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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

ロシア軍によるウクライナ侵略から半年。市民の死者は5500人以上、子どもたちの死傷者1000人、兵士の死者両軍合わせて3万人?戦争は始まったら容易に止められない。軍隊があっても戦争は止められない。

2022年08月24日 | ロシアによるウクライナ侵略

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 プーチンロシア大統領がロシア軍に命じたウクライナ侵略開始から今日で半年。

 2か月前に、特別寄稿

「ウクライナ戦争・即時停戦を-多数の死傷者が出続けることには耐えられない」白井邦彦青山学院大学経済学部教授の特別寄稿。

をいただいた心優しい白井邦彦青山学院大学教授からは、毎週のようにウクライナ戦争を停戦しないと犠牲者が増えてしまうとメールをいただきます。

 しかし、私は心を鬼にして、ロシアもウクライナも停戦する気なんてありませんよ、ソ連のアフガニスタン侵攻も、アメリカのベトナム戦争もアフガン戦争も10年20年とかかったでしょう、とお答えするしかありません。

 戦争が始まったら当事者のどちらかが徹底的に負けない限り、戦争は終わらない。為政者は市民が犠牲になっても戦争をやめようとしない。

 これは、第二次大戦における日本を見ても明らかです。

 

 国連人権高等弁務官事務所は、この半年でウクライナの民間人少なくとも5587人が死亡し、子どもは362人だったと発表しています。

 国連児童基金(ユニセフ)によると、約半年前に戦闘が激化して以来、ウクライナでは少なくとも972人の子どもが暴力によって死傷しており、平均すると毎日5人以上の子どもが死傷していることになります。

 そして、これは国連が確認できた数字に過ぎず、実際の人数はもっと多いはずだというのです。

 ロシア軍とウクライナ軍はそれぞれ自軍の死者数を少なくにしか発表しないようですが、ウクライナ軍や欧米当局の推計で、両国の軍関係者の死者は少なくとも計2万数千人を超えるそうです。

 そうなると、もうウクライナ戦争で少なくとも3万人は亡くなったことになります。東日本大震災と阪神大震災を合わせたより多いですね。。。

ウクライナ侵攻半年 避難民延べ1700万人、死者3万人も: 日本経済新聞

 

 ロシア軍とウクライナ軍の戦闘により毎日毎日人が亡くなっているのですが、それとは別に、ロシア軍がウクライナの原発に立てこもって要塞化し、原発敷地内で両軍が戦闘行為を行うという、両国の市民だけでなく全世界の市民に対する危険な戦争犯罪も報じられています。

 ロシア軍による無差別殺戮などの戦争犯罪も多数報告されていますが、アムネスティはウクライナ軍が民家の側に陣地を作ってロシア軍を攻撃し、市民を犠牲にさらしているという人権侵害も報告しています。

 いったん戦争が始まれば、侵略している側はもちろん、されている側も手を汚さずにいられるわけがありません。

ロシアが占領している欧州最大のザポリージャ原発を盾にロシア軍がウクライナ軍を攻撃し、ウクライナ軍がこれに反撃する双方の狂気。核兵器も原発も戦争も世界から廃絶するしか人類が生き残る道はない。

 

 

 白井先生からは当ブログなりの停戦案を出してほしいなどと言われたこともあるのですが、とても一介のブロガーにそんな知恵はありません。

 私にはっきりしているのは、いったん戦争が始まったら容易に終われるものではないという事だけ。

 そして、だからこそ戦争がはじまらないようにする努力こそが大事ですが、ウクライナがNATOという軍事同盟に加盟しようとしたことがロシアのウクライナ侵略の動機になったように、自国の軍事力を増したり軍事同盟を強化することは、戦争を招く危険こそあれ、戦争を防止する効果は本当はないという事です。

 日本にしかない戦争放棄と武力不保持を定めた憲法9条を生かして、日本は自分の安全保障のためにも東アジアで平和外交の努力を続けること。

 そして、アメリカの核の傘と植民地支配に甘んじるのではなく、日本が独自にロシアとウクライナの間に入って調停外交ができるくらいの本当の意味での国際社会で生き抜く「力」を身に着けることが必要なのです。

 

侵略しているロシアが侵略されたウクライナよりはるかに違法性が高いのは明らかなのに、どっちもどっちみたいなことを言うのは、結局、戦争の違法化を進めてきた国際社会の努力を無に帰するものです。

