大きな世界の小さな部屋

まぁ色々とヲタ趣味に関した話題をうんたらかんたらと…あと動物ネタなんかも。

メガゾード、フォーエバー。

2013年02月10日 11時38分39秒 | 映像作品
本日2/10を持って、一年間放送された2012年度スーパー戦隊“特命戦隊ゴーバスターズ”が最終回を迎えました。本作は色々と意欲的な試みが盛り込まれており、その中でも私が最も興味深かったのが“メガゾード”

ここから先は少しお浚い…。メガゾードとは、本作の世界観における巨大ロボットの総称で、ゴーバスターズ側の巨大ロボット“ゴーバスターエース”や“GB-02 ゴリラ”等の合体前の単品ロボットや合体ロボットもそれに含まれます。そして敵組織“ヴァグラス”にもメガゾードは存在し、主に“敵メガゾード”と区別して呼ばれます。メガゾードは大きく分けて三種類存在します。メガゾードは製造された等身大怪人“メタロイド”の座標データを元に亜空間から転送されてきますが、同時にメタロイドのデータをダウンロードする事でメタロイドに応じたカスタマイズが成され、データによって部分的に形や性能が変化します。ただし、使用エネルギー“エネトロン”残量の都合により、一回に付き一体しか転送されて来ません(例外有り)。そして後に新型が追加され四種類となりました。



では、その四種のメガゾードの特徴について。


α(アルファ)
細身でスピードに優れた機体。体内に巨大戦闘員バグゾードを二体格納。


β(ベータ)
太目で大柄なパワーに秀でた機体。重そうな外見に比例して出力が高いらしく、カスタム次第では飛行能力を付加させる事も可能。

γ(ガンマ)
バランスの取れた体型で、性能的にもスピードとパワーのバランスが取れている機体。 序盤の強敵で、ゴーバスターズ側初の合体メガゾード“ゴーバスターオー”でないと太刀打ち出来なかった(ただし、ゴーバスターズの戦力強化により雑魚化)。

δ(デルタ)
途中でロールアウトした新型。性能的にはガンマを凌いでおり、その代わりカスタマイズは無し(例外有り)。他のメガゾードの体内に潜り込む特性が有り、本編ではそれを“寄生”と言っていた。その特性を使い、一体分のエネトロンでも転送が可能となった…つまり正しくは寄生では無く、δが他のメガゾードにタダ乗りする形になる。


基本的にこの四種です。つまり、基本的に本作では巨大化は有りません(こちらも例外有り)。特捜戦隊デカレンジャーでも、巨大戦は敵が操る巨大ロボット“怪重機”でしたが、それもまたスーツを数種類作り、あとはリペイントでバリエーションを増やすやり方でした。しかしメガゾードの場合、メタロイドに応じたカスタマイズパーツを付ける事でバリエーションを増やすやり方でした。そりゃ、毎回同じ姿で出てくりゃすぐに飽きられますからね。


本編を見ていても、メタロイドが出る度に“今回はどのメガゾードを素体に使うのか?そしてどのパーツがメガゾードの何処に付くのか?”と想像を巡らせるのは本作ならではの楽しみでした。これは以前にも書きましたが、例えばメタロイドの腕パーツをそのままメガゾードの腕に使う事も有りましたが、時には腕パーツを足に付けたりと配置を変化させたり、中にはメタロイドのパーツに似せたメガゾード用の新造パーツを使う事も有りました。こうする事でメタロイドとメガゾードをどう差別化するか、これもまた楽しみの一つでした。



そのカスタマイズ具合はどんな感じだったか?まぁ画像はこちらのオフィシャルサイトを見てもらうとして…。
まずα素体から。最も細身だけにカスタマイズしやすいらしく、パーツをほぼそのまま使うのが多かったです。ただ、それが仇になりα素体のメガゾードならではの個性が薄れ、全メガゾード中で最も“一見メタロイドがそのまま巨大化した様に見える”結果となったのは残念な所。逆にメガゾードの個性が多く出た場合はどうか?元々αが全メガゾード中最も地味なので、その地味さが目立つと返ってショボく見えるだけで、それはそれでまた残念な事に。うまく中間で留まる事が出来たらよかったのですが…。

