こそが、俺たちをより近く結びつけてくれるから。


Manic Street Preachers in Zepp Tokyo / Feb.13

01. 1985
02. Faster
03. If You Tolerate This Your Children Will Be Next
04. No Surface All Feeling
05. Empty Souls
06. You Love Us
07. Yes
08. The Love Of Richard Nixon
09. Kevin Carter
10. La Tristesse Durera
11. Die In The Summertime
12. Solitude Sometimes Is
13. The Masses Against The Classes
14. Archives Of Pain (Acoustic ver. 1chorus)
15. Small Black Flowers That Grow In The Sky (Acoustic ver.)
16. You Stole The Sun From My Heart
17. I Like To Fall Asleep
18. ~R.P.McMurphy ~Sweet Child O'Mine(intro)~
  Motown Junk
19. Cardiff Afterlife
20. Motorcycle Emptinss
21. A Design For Life

Manic Street Preachers_official site