当ブログはウクライナがこの戦争で違法行為をしていることは個別に批判してきましたが、だからといって、国連憲章に違反して隣国を侵略し、今なお市民を殺し、戦争犯罪を続けているロシアが免罪符を与えられるものではありません。

このことを忘れないようにすることは、日本が憲法9条の沿った平和国家を目指すうえでも大切なことです。

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ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めて24日で半年となり、ウクライナ軍は欧米の軍事支援を受けながら南部を中心に反転攻勢に乗り出しています。
一方、ロシア軍は、戦況のこう着が続く中、掌握した原子力発電所を盾にして攻撃を激化させているともみられるなど、戦闘が長期化する様相と緊迫の度合いが強まっています。

ロシアが軍事侵攻を続けているウクライナでは、東部では戦況はこう着していますが、ヘルソン州など南部ではウクライナ軍が欧米から支援された兵器を効果的に活用してロシア軍の弾薬庫や補給路を破壊するなど反転攻勢を強めています。

今月に入ると、ロシアが8年前に一方的に併合した南部クリミアのロシア軍基地で爆発が起き、黒海艦隊の航空部隊が打撃を受けるなど戦線はクリミアにまで拡大しているもようです。

一方、ロシアはウクライナ軍の施設だけでなく、市街地へのミサイル攻撃も続けるとともに、掌握している南東部にあるザポリージャ原子力発電所を盾にして攻撃を激化させているともみられています。

ロシア軍は深刻な兵員不足が指摘されていますが、プーチン政権は国民の強い反発が予想される総動員は避けながら、ロシアの地方などで兵士を募集して戦地への派遣を進めているとされています。

また、ロシア側は、掌握したとする東部や南部ヘルソン州、南東部ザポリージャ州などで支配の既成事実化を強め、早ければロシアの地方選挙が行われる来月にも将来の併合をにらんで住民投票を実施する準備を進めているとみられます。

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めて24日で半年となりますが、戦闘が長期化する様相と大規模な原子力事故への懸念も含めて緊迫の度合いが強まっています。

ウクライナの軍事専門家「和平交渉で終わることはない」

 
ウクライナの軍事専門家はNHKのインタビューで「この戦争は和平交渉によって終わることはないだろう」と述べ、双方の交渉による停戦は困難で戦闘は長期にわたって続くという見通しを示しました。

ウクライナの軍事専門家、ミハイロ・サムス氏はNHKのインタビューで、侵攻から半年となる現在の戦況について「ウクライナが高機動ロケット砲システム=ハイマースを本格的に使い始めた7月以降、各地でロシア軍は大きく進軍できていない。ウクライナ軍がロシアの補給路を攻撃し、進軍を妨げている」と分析しています。

また、ロシアが8年前に一方的に併合した南部クリミアで攻撃や爆発が相次いでいることについて「ロシアの黒海艦隊の司令部にドローン攻撃が行われたことはロシアの防空システムを乗り越えたことを意味する。つまり、ウクライナ側による有効な諜報活動が行われていることを意味する」と分析したうえで、司令部への攻撃はロシア軍にとって心理的な打撃が大きいとしています。

一方、今後の展開については「この戦争は和平交渉によって終わることはないだろう」と述べ、ロシアが一部地域を占領したままの状況では交渉による停戦は困難で、戦闘は長期にわたって続くという見通しを示しました。

ロシア外交評論家 プーチン大統領は欧米と完全に決別する方向

ロシアの外交評論家のフョードル・ルキヤノフ氏はNHKの取材に対し、プーチン大統領は軍事侵攻の長期化に伴って欧米と完全に決別する方向にかじを切り、中国やインドなど、非欧米諸国との関係強化に軸足を移しているという見方を示しました。

ルキヤノフ氏は、このところのプーチン大統領の演説で注目していることとして「特に西側支配への完全な否定に重点を置いている。それは以前もあったが、今では、一切の反論を許さない断固としたものになった」と述べました。

そして「ソビエト崩壊後の目標は、西側が主導する世界のシステムにロシアの居場所を見つけることだったが、一連の理由で失敗した。今や、その目標は存在しないという決定が下された」と述べ、欧米との関係は冷戦時代より激しい対立状態にあると指摘しました。