α素体使用回数
バーナーゾード、タイヤゾード、デンシャゾード、ドリルゾード、コピーゾード、チューバゾード、パラボラゾード、ドリルゾード2、キーゾード、ロウソクゾード、スプレーゾード2、スナドケイゾード、ドームゾードα、ルーペゾード、メガゾードロイド、オモチゾード

合計16回


続いてβ素体…こちらはαと違い太目でキノコ型と言う癖のある体型なので、αと違いカスタマイズしにくいと思われましたが、第三話のニードルゾードにてβの頭頂部パーツを外し、そこにメタロイドの頭部パーツを付ける事でキノコ型のシルエットを崩し、メタロイドとメガゾードの中間の姿を作る工夫がされました。これは良いアイディアだったので、今後もどの様な工夫がされるかと期待していたのですが、結局それ以上の良い工夫が出なかったのが残念な所。そしてαと違いカスタマイズしにくいって私の予想は的中しており、β素体にメタロイドの小さいパーツを付けただけでメタロイドよりメガゾード寄りのデザインも少なくないのが難点。そして個人的に嫌なのが、ダンベルロイドのパーツを使いダンベルゾードを作った際、腕を挿げ替えて胸部パーツを追加するカスタマイズでした。β素体よりダンベルロイドの腕が細いので、返って弱体化した様にしか見えないのは…。しかしまぁ、カスタマイズ性のコンセプトを最も消化出来たのはこのβなので、出来ればもう少し頑張って欲しかった。クセが強いだけに、その癖を消した時は完成度の高い仕上がりになったもので。

β素体使用回数
ショベルゾード、ニードルゾード、スプレーゾード、ファンゾード、チューバゾード2、フォークゾード、フィルムゾード、ダンベルゾード、ワタアメゾード、ムシカゴゾード、ティアラゾード、ドームゾードβ、カラテゾード、クワガタゾード

合計14回

続いてγ素体…デザインは全メガゾード中で最もかっこいいのですが、カスタマイズ性は最もつまらない。何しろ、腕パーツをメタロイドの物と交換するだけと、そんなものばっかりだったからです。ただし、ドームゾードγだけはメタロイドの足パーツと交換してます。スーツの構造的に、自由なカスタマイズが出来なかったんでしょうか?背中に追加パーツを背負わせるとか、頭をメタロイドと交換するとか、そういうのも見たかったんですけど。それとも、最低限のカスタマイズでも充分強いって意味合いでしょうか?もしそれが狙いなら、完全に失敗です。

γ素体素体使用回数
カッターゾード、ダンガンゾード、ソウジキゾード、スパナゾード、ジシャクゾード、ケシゴムゾード、ダンガンゾード2、パペットゾード、ドームゾードγ、パラボラゾード2、ケンゾード

合計11回




今度は、各メガゾードの性能面でのお話し。

αの特徴はスピード、そしてバグゾード。侍戦隊シンケンジャーのオオナナシ連中から正式にスタートした“巨大戦闘員”、その流れを汲むのがこのバグゾード。巨大戦闘員って結構便利なもので、まず新作怪人スーツが無くても充分巨大戦が出来て、かつ安いコストで数が多く作れるので、怪人より戦闘力の劣る戦闘員でも充分主人公側ロボのピンチを演出出来ます。よく海賊戦隊ゴーカイジャーでも、冒頭に時々マジドラゴン等の初期ゴーカイマシンの消化試合をしていましたよね。ただし、安いコストで作れたのはオオナナシ連中だけ(スーツの殆どが等身大戦闘員ナナシ連中と共通だった為)で、海賊戦隊ゴーカイジャーで登場した巨大化出来る上級戦闘員スゴーミン以降は、怪人としても通用する位のクオリティで作られる様になりました。
ただしバグゾードの場合は消化試合目的では無く、単純にαの個性付けとして用意されたものの様です。現に、α無しでバグゾードのみの巨大戦をやったのはたった一回ですし、そもそも設定上αが無いとバグゾードも登場させられないのです(上記のバグゾードのみ戦の場合、事前に倒されていたαの残骸から出現した)。設定的には面白かったバグゾードですが、すぐに使われなくなったのはちょっと勿体無かったかな?大体、αの特徴であるスピードもそんなに活かされなかったし…タイヤゾードで追いかけっこしたくらいでしょうか?


