傍流点景

余所見と隙間と偏りだらけの見聞禄です
(・・・今年も放置癖は治らないか?)

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弾はまだ残っとるがよう@W杯

2006-06-29 | 戯言・四方山話・メモ
 『仁義なき戦い』名台詞風にいくなら、そのまんまである。
 We are not firing on all cylinders yet -----ジョン・テリーさん@イングランド代表が、2006W杯決勝トーナメント第1戦・対エクアドル後に語った言葉。この台詞だけを取るなら、彼のオーセンティックかつ地味なハンサムぶりと相俟って「きゃあーーカッコイイぃーッ!ハードボイルドー!」などと嬌声をあげて、おひねりでも飛ばしたい気分なのだ、が。
 現在までのイングランドの勝ち進み方を観せられてる身としては「ったりめぇだろ、このボケがッ!(怒)」と本気でツッコミたくなるというものである。
 というか、アンタ方は弾倉尽きるほどの戦いぶりを見せよう、なんて気はサラサラないんじゃないのか? 慎重に時を狙って確実な弾だけ撃ち、たとえ危機一髪を迎えてもなんとかケチくさく行けるとこまで逃げ切ることしか考えてないんじゃないのか? と、そんな風に思ってしまう、これまでのイングランドの試合。
 試合の内容がどうだろうとも、勝ちゃいいじゃんか!勝ったヤツが強いんじゃ!というのは、確かに現実的だし正しい。だがしかし。こんな試合の仕方でいいのかよ、君達!と、大半のイングランド・サポは思ってるに違いないのだ。
 だいたい蹴球W杯においてイングランドを応援するなんて、傍流好きを公言する私が珍しく王道に行ったら、この有様だよ…うう。それともタルい展開の試合を延々と続けて「うわぁ、もうダメかも…」とか「ヤバイ、まさかこのまま点取れなくて終わり?」とか、ファンをハラハラさせるところがヤツラの魅力なのか?!術中にハマってるのか私。(そんなのやだー;;)

 ----さて、ようやく決勝トーナメント第一戦が終わり、8強まで出揃いました。まだ私の中のW杯ウィルスも沈静化しておりません。ほぼ毎日テレビ観戦の日々がようやく落ち着いたので、またしてもニワカが語ります。テーマは勿論、イングランド代表についてですよ!

 まあね、イングランドの代表選手たちも、ここまで勝ち進んでるってのに本国メディアのみならずファンたちからも、上記よりも更にハードな批評・感想を投げかけられ心中さぞや理不尽也!と憤慨しているかもしれないわ。それは気の毒、とも思うのよ。
 でもさー、ソコが“蹴球の母国”のハードルの高さであり、実際つまんない試合ばかりしてるんだから、仕方ないんじゃないの? というか、国内リーグ@プレミアは攻め合う試合が基本で凄く面白いのに、ナショナル・チームだと固く引いて守り、困ったときは主将様@べっきゃむの必殺念力キック(だから、あまり使うと危険。対エクアドル戦では吐いてたみたいだし >それは熱中症だったらしいが^^;;)で勝ち越すパターンばかりって、どういうことかと。イングランドの人たちには、そういう不満が溜まってるんじゃないか、と察しますがいかがでしょう。
 もちろん、今回の彼らには不運もついて回っている。8強までは来れたものの、対スウェーデン戦序盤においてゴール・ハンターであるM.オーウェンを自爆で失い(コレはマジでキツい展開になったと胃が痛くなったですよ…)、彼に替わる待望復活のルー坊@ウェイン・ルーニーとて故障あがりの不安がある。くらうち君は元々オーウェンとのツートップ起用で、ルー坊とはイマイチ合わないみたいだし、弾使い切るほど全力で戦いたくても、弾そのものの蓄えが僅かなのだから倹約も止む無しともいえる。砦の番人(GK)がビミョーに頼りないところは弾除け&用心棒として定評あるリオとテリーが凌いじゃいるが(でも、たまーに有り得ないようなミスをしますね、テリーさん…)、要であり現イングランドが誇っているらしい“黄金の中盤”が、うまく噛みあってないように思える。(SBのA.コール、O.ハーグリーヴスは頑張ってるほうだけど…)
 BBC SPORTやFIFAのサイト、その他いろいろ覗くブログ等でもイングランド・サポは判で押したように「お前らこんなもんじゃないだろ! そろそろ本気を見せてくれー!」と叱咤激励&懇願の一本調子を繰り返してるけど、コワいのは彼らが“本気で”守りに徹して勝つ試合を続けるつもりなのでは?ということ。
 でもソレって、全然“三頭の獅子(イングランド代表の象徴)”じゃないよね。このままじゃ獅子の名がすたるぜ!

 来月初日の準々決勝では、ポルトガルと対戦する。これまでのイングランドの試合のやり方を観ていたら到底勝てる気がしないけど、もしかすると相手に先制されたら本気になるのかもしれない…とフと思ってしまう。ドローで終わったスウェーデン戦では先制して追いつかれてしまったけど、これはまあ、ヴァイキングの呪い(笑>38年間、スウェーデンに勝てなかった記録更新したそうだ)が効いてしまったから不可抗力ってコトでね。逆転勝ち目指して奮起してくれることを祈り、私はまずポルトガルに先制点上げてくれることを望みます!(えぇーーッ…)そして、カンフル剤として是非スタメンで闘志&働く気満々なアーロン・レノンくん@19歳を使ってくれーー!!

**********

 ところで、イングランドの点取り小僧ことルー坊、凶暴なキューピーぶりが光りますね(笑)。いや、怪獣の赤ん坊かなあ…ずんぐりむっくり体型の上に、幼児がそのまま大きくなったような顔が乗っかってて、笑っている顔はそりゃかわいいのだけど、キレて吼えてる顔観てたら何かに変身するんじゃないか、と思いましたよ…。まあ、対スウェーデン戦の後半にベンチに下げられて、スパイク投げつけ&ぶんムクレてるのはご愛嬌でしたが。(隣で心配そうなギャリー・ネヴィル&リオのショットが印象的でした) 現在のところ、シュートは打っても激しいマークでなかなかゴールは出来ないけど、体に似合わぬ敏捷で軽やかな球捌きとディフェンスひきづり力はホント凄い、ということは改めてよ~くわかりました。対戦相手にとっては正に“悪魔のキューピー”かもね、ってこれまた『仁義なき戦い』からでした(もういいよ…)。

 最後のオマケに、そんなルー坊も普段はカノジョの尻に敷かれる朴訥な田舎青年なのね、という素顔が垣間見れるリオの代表チームメイトを狙え!なドッキリカメラ(笑)を貼っておこうっと。ルー坊のほか、主将様やギャリー・ネヴィル兄さん、ぴーたー・くらうち君、チェルシー所属のショーン・ライト・フィリップス(仕掛け人の片棒担ぐのはジョン・テリー)という顔触れ。なかなか和めてよろしいです。何より、デカい身体に似合わぬリオ・ファーディナンドさん@27歳のはしゃぎっぷりがカワイイわよ~~~。

W杯ウィルス脳内蔓延中につき

2006-06-20 | 戯言・四方山話・メモ
 イングランド応援仕様ということで、鈴なり聖ジョージ旗をご覧くださいませ~…って、なんてこったい。でも、こーなることはわかっていたような気もする。本日の時点で、映画・音楽・読書・労働のすべてに優先している2006年W杯観戦 in お茶の間ですっ! そして、イングランド初戦である対パラグアイをうっかり観忘れたにも関わらず、ちゃっかりイングランド熱烈応援態勢に入ってます!

