三番ホールに到着。
「うわ、人全然居ないな」
「ホンマですねぇ」
見渡しても、ぽつぽつとしか人が居なかった。
そんな中で出入口から少し上段に目立つ五人組。校門の集団だった。またあいつらか。
「あれ? あの人……」
今日香が小さく声をあげる。その視線は俺と同じく、五人組を捉えていた。
「知ってるやつが居るのか?」
「知ってるっちゅーか同じクラスってだけで殆ど喋ったことないんですけど……
あのほら、左端の女の子」
左端は男だが……左の女の子のことかな。髪が短い方の。
「あの人、最近お兄さんが亡くならはってんやけど……元気そうやね。
でもほんまは辛いんやろなぁ、あんだけ仲良かったんやし」
おお、急な話だな。……仲が良かった?
「そのお兄さんのことも知ってるのか?」
「お兄さん、毎日放課後になったらうちのクラスまで妹さん呼びに来てはりましてん。
あんまり声おっきいから目覚ましにしてはった人も居はるくらいやったんですよ」
でかい声と言うとタダ見とかわめいてた奴ぐらいなんだろうか。あの左端の。
「ってことはお兄さんもあの高校の生徒か」
部外者が教室まで呼びに来るのはちょいと考えにくいし。
「ええ。二年やったそうです」
「ふーん……」
学校から二人死人が出たのは知っていたが、
正直顔も名前も知らんやつが死んでもなんとも思わん。
二人とも交通事故だっけ? なら『車怖いねぇ』くらいだな。
そんなことより早く席に着こうか。こんな所で突っ立っててもなんだし。
「じゃあ行くか」
「あ、そ、そですね。……ごめんなさい。いらんこと言いましたね」
まずい話をした、と言わんばかりに口を手で覆う。
「いやまあそんなこと気にしなくても」
……『そんなこと』か。結構酷いこと言うな俺。
五人組の更に上の列に明日香とセンが座っていたので、並んで座る。
結果、左から明日香・セン・俺・今日香の順になった。
「あ、これ明日香に回してもらえます?」
隣からジンジャーエールを渡された。
「明日香に」
センに渡す。
「明日香さん」
明日香に渡る。
「ん、おお。ありがとうなー。今日香ー」
今日香が見えるように体を前にかがめてお礼。反射的に体を後ろに逸らす俺とセン。
「ほなこれ、今日香に」
何かがセンに渡る。
「今日香さんに」
渡されたのは、ジュース代だった。
「今日香」
掌に金を乗せ、渡そうとする。
「ありが……」
受け取ろうと差し出された今日香の手が止まる。
「どうした?」
金額が違うのだろうか。
「…………」
返事はなく、今日香の手が俺の手の下に潜り込む。
何がしたいのかよく解らんが、
とりあえず金を落とさないように握った手を今日香の手に乗せ、
「!!」
開く。
「えっわっあっ」
……落としてしまった。落とさないように渡したつもりだったんだが。
落ちた金の音を聞いて、明日香があきれたような声を上げた。
「なぁにしとんのや明ー」
「俺じゃねえ」
「ご、ごご、ごめんなさい」
おや、喋りが最初の頃に戻ったようだ。……なんでだ?
落ちた時の音からして、恐らく足元にはある筈だ。しかし暗くてなかなか見つからない。
「あ、百円ありましたよ」
センが百円玉を発見し、残るは百円玉もう一枚。
それにしてもLサイズ二百円って高いよな。Lっつっても缶と同じくらいなのに。
「うわ、人全然居ないな」
「ホンマですねぇ」
見渡しても、ぽつぽつとしか人が居なかった。
そんな中で出入口から少し上段に目立つ五人組。校門の集団だった。またあいつらか。
「あれ? あの人……」
今日香が小さく声をあげる。その視線は俺と同じく、五人組を捉えていた。
「知ってるやつが居るのか?」
「知ってるっちゅーか同じクラスってだけで殆ど喋ったことないんですけど……
あのほら、左端の女の子」
左端は男だが……左の女の子のことかな。髪が短い方の。
「あの人、最近お兄さんが亡くならはってんやけど……元気そうやね。
でもほんまは辛いんやろなぁ、あんだけ仲良かったんやし」
おお、急な話だな。……仲が良かった?
「そのお兄さんのことも知ってるのか?」
「お兄さん、毎日放課後になったらうちのクラスまで妹さん呼びに来てはりましてん。
あんまり声おっきいから目覚ましにしてはった人も居はるくらいやったんですよ」
でかい声と言うとタダ見とかわめいてた奴ぐらいなんだろうか。あの左端の。
「ってことはお兄さんもあの高校の生徒か」
部外者が教室まで呼びに来るのはちょいと考えにくいし。
「ええ。二年やったそうです」
「ふーん……」
学校から二人死人が出たのは知っていたが、
正直顔も名前も知らんやつが死んでもなんとも思わん。
二人とも交通事故だっけ? なら『車怖いねぇ』くらいだな。
そんなことより早く席に着こうか。こんな所で突っ立っててもなんだし。
「じゃあ行くか」
「あ、そ、そですね。……ごめんなさい。いらんこと言いましたね」
まずい話をした、と言わんばかりに口を手で覆う。
「いやまあそんなこと気にしなくても」
……『そんなこと』か。結構酷いこと言うな俺。
五人組の更に上の列に明日香とセンが座っていたので、並んで座る。
結果、左から明日香・セン・俺・今日香の順になった。
「あ、これ明日香に回してもらえます?」
隣からジンジャーエールを渡された。
「明日香に」
センに渡す。
「明日香さん」
明日香に渡る。
「ん、おお。ありがとうなー。今日香ー」
今日香が見えるように体を前にかがめてお礼。反射的に体を後ろに逸らす俺とセン。
「ほなこれ、今日香に」
何かがセンに渡る。
「今日香さんに」
渡されたのは、ジュース代だった。
「今日香」
掌に金を乗せ、渡そうとする。
「ありが……」
受け取ろうと差し出された今日香の手が止まる。
「どうした?」
金額が違うのだろうか。
「…………」
返事はなく、今日香の手が俺の手の下に潜り込む。
何がしたいのかよく解らんが、
とりあえず金を落とさないように握った手を今日香の手に乗せ、
「!!」
開く。
「えっわっあっ」
……落としてしまった。落とさないように渡したつもりだったんだが。
落ちた金の音を聞いて、明日香があきれたような声を上げた。
「なぁにしとんのや明ー」
「俺じゃねえ」
「ご、ごご、ごめんなさい」
おや、喋りが最初の頃に戻ったようだ。……なんでだ?
落ちた時の音からして、恐らく足元にはある筈だ。しかし暗くてなかなか見つからない。
「あ、百円ありましたよ」
センが百円玉を発見し、残るは百円玉もう一枚。
それにしてもLサイズ二百円って高いよな。Lっつっても缶と同じくらいなのに。
そこいらのネタも思いついたら書きますんで、
それまで乞うご期待という事でお願いします。