では、パワータイプのβは?こいつが本当によく分からない。大体実写巨大ロボットでパワー表現って地味になりやすいのです。そして元々が太め体型である以上、同じ体系であるメタロイドと相性が良い筈。最初に登場したショベルゾードは、メタロイドもモチーフもパワータイプなのでまぁ分かる、しかしスプレーゾードやフォークゾードやティアラゾードと言った、細身でパワータイプでも無いメタロイドのパーツをβが使うってのはどうも納得が行かない。“αかと思った?残念、βでした☆”って意外性は有りますけど、そんな奴らに限ってパーツが腕や胸だけだったりと、もの凄く地味なカスタマイズで非常につまらない。しかもティアラゾードは、元になったティアラロイドは女メタロイドなのに…。もっとパワーを前面に押し出したメタロイドが多ければ、βの特性も活かせたんですけど…例えばハンマーロイドとか。ダンベルロイドは相性良かったのに、上記の通りカスタマイズが大失敗で…どうしてこうなった。


バランス型のγですが、こいつは序盤だけとは言え強敵扱いだったのでまぁマシな方。序盤のゴーバスターズ側のメガゾード戦力は、上記の通りゴーバスターエースとGB-02ゴリラ。単体でもαやβを倒せる戦闘力は有りますが、γとなるとかなり厳しい。ゴーバスターエースでもγを倒した事は有りますが、完全破壊にまでは至らず機能停止させるのが精いっぱいでした。で、合体形態ゴーバスターオーになって漸く倒せる様になりましたが、それでも転送されてきた敵メガゾードがγだと分かると、「γか、ならゴーバスターオーで!」って流れが出来ていたので、一応強敵感はありました。ただ、γと合体無しでやりあったのはたったの一回だけなので、その強敵感もすぐに薄れてしまいましたが。逆を言えば、αとβは合体するまでも無い弱いメガゾードって事か!?まぁこの二体はγと違い作業用って設定も有りますから、まぁ合点は行くんですけど…。

最後にδですが…こいつが本当にもうアレで。ゴーバスターズの新戦力“ゴーバスタービート”の設計図を基に作られたメガゾード、いわばゴーバスタービートの兄弟機で、γ以上の戦闘力を持っていました。そして上記のタダ乗り能力により、必ず他のメガゾードと一緒に現れます(ただし、δだけが他の場所に潜伏していた場合も有り)。登場もゴーバスタービート登場と合わせた時期であり、このタダ乗り能力はゴーバスターオーとゴーバスタービートのタッグVSメガゾード一体にならない様にする為でしょう。たとえ相手がγでも、ゴーバスターオー一機には勝てない上にゴーバスタービートにまでいられては、完全にオーバーキル。だからδを出してタッグマッチに仕立てた…と。が、ゴーバスターズの戦力強化に伴いδの強敵感もγ同様に三日天下で終わり、早々にαβ同様の雑魚ポジションに。しかも他のメガゾードと違いカスタマイズも無い、つまり毎回同じ姿で現れるのでソッコーで飽きられる始末。カスタマイズ無しでも充分強い機体って位置付けだったのでしょうが、製作スタッフ側もこれではイカんと思ったか、途中からδにもカスタマイズが施される様になりましたが時すでに遅し。しかもγと同様カスタマイズ箇所は腕だけだったので余計にみっともない…もうδは何もかも裏目に出ましたわ・゜・(つД`)・゜・