 ただし、蹴球の魅力に始めて取り付かれた4年前と違うのは、当時のアイルランドのように一発で惚れこんだチーム、ハートを撃ちぬかれるような素晴らしい試合をまだ観ていないこと。それはちょっと残念。
 だもんで、現状の“イングランド応援”というのは、単にミーハー視点及び英プレミアリーグにそれなりに愛着があるから、という唯それだけだったりしますが。そんなマイ・ミーハー対象は、前回から引き続き選抜されたリオ・ファーディナンド(マンU所属)、そして彼とCBコンビを組むジョン・テリー(チェルシー所属)の2人!
 もう1週間近く前になりますが、イングランド2戦目対トリニダード・トバゴ観ましたか皆さん。ゲーム序盤から「なんじゃこりゃあ?」というほどにタラタラした展開、そりゃ母国で「どこが40年ぶりに優勝狙えるってのさ」とクサされても抗弁しよーがないだろ、と私のような4年に1度のニワカ・ファンにさえ思わされるような、正にストレスフルな約80分。逆に言えば、本当にトリニダード・トバゴの皆さんの粘りっぷり、自陣死守と攻撃潰し力が凄かったわけです。このカリブの小国は、旧宗主国相手に素晴らしい闘いぶりだった。だから、こりゃヘタするとスコアレス・ドローで終わるんじゃないか…とドンヨリし始めた残り10分。「使えねーじゃん、このロボット!」と苛々させられたクラウチ君が主将様@べっきゃむ先生からのお膳立てでようやくゴール! 続けてジェラードの突貫シュートが決まり、ようやく勝ち抜けだーっ!とホッと胸を撫で下ろした聖ジョージ旗イングランド・サポーターの皆さまであったのではないでしょうか。ああ、何はともあれ勝てて良かった。
 でもでも、このゲームで一番素晴らしかった瞬間は、前半残り10分かというところ(毎度ギリギリに見せ場なイングの皆さん)あわやゴールに入りかけた球を足一本でクリアした漢・テリーですよ! もう、このシーンだけで惚れたよ~。テリーの前で身体張ってトリトバ選手を止めたリオも頑張ってたけども。ジョン・テリー、DFに相応しい堂々たるガタイ、顔もよくみりゃ英国の武骨系男前でタイプだし(笑>コレ大事)とにかく! 私はこのイングランドの用心棒2人の活躍を、イイ仕事ぶりをもっと観たいがために応援しようと決心したね! 

 さてグループBの突破は決定とはいえ、天下分け目は今深夜、というか日本時間だと本日早朝3:45キックオフの対スウェーデン戦。その勝敗如何では早くも宿敵・独逸と決戦かもしれず、それはドキドキだし、決勝までイケる!なんて楽観はしてません。できません。だって、いくら用心棒が頼りになっても、肝心の斬込み隊&鉄砲玉に不安定感濃厚で……いや。オーウェンがかつての“ワンダー”センスを取戻し、点取り小僧ルーニーが完全復活したら、あとは困ったときの主将様がなんとかしてくれる、かもしれない(弱気)。ともあれ、せめてあと2試合ぐらいは勝ち進んで欲しいものです。Come on Three LIONS!! ちゅーことで。

 その他の代表チームの観戦覚書などを以下、テキトーに。

○メキシコ×アンゴラ: メキシコ対イラン戦では素晴らしかったのに、アンゴラの執拗さに引きづられていいとこなし。うーん、次の対ポルト戦に期待します。
○オランダ×コートジボワール: これは審判がちょっと酷かった気が。ヘンなイエロー出し過ぎ、笛吹きすぎ! でもコートジボワールが相当頑張ってました。身体能力はスゴイ! 獅子奮迅の活躍・ドログバ、いい顔してました。負けちゃったけど。このグループにさえ入らなければもっと上に行けたかもしれないのにね。和蘭は、ようやく馬ニステルローイがゴール決められて良かったねー、みたいな。
○ポルトガル×イラン: イランよくやった! ディフェンスも良かった。しかーし、決定力が無いってところが致命傷に…。ところでイラン選手は男前が多いね(マイ基準)。お国の頭がいろいろと物議を醸している中、アジア勢として強豪相手に善戦を繰り広げていると、素直に応援したくなりますよ、うん。(リーグ敗退決定だけどさ)
○チェコ×ガーナ: びっくり。チェコ、対米戦とは別のチームのようだった。目の覚めるように華麗なパスが、回らない。ガーナはチェコ以上の馬力とスピードで押しまくりで、とうとう押し切り2-0の文句なし! いやあ~初出場の初勝利、おめでとう! アフリカ・サッカーはやはり観てて面白いのは確かだなー。黒い星ガーナ、もしかするともしかするか?  対して初戦の勢いは夢か幻か、と打ちひしがれるチェコの皆さん…That's 蹴球なのね。 
○イタリア×アメリカ: 別人チームといえば、米軍(…)も同じく。イタリアも前回'02年に見たときとは別モノになってて、なかなか拮抗した攻撃的なゲーム展開で始まった---と思ったら。黄紙赤紙乱れ飛ぶ、流血(苦笑)泥仕合に。グループEは大会随一の大混戦模様なんですねー。
○日本×クロアチア: もーーコワいよ宮本!顔が!と始まる前からガチガチに強張った表情の日本代表。この時点で既に悲壮感が漂っちゃうのってどうよ。力み過ぎ・前のめり過ぎな日本に対して、少し戸惑ってたのか暑苦しかったのか(苦笑)プレスもヒキ気味&バテ気味だったクロアチア。しかしスリリングなミスも織り交ぜ、魅せるヨシカツ神!のショーとしては面白かったです。 

★ ところで、今回芝が滑りやすいって言われてるらしいけど…転んだことをアピールしすぎというか、痛がる人たちが多過ぎると思うのですが(特にラテンな国の人たち。西班牙は除く)違いますか。どうもプレミアの試合をある程度見慣れてしまうと、ハード・タックルぐらいでバタバタ倒れるのは如何なモノか?と思っちゃうのよね。見苦しいし、ゲームの流れを止めちゃうし。倒されても起き上がりダルマのように立ち上がっていこうぜ!(タックル交わすor簡単に壊されないよう鍛える練習って、するもんじゃないのかなー?と素朴な疑問) 

