在宅透析の指導中、よくここまで・・・と思うほど、色々なトラブルを想定した
訓練・テストを行ないました。
たとえば「プライミングトラブル」
まぁこのトラブルは 穿刺前(透析開始前)のことなので、特別慌てて行なう処置
ではありません。
もし起こってしまった際は、テキストを見ながら処置すればいいことで、暗記する
必要性はあまり感じませんが、このプライミングトラブルはよくテストされました。

病院で自分でプライミングを行い、完了したところで、指導の看護師さんが生食パック
からプラスチック針を抜き、V回路の先端のカンシを外してバケツに設置し、エアーを
入れて回路に満たしたヘパ生を流していきます。
「生食補液ラインまで空気が入ってしまった場合」
(↑コレは処置もカンタン。)
「動脈側血液回路まで空気が入ってしまった場合」
(コレがまた厄介。Aチャンバーより手前の場合・後の場合と、処置の仕方が全く異なります。
正直コレを覚えるのにとてつもなく苦労しました。)←記憶力超悪いので(涙)
「ダイアライザー以後まで空気が入ってしまった場合」
(ダイアライザーまでエアーが入ってしまったほうが、上記のAチャンバーの場合
よりはるかに処置はラク。実際、Aチャンバー手前&以後までエアーが入ってしまったら、
ダイアライザー以後までわざとエアーを入れて処置したほうがずっと簡単です。)
上記のような状態を看護師さんがわざと作り、それを処置していきます。
(在宅指導中はもちろんでしたが、今でも半年ごとのテストで時々登場するので、
たまにテキストを見直さないと 脳から完全に自動消去されます。)(; ̄ー ̄A
まず、基本の生食補液ラインまで空気が入ってしまった場合の対処。
この処置は、この後のAチャンバー・ダイアライザー後までエアーが入った場合の
時にも用います。
<生理食塩水補液ラインまで空気が入ってしまった場合>
①生食補液ラインと動脈側血液回路との合流部の血液ポンプ側にカンシでかける。
②空になった生食パックからプラスチック針を抜き、新しい1000mlヘパリン加生食
パックに刺し替える。
※ただの生食ではなく、プライミングなのでヘパリン1000Eを加え、ヘパ生にして
から針を刺し替える。(←結構忘れやすいです。でも重要なポイント。)
③動脈側血液回路先端をバケツにたらす。(先端はバケツの底に付いて不潔にならないよう、
バケツのふちに回路先端部分を乗せ、テープで固定する。)
④生食補液ラインのローラークレンメを開け、エアトラップをヘパ生で満たし、
そのままA側回路先端まで満たす。
⑤動脈側血液回路先端から約30cmのところにカンシをかけ、架台のフックにかけ、
①で かけたカンシを外す。
⑥静脈側血液回路(V側)先端を、排液バケツに不潔にならないようにたらし、
カンシがかかっていれば外し、血液回路を開放する。
⑦血液ポンプの電源をONにし、血流300ml/分に設定。生食パックの残りが
300~400mlになるまで血液回路を洗浄する。
<動脈側血液回路まで空気が入ってしまった場合>
・Aチャンバーより手前の場合
①~④ 上記の「生食ラインまでエアーがはいってしまった」の項①~④に同じ。
⑤動脈側血液回路先端から約30cmのところにカンシをかけ、架台のフックに
かけ、①で かけたカンシを外す。
⑥静脈側血液回路先端を排液バケツにたらし、静脈側血液回路の先端のカンシを外す。
⑦Aチャンバーを上向きにセットする。
⑧血液ポンプを30ml/分でゆっくり回す。
(ポンプを回す前に、カンシの有無を確認することを忘れずに。)
⑨Aチャンバーの液面が半分位 になったら血液ポンプをとめる。
⑩Aチャンバー直下 にカンシをかける。
⑪Aチャンバー上部のサンプルポート部をアル綿で消毒する。
⑫18G注射針を、チャンバー上部のサンプルポート部に垂直に刺す。
⑬再度、血液ポンプを30ml/分でまわす。
⑭Aチャンバー内が生食で満たされたら、血液ポンプをとめ、18Gを抜く。
⑮⑩でかけた、Aチャンバー直下のカンシを外す。
⑯生食が400ml~300ml になるまで通常通りのプライミングを行なう。
・Aチャンバーより後(ダイアライザーより手前)の場合
