大きな世界の小さな部屋

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次元を裂いて飛んでくる凄いあいつ その1

2012年08月13日 09時52分30秒 | 映像作品
ここ最近忙しくて更新ペースが落ちています、そうなる前に用意しておいたストックネタも尽きてきました。しかし、ちょうどそのタイミングでCSにおいて再放送していた某番組の視聴が終了したので、今回はその作品について語ってみようと思います。

その作品とは、昭和48年に放送していた特撮番組で、タイトルは「流星人間ゾーン」。怪獣映画老舗の東宝が手掛けたテレビ特撮で、ウルトラマン系の巨大特撮にございます。昭和48年と言えばウルトラマンタロウ、そして仮面ライダーV3の年代。私個人の見解ですが、仮面ライダー人気から巨大特撮から等身大特撮にシフトし始めた頃かと。で、そんな時代の流れの中、流星人間ゾーンは少しずつ押されつつある巨大特撮の一つとして、世に送り出されました。尚、主題歌はこちらから。ニコニコ動画ですので会員登録が必要ですが、よろしかったらどうぞ。

基本設定はこうです。宇宙制服を企む悪の宇宙人“ガロガ”、その第一の攻撃目標となった平和の星ピースランド。ピースランドは壊滅しましたが、その生き残りは脱出カプセルに乗り宇宙のあちこちに散っていきました。そしてその内の一つが地球に漂着し、“防人(さきもり)一家”と名乗った彼らは地球を第二の故郷とし、ガロガに狙われた地球を守るために家族総出で立ち向かう…とまぁそんな感じです。

これ系の設定は円谷特撮“トリプルファイター”やアニメだと今はバンダイの子会社となったサンライズ(当時名日本サンライズ)処女作“無敵超人ザンボット3”にも見られた、それほど珍しくない設定です。しかし当然ついて回るのが…「故郷を丸ごと滅ぼした相手に、その生き残りの少数勢力ごときが勝てるわけが無い」と言う厳しい現実。上記のザンボット3だと、故郷を滅ぼした敵勢力が地球に襲来したのが数百年後だったので、数世代を掛けて戦う準備をしてきたから説得力がありました。トリプルファイターは知りませんけど流星人間ゾーンの場合だと…どうも第一話の会話を聞いてると、防人一家が地球に来たのはどうもつい最近、長くて半年前後みたいなんですよね。勝てる訳無いじゃないか!と考えるのは当然ですけど…実は本作は意外な結末を迎えるんですね。まぁその辺は後述。


番組初期には、名優「小林清志」氏によるナレーションでピースランド人について語られます。「彼らはパンドラカプセルに乗り流星人間となって宇宙に散り云々」と言ってます、つまりサブタイトルにもなっている流星人間とは、「宇宙の放浪者」的な意味の様です。そう言えばまだかっこいい響きですけど、もっと身も蓋も無い言い方すると流星人間=宇宙難民だったのか!?私には少年時代から愛読している本「昭和60年度版 全怪獣怪人大百科」ってものがあります、本作はそれで少年時代から知っていたのです。で、その頃からタイトルにもなっているこの流星人間とは本作の巨大ヒーロー「「ゾーンファイター」」を指す言葉だとばっかり思っていたのですが…違ったのかぁ。そしてよくよく考えてみると、地球に流れ着いた宇宙人=密入国者と変わりませんよね…?国際常識では密入国者=国際犯罪者ですが、まぁ彼らの場合は地球を守ってくれるのだから、まぁ大目に見ましょう。ガロガと戦う以外に真面目に働いている以上、税金も払ってそうだし。

ウルトラマン系巨大特撮だと、その代名詞はもちろんウルトラマン。しかし、他にも同ジャンルのマグマ大使とかスペクトルマンとか有りますけど、例えマグマ大使の方が先でも知名度では圧倒的にウルトラマンが勝ってます。となると、巨大特撮を作る際にはウルトラマンとの差別化が重要な要素の一つとなってきますが、流星人間ゾーンの場合はどの様な差別化が取られているのでしょうか?