★ ココで振り返ってみたら、私ったらグループAとGの試合を1つも観てなかったらしい。あららん。ホスト国である独逸だけど、今回はカーンもいなけりゃツィーゲもヤンカーもいなくて寂しい。そしてバラックを見るといつもマット・デイモンを思い出す私なのであった…(前から思ってたけど、似てるよね)。

★ 最後にちょっと面白かったニュース → 『「ゲイ人気」ユングベリに強敵!?ゲイ雑誌が選んだベストイレブン』
 オランダのゲイ雑誌選出だそうですが、そんなに人気だったのかリュングベリ。でもなんかこー、別に女子選出でもあまり変動しなさそーな人選ですね~。みんな、ちょい若めなかわいこちゃんタイプが好きなんだなあ……。

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『嫌われ松子の一生』('06/日本)

2006-06-14 | 映画【劇場公開】
 すべての愚かしい人々のために、すべてのはぐれ者たちのために。
 くだらない、つまらない、馬鹿馬鹿しくも切ない本質をこれ見よがしにゴテゴテと飾り立て、さあ見世物小屋へいらっしゃい、ガラクタでデタラメだけど素晴らしいでしょ!と魅せるのがつまり、私が愛する“キャンプ”感の乱暴な要約であるけども、現在の日本人映画監督で中島哲也ほどポップかつ、この“キャンプ”な映像センスを持った人はいないと思う。それはJRA等のCMや、いくつかのテレビ作品でも証明されているが、前作『下妻物語』で強く確信したものである。またリズム感も絶妙なので、それゆえに彼の作品は笑い出さずにはいられないパワフルさを持っているのだけども、過剰なまでにゴージャスな絵作りに包まれた作品の根底は実は、非常に正統派だったりもする。
 そして『嫌われ松子の一生』は、恐らくは現時点での中島監督の集大成的作品である。

 非現実的なファンシー画面で踊るメリー・ゴーランドのメロディの如く軽快に辿る、松子@中谷美紀という女の一生。それは実のところ、メリー・ゴーランドというよりは、下降一直線のジェットコースターである。病弱な妹ばかりにかまう父親に愛されたい一身の心は届かず、父の希望する教師の職を得るもあるキッカケで失職。家を出て恋をして“幸せ”を夢見ても、つかむ男は悉くサイテー最悪の野郎どもばかり。いつしか風俗嬢から殺人犯へ、そして服役後に再び運命の恋を誓った相手は極道者、やがてその男ともすれ違ってしまい、引きこもる日々。しかし古い友人の言葉がキッカケで再起しようというそのとき、彼女は通りすがりの子供たちによって呆気なく殺されてしまう---世間の良識ある人々から観れば、それは“ファザコン乙女の哀れな末路”と映るものかもしれない。
 でも、それがどうしたっていうの?
 例によって原作を読んでいない私ではあるが、たぶん原作マンマをやったらVシネマだろう。いや、決してVシネマを低く見ている訳ではないし、腕のいい監督に当たれば傑作の部類に入るとかもしれない。或いは阪本順治監督の『顔』に連なる作品と評されるか。しかしそうした、ある意味で手垢にまみれた感のある「女の一生」が、中島監督の手にかかると花と音と毒にまみれたキャンプなミュージカル風味の映画に仕上がってしまうのである! このインパクトは凄い。もはや、この領域では国内無敵と言えるのではなかろうか。

 ここで、松子の人生について、とか語り始めるのはあまり意味がない気がする。
 ただ私が個人的に思ったのは、本作で描かれている最も重要なテーマというのは冒頭に既に提示されている、ということだ。語り部である川尻笙@瑛太、夢に挫折し虚しい日々をだらだらと送る青年。ヒロインである松子のお骨を持って現れる笙の父・紀夫@香川照之が言い捨てる「(姉の松子は)つまらん一生だった」の言葉。笙にはその言葉がひっかかった。実弟に「つまらん」などと言われてしまう伯母、その一生は本当に「つまらなかった」のか?
 つまり本作が描くのは、彼女に深く関わり愛した人たちの思い出と、肉親たちによって語られる“松子の一生の再構築”だ。(松子は結局、家族には愛されていたという物語でもある。弟・紀夫でさえ、彼女を気遣っていたというのは終盤に分かる)
 この世の中に生きる全ての人間の一生に「つまらない」などと切り捨てられるものはない。松子のことを、共依存体質の愚かしい馬鹿女と嘲笑うことは簡単だろう。あるいは、不幸ばかりの負け続け、悲し過ぎる人生だと憐れむことも。だが本当に彼女を、そんな高みから笑い、憐れむことが出来るのか? 
-----毒々しいまでに華やかな外装の本作が問いかけてくるのは、そういうことだと思う。
(笙の彼女の台詞「大切なのはどれだけ他人に与えられたか、ってこと」とか、松子の最後の恋人となる龍洋一が語る「神の愛」云々というのはあくまで彼らの思い込みであって本作のテーマではないと私は思うが、それをどう受け取るかも人それぞれなですからね…。ラストシーンも松子というより、笙の願望かもしれない。しかし、だからこそ本作には“物語”としての強度があるとも言える)

 私が本作を観て一番に思い出したのは『ヘドウィグ&アングリー・インチ』だったりする。ミュージカル風“はぐれ者の生き様”映画である、という以外の共通点はないのだが、受け取る感触はかなり近い。あるいは、『トミー』や『マーラー』を撮っていた頃のケン・ラッセルを21世紀モードにビルドアップしたかのような。ってのは、ちと言い過ぎ?とも思うのだが(^^;;)とにかく、この物語にしてこの映画表現は見事の一言。
 バカバカしくお笑いテイストな演出になるほどに、ハッピーな曲調が画面から溢れるたびに、中味のブラックさや悲哀が際立つという王道ぶりが、随所でハマリまくりなのも流石である。松子の経歴の中でもガチで撮ったらヘヴィになりそうなソープ嬢時代&女囚時代をMV仕立てで一気に語り、印象付けるのもウマ過ぎ!

