吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

また産科事故 その3

2016年09月01日 06時11分12秒 | 日記
 過去に有名な「大野病院事件」があった。医師が不当逮捕で拘束された事件である。検察側の用意した医師鑑定人が経験不足のため、ずいぶんと紛糾したものの結局被告医師は無罪となった。
 しかしあの事件以来、産科医を希望する医者が激減し、現在の産科医療は崩壊の危機に瀕している。だれしもいつ自分が逮捕されるか分からない分野での仕事は選ばないだろう。患者(患児)が死亡、または高度障害を残すとすぐに「医者のせいか?」という懐疑的な風潮を否定はしない。
 それもよかろう。しかしまるでクレーマーのように行き過ぎると日本の医療はますます萎縮医療になり、医師は誰もリスクをかかえながら頑張ろうという気にはならなくなるのである。
 今後ますます日本の医療は委縮し崩壊していくだろう。

 30年まえ米国留学から帰国した医師から聞いた米国の訴訟社会の話が今、日本にも起こっている。
 当時、入院すると分厚い小冊子が患者に渡されてそれに起こりうる合併症やら何やらがすべて書かれており、それに目を通して同意書にサインをする(サインしなければ医療が始まらない)という当時の米国のシステムを聞いた。この時、「米国では患者と医療側はこんなにも信頼関係がないんだな。日本じゃありえない話」と思ったのである。しかし、今では米国と同じになってしまっている。どうなんだか?

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