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はい!滝沢ロコです!

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アモ子物語・・・その17

2008年02月24日 | 今日のわんにゃん

咲く季節が来ていたことを、実感したのは、

らっちゃんを荼毘にふすときに、待ち時間を、近くのレストランで過ごしたときでした。

その店に続く通りは、それは見事な桜並木で

風が吹くと、チラチラと花びらを遊ばせている、実に綺麗な所です。

おじさんは、桜のトンネルをゆっくりと車を走らせました


その車も、大きなラブラドルのロッキーとらっちゃんが乗っても大丈夫なようにと買った大型の車でした。

それももう、4~5台目になっていました。

20年にも及ぶ月日は、そう簡単に、言い尽くせるものではありません。

特に、ロッキーの癌が見つかってからの介護の日々は、

ゆき、もんちゃん、ミーヤ、ディーナ、アモと看病に継ぐ看病で

言うに言われぬ思いが重なった中での、大切な大切な時間でした

次第に老いていく幾つもの命・・・

次々と投げかけられる病気は、避けようのないものばかりでした。


おじさんとおばさんは、桜の見える大きなまどのそばに座りました

二人で、ゆっくりとコーヒーを飲みながら、

今までのことを、思い出していました

そして、行き着いた思いは、

「らっちゃんは、うちの子で、しあわせだったのかしら・・・」

ということでした。



訊く宛てのない疑問は、おじさんたちの心で、

「らっちゃんをどのくらい愛したのか・・・」という思いに変わりました。

その答えは、間違いなく「ものすごく、愛してた・・」です

今までの、どの子に対しても同じ、皆、大切な家族です


それでも、次々と襲い掛かる介護の日々に、

少しでも、「ああ、もう、疲れた・・・」と思ったことを

おばさんは、悲しく思い出していました


窓の外は、薄桃色の光で一杯でした

それは、まるで、おじさんおばさんのことを、

春という季節が、優しく抱きしめているかのようでした



昔、おばさんがまだほんの小さな子どもの頃、

おばあちゃんが、よく言ってくれた言葉がありました。

それは・・・

「いいよ、いいよ・・・」

お母さんに叱られたとき、すでに寝たきりになっていたおばあちゃんが

「いいよ、いいよ・・・」

そういって、ちいさなおばさんを撫でてくれました

おばさんは、それでどんなに嬉しかったかを、今でもはっきり覚えています

今、桜の光たちは、おじさんおばさんに、その温かさをそそいでいるようでした

「いいよ、いいよ・・・」


おじさんたちのお家には、アモと、デビュと、そして、ディーナがいます

「らっちゃんが逝って、さて、ディーナとの最後の日々を、どう過ごしていくべきか」



家族を送る寂しさに、もう、耐えられず

そんなことをずっと思っていたおばさんの心に、

おばあちゃんのその言葉が聞こえてきました

そして、おばさんは、「不安の先取りはしないで、今を大切にしよう」と

昔教わったことを、思い出していたのです。

それは、本当に大切な、この先のメッセージになることを、

おばさんはまだ気づいていませんでした

・・・つづく・・・