 演出に負けない豪勢にして多彩、適材適所なキャスティングは目にも楽しいことこの上なし。素材選びあっての腕の見せ所でもあろうから、当然粒揃いの出演陣なのだけど印象的だったのはやはり女優。特に松子の女囚時代からの親友・沢村社長@黒沢あすかのAV姐御が似合い過ぎで惚れそう(笑)。啖呵の威勢のよさ、着物の似合いぶりもさることながら、松子とのシーンはちょっと泣ける(下妻~と同じく、中島監督はシスターフッドの描写が素晴らしい)。またソウルフルな歌姫であるボニー・ピンクが演じる中洲の№1ソープ嬢・綾乃の、キュートに蓮っ葉な口ぶりと流し目がイイ~(歌も勿論素晴らしいです!)。意外に良かったなあ、と思ったのが、松子のかつての教え子にして最後の恋人となった龍洋一@伊勢谷友介のチンピラぶりだね。相変わらず滑舌が悪いのは気になったものの、雰囲気的には激ハマり。ま、オイしい役振ってもらったな~、とも思うが。松子に殺されるヒモの小野寺@武田真治の救い難い安さも笑えたし、スカパラ谷中氏のトルコ店ジャーマネ役は胡散臭~い感じがピッタリで良かったですね(笑)。
 そして、肝心のヒロイン松子@中谷美紀。私は本当にこの人が苦手だったんだけど、素材がダメでも料理の腕次第で映画はオッケーになる訳でね。結果的には彼女で良かったんではないか、と納得は出来た。彼女が演じるということでプラスティック感が強調される=どーしよーもないヨゴレなのに、ヨゴレきらないで済む、それが娯楽映画的には良いことかな、と思ったから。ただし『下妻物語』みたいに「このコじゃないとダメっ!」というハマリ方ではなかったけど…じゃあ誰ならいいの、と言われても困るからなー^^;; ともあれ、彼女の熱演ぶりは私も素直に認めたい。画像に使った川原越しのカットは、ベタとはいえ不覚にも涙が滲んでしまったシーンでもあった。
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四年に一度の世界蹴球博覧会

2006-06-13 | 戯言・四方山話・メモ
 という訳で先週から始まりましたねえ、ワールドカップ2006。フットボール・ネタな映画感想でも告白した通り、ワタクシそもそも蹴球に興味を持ったこと自体が4年前のW杯という超ニワカなド素人な訳ですが、一応観てますよ、ぼちぼちと。前回私の魂を奪ったアイルランドや、ちょっとハマったトルコは今回はナシということで、とりあえずはイングランド応援かなあ…と思いつつも、2002年のスペイン×アイルランド戦のように、ズブの素人でさえのめり込み熱くならざるを得なかった素晴らしい試合、愛さずにおられないチームが現れることを願っております。

 で、今のところ私が掴まれたのは、まずはイラン×メキシコ戦!! 結構ナガラに観てたにも関わらず、気づいたら見入っておりました。す、スゴイぞメキシコ! 動きの速さと攻撃に時間忘れてしまう感じ。食い下がるイランも頑張ってた。が、後半は流石にバテ気味だったけど。というより、後半でもまったく衰えを見せないメキシコ選手のガッツィーなプレイがスゴ過ぎでしたねえ。点もバコバコ入れてたし。とりあえず、メキシコの試合は応援したいですわ。
 前半しか観られなかったけど、チェコ×アメリカ戦も面白かったな~。とにかくチェコが格好良い。アメリカも悪くなかったけど、チェコが何枚も上手って感じだった。三十路突入選手が多いチェコらしいけど、イイ仕事の出来る方々ばかりで観ながら自然に胸がトキメキましたよ(笑>スーパー・シュートを決めたロシツキーは25歳と若いが)。という訳で、チェコも要チェックです!
 あと、アンゴラ×ポルトガルもなかなか見応えのある試合だった。アンゴラは点は取れなかったけど、旧宗主国にして強豪であるポルに対して相当善戦してたように思います。今回が初出場にして最後となる国セルビア・モンテネグロと和蘭の試合も一応観ました。セルモンはやはり気になる…が。この試合はイマイチだったかな?
 イングランド×パラグアイはうっかり観忘れてしまいましたが、なんか1点守ることに徹したつまんない試合だったよーで^^;; 次の対トリニダード・ドバコ戦は、しっかりチェックしておこう、と思います。(でもなー、好きな選手がリオしかいないのよね…)
 
 かように、あまり力は入ってない相変わらずユルーい気持ちで観ていながら、観始めるといろいろと楽しくなってしまい、映画感想文がまた遅れてるぞー!な有様…。状況に流されやすい私。嗚呼。
 でもね、こーやって各国の人々の蹴球を巡る熱き戦いをそれぞれに味わえるというのもまた、ワールドカップならでは。特に私の場合「コレッ!」と決めてる国もないから、イイ試合を見せてくれるなら無節操に応援できちゃうしね~。しばらくは、ニワカ・ファン復活でそれなりに張り合いのある日々を送れるのは嬉しいのでした。

えっ?日本代表には一言も触れないのかって?…そんなん聞かないでください。だってー、観てて面白いと思えない試合しかしないんだもん;; 対豪州戦でも、同点された時点で笑いました。もう日本はダメだーって思ったから。非国民と呼びたきゃ呼んでくれて構わなくてよ。こーゆークサレがね、少しはいたほうが健全ですよ、ええ!(>開き直り) 対クロアチア戦でも、私は敵国応援しそーでコワイですわ、あっははは。でも我が国の数多くの皆さまが応援してる日本代表なので、残る2試合でそれなりの意地は見せて欲しいですね、と小心で姑息なワタクシとしては一応フォローしておきます…ハイ。

Football映画徒然②

2006-06-06 | 映画【劇場公開】
 フットボール、ちゅーても頭に“アメリカン”が付くと別物になっちゃう訳で。私はそっちの、“アメフト”のことはサッパリ分からんのだ。一応、DVDで『エニィ・ギブン・サンデー』も持ってるけど、それを観てさえ何がなんだか、である。ゲームのド迫力・人間戦車の激突!に唯々息を呑み「なんかコレはモノ凄いねえ~黄色人種には厳しそうなスポーツだねえ~」と恐れ入るのみ。
 そんな私なので、バート・レイノルズ主演/ロバート・アルドリッチ監督の『ロンゲスト・ヤード』は当然観てないのだけど、そのリメイクだけは以下の2作品とも観ている(他にもあったような…)。そして、ちゃんとオリジナルを観なきゃ!との思いを新たにしつつ、でもやっぱりアメフトのゲーム鑑賞法がわからないのってキビシイよね~(涙)。

