ユディト
ユディトとサムソンの頭部
サロメ
自刃するルクレツア
16世紀北方ルネサンスの画家、ルーカス・クラナッハ。
彼の描く女性は蠱惑的だ。
陶器のように滑らかで白い肌、優美でしなやかな肢体、見るものを惑わすようなまなざしをしていて、西洋絵画において類を見ない女性を描き出している。
そして、退廃的な雰囲気の影に死のにおいが潜んでいるのだ。
サロメやユディトはいうに及ばず、貞淑なルクレチアさえも抗い難い魅力を備え、彼女達に導かれた先には死が待ち受けている。
そこで死は暗く恐ろしいばかりではない、甘美さが何にも勝る世界。
究極の性の女神。
インドのエローラ石窟群や日本の春画より、ソフィスティケートされたエロスと思える。
彼女達を目撃した者は男女を問わず、網膜に焼き付いて二度と忘れられなくなるだろう。
彼女の微笑みは、残酷なまでに美しい。