δ素体使用回数
ブルドーザーゾード、ドームゾードδ、タテゾード

合計3回

各部カスタマイズ、これがメガゾードで一番面白い所ですが、全メガゾードのデザインを見てみると早々にパターンが確立されており、後はその決まったパターンが使われるだけで、早々に飽きてしまいました。それに、カスタマイズ性を謳っておきながらそのパターンは思ったよりも少なく、それもまた飽きられるのに拍車をかけていました。カスタマイズで最も簡単なのは手足をそのまま挿げ替える事ですが、最も簡単=芸が無い事を乱発されたらそりゃ飽きますよ。特にγがそうでしたが、しかもγは本来強敵として設定されていたので、芸の無いカスタマイズがその強敵感を薄れさせる事に繋がっていたのは間違い無いでしょう。まぁ、“性能が高いからこそ大幅なカスタマイズが出来ない”とか設定でカバーする事は可能ですが、上記の様に背中に追加パーツを背負わせるとか、手足挿げ替えや武器を持たせる以外に色々と出来そうな事は有るでしょう。


余談ですが、同じ種類のメタロイドがベースでも、パラボラゾードはα素体とγ素体の二種類で登場しているので、単なるリぺにしたくなかったんでしょうねきっと。


以前にも書いたように、従来の戦隊シリーズの巨大戦ってロボット販促の為の単なる消化試合と化していたもの(特にゴーカイジャー)ですが、ゴーバスターズでは巨大戦にもそれなりの意味を持たせようとの試みが有りました。現に、中盤までは街で暴れるメタロイドより、エネトロンを奪うメガゾードの方が本命でしたから。しかし、その中盤以降はメガゾードがエネトロンを奪わなくなり、本命が街で暴れてデータを集めるメタロイドの方になったので、メガゾードの存在意義が本当に“ロボットのやられ役”に過ぎなくなり、しかもゴーバスターズはどんどん戦力強化されていくのにメガゾードはδ追加だけで、ゴーバスターズに全く対応出来ていない。ただでさえαとβは合体しなくても倒せる雑魚なのに。中盤以降から、メタロイドはメタウイルス製からメサイアカード製に切り替わりパワーアップしたのだから、それに伴いメガゾードも出力アップ!とかの救済案を出してくれれば良かったのですが…。だもんだから、強敵として設定されたはずのγとδも光の速さで雑魚化し、消化試合感を無くす試みとは正反対に、残ったのは今まで以上の消化試合感だけでした。
“アイディアは良かった、でも結果は最悪だった”とは正にこの事で・゜・(つД`)・゜・

パワーレンジャーと言う海外展開が有った事で予算も増え、この様な事が出来る様になりました。等身大怪人と巨大キャラが別の存在、その究極の形はそれぞれが全く別のスーツである事です。これは大戦隊ゴーグルファイブや超電子バイオマンにも見られた試みですが、どちらも予算の都合で中途半端に終わっています…予算が続かない事とスーツを作る手間等が原因でしょう。メガゾード方式は、デカレンジャー方式を元に等身大怪人のパーツを使用する、スーツ作成の手間を短縮しつつ少ない予算で出来るアイディアだったのです。よく考えると、救急戦隊ゴーゴーファイブのゴレム災魔獣でも“巨大化した怪人に新造パーツを付けて強化する”と似た様な事をやってましたが、これも予算の都合かすぐに無くなりました。しかし、今回のゴーバスターズは最後までやり通せた事は喜ばしい。が、喜べることはそこだけで、あとは上記の通り最終的には全て裏目に出た訳で。


では、そろそろ纏めに入ろうと思います。
放送前の特撮誌で“今回の巨大戦のアイディアは斬新ですよ”とコメントされていました、確かに斬新で面白いアイディアでした。しかし良いアイディアが良い結果に繋がるかは全くの別問題であり、そこが本当に残念でなりません。次回作の獣電戦隊キョウリュウジャーでは従来通りの巨大戦をやる様ですが、いつの日かまた等身大怪人と巨大怪人が別スーツの戦隊を作っていただきたいです。メガゾードの経験が、決して無駄にならない事を願って。

メガゾード、フォーエバー。


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