そのうえで「ロシアが『西側中心主義』に戻ることはない。今や中国だけでなくアジア全体が世界の出来事の中心になりつつある」と述べ、プーチン大統領は、中国をはじめ、インドやイランなど非欧米諸国との関係強化に軸足を移しているという見方を示しました。
また、もうひとつプーチン大統領の演説で注目していることばとして、ルキヤノフ氏は「歴史的ロシア」という表現を挙げ、プーチン氏が帝政ロシア時代のピョートル大帝にみずからを重ね合わせながら「ピョートル大帝は何も征服しなかった。彼は領土を取り戻したのだ」と発言したことにも注目しているとしています。

この発言の背景としてルキヤノフ氏は、31年前のソビエト崩壊を挙げながら「ロシアは不当に失った一部の領土を取り戻さなければならないという理屈に立っている。歴史的にロシアの拡張領域に属していた地域であるウクライナは、その主要な部分だ」と述べ、プーチン大統領は「歴史的ロシア」という思想を侵攻の正当性に結び付けているという見方を示しました。

一方、軍事侵攻が半年に及んでいることについてルキヤノフ氏は、プーチン政権にとって誤算だったとしたうえで「具体的な軍事目標はなくなっているかもしれない」と指摘しました。

そして「領土をゆっくりと占領しながら、激しく、血まみれになって前進している。到達すべきラインがどこにあるのか明確な理解はなく、前進できるだけ進んでいる状況だ」と分析しました。

また、経済制裁の影響については「短期的な影響は、予想以上に小さかった」と主張しながらも、今後については「経済全体の大規模な立て直しが求められる深刻な危機を迎える」と危機感を表していました。

そして、ルキヤノフ氏は、プーチン政権が総動員令の発動を避けて多くの国民をできるだけ軍事作戦に引き込まないかわりに、国民から作戦へ支持を取り付け侵攻の継続を可能にしているという見方を示しました。

そのうえで「ロシアもウクライナも武力によって事態を変えられると考えている。将来の平和を期待することは全くできない」と悲観的な見通しを示しました。

日本政府 ロシアへの制裁とウクライナ支援を継続

事態のさらなる長期化が懸念される中、日本政府はロシアに対する制裁やウクライナへの支援を継続する方針です。

ウクライナ情勢をめぐり、政府は23日、関係閣僚会合を開き、最新の戦況や関係国による外交交渉の状況などの情報を共有しました。

軍事侵攻以降、政府は「力による一方的な現状変更の試みは許されない」などとロシアを強く非難し、G7=主要7か国と足並みをそろえる形で、ロシアと同盟国のベラルーシに対し政府関係者らの資産凍結や輸出入の制限などの制裁を科してきました。

また、ウクライナに対しては経済面での支援や破壊されたインフラの復旧などを進めてきたほか、避難した1700人以上を受け入れ生活を支援しています。

事態のさらなる長期化が懸念される中、政府はG7をはじめとした国際社会と連携しながらロシアなどに対する制裁やウクライナへの支援を継続する方針です。

一方、ウクライナ侵攻を背景とするエネルギーや食料などの価格高騰は、国内経済や国民生活に影響を広げています。

政府は、▽輸入小麦の売り渡し価格の据え置きや、▽地方創生臨時交付金の増額などの支援策を来月上旬をめどにまとめることにしていて、今後も実情を踏まえながら追加の経済対策を講じ、国内への影響を最小限に抑えたい考えです。
 
 
 
 

ウクライナ侵攻から半年 民間人5000人以上死亡


8/24(水) 5:50配信


テレビ朝日系(ANN)

All Nippon NewsNetwork(ANN)

 ロシアのウクライナ侵攻開始から24日で半年です。これまでにウクライナの民間人5000人以上が死亡しましたが、収束の見込みは立っていません。

 ロシアの侵攻開始から半年を迎える24日は、ウクライナがソ連から独立を宣言した記念日でもあります。

 ゼレンスキー大統領は「ロシアが攻撃を強める可能性がある」と注意を呼び掛けるなど、いまだ戦闘が収まる気配はありません。

 国連人権高等弁務官事務所は、この半年でウクライナの民間人少なくとも5587人が死亡し、子どもは362人だったと発表しています。

 一方、ロシア国内では侵攻の長期化を受け、エール大学の調査によりますと、1000社以上の外国企業が撤退を表明しました。

 また、メディアへの圧力が一層強まっていて、独立系メディアはこの半年で約500人のジャーナリストが国外に逃れたと発表しています。

 
 

