Four Season Colors

現代詩とスポーツ、エンタメ、時事など雑文を掲載
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はじっこ

2022-12-29 | 
公園のベンチのはじっこで

ビルの直線と山の曲線から

出入する朝夕のはじっこと

上質紙の色見本を比べては

停車する電車のはじっこの

回転する行先に気を取られ

親指でカードのはじっこを

強めに数回ばらばら弾けば

黄色いリボンのはじっこが

短調に波打ち遠のき近づき

ツキイチ映画館(2022年12月)

2022-12-26 | 雑文
月に一度は、映画館へ。2022年12月は、
「Dr.コトー診療所」(日本)。

今年最後の12月は、ハリウッド系で観たい
ものがあれば次点だったが、かといってそれ
ほど消極的でもないという選択。

本作は、山田貴敏による同タイトルの漫画を
原作とする、離島における医療をテーマにし
た医療人情モノ。

年代的にも、世代的にも、テレビ華やかなり
し頃、まだ十分にテレビドラマを見ていた自
分が好きだった連続ドラマの続編映画。

なんとあれから16年ぶりらしく、驚愕はし
ないけれど、ちょっと感慨深く感じるところ
もあり。

最近の流れとして、続編物の間隔が長くなっ
てしまい、人間が生物であることによるマイ
ナスが目立っている。

ノスタルジックから続編やリメイクをするに
おいては、もはや救いようもないところがあ
るが、本作はやや異なる。

連続ドラマは、時間の制限などから原作を変
えているところもあるが、当時にしては珍し
く原作へのリスペクトを感じるものだった。

のであるが、原作の漫画は、2010年から
長期の休載状態が続いている。

これは完全に、自分の勝手な妄想(というか
願望)なのであるが、関係者はおそらく、限
界まで原作の再開を待ったのではないか。

しかし、ドラマが生き物である生身の人間に
よるものである限り、文字と絵で構成される
原作を待ち続けることはできない。

つまりタイミングとして、待つことができる
最大の限界が訪れた作品ともいえる。

思えば2022年も、ツキイチ映画館で続編
を観ることもあり、明らかに制作すべき旬を
過ぎたと言わざるを得ない作品もあった。

これが「ガリレオ」か「トップガン」のどち
らだったとなれば、ギリギリでトップガンだ
ったように思う。

ただし、それは不幸であり幸せでもあること
になったが、よるべき原作がないということ
に起因している。

幸せは、キャストの年齢に合わせてストーリ
ーを組み立てることができたこと。

不幸は、原作の不存在により、作品をしっか
り終わらせることができなかったこと。

結局は、なんだか連続ドラマのただの続編と
なってしまっているが、最終作であろうこと
はほぼ間違いがない。

某アニメのように、キャストを変えることで
もすれば別であるが、ガワを変えるのは、声
を変えることと同義ではない。

さすがに当時のドラマも原作も知らない人に
はおススメできないが、知っている人は観て
も悪くはない、というくらい。

メレンゲドール

2022-12-22 | 
かじかんだ手から落下して

綺麗な丸の崩れてしまった

6号チョコケーキに狼狽え

小さな茶耳と赤鼻を付けて

徐にハンドベルを鳴らせば

砕けたサンタ人形のように

素っとん狂な低目の音波が

苦笑いのつかの間を抜けて

思い思いの大中小が溶ける

珈琲はほどよく甘酸っぱい

読書のよもやま(2022.12.19)

2022-12-19 | 雑文
「歴史の中で語られてこなかったこと おん
な・子供・老人からの「日本史」」網野善彦
・宮田登(朝日文庫)

歴史家である網野善彦と民俗学者である宮田
登による、それぞれの専門である日本の歴史
と民俗をテーマとした対談集。

「語られてこなかった」という題名のとおり、
華やかな歴史のできごとや人物はほとんど出
てはこない。

では、題名のとおり「おんな・子供・老人」
が対談の中心かといえば、そうでもない。

もちろん、それぞれの話題は出るのだが、主
というよりは、それらを視点として、終点は
「百姓は農民ではない」になることが多い。

300頁にわたり様々な観点で対談は進むが、
多くは網野善彦による「百姓は田地の農民だ
けでなく様々な職業が含まれる」に落ち着く。

すべてがそうではないから、織物、儀礼、商
業、民具など重要はキーワードはあるが、印
象はこの「百姓」が強く、繰り返される。

しつこいことは網野善彦が言及しており、自
覚的に、意図的に発言しているのだから、目
的も達している。

自分は専門家でもなければ、そちら方面の教
養もまったくないので、ただ勉強になるだけ
で、否定も肯定もない。

だから内容には不満はないのだけれど、対談
集として、書籍のつくりとしては、残念な感
はある。

題名から期待される内容と実際の内容のズレ
が大きすぎるし、最後まで読み終えれば、冒
頭の「もののけ姫」もあざとさしかない。

本書は、日本史というより、対談者の専門で
ある「民俗学」の歴史を学ぶものなのだろう。

自分のように、日本の歴史について学べるの
だろうと、ほぼジャケ買いすると肩透かしを
食らうので注意が必要か。

ただ、これは完全に自分の対談者に対する無
教養によるものであり、書籍に責任などある
はずもなく。

民俗学と歴史学という学問とは、という方面
としては、とても読みやすく面白いので、目
的にあっている方には。

ねばえば

2022-12-15 | 
ゆらぎをみる のうど

いきをのむ うえいと

ききには みえなくて

ここでは たえなくて

ぐうぜんなんて ない

ほうそくなんて ない

みをよせあう ふあん

よきをせぬ かうんた

ききには みえなくて

ここでは たえなくて

いままでだって ない

これからだって ない