rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

小癪なピカソ

2021-03-13 12:14:30 | アート
オレンジ色のベレー帽の女 1937

何をもって小癪なのか?
幼少からのデッサン力の裏打ちでもってぐうの音も出ないほどに人々の認知を獲得し、その後好き放題に手当たり次第に食い散らかしたり、他人のアイディアを昇華させたりと、類を見ないほどの貪欲さにある。
それが小癪という表現に留まるわけは、完璧なオリジナルなど芸術にありえなく、つまりやった者勝ちという側面があるからだ。
どんなに着眼点がいいアイデアも、それだけではなさなく、表現して形を成してこそ芸術として成立する。
音楽もアレンジ如何で名曲としての煌きを放つのか、映画やドラマも脚本の出来次第で名作となるのか、それぞれどういう手法をどこまで極めるかに負うところが大きい。
ピカソのそれは、マルチプロデューサーに近いように思うのだ。
芸術家がその向かうところに一途でストイックでなければならないなどの幻想を、とうより持ち合わせていないが、圧倒的捕食者のようなその画業と、芸術の可能性を広げつつ芽を摘んでしまうことに、猛獣の中の小動物がちらちら見えるようで、釈然としない。
けれど、よく見ているとその巧さに感心してしまい、だから小癪に思うのだ。
ピカソが好きな画家ではないけれど、おおむね彼の絵からは負の印象を感じないところはいいようだ。
ほら、この絵の女性はいかにも幸せそうに微笑んでいる。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