烏鷺鳩(うろく)

切手・鉱物・文学。好きな事楽しい事についてのブログ

恐竜切手の切手:ウガンダ 2013年

2019-07-07 | 切手


空にランフォリンクスが舞う峡谷。イーゼルにはたった今描き上げたばかりのイグアノドンの絵。
恐竜の住む世界でスケッチをしているかのような気分になる。
そして、不思議な入れ子状のような空間と現実世界を結びつけるのは、絵筆を握る画家の手である。

ウガンダから2013年に発行された小型切手シートだ。この切手シート、過去に様々な国で発行された恐竜切手をモチーフにした、「切手の切手」なのである。


「切手の切手」というのは人気のあるトピックで、これを専門に集める収集家もいるくらいだ。
モチーフになっている切手というのは、過去に発行された有名な切手、例えばイギリスの「ペニーブラック」だったり、日本ならば「龍文切手」などである。
沖縄のふるさと切手には、戦後の米軍占領下で発行された「沖縄切手(琉球切手)」の一番最初と最後の切手を図案化したものが発行されている。
つまり、「切手の切手」は、そういった過去の切手にオマージュを捧げる様な意味合いがあるのだ。




さて、このウガンダの切手シート、切手の本体はマリで1984年に発行されたイグアノドンの切手なのであるが、私の手元にある資料、『よみがえる恐竜たち』に載っている切手と若干背景の色が異なる。さらには、ウガンダの方は元の額面が消されているのだが、「25」と読める。『よみがえる恐竜たち』に載っているバージョンは「175」なのだ。なんだろう、この違いって。
私はマリで発行されたオリジナルの切手を持っていないのでなんとも言えないのだが、もしかするとウガンダの方で背景の色と額面をわざと変えたか、マリの方で額面の異なる切手を実際に発行していたと言う可能性がある。これは今後の調査課題である。


シートの右側に描かれた切手を見てみよう。
一番上はアメリカで発行された1989年に発行された4種のうちの、プテラノドンである。



こちらが4種田型である。プテラノドンの他はティラノサウルス、ステゴサウルス、アパトサウルスだ。

その隣はマーシャル諸島発行のスティラコサウルスであるが、こちらは残念ながら手元に実物がない。こちらも今後の切手発掘調査の課題である。

お次は1993年発行のルーマニアのアパトサウルスである。



こちらは使用済みを持っているのだが、もう一種、アーケオプテリクスが不在なのである。是非未使用の揃いを発掘したいところだ。

さて最後はティラノサウルス。



こちらは1994年にタンザニアで発行された7種の切手のうちの1枚である。虹色のカラフルな背景といかにも爬虫類、もっというとゴジラっぽい質感の厳ついティラノサウルスだ。


モチーフになっている切手はそれぞれが面白いデザインであり、それぞれに楽しい情報が詰まったシリーズとなっている。
このウガンダの「恐竜切手の切手」、小型切手の題名は「恐竜 切手の中の世界」である。
観れば観るほど恐竜切手の奥深い世界が広がっていく。このシートの背景に描かれた峡谷のように、恐竜が闊歩する世界がこの小さな切手の中に何処までも広がっているように思えてならない。