La Varenne Saint-Hilaire, la barque.
19~20世紀にフランスで活動した、フォービズムらしからぬ風合いの画家アルベール・マルケ。
さらにここに抽出した作品は、現実からそう隔てられない明確な色彩の平面で構成されて、几帳面は印象すら与えてしまうから、なおさらフォーブから遠のいた感がある。
しかし、彼の持ち味である寒色系のグレートンは、沈静効果があり、疲れ気味の私には心地よい。
マルケは、水辺を好む。
港、川、海と、彼の絵のほとんどに登場する。
水面の波紋、映りこむ景色、私もこのようなモチーフを好んで描いているから、よりマルケにシンパシーを感じているのかもしれない。
意外性や面白みとは程遠く、地味で新みに欠けると思われがちであっても、心穏やかになれる絵もまたよいものだ。
特に、不安定で激動型の昨今にあっては、なおのこと求められる絵の種類と思えるのだ。
Vue de Collioure
Le Pont de Poissy