まず第一に、冒頭にも書いた様にこの頃は巨大特撮から等身大特撮にシフトし始めた時期でもあります。で、ジャンル的には巨大特撮であった本作ですが、戦闘シーンの半分は等身大戦となっています。その際は防人一家の長男「光」、長女「蛍」、次男「明」の三人が変身し、同じく等身大のガロガ星人と戦う訳です。尚、それぞれの変身名はゾーンファイター」、「ゾーンエンジェル」、「ゾーンジュニア」と言います。巨大特撮でありながら等身大戦もやる、なんか後年のメガロマンみたいです。しかし、この等身大戦がどうにも見ててきつい!アクションはそれなりに頑張ってると思うんですが、言葉では上手く表せないんですけど単調ですぐに飽きます。最初の時点で、この等身大戦はいらないんじゃないか?と思い始めたくらいです。そして三兄弟の変身は等身大戦だけでなく、ゾーンファイターの場合は「ゾーン、ダブルファイト!」の掛け声で巨大ヒーローの姿に変身します。等身大では全身スーツに目の露出したマスクの姿でしたが、こちらは顔前面が覆われたマスクに、そして全身スーツにも等身大時には無いベルトが付きます(このベルトはエネルギーゲージを兼用しています)。尚、蛍と明は巨大化出来ません。

では、今度はガロガの方を。正式名称は「ガロガバラン星人」なのですが、本編でこの名称が使われたのはたった数回のみ。子門真人の歌うかっこいい主題歌でも「ガロガの野望をぶち破れ」となっているので、当時放送だけ見ていた子供はこの名前知らないんじゃ?ちなみに、上記の怪獣怪人大百科ではガロガバラン星人と表記されています。

巨大特撮に登場する宇宙人、となるとウルトラシリーズの侵略宇宙人が最もイメージしやすいですが、ガロガの場合は一話限りでは無く全編通じて登場する勢力なので、それよりもマグマ大使のゴアやスペクトルマンの宇宙猿人ゴリの方が近いでしょう。その姿は丸いギョロ目に食いしばった歯、カミキリムシの様に額から伸びた触覚が特徴で、人間に変身する能力を持っています。つまり、それで人間社会に潜伏したりするわけです。しかし防人一家は見分け方を心得ており、ガロガの身体的特徴に「指の間に水掻きが有る」のでそれで区別します。っつーか、そんな分かり易い方法で区別つくのか…だったら擬態の意味が無いんじゃ?番組スタッフもこの事にすぐ気付いたらしく、早い段階から水掻きの付いた手の上から人間の皮膚に似たビニール状手袋を付ける事で解消していました…どうやらこの水掻き、ゴムの様に伸縮自在みたいです。

ガロガは主に宇宙に有る前線基地から指令を出していて、その中には司令官ゴールドガロガがいます。このゴールドガロガは当然スーツで顔出しキャラではありませんが、声優を担当しているのは俳優の幸田宗丸氏です。後に超電子バイオマンでドクターマン様を演じられる方ですね。声だけでも凄く貫禄が有っていい感じでした。しかし、最後まで防人一家と直にやり合わなかったのが残念。

ガロガの侵略手段の代表格、それは「恐獣」。本作における怪獣の事ですが、ガロガの使う怪獣は彼らの作り出した怪獣兵器って設定になっています。ウルトラマンAの超獣みたいなもんでしょうか?各部にメカディテールがあったり、全体的にかっこいいデザインが多いで私は好きなんですけど、よくよく考えるとデザインも超獣っぽいんです。後で知ったんですがこの恐獣って超獣と同じ人がデザインしてたんですね。そしてこの恐獣って名称は、後に東宝特撮「超星艦隊セイザーX」でも使用されました。

この恐獣の運用方法がちょっと面白いんです。恐獣たちは上記のガロガ前線基地にいるのですが、地球で暴れさせるには恐獣を地球まで運ばなきゃなりません。普通の巨大特撮だったら、地球の生き物を怪獣に改造して現地調達したり、または円盤などで適当に運んできたりするのですが、ガロガの場合はとても変わった手段を用いています。なんと恐獣をミサイルに詰め、それを地球目掛けて発射するのです…これを「恐獣ミサイル」と言います。幸田宗丸氏繋がりで超電子バイオマンで例えますけど、あれでは巨大ロボット「メカジャイガン」を輸送カプセルに詰めて運んでいましたが、ちょうどそれに似ています。地球に到達したミサイルは空中で爆発、中から恐獣が現れ着地するのですが、背中にパラシュートが付いてるので、ゆっくりのほほんと降りてくるその様は何度見ても吹きますw尚、パラシュートも早い時期に無くなりました。