ユニセフ事務局長声明


北東部ハルキウで、空襲や砲撃から逃れるため地下駐車場に家族と避難した9歳のアリーナさん。(ウクライナ、2022年5月撮影) (C) UNICEF_UN0642195_Filippov
【2022年8月22日 ニューヨーク 発】

6カ月間にわたるウクライナでの戦闘が子どもたちに及ぼしている甚大な影響について、ユニセフ(国連児童基金)事務局長のキャサリン・ラッセルは以下の声明を発表しました。

* * *

約半年前に戦闘が激化して以来、ウクライナでは少なくとも972人の子どもが暴力によって死傷しており、平均すると毎日5人以上の子どもが死傷していることになります。これは国連が確認できた数字に過ぎず、実際の人数はもっと多いはずです。

ユニセフから受け取った車のおもちゃで遊ぶウクライナ難民の子どもたち。(ルーマニア、2022年5月撮影) (C) UNICEF_UN0645384_Moldovan
子どもの犠牲のほとんどは、爆発性兵器の使用によるものです。特にウクライナで行われているような人口密集地での使用は、民間人も戦闘員も区別しません。その被害は例えばマリウポリ、ルハンスク、クレメンチューク、ヴィンニツァなど、数え上げればきりがありません。

すべての戦争と同様に、またしてもおとなの無謀な決断が子どもたちを極度の危険にさらしているのです。こうした武力行使で、子どもたちに被害が及ばないものはありません。

一方、攻撃で子どもが殺されたり、身体的に傷つけられたりする恐ろしさに加えて、ウクライナのほぼすべての子どもが、深い苦しみを伴うできごとを目の当たりにしており、暴力から逃れてきた子どもたちは、家族の離散、暴力、虐待、性的搾取、人身売買などの大きな危険にさらされています。

約1週間後の新学期の開始は、ウクライナの子どもたちがどれほど多くを失ったかを突き付けます。

砲撃や爆撃を受けて破損したテニスコートに立つ子どもたち。このテニスコートで、テニスの大会が行われる予定だった。(ウクライナ、2022年6月撮影) (C) UNICEF_UN0668668_Synelnykov
ウクライナの教育システムは、国中で激化する戦闘行為によって壊滅的な打撃を受けています。学校が標的にされたり、紛争当事者に利用されたりした結果、家族が安心して子どもを学校に通わせることができなくなりました。私たちは、ウクライナの10校に1校が損傷または破壊されたと推定しています

危機に巻き込まれた子どもたちも含め、すべての子どもたちは、学校に行って学ぶ必要があります。ウクライナにいる子どもたちや避難している子どもたちも例外ではありません。

ユニセフは、ウクライナにおける即時停戦と、すべての子どもたちを危険から守るよう訴え続けています。これには、人口密集地での爆発性兵器の残忍な使用や、民間施設やインフラへの攻撃の中止を含みます。

ウクライナの子どもたちは、安全、安定、安心して学べる環境、子どもの保護サービス、心理社会的支援を緊急に必要としています。しかし、ウクライナの子どもたちにとって何より必要なのは、平和です。

* * *


 

ウクライナ侵攻半年 双方の軍死者2万数千人超 停戦なお見えず


8/23(火) 22:36配信 産経新聞


キーウのメインストリートに並ぶ、ロケット砲の一部=22日午前、ウクライナ・キーウ(彦野公太朗撮影)

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始し、24日で半年となった。両国が多数の兵員と兵器を投入した戦争は、激しい攻防を経て膠着(こうちゃく)の度合いが強まっている。ウクライナ軍や欧米当局の推計で、両国の軍関係者の死者は少なくとも計2万数千人を超えるとみられるが、譲歩を拒む双方に停戦を探る動きはない。民間人の犠牲者も増え、露軍が占拠したウクライナ南部の原発周辺で交戦に発展。国際社会を巻き込んだ熾烈(しれつ)な戦争は、さらに長期化する懸念が強まっている。

【表でおさらい】ウクライナ侵攻の推移

ウクライナ軍参謀本部の23日の発表では、同国軍は露軍の1900両以上の戦車、230機以上の戦闘機などを撃破。ザルジニー総司令官によると、自軍の戦死者数は約9千人という。