◆『ロンゲスト・ヤード』('05/ピーター・シーガル監督)
 前述したように、アメフトに全く関心がなく、しかもオリジナルの『ロンゲスト~』を観ていないにも関わらず、何故私が本作を観たのかというと、それはアダム・サンドラー映画だから! ・・・だって好きなんだもん、アダム映画(笑)。毎度判で押したように同じようなキャラ設定、ストーリー展開含めて、ソレはまるで寅さん映画のようである。中坊レベルの低俗下品(でも結構黒い)なギャグや差別ネタ、そして、たぶん米国人にしか通じないようなジョークを適所にまぶしつつ、しかし最後には必ず観客をほっこりと楽しい気分にさせてくれる。あー今回もアダムはバカで可愛くて面白かった!終わり!で後味スッキリ爽やか、になれるのである。頭使うことなんてないし、観て深く感動するとか、ためになるような要素は皆無。ラズベリー賞ならともかく、名誉ある映画賞にも無縁なハズ。(あ、でもPTAが監督した『パンチドランク・ラヴ』は別ね。あとアダムが助演だった『スパングリッシュ』も)
 でも今のアメリカで、これだけ気取らず説教臭くもない、普通にウェルメイドな映画を作れるのは、もうアダムしかいないという気がする。と毎回思うのだ。日本じゃ人気ないようだけど、本国ではトム・クルさんより稼いでるらしい。ソレは結構、アメリカ人もいいトコあるじゃん!って感じがするけどね(笑)。特に、個人的にこの映画を観るまでの鑑賞済な米国モノは、なーんか政治的テーマが強調される作品ばっかで「あーわかったよ、ホント今のハリウッドではコレが流行りなのね」と、やや食傷気味だっただけに余計にそんな思いを強くしてしまった私である。(いや、本来私は割と社会派映画は好きなのよ。好きだけどさあ…まあこの話は記事を改めます)
 ---って、映画の内容にまったく触れてないぞ。え~と、今回のアダムはキモチいつもよりコメディ度低めで、豪華なゲスト陣に囲まれつつ、いい具合に狂言回し的主人公になってました。アダムの体型で元NFLはどー考えても無茶だろ!と誰もが思うでしょうが、そのへんはそれなりに、なんとか誤魔化されます(笑)。お話的には、監獄+スポ根、女ッ気ナシ(キュートなオネエ軍団がいるから無問題だけど)の直球過ぎる少年マンガ。八百長試合でNFLを追放されたスター選手が暴力沙汰でお縄になり、ムショ内での看守VS囚人アメフト戦で男を上げる、ちゅー話で、たぶん元の映画をかなり忠実になぞってると思わます。どーにも埒が明かない囚人チームの助っ人として、今までアメフト部を馬鹿にしてたバスケ部ブラザーたちが、とある事情で助っ人に加わるとこなんてベタながらグッと来ちゃう!(劇場では「おおーー」と小さく叫びつつ爆笑してましたが) またオリジナルの主演であったバート・レイノルズが超美味しい役で映画全体を浚う勢い!っていうか、アダムが彼にリスペクトの意を込めて、花持たせたんだと思うけど(笑)とにかくシブくて、年配男性に惚れがちな私にはたまらないのでありました。またMTVが製作してるだけあり、サントラも聴き応えバッチリ(って、アダム映画は毎度シビれる選曲センスですばらしーのだけど)。とにかく気を抜いて映画を楽しみたいなら、これほどうってつけの作品はないって感じの1作です♪


★『ミーン・マシーン』('01/バリー・スコルニック監督)
 アダムの『ロンゲスト~』を観た後モーレツに観たくなったのが、もう一つのリメイク&英国蹴球版の本作。レンタル落ちした特価ビデオを買ったはずなのに、4月末の片付けの際どこか深層に仕舞い込んでしまったらしく、見つからなかったのでDVD買っちゃったわよ! グッドタイミングに廉価版が出てたし。そんでもって見直して、またもや私は思ってしまったのである。
 やっぱフットボールは英国じゃなきゃな!!(…だから、アメフトとサッカーは競技違いで比較にならないってば;;)

 ----あのね、別に傑作!なんて言うつもりはないの。超B級映画だってわかってるし、たぶん英国フットボール好きの人でもこの映画はショボい、とかオリジナル・ファンには話にならん、とか言う人もいると思う。それでも私はこの映画が大好きで、公開時には都内で唯一の公開館だった銀座シネパトスまで2回観に行ったし、ゲーム・シーンには本気で「おおっ!」と思ったし、特にラストの展開に至っては、再見してさえ目頭を押さえずにはいられない。どーにも溢れてしまう熱き思いに、心の中で喝采を叫ばずにはいられないのだ。要するに、個人的なツボってだけでしょ?と言われればぐうの音も出ないのだが。ははは。
 そりゃ私が主役のダニー・ミーン@ヴィニー・ジョーンズが好きだから、という理由も大いに関係することは認める。だがしかし、重要なのはそんなミーハー要素だけではないのだ。なんというか、私の思うイングランド・フットボールならではのメンタリティ、その肝をちゃんと盛り込んである作品であり、そこが泣かせるのである。そして主演のヴィニーが実際にプレミア・リーグの元プロで、代表選手でもあったという経歴も含めて、名作リメイクというだけではない虚実の狭間のリアリティを強く感じてしまうのである。(ヴィニーの選手時代についてはSoccer Daysさんの【England Football Dictionary】内J項にて簡潔に要約してくださっているのでご参照あれ。ご面相通りの(笑)ラフ・プレーで鳴らしてたらしい)
 まあ、プロデュースがガイ・リッチー人脈なんで、全体的には軽いコメディのりではある。また基本的な筋書きはオリジナル通りだろうけど(>上記アダム映画を観て、それを確認した)リメイク・オンリーと思われる脇キャラ/エピソードの描き込み、台詞がいちいち上手いし、意外と上手に英国流にアレンジされた作品ではないだろうか。逆に、このへんがショボいとか、スケール小さいと言われがちな部分だろうと思うけども。
 なかでも、個人的に掴まれたのは以下のエピソードである。
 現役選手時代、こともあろうに対ドイツ戦で八百長試合をしたダニーが刑務所入りした直後、ムショの長老ドク@デヴィッド・ケリーに言われる。「おまえはココじゃ大変だよ。ココにいる奴らには何も無い、生まれたときから。なのにおまえは、皆が見てた夢を捨てちまったんだ。あっさりとな」 そして、例の看守vs囚人チーム作りが始まり、ダニーをムショ仲間たちが信用するようになった頃、不意に「なんで八百長なんてやったんだ?」と聞かれた後にダニーはこう答えるのだ。「…おかしなことに、プロになって有名になるとファンのことなんて忘れちまう。思い出すのは負けたときだけだ。俺は10代でプロになって、カン違いしちまったのさ」
 こうして、さりげなく敷かれた伏線が、最後の試合展開でビシーッと繋がるのである。だから、ドン臭くて運動神経ゼロだけど現役時代のダニーの大ファンで子犬のようにつきまとう(笑)ビリーへの、ダニーからの“特別プレゼント”が効きまくるのである。(ダニー自身の汚名返上も含め、彼が導く“囚人チーム勝利”自体はある意味でムショ内囚人全員に対するプレゼントでもあり、それこそが『ロンゲスト・ヤード』の基本構造だとは思うけどね。所謂All for one, One for all精神でunderdogな奴等がちょっと報われる、つーか^^;;)
 出演陣も英国映画好きにはなかなか贅沢な顔触れが揃っていて、特にガイ・リッチー映画好きな方には色々と笑えるはず。今やトランスポーター・シリーズで肉体派ヒーロー路線邁進するのか?なジェイソン・ステイサムの大馬鹿っぷりとか、ムショ内ラジオ実況中継担当のジェインソン・フレミングとか、ズルいよ!って感じだもんね~。お笑いといえば、何気に看守チーム陣もイイ味出してます。

