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読書のよもやま(2024.09.02)

2024-09-02 | 雑文
「幕末史」半藤一利(新潮文庫)

江戸時代はペリー来航から大政奉還、そして
西南戦争までを大学の講義で追った(話した)
ものを、書籍化したもの。

この国の歴史で人気のある時代となると、戦
国と幕末がそれなのではないだろうか。

共に激動の、時代が目に見えて動いた面白い
時代だが、とはいえ学校で流れを学んだだけ
という人も少なくはない。

自分も、世界史を履修し、日本史は流れ程度
の中、戦国時代は後々に多少の知識を得たが、
幕末から明治はとても詳しいとは言えない。

本書の内容は大学の講義とはいえ、学外の方
もいるものだったようで、専門研究ではなく、
教養系となっている。

そのため、自分のように人物はおろか、主要
な流れでさえあやしい人間にとっても優しく。

講義であるから、テキストではなく、あくま
で口語を基にしており、読みやすいものにな
っているのも大きい。

著者は「反薩長史観」と前置きするが、そも
そも詳しくないのだから判定は難しいが、そ
れほど「反」でもないだろう。

講義として目的が時代を追うことであるから、
それは個人的な視点の好みであり、(多分)
目的を捻じ曲げることもない。

500ページ弱のボリュームだが、事件の解
説に合わせて、小ネタ、エピソードを交えた
人物論も多く、飽きずに読むことができる。

無論、この一冊をもって幕末明治のすべてが
分かるわけではないし、間違いが一つもない
こともないだろう。

とはいえ、欠伸をしながら変なテキストに目
を滑らせるくらいなら、この一冊を読む方が
面白い。

あとがきの「歴史を知らない近ごろの若い人
たちに読んでもらいたいと思うからである。」
がすべてかもしれない。

若い人は余計だと思うが、読みやすい工夫は
間違いがなく、(自分のような)ライトユー
ザーにおススメ。


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