一方、露国防省は22日、ウクライナ軍の戦車や歩兵戦闘車4300両以上、260機以上の戦闘機を破壊したと主張している。

ロシア側の発表の根拠は明確ではなく、露軍の死者数について米中央情報局(CIA)のバーンズ長官が7月中旬、「1万5千人近く」との推計を示した。欧米当局は、露軍がウクライナ側を上回る死者を出しているとみている。

ただ、ロシアのプーチン大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領とも、歩み寄る意向をみせていない。ゼレンスキー氏は今月18日、「露軍が完全撤退しない限り、停戦交渉には応じない」と表明。6日も「戦争は交渉で終わるが、そこに至るまでの道は長く多くの血が流れる」と述べた。

ロシア側も、自国で産出する天然ガスなどの燃料について、欧州向けの供給を絞るなどし、燃料の需要期を迎える冬場に向け欧州を揺さぶる。ウクライナを支援する欧米の結束に、ほころびが生じることを狙い、長期戦を辞さない姿勢だ。

 

 

露侵攻泥沼、見えぬ終結

 

 ロシアが今年2月にウクライナ侵攻を始めてから24日で半年。プーチン政権が当初狙った早期制圧は失敗に終わり、戦況は泥沼化している。ロシア、ウクライナの双方が強気の姿勢を維持する中、今後、「出口」を見つけられるのか。

ウクライナも消耗激しく

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 「ロシアの指導部が設定した特別軍事作戦の目的は達成される」

 ロシアのショイグ国防相は8月16日、モスクワ郊外で開かれた国防省主催の国際会議で改めてウクライナ侵攻の目標を完遂することを強調した。一方でショイグ氏は北大西洋条約機構(NATO)が「キエフ(キーウ)の政権の断末魔を長引かせることを狙っている」と非難。ウクライナを軍事支援する西側諸国へのいら立ちもあらわにした。

 2月24日に隣国ウクライナへの「特別軍事作戦」に踏み切ったロシアのプーチン政権。それから半年となる今も政権幹部は強気の姿勢を崩していないが、当初掲げたウクライナの「非ナチ化」や非武装化、東部ドンバス地方(ドネツク、ルガンスク両州一帯)の解放などの目的は果たせないまま、戦闘は泥沼化の様相を見せている。

首都急襲に失敗

 ロシア軍は侵攻当初、首都キーウ周辺に部隊を送り込み、短期でウクライナのゼレンスキー政権を崩壊させるシナリオを描いていたとみられる。しかし、北部から南部までの長い前線に分散したロシア軍の補給や指揮は混乱し、ウクライナ軍の予想を上回る抵抗を前に損失は拡大。首都急襲は事実上の失敗に終わり、3月末にはキーウ周辺などからの撤収に追い込まれた。

 ロシア軍は4月以降、東部に戦力を集中させ、ドンバス地方の全面制圧に重点を置いたが、7月初めにルガンスク州の制圧を宣言して以降、進撃の速度は止まり、目立った成果を出せていない。火力ではロシア軍が上回るものの、米欧から長射程のロケット砲などを供与されたウクライナ軍はロシア軍の補給線や指揮拠点などを相次いで攻撃。前線への補給が困難になっているとみられる。

兵士半数損失か

 火力を集中させてウクライナ軍の防御線の突破を狙うロシア軍の戦術は自軍の損失の拡大も招いている。米国防総省はロシア軍の死傷者を「7万~8万人」とみており、侵攻当初に投入されたロシア軍部隊の半分近くが失われた可能性がある。英国防省は8月9日の分析で、過去1カ月のロシア軍の東部での侵攻が最大で約10キロにとどまったとの見方を示しており、このままでは年末までにロシア軍が東部を完全に制圧することは不可能との見方も強まっている。

 一方、ウクライナ軍も戦力の構築に問題を抱えている。アレストビッチ大統領府長官顧問が6月、自軍の死者が1万人を超すことを認めるなど、兵力の消耗は激しい模様だ。

 ロシア軍が侵攻当初に内通者の協力を得て大部分を制圧した南部ヘルソン州やザポロジエ州で今夏のうちに反攻に乗り出すとみられていたが、ロシア軍は東部から南部の前線へ一部の部隊を移動させるなどして防御態勢を強化。米紙ワシントン・ポストは「反攻のための十分な数の兵器がない」とするウクライナ当局者の話を報じており、西側からの追加援助を待っている状態とみられる。