 という訳で、私にとっては『シーズンチケット』と並んでフェイバリットな英国蹴球系映画であり、本家『ロンゲスト・ヤード』ファンの方にはお薦めできずとも(^^;;)英国フットボール好きな方には一見の価値あり!な佳作だと思います♪ 終わりっ。 >①に続いて、新作公開映画の感想を書きつつ力入ってるのは旧作紹介にある、というシリーズになっちゃいましたが、まあたまにはこーゆー変則モノも有りってコトで、悪しからず。
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水無月鑑賞映画希望メモ

2006-06-05 | 戯言・四方山話・メモ
 今週半ばくらいから早くも入梅とかで、湿気と気鬱が繋がり易い私にとっては夏と同じくらい危険な時期ではあるけれど、観たい映画は今月もたくさんあるので元気出していこー!(>カラ元気) と、気合を入れたところでサッサと鑑賞希望列挙にいきます。

 先月のメモにも書いたけど、今月は何はなくともまずは『ニューヨーク・ドール』がマスト。涙洪水警報なのでハンカチ握り締めつつ、しかと在りし日のキラー・ケインと、今更新譜出しちゃうらしいDヨハンセン&Sシルヴェインの現状を確認したいと思う。それと、『13歳の夏に僕は生まれた』も鑑賞日決定したので、しかと観てくる次第。

プルートで朝食を … 予告観ただけでもドキドキしたよ(笑)美人過ぎなキリアンに(笑)。音楽が70年代グラムではなく60年代ポップスっぽいのがちょっと惜しいけど、そのくらいのハズシ方はまあいいか。ニール・ジョーダン監督作ということでも早く観たかったので、とにかくウレシイ。

ステイ … 予告は5回ぐらい観てるけど、さあどうなるか。『25時』のデヴィッド・ベニオフ脚本だそうで。私は単なるミーハーなんで、今作でグッと男前度を上げた、ように見える(笑)ライアン・ゴズリングを中心に観てしまうだろうな…。って主演はユアン・マクレガーとナオミ・ワッツでしたね^^;;

インサイド・マン … スパイク・リー監督新作、意外と早い日本公開なのね。コンビ復活のデンゼル・ワシントン主演、というのはまあ個人的にはそんなに、うん。それよりクライヴ・オーウェン出演の方が気になります! そして、近年はかなり多角的なテーマを含む作品が多いリー監督が、今回はどう切り込んでくるのかも楽しみ。

ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン … 原題をそのままカタカナにするというしょーもない邦題だけど、まあ仕方ないのかなあ。ガチでギャングスタだったラッパー50centの伝記主演モノってだけなら別に大してソソられないけど、監督がジム・シェリダンってのがサプライズな訳だ! 結構なお年を召している彼にジャストなブラック・カルチャーものが撮れるのか? …失礼ながら不安入り混じりつつも、でも手堅く作ってくれてる方に賭けたい。

メタル ヘッドバンガーズ・ジャーニー … 嗚呼我が懐かしのメタル・エイジ! と気恥ずかしく思いつつも、しかし私の音楽体験の中で避けて通れないジャンルではあった、一時期。いまや物笑いのタネにしかならない(実際私も笑ってますが…;;)メタル・ヘッドバンガーではあるけど、それ故にやはり目を逸らさずに対峙しなければならぬ作品であろう(苦笑)。もー今から友達と笑って泣く準備は万端! メロイック・サイン掲げてスクリーンに向かうぜ!みたいな >ある意味ヤケクソ、しかし祭り。

初恋 … 現在国営放送の朝ドラ・ヒロインですっかりお茶の間にも「元気で可愛いあおいちゃん」が浸透したようだけど、宮崎あおいの本領はやはり映画。そして、「元気で可愛い」の対極にある不安定で屈折した少女性にあると思う。去年公開された彼女の新作はあまり観たいと思うものが無かったけど、これは久々に面白そうな1作。三億円事件をテーマにしたドラマ/映画も多く作られてきたけど、これはどんな解釈なのかな…。

猫目小僧 … 楳図がすお先生原作モノ。コレの原作は読んだことないけども、私が幼少の頃、電動紙芝居チックな実写アニメ?でやってたのを観て、それがちょっとしたトラウマです…。かなり強烈な絵面でちょっと気持ち悪かったけど、話が可哀相だった覚えが。今回の実写版は井口昇監督。チラシとか見る限りでは、かなりキッチュな感じですね。コワイもの見たさで観たい!
 で、楳図先生モノといえば、夏公開の『神の左手悪魔の右手』に、かなりワクワクしている私。金子修介監督作品だって!(最近バリバリ仕事してますよね?) 主演が渋谷飛鳥ちゃんなのも期待。

やわらかい生活 …去年のフィルメックスで観て一番良かったのが本作。ようやく全国公開の模様。ただねー予告のつくり方とかチラシの作り方が、ビミョーに方向が違う気がするのが---ちょっとひっかかる。そんな小洒落れ系の映画ではないと思うんだけどなあ。とりあえず、公開されたらもう一度観てみたいと思う。

 最後に関係ないけど、私的ビッグ・ニュース!! 角川ヘラルド映画ラインナップに、三池崇史監督の最新情報が! なんと『大魔神』リメイクですって~~…って、コレはやはり去年の『妖怪大戦争』の二匹目??^^;; まあ、ようござんす。そのまえに、今年公開される映画があと2本はあるはずなので、順次楽しみに待ちましょう!!

