本家ブログの「ブータンの話」で、Twitterの方で、この『浮世の画家』が話題になりました。この小説はいまさら説明も不用でしょうけど、カズオ・イシグロのデビュー作ですね。戦中に愛国的な画風で一世を風靡した絵画家が、戦後一転してその画風ゆえにさまざまな悲哀や孤独を感じていくというものです。なにか劇的な事件があるわけではなく、ひっそりとした孤独の画家と娘たちその家族、そして過去に往来のあった人々との交流が中心です。そして失われてしまった過去を老人のとりとめもない回想という形式を挿入しながら淡々と進行していきます。ただ主人公の外的な風景はものすごい勢いで変化していきます。物語の冒頭の敗戦の風景が、その後の日本の高度成長を暗示するシーンで終わるなど、ますますこの老大家の心象にうっすらとした陰影を与えます。
素晴らしい作品ですね。ブータンのやりとり自体は殺伐としていますがw この作品にめぐりあえたのは幸いです。ご教示いただいた方には感謝します。
『浮世の画家』http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4151200398/
素晴らしい作品ですね。ブータンのやりとり自体は殺伐としていますがw この作品にめぐりあえたのは幸いです。ご教示いただいた方には感謝します。
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