ガロガの操る恐獣には二種類ありまして、一つは上記の恐獣ミサイルで輸送される恐獣。そしてもう一つが、ガロガが変身する恐獣。区別する為に便宜上「ガロガ恐獣」と呼びます。しかし恐獣は大抵がミサイルの方が多く、ガロガ恐獣はむしろ少数派。恐獣は全部で29種類ですが、その内でガロガ恐獣はたったの4種!まぁ恐獣ミサイルに魅力を感じていたので、むしろガロガ恐獣が少ないのは喜ばしいです。だって、ガロガが変身したらその辺の巨大特撮と大差ないでしょーに。


恐獣出現と共にゾーンファイターは巨大変身して戦いますが、こちらにもウルトラマンとの差別化が図られています。まずウルトラマンの代名詞でもある時間制限、ゾーンファイターにはそれがありません。ただし、必殺技を使うなどのエネルギー消費による戦闘力低下は有り…この辺はスペクトルマンに近いです。でもここからが面白い所で、デフォでエネルギーの補給が出来るんです。その補給係を務めるのがゾーンエンジェルとゾーンジュニア、彼らは小型飛行メカ「スモーキ」に乗り込み、エネルギーを消費したゾーンファイターのエネルギーパックを交換します。ゾーンファイターの額についている赤いキャップ状クリアパーツがそれに当たり、射程距離50メートル以内に近づいて代わりのエネルギーパックを打ち込む事でそれを行います。そうですね…例えて言うならアニメですがGEAR戦士電童のハイパーデンドー電池、又は「アンパンマン!新しい顔よ!」みたいな感じですね。

でも直接手で交換する訳では無いので、恐獣に邪魔されて失敗する場合も有ります。特に後半はしょっちゅう失敗していましたが、おかげで緊張感が高まったのでそれはそれでアリでしょう。二度三度と行い漸く成功、これまでフラフラだったゾーンファイターがエネルギー全回復と同時にBGMが熱い主題歌に切り替わり、あとは「ずっと俺のターン!」状態に。この流れは熱いので、このエネルギー補給システムのアイディアは加点要素です。尚、初期にはスモーキを使わず2人が直に光線状エネルギーをエネルギーパックに照射して補給した事も有りましたが…だったらスモーキいらないじゃん。そして第二話に於いて、この光線で恐獣の首を切断しています…色が違うのでエネルギー補給光線とは別のものでしょうけど、お前らゾーンファイターより強いだろ!?

さて、エネルギーを補給され元気になったゾーンファイター。普通の巨大特撮だったら必殺技は光線な訳ですが、ここにも差別化が見られます。ま、確かにゾーンファイターにはエネルギーパックから発射する「流星プロトンビーム」なる光線技もあります(尚、上記のエンジェル&ジュニアの恐獣の首を落とした光線、このプロトンビームと同じものの様です)。が、それよりも使用頻度が多いこちらの必殺技の方が印象深いです。その名も「流星ミサイルマイト」、掛け声と共にゾーンファイターの両手首に巻き付く様な形のミサイルポッドが装着され、そこから恐獣目掛けてミサイル一斉発射!降り注ぐミサイルの雨霰、堪らず恐獣は爆発四散!巨大ヒーローで必殺技が銃火器ってアイディアは非常に斬新で、ここを買われてゾーンファイターに魅力を感じている人も少なくないとか…はい私もその一人です。この流星ミサイルマイトはマジでかっこいいですよ。

→次回に続く。


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2 コメント

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Unknown (ちょむ)
2012-08-15 01:49:48
特撮レビューも嬉しいです

次回も楽しみにしております。

しかしエースの超獣とデザイナーが一緒とは驚き

特撮もそういう面から見ると面白いものです
あと電童電池の例えがわかりやすくて良いですね(笑)
Unknown (ALE)
2012-08-16 09:11:12
言われてみれば、確かに恐獣と超獣って雰囲気が似てるんですよ。
画像を用意出来ないのが残念ですが、普通だったら尖っている背鰭が球形になっていたりとか、
彩色が派手だったりとか。例えば初期に登場したレーザー恐獣スパイラー、ウルトラマンエース
のバキシムとベロクロンを混ぜた様な感じでしたしw
↓ここにちょっとだけその画像が有ります

http://blog.goo.ne.jp/kadomiumtank/e/694971923d38cefc68cc118a2bd83139

エネルギー補給システムは色々考えたのですが、デンドー電池なんかまさにそのものだったので、
例えとしては正解でしたね。

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