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音楽と職人の街ニュルンベルク

2013-01-12 23:43:14 | 街たち
「にじいろジーン 地球まるごと見聞録」音楽と職人の街、ドイツ:ニュルンベルク。
ワーグナーの歌劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の舞台になっていて、今年は生誕200年を記念して音楽イベントが開催されるという。
13世紀中頃にできた聖ローレンツ教会は、街で一番古く、彫刻とステンドグラスが有名だ。
ドイツルネサンスの代表的画家、デューラーの生誕の地でもあり、デューラー・ハウスには、彼の足跡を辿ることができる。
また、この街は職人の街でもあった。
今は、職人広場の一箇所に職人が集まり、往時を偲ぶことができる。
「ツィンギーサライ」は、一番古い錫製品の店で、中世の頃から伝わる製法で伝統の品々を作っている。
「ガラスサライ」は、ステンドグラスの店、教会のステンドグラスと同じ製法で、下絵なしに絵を描いて作る。
「おもちゃ博物館」には、伝統玩具のドールハウスが展示され、その精巧な出来栄えに思わず見入ってしまうだろう。
「プッペン・シュトゥーベン・ミニュアール・ハウス」は、12分の1に縮小し本物と見紛うばかりに再現したミニチュアの店。
細部にまで拘り、遊び心を盛り込んだミニチュアは、一目見たなら虜となり、ドールハウスの世界にどっぷりとはまり込んでしまいそうだ。

では、ニュルンベルクのグルメ。
”ニュルンベルク・ソーセージ”は、大きさと味を街によって決められている。
かつて、城門が閉まってからの売買をするとき、城門の鍵穴に通してソーセージのやり取りをしていた。
そのために、鍵穴を通しやすい形状にし、味のバラツキがないようにしたのだろう。
”ブラントホイッスル・ツィプツェル”は、ニュルンベルク・ソーセージを使った焼きソーセージ6~10本を錫の皿にのせ、ザワークラウトと共に出される。
”ザウス・ツィプツェル”は、茹でソーセージのことで、タマネギとソーセージをワインビネガーで煮込んだもの。
とても体の温まる食べ物らしい。
レープクーヘンは、市民に愛される伝統菓子で、なかでも”エリーゼン・レープクーヘン”は、しっとりとした生地にナッツの歯ごたえを加え、フルーツの風味がいいお菓子。

ニュルンベルクの近くの街バンベルクは、幸運にも世界第二次大戦の戦火を免れ、中世の街並みがそっくりそのまま残っている。
二股になった川が市中を流れ、その景観から”リトル・ベニス”の異名を持つ。
城門のドアノブの彫刻”リンゴ婆さん”は、独立したキャラクターとなって、マンホールの蓋など街のいたるところに使われたり、様々なグッズとなって人々に愛されている。
ビールの有数の産地でもあり、地ビール”ラオホビール”がある。
「シュレンケラ」で造られるこのビールは、燻蒸した麦を使うことで、いぶした香りと色の濃さ、渋みを醸し出している。
このビールを使った料理”バンベルク・ツヴィーベル”は、くりぬいたタマネギにパセリとニンニクを混ぜ込んだ豚のミンチを詰め、ベーコンをのせてスープで煮込み、ラオホビールを入れたソースをかけて食べるもの。

どこの親も、子供のよりよい将来を願うもの。
ニュルンベルクでは、こんなおまじないがあるそうだ。
子供の頭の上に錫でできた漏斗を置き、いっぱい知識が入りますようにとお願いする。
微笑ましいではないか。

ニュルンベルクの街も人も質実剛健、実直な職人気質があるように思う。
あのミニチュアからしても、その本気度が窺える。
物を作ることへの拘り、極めようとする意志の強さ。
今では希薄になりつつあるものが、今も健在のようで、これからも大切に受け継いでいって欲しいと思った。
いつしか、ニュルンベルクを訪れることができたなら、職人業の結集したものたちを見てみたい。