Football映画徒然①

2006-06-04 | 映画【劇場公開】
 間もなく開幕のW杯。恐らく私にとっては、一生サッカーなんて縁がないだろう、と思ってたのは4年前までのこと。偶然のキッカケでアイルランド代表の試合にのめり込み、即席ニワカもいいとこのサッカー・ファンになったのが前回のW杯だった。が。以後、いろいろ素人なりに観た結果、私が好きなのはアイルランド~イングランド・プレミアリーグのフットボールであり、あとはまあ東欧~トルコ系とかアフリカ系はちょっと見入るけど、他は殆ど面白いと思えないことが判明した。なので、今回のW杯はまあ、ゆるーくイングランドを気にしつつ、後はテキトーに観るかな程度なのだが。
 とりあえずとはいえ、前哨戦としてFIFA公認全面協力の『GOAL!』だけは観ておかねば、という訳で観ましたよ。


◆『GOAL! ~step1』('06/監督:ダニー・キャノン)
 やっぱサッカーじゃなくてフットボールなのよ!てな訳で、ファンなどと恐れ多くて言えないけども、敢えてイングランド・フットボール~プレミア好きとして、ベタな英国ワーキングクラス・テイスト映画を期待してたのだけど、かなーり分かりやすくハリウッド・テイストの作品であった。
 ホント、丸ごと少年漫画な世界でご都合主義的に話が進み、主人公のサクセス・ストーリー以外の要素~ガンガン出世していく主人公の傍で零れ落ちていく同期選手や、かつての名選手・今は単なるブルーカラーなおじさんの哀愁、人気選手のタガの外れた遊び人っぷりの裏の孤独や焦り等はサラリと流される程度。このへんを描き込んでくれたら更に私好みになるんだけどな~(苦笑)。まあ、この後step2、3と控えてるのにそんな描写は余計って感じなんだろーね。要するに大味で、連続ドラマのダイジェストっぽい出来。しかも肝心の試合のシーンの迫力がイマイチだったりもしたけど…全体的にはまあ、それなりに楽しめた映画ではあった。
 ただ、主人公のサンティアゴはメキシコから米国への不法移民なので、最終的にW杯に漕ぎ着ける際、何処の国の代表になるのかね?というのが最大の疑問。というか、既にstep2ではレアル・マドリードに移籍とかいう展開になるよーなんで、私的にはあんまり面白くないんだけども。だってレアルの選手なんて、あんまりワーキングクラス・ヒーローって感じじゃないもんなー^^;; という訳で、私がイングランド・プレミアが好きなのは、常に攻撃あるのみ!なスタイルもさることながら、彼ら(選手)の存在がワーキングクラスの夢だからなんだな、とつくづく思ったのであった。ある種、英国のロック・バンドがそうであるように。(単に私個人の趣味としてワーキングクラス系の男が好きだということもある…国とか人種とか関係なしに;;)
 地元クラブのファン達の異常な熱狂、スタジアムを、パブを埋め尽くす彼らの怒涛の歓声。胸にグッと来るのはやはりそういうシーン。そして、ここまでファン(サポーター)が熱いのは英国ならでは、という気がする。贔屓のクラブ選手を親戚のように思い応援し、だから時には厳しい言葉も浴びせる(>ソコは結構笑えるシーンだけど)。
 役者関係では、チャラチャラ遊んでばかりいるようで実はイイ奴なスター選手ガバン役を、スクリーンで観るのはご無沙汰だったアレッサンドロ・ニヴォラがやってたのが嬉しかった~。Mウィンターボトム監督の『アイ・ウォント・ユー』以来、密かに気になってた人だったんだけど…年齢的に、スター選手としてはギリギリのセンという気がするけど、step2も続投らしいのでどーしよーか迷うところである(いや、観るのを、ね)。そして主人公をアメリカからスカウトして、熱意を持ってクラブ(英国北東部の雄ニューカッスル・ユナイテッド)に薦める元名選手役のスティーヴン・ディレイン(『めぐりあう時間たち』でヴァージニアの夫レナードを演じた彼!)が素晴らしかった! あの神経質そうな紳士レナードからは想像できない、気骨に溢れる誇り高きワーキングクラスの男!ちゅー感じで惚れ惚れしたねえ。という具合に、おお~こんなところで再会!な役者が意外と多かった本作のしめくくりは、マルセル・ユーレス。地味ながら隠れた佳作と思う『ジャスティス』にて、黒くもエレガントなドイツ将校役だった彼が、なんとニューカッスルの監督役!ってとこにウケてしまった(またしてもドイツ人役! でも雰囲気的にはアーセナルのベンゲル監督みたいだった…)。
 あーそうそう。本物の現役選手(ベッカム、ラウール、ジダン等)も出てくるけど、結構そこは失笑ポイントだったかも~だって不自然過ぎるんだもん(苦笑)。スポーツ選手でもエンターテイナーはいるけど、これに出てる人たちはどーなんでしょーねー??


★『シーズンチケット』('00/マイク・ハーマン監督)
 ニューカッスルU繋がり、ということで改めて観返したくなったのが、私が大好きな本作。この映画は厳密にはフットボール映画ではなく、ニューカッスルUファンの少年達の話である。これとニック・ホーンビィ【ぼくのプレミアライフ】(新潮社)を読めば、英国のフットボール・ファンがどれだけファナティックであるか、自分がプレイすることよりも応援することにアイデンティティを見出す人々に支えられているのかがわかる(笑)。いや、本作の少年達にとってはアイデンティティというよりも、なけなしの希望、その全てなのだ。贔屓のクラブを応援するというより、スタジアムで本物の試合を観戦するという行為。それさえ出来なかったジェリー&スーエル。そして、この映画は彼ら凸凹コンビ少年達の、ほろ苦いながらも笑える青春友情物語でもある。(ケン・ローチ系でもあるけど、あそこまでシビアではないところが好みを分ける、かもしれない)
 さて『GOAL!』の感想にもサワリとして書いたことを、もう少し詳しく述べてみる。
 英国は今尚厳然たる階級社会であり、労働者階級(ワーキングクラス)しかも北部地方に生まれるということは、殆ど場合ノー・フィーチャーであるという。男性の失業率は高く、仕事に就けないというストレスはどうしても酒やドラッグに向かい、人も街も荒廃していく。そういう環境・親や大人に囲まれる子供は、自然と人生に希望なんて抱かなくなる。辛いからといって泣いたり出来なくなる。子供らしいイノセンスなんて10歳にも満たないうちに無くなる。
 だから、ワーキングクラスの人間がのし上がるに手っ取り早いのは、ロックスターかフットボール選手になることだと言われるのだ。しかし、その2つとも才能がなくてはどうにもならない。ではどうする? 
 彼らのようになれないなら、彼らの世界を作る一部(ファン)になればいいのだ。
 ジェリー&スーエルもまた、15歳ぐらいにしてなかなかハードボイルドな生活を送っている。殊にジェリーは、最早英国ワーキングクラス映画では定番な崩壊家庭の少年だ。つまり、オヤジは呑んだくれのろくでなし、母親は父親の暴力と困窮する生活に疲れきりソーシャル・ワーカーの世話になっている。ジェリーは学校に行っても教師やクラスメイトたちにクズ扱いされるのがイヤで、学校に行かずに連れのスーエルとブラブラしている、といった有様。しかし、そんな彼らにもフットボールだけは、贔屓の地元クラブ(ニューカッスルU)だけは、夢を与えてくれる大切な宝物だ。どうせボロボロな人生、だけど好きなクラブのゲームをこの目で観るという夢のためなら、なんとか頑張れるかもしれない。そして、そのときこそ借り物の思い出話(このエピソードはベタながらも切な過ぎる)を本物に変えるチャンスなのだ。
 という訳で、2人はいろいろと悪さをしつつも(笑)シーズン・チケット(シーズンの全試合を観戦出来るチケット)を買うための金を集めるべく奔走するのだが---どうあがいてもクズはクズ、今度こそ這いあがれるかというときに限って悪いことは重なり、万事休す!と思われた最後。
 遂に、ささやかながら、しかし彼らにとってはとてつもなくサイコーな奇跡が出現するのである。あまりの幸福感に、号泣必至にしてガッポーズを取りたくなる名ラストシーン。
 フットボール・ファンのみならず、何かの強烈なファンになったことがある人ならば、きっと本作に熱い何かを感じ取ってくれるはず。そして英国流の、小さいけどほのかに温かいお伽話がお好きな方には是非ともお薦めの一本である。
 ちなみに、『GOAL!』にもチラッと出てたニューカッスルUきってのベテラン名選手アラン・シアラー、初映画出演作でもあるらしい。この人、きっとスゴくイイ人なんだろうなあ~^^)

