掃除で少し遅れた分、既に人通りは少なくなっていた。
まばらに通る帰宅部の方々以外見るものはない。
そういえば岩白って……
「そういやお前さ、部活とか入ってないのか?」
「ん? 見た通り帰宅部だけど。何で?」
「いや、木刀持ってたから剣道とかやってんじゃないかなって」
「あんなの見た目だけよ。あの木刀はお父さんが昔使ってた奴。
それっぽく見せるために構えだけ教えてもらったの」
「賽銭泥棒対策にか?」
「そう。あの時の日永君の様子だと効果的面みたいね」
確かにあの時は激しくビビった。あれが見た目だけって、情けないな俺……
と言うか、よくそれだけで不審者に向かっていけるな。
「ところで、今日センは大人しくしてた?」
「さあな。ずっと一緒に居たわけじゃないから解らん。
まあ心配ないだろ。消えてるんだし」
俺の見てないところでも消え続けててくれたらの話だが。
……更衣室から俺の所に来るまでの間はアウト確実なんだけどね。
「何もなかったの? 面白くないわね」
面白がるなよ。
「何もなかったってこともないんだがな」
ホントに面白くなさそうなので、とりあえず報告しておくか。
つまらん報告になりそうだが。
「なになに? 何があったの?」
興味津々だ。何も起こらないように努力した自分が悲しくなった。
昼食が少し遅れる程度の努力だったが。
「更衣室で食事は確保できたらしい。で、ここの制服着てた」
「ふーん。物好きも居るものね。わざわざ制服なんか欲に出すなんて」
「体育するぐらいなら教室に戻りたいってことなんじゃないか?」
俺は更衣室に入るといつもそう考えている。面倒臭いし。
「うーん……まあ、体育は何するかによっては全然おもしろくなかったりするしねぇ」
「単純に制服が気に入ってるってこともあるかもな」
「……そういう趣味なの? 日永君」
「どういう意味だ」
「制服マニアとか、もしかしたら女装とか……」
なんで俺の話になってんだよ。
「え、明さんってそうなんですか?」
「ぬおっ!?」
真後ろから予想外の声。
「あらセン。いつからそこに?」
門の柱と俺達の間、その狭い隙間にいつの間にかセンが立っていた。
「たった今来たばかりです。
消えたまま来たので、お二人の陰に隠れて実体化しようと思いまして……」
「ずっと消えっぱなしだったの?」
「いえ、制服着てからは暫らく見えるままで歩き回ってました」
「何か面白いことあった?」
さっき俺にしたのと同じ質問。
「はい! 明さんのお友達と知り合いになりました!」
「ふーん。どんな人?」
「えっと……こんな感じの……」
目を細める。
「なんか怖いわね……」
俺も最初はそう思った。
「でもいい人でしたよ。明さん梅干貰ってたし」
それはいい人、と言うにはあまりに微妙な情報だな。
「……まあ、とにかくよかったじゃない。学校来て正解ね」
「はい!」
とにかくって、何か引っかかる言い回しだな。……おっと、忘れるとこだった。
「忘れないうちに言っとくけどな」
「なんですか?」
「何?」
「俺は制服マニアじゃないし、女装癖もない」
「ああ、そう言えばそんな話だったわね」
「あ、やっぱりそうなんですか? 面白そうだったのに……」
どうでもよさそうな岩白と、残念そうなセン。
全く逆の反応だが、どっちも腹が立つのはなんなのだろう。
すっかり人通りがなくなった校門に、三人組がやって来た。
外へと向かうその三人組を見て、もうここに居る必要がないことを思い出す。
「じゃ、そろそろ帰るか」
まばらに通る帰宅部の方々以外見るものはない。
そういえば岩白って……
「そういやお前さ、部活とか入ってないのか?」
「ん? 見た通り帰宅部だけど。何で?」
「いや、木刀持ってたから剣道とかやってんじゃないかなって」
「あんなの見た目だけよ。あの木刀はお父さんが昔使ってた奴。
それっぽく見せるために構えだけ教えてもらったの」
「賽銭泥棒対策にか?」
「そう。あの時の日永君の様子だと効果的面みたいね」
確かにあの時は激しくビビった。あれが見た目だけって、情けないな俺……
と言うか、よくそれだけで不審者に向かっていけるな。
「ところで、今日センは大人しくしてた?」
「さあな。ずっと一緒に居たわけじゃないから解らん。
まあ心配ないだろ。消えてるんだし」
俺の見てないところでも消え続けててくれたらの話だが。
……更衣室から俺の所に来るまでの間はアウト確実なんだけどね。
「何もなかったの? 面白くないわね」
面白がるなよ。
「何もなかったってこともないんだがな」
ホントに面白くなさそうなので、とりあえず報告しておくか。
つまらん報告になりそうだが。
「なになに? 何があったの?」
興味津々だ。何も起こらないように努力した自分が悲しくなった。
昼食が少し遅れる程度の努力だったが。
「更衣室で食事は確保できたらしい。で、ここの制服着てた」
「ふーん。物好きも居るものね。わざわざ制服なんか欲に出すなんて」
「体育するぐらいなら教室に戻りたいってことなんじゃないか?」
俺は更衣室に入るといつもそう考えている。面倒臭いし。
「うーん……まあ、体育は何するかによっては全然おもしろくなかったりするしねぇ」
「単純に制服が気に入ってるってこともあるかもな」
「……そういう趣味なの? 日永君」
「どういう意味だ」
「制服マニアとか、もしかしたら女装とか……」
なんで俺の話になってんだよ。
「え、明さんってそうなんですか?」
「ぬおっ!?」
真後ろから予想外の声。
「あらセン。いつからそこに?」
門の柱と俺達の間、その狭い隙間にいつの間にかセンが立っていた。
「たった今来たばかりです。
消えたまま来たので、お二人の陰に隠れて実体化しようと思いまして……」
「ずっと消えっぱなしだったの?」
「いえ、制服着てからは暫らく見えるままで歩き回ってました」
「何か面白いことあった?」
さっき俺にしたのと同じ質問。
「はい! 明さんのお友達と知り合いになりました!」
「ふーん。どんな人?」
「えっと……こんな感じの……」
目を細める。
「なんか怖いわね……」
俺も最初はそう思った。
「でもいい人でしたよ。明さん梅干貰ってたし」
それはいい人、と言うにはあまりに微妙な情報だな。
「……まあ、とにかくよかったじゃない。学校来て正解ね」
「はい!」
とにかくって、何か引っかかる言い回しだな。……おっと、忘れるとこだった。
「忘れないうちに言っとくけどな」
「なんですか?」
「何?」
「俺は制服マニアじゃないし、女装癖もない」
「ああ、そう言えばそんな話だったわね」
「あ、やっぱりそうなんですか? 面白そうだったのに……」
どうでもよさそうな岩白と、残念そうなセン。
全く逆の反応だが、どっちも腹が立つのはなんなのだろう。
すっかり人通りがなくなった校門に、三人組がやって来た。
外へと向かうその三人組を見て、もうここに居る必要がないことを思い出す。
「じゃ、そろそろ帰るか」
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