烏鷺鳩(うろく)

切手・鉱物・文学。好きな事楽しい事についてのブログ

サントメ・プリンシペ 恐竜と鉱物の切手シート 2009年(2)

2018-08-01 | 切手


カウディプテリクスとダイオプテーズ。下段左側の切手である。
カウディプテリクスは「羽毛を持った恐竜化石」として有名な種の一つである。白亜紀に生息していた、体長90cmほどの小型の獣脚類なのだが、歯を持たない。
ここで、羽毛がどのようにして進化していったのかを見てみたい。


羽毛の進化の段階的変化(『恐竜学入門』p.216)

タイプ1:単純な中空の筒状繊維。
タイプ2:1本の根から多数に枝分かれした繊維が伸長した房の状態。
タイプ3:繊維状の房が平面に一列に並んだ状態(タイプ3a)もしくは、羽枝と小羽枝が発達した状態(タイプ3b)。そしてついに羽枝が平面上に並んだ構造が新たに発達する(タイプ3a+b)。
タイプ4:羽板が閉じた状態、すなわち小さなフック状の小羽枝が隣接する小羽枝の溝にはまり、一体化したしっかりした構造の羽板を形成することで空気をほとんど通さないような状態。
タイプ5:羽板が羽軸に対して非対称になっている(例、風切羽)。


段階でいうと、カウディプテリクスは「タイプ4」の羽毛を持つのである。同じタイプの羽毛を持つ恐竜に、なんと、ティラノサウルスとオヴィラプトルがいるのだ。

近年、羽毛を持った獣脚類の化石が続々と発見されている。プシッタコサウルスのような鳥盤類にも羽毛があったことから、「鳥=恐竜説」はほぼ確定といっても良いのではないだろうか。ということは、まだ恐竜は絶滅していない・・・!!


さて、そのカウディプテリクスの横に描かれているのが、”Dioptase”(「翠銅鉱」)である。
その美しさはエメラルドと誤認されたほどなのだ。

翠銅鉱がこれほど柔らかくなければ、また劈開が強くなければ、色調の美しいエメラルドにひけをとることはなかったことだろう。菱形の端面を備えた柱状結晶の中には、非常に透明度が高いものがある。その性質に因み、“通して”と“見える”を意味するギリシャ語diaとopazeinからとって、dioptaseと名付けられたものである。(『岩石と宝石の大図鑑』p.286)

図鑑で見ると、青みがかった深い緑色が大変美しい鉱物である。これも是非現物を見てみたいものだ。




さて、セントロサウルスを挟んで右端には、コンプソグナトゥスとヴァナディナイト(褐鉛鉱)が。
コンプソグナトゥスはジュラ紀に生息していた獣脚類で、体長は1.3mほど。意外に大きい。「ロスト・ワールド」で、集団で人間を襲っていた、あの小さくて怖いやつである。本当にそのような狩りをしていたのかは定かではないが、すばしっこい獲物を捕まえていたことは確かなようだ。というのも、「すばしっこいトカゲのほぼ全身骨格を飲み込んだ状態」(『恐竜学入門』p.188)で発見された化石が存在するのである!

さて「褐鉛鉱」は以前、「モロッコの褐鉛鉱」の回にてご紹介したことがあるので、写真をもう一度見て頂くことにしよう。



六角形の結晶が煌めいていて美しい。


今回の切手は恐竜と鉱物という、私の二大好物盛りだくさんだった。ゴージャスすぎて一つ一つを大まかにしか紹介できなかった。私としては、次回のミネラルショーで見つけたい鉱物ができたので、楽しみが増えたというものである。



【参考文献】
・『岩石と宝石の大図鑑』 青木 正博 翻訳 (誠文堂新光社 2007年4月10日)
・『恐竜学入門』Fastovsky, Weishampel 著、真鍋真 監訳、藤原慎一・松本涼子 訳 (東京化学同人、2015年1月30日)