私の海

　海は広いな大きいな　父が海軍だった所為か海には特別の思いがある。

　海を見つめる母の懐かしげな悲しげな目　

私と弟は只元気に走り回った

　遠洋航海で敷島や陸奥に乗っていた父は殆ど留守で　上陸の時のみやげは

　椰子の実　大きな貝　首飾り　おいしいお菓子　

　弟は珍しいサーベルを振り回していた　　　

　出発の日は　ランチにのって沖の軍艦に乗り込む父を見送った　

　白い服の水平さん　日の丸をなびかせ波間にきえていくランチ

　佐世保の海　呉の海　遠くに見える軍艦　海は広いな大きいな　－－－

　弟の歌声と　しよんぼりと立ちくしている母の姿が重なる