①空になった生食パックからプラスチック針を抜き、新しいヘパ生(1000ml)の
パックに刺し替える。
②Aチャンバーを逆さまにセットする。
③ダイアライザーの静脈側血液回路直下にカンシをかける。
④動脈側血液回路を ダイアライザー接続部から外す。
⑤↑で外した 動脈側血液回路接続部を手に持ち、血液ポンプを30mlくらいで
ゆっくり回す。
⑥手に持っているA側血液回路先端からヘパ生があふれてきたら、血液ポンプをとめ、
ダイアライザーと接続する。
⑦Aチャンバーを元に戻し、③で かけたダイアライザー直下のカンシを外す。
⑧生食の残りが400~300ml位になるまで、通常のプライミングを行なう。
<ダイアライザー以後まで空気が入ってしまった場合>
①A・V 両方のチャンバーを逆さまにセットする。
②空になった生食パックから プラスチック針を抜き、新しい1000mlのヘパリン加生食水
に刺し替える。
③血液ポンプ電源スイッチをONにし、血流50ml/分で回す。
④Aチャンバーにヘパ生が満たされたら、Aチャンバーは上向きにする。
⑤Vチャンバーも同じように、ヘパ生が満たされたら上向きにセット。
※回路の節々も、エアーがたまりやすいのでカンシで叩く。
静脈側回路のエアーは直接血管内に入ってしまうので、通常のプライミングの際も
回路の節々をよく叩き、エアーを飛ばすこと。
⑥血液ポンプの速度を300ml/分に上げ、ダイアライザーを叩いて空気を抜く。
⑦生食パックの残りが300~400mlになったら血液ポンプをとめる。
⑧Vチャンバーの液面を少し下げ、バケツにたらした V側回路先端(30cm程上)にカンシを
かけ、フックにかける。
⑨その後は通常のプライミング。
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かなり長くなりましたが、以上が実技テストでよく行なった、プライミングトラブルです。
その他教わったプライミングトラブルは 難しいものではありません。
<ダイアライザーを床に落としてしまった場合>
・ダイアライザーが破損している可能性があるため、使用せずに次回外来時に持参する。
<カンシをかけたまま血液ポンプを回してしまった場合>
・ダイアライザーのリークや 血液回路の破損の可能性があるので、使用せずに破棄し、
新しくプライミングをし直す。
<血液回路・ダイアライザー・ヘパリン注入ラインなどの接続部を
不潔にしてしまった場合>
・アルコール綿花で「不潔」にしてしまった箇所を拭く。
(素手で触れてしまっただけでも、もう「不潔」になってしまいます。)
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実際、病院でプライミング中、自分のうっかりミスでダイアライザーをリークさせて
しまったことがあります。
自宅でも一度(原因は違いますが)リーク寸前の時があったので、やっぱり覚えておいて
損はありません。(漏血警報が出なかったので、そのまま透析しましたが。)
( ̄0 ̄;アッ 今思い出したけど、自宅で実際にリークさせてしまい、回路&ダイアライザー
一式取り替えたこともあります。
また、在宅で透析を行なうようになってから、一度だけ プライミング中にAチャンバー
手前まで空気が入ってしまったことがあります。
でも上記のとおり、手技が面倒だったので、そのままダイアライザー以後まで空気を
入れ、A・Vチャンバーを逆さまにして対処しちゃいました。
(↑看護師さんにバレたら叱られるかも・・・。)
指導中は難しく感じたプラトラ(←私たちの中ではこう 略してます。)も、実際に自宅で
透析を行なうようになると、指導中の時よりも自然に透析のことがわかってきて、
難しく感じていたプラトラの対処方法も 自然に覚えちゃいます。
(指導中は まだ基本的なことがわかってなかったりしたので、すごく難しく感じました。)
プライミングトラブルを記載したのに、肝心のプライミングを記載していなかったことに
今気付きました。!Σ( ̄ロ ̄lll) 一番大事なプライミングも 今度書いてみます☆
(あと、実際にやってしまったリークなど、失敗談などもまた紹介します☆)
↑自慢できることじゃないっつーの。
