(有)妄想心霊屋敷

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来る年も、更に来る年も

2007-01-01 13:15:40 | 短いもの
「起きてくださいッス。おせちの準備できましたッスよ」
「ん……おはよう」
「明けましておめでとう御座いますッス。今年も宜しくッス」
「おめでとう……」

「えー、それでは改めて。新年、明けましておめでとう御座いますッス。
 今年も宜しくお願いしますッス。では、頂きますッス」
「頂きます」

「不味い」
「そう言いながらいつも食うの早いッスよね」
「…………」
「どうかしたッスか? 新年早々元気ないッスね」
「年、越しちゃったわね」
「へ? ええ。それが何か?」
「私、いつまでこんななのかなって」
「ああ、料理のことッスね? 大丈夫ッスよ。
 最近は結構美味しくなってきてるじゃないッスか」
「いや、そうじゃなくて。……いつまでここに居続けるんだろうって」
「まあ成仏する方法なんて解らないッスからねぇ」
「ごめんね。今まで迷惑掛けっぱなしだったでしょ?」
「迷惑どころか、会ってすぐの頃は俺の事呪い殺そうとしてたッスよね」
「……今考えると、とてつもなく馬鹿よね。あれは」
「結論が『呪いなんてない』ッスからねぇ」

「さて、突然ですが質問ッス」
「何?」
「もし今成仏できるとしたら、するッスか?」
「それは……」
「する、なんて言い出したら俺は止めるッスよ」
「え?」
「どう考えても良くないことッスけどね。でも止めるッス。絶対に」
「そりゃあ私だって出て行きたいわけじゃないわよ? でも……」
「長々と迷惑掛けてるから、ッスか?」
「…………」
「そりゃあ一緒に暮らしてりゃ迷惑ぐらいかけて当たり前ッスよ。
 当たり前なんだから気にすることないッス」
「…………」
「だから、今年も宜しくッス」
「…………」
「宜しくッス」
「……うん。今年も宜しく」
「ついでに来年も再来年も」
「早く食べなさいよ」
「ぬっ……」
「……宜しくね」


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