
暗い
一枚を捲ると
灰色の手漉きの紙にただ一言
雨・・・
たったそれだけ
沈んで冷えて暗い朝の街並み
墨のコンテで描いた輪郭とぼかし
暗くて寂しい一枚
気にくわない
破棄だ
そう思い紙の両端を持って裂こうとしても
冷たさで手が悴んで裂けない
まあいいか
諦める・・・
庇のついたベンチに座り改めて眺め
街にピントを合わせるが
冬の雨に襲われた街は薄汚れている
汚れた街の佇まいが広がる
いつもの空はいろんな感情が交差しているのに
きょうは一枚仕上げの空
コテで隙間なく塗り上げた
重い暗い蓋をした空
空を仰ぎながら
重い足を引きずるように
朝を歩く
頬を伝う雨
意外と暖かい。

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