 さて、ついでに『ロンゲスト・ヤード('05)』『ミーン・マシーン('01)』の比較(?)感想も書こうと思ってたが、長くなったので場を改めて書こうかと思う。(なるべく早めに…と心掛ける次第…)

『インプリント~ぼっけえ、きょうてえ』('06/米)

2006-06-01 | 映画【劇場公開】
 米国ケーブル・テレビが企画した【マスターズ・オブ・ホラー】シリーズの日本代表として招かれたにも関わらずあまりの内容にテレビ放映禁止、日本では映倫審査拒否という曰くつきの作品である。しかし、そんなにエグいのか? それほどまでにヤバイのか?と期待と想像を膨らませて本作を観るのはどうかな、と思う。
 特に、三池監督作品をある程度観てきている人にとっては、彼の過去作品でいうと『オーディション』+『殺し屋1』であり、映像のグロ度はこれらとほぼ同等であって、とりたてて真新しさがある訳ではない。そして、怖いのか?と言えば、それも当てはまらない。
 これは哀しい、怪談である。本作を恐ろしい、と震撼するとすれば、それはたぶん男の観客だと思う。少なくとも私は、視痛覚を責められる部分はあっても、恐ろしいとは感じなかった。(もっとも私が個人的にホラーの類にあまり適性がない、というか鈍感だから断言は出来ないが…)

 時代設定は、明治期あたりに米国の植民地化したという架空の国ジャパン(笑)。米国テレビ用なのだから当然、出てくる俳優はほぼ全員が日本人だが、英語を喋る。舞台は遊郭。つまり、これは構造的には“裏『SAYURI』”とも言える。(そういう意味で、両作品に出ている工藤夕貴が凄いのかも) 
 そして、当然ながら、裏こそがリアル・ジャパンに近いのだ。私は、この作品が米国の心有る(?)人々に観られなかったのが残念でならない。『SAYURI』でマチガった夢と幻想を抱いちゃったガイジン達よ思い知れ!な、そんな幻想木っ端微塵に粉砕!の素晴らしい作品なのだから--って、それはちょっと言葉が過ぎるけど(苦笑)その昔、女郎として生きていくしかなかった“女”ゆえの業、その哀しみで彩られた、美しくもグロテスクな復讐譚なのである。(…まあ、ゲイシャと女郎では違うけどもね)

 そうした話ゆえ、コレをガチで映像化したらあまりにもドロドロと陰惨過ぎる作品になっただろう。その陰惨さを異化するための北村道子衣装、と解釈すれば納得がいく。おかげでかなり誤魔化されてるというか(笑)耽美化されているので、日本の風土に根差した暗い話が苦手な人にも堪えられるはず。女郎拷問シーンも、先端恐怖症の方にはお薦めできないが、基本ラインは月岡芳年とか伊藤晴雨あたりなので、そういう免疫があれば無問題だと思う(私は好きです、すみません)。後半、不意に『バスケットケース』を思い出させる展開があって、そこでは図らずも笑ってしまったけどね。

 米国で放映禁止のネックと思われる部分については、まあ、米国なら仕方ないか、という感じである。中絶や堕胎反対で殺人が起きる国だもんなあ。中絶というか「間引き」で、施すのは医者じゃないし、それにまつわる一切を映像で見せてるし、キリスト帝国主義な国にはマジでヤバいシーンなんだろう、と・・・。
 おそらく、三池監督的には去年参加したオムニバス『美しい夜、残酷な朝』での陳果監督作品に勇気づけられたのだ、と思うんだけど(苦笑)アレとどっこいである。流石にソレはたとえペイ・テレビであってもお茶の間(米国だからリビング・ルームか)には流せない、という判断なのだろう。

 しかし、何故「間引き」があるのか。そうしなければいけなかったのか。それが重要なのであり、その悲惨を映し出す部分こそを観なくてはいけない。最底辺で生きる女は、女であるというだけで生き地獄を味わねばならなかったのだ。
 工藤夕貴演じる、奇形の女郎が語って聞かせる寝物語。語るごとに語は闇の方向に捩れ、怪談となっていく。それは女たちの怨念の集積であり、彼女はその象徴なのである。そして、彼女たちを自覚的であれ無自覚的であれ傷つけ踏み躙る男の象徴が、作品中ただ一人の米国人であるクリス@ビリー・ドラゴだ。
 映画の冒頭、彼は深い闇に翳る川を舟に乗り、女を買いに出かける男たちと共にやってくる。川は、現世と異界の境界線である。そして彼の体験する悪夢は、当然の“報い”なのだ。

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 ところで、私は本作を雨の初日を舞台挨拶付で鑑賞したのだけど、三池監督はいつも通りとはいえ、工藤夕貴のズレたテンションの高さ(笑)に圧倒されてたのか、口数が珍しく少なかったかも。拷問されるシーンが白眉の小桃@美知枝ちゃんは、私は初めて観る女優だったけど、少し深津絵里に似た可愛らしい人だった。
 また『SAYURI』では「桃井かおりって、英語でも“桃井かおり”のマンマなんだなあ」と感動したのだけど、本作では根岸季衣がまったく同じ感動を与えてくれる。出ているとは知らなかったマメ山田の女衒役も良かったなあ。そして、木下ほうか…またこんな役なのね~(泣笑)。
 だが特筆すべきは、これから読む予定の原作、その作者である岩井志麻子の怪演ぶりであろう。台詞はなく、ご本人的には「(漂流街の)馳星周には負けられない!と思って」とのことだが(…)もしかすると本作中一番印象に残るほどの怪演である。正しく“インプリント”。そして、この人ならこういう話を書くのも合点---と心の底から頷いたのであった。
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