 前線で両軍の膠着(こうちゃく)状況が続く中、ロシアは東部や南部の支配地域に親露派によるかいらい政権を樹立し、ロシアに併合するための住民投票の準備を進めている。一部地域では9月11日のロシアの統一地方選に合わせた投票の可能性も指摘されているが、住民の反発は根強く、親露派の活動家を狙ったゲリラ活動も相次いでおり、投票が実施できるかどうかは不透明な状況だ。

 ロシア軍の進撃を食い止めているウクライナ側も強硬姿勢を崩していない。ゼレンスキー大統領は9日、「戦争は(ロシアが2014年に強制編入した)南部クリミアの解放とともに終わらないといけない」と発言。ロシアが支配した全地域の奪還が目標との考えを改めて示した。だが、ロシアが制圧地域を手放す可能性は低く、4月以降に中断した両国の停戦協議が再開する兆候はみられない。

 ロシアの国際政治学者のトレーニン氏は「ロシア側が(戦力立て直しなどの)必要があれば、一時的に戦闘が止まることはあり得るが、ウクライナでの軍事活動が長期化するのは間違いない」と指摘。現状では双方が譲歩して和平合意に至る可能性は低く、「今後も長期にわたってウクライナがロシアにとって深刻な問題となり続ける」と予想する。

 国連人権高等弁務官事務所によると、ロシアが侵攻を始めた2月24日から8月21日までに、確認されただけでもウクライナの民間人に死者5587人、負傷者7890人を出している。【前谷宏】

国際支援、各国に温度差<picture></picture>拡大

 

 バイデン米政権は8月に入り、ウクライナへの軍事支援を加速させている。19日までで3回にわたり計23億2500万ドル(約3180億円)の支援を表明。バイデン政権発足後の総額は106億ドルとなった。

 国防総省高官は「ロシア軍の前進が完全に止まるという新たな局面に入った」と指摘。東部の戦況が足踏みする中、主戦場となりつつある南部でも「ウクライナ軍が戦場の変化に対応できる能力を提供している」と説明する。

 最新の19日公表の支援では、高性能カメラを搭載した無人偵察機「スキャンイーグル」や地雷除去の装備と共に耐地雷装甲車「マックスプロ」を盛り込んだ。砲撃の標的を正確に把握し、東部や南部に敷設された地雷原を突破して領土奪還を後押しする狙いがある。

米、兵器供与強化

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 米国は戦争が長期化するのに伴い、段階的に兵器供与を強化してきた。当初はロシアへの刺激を避けるため重火器の提供には慎重で、携行式の対空や対戦車ミサイルが中心だった。しかし、ロシアが3月下旬に首都キーウ攻略から東部制圧を優先する戦略に転換すると、自爆攻撃機能を持つ無人航空機や重火器の提供に踏み切っている。

 特に6月以降、高機動ロケット砲システム(HIMARS)計16基が提供され、「戦況を一変させた」(米政府高官)。遠方からロシアの指揮系統や補給の重要拠点を正確に砲撃してロシアの進撃を食い止めている。ただし、米国は支援を「自衛」目的に限定。HIMARSも最大射程は300キロだが、提供は射程70キロの砲弾に制限しており、ロシア国内まで攻撃できないことを明確にしている。

 一方で、ウクライナ支援を巡っては、米国が突出しており、バイデン政権は国際社会の結束に腐心しているのが実情だ。

 ドイツの調査機関「キール世界経済研究所」は8月18日、侵攻開始1カ月前の1月24日から8月3日までに各国が表明した軍事、財政、人道支援を集計した報告書を公表。各国の支援総額は842億ユーロ(約11兆5700億円)で、米国は445億3000万ユーロと5割超を占める。欧州連合(EU)が162億4000万ユーロ、英国が65億1000万ユーロ、ドイツが31億ユーロと続く。日本は約5億9000万ユーロにとどまる。

 月別で見ると英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポーランドは7月に新たな支援の表明をしていない。欧州の「支援疲れ」が指摘されるなか、バイデン米大統領は6月末の主要7カ国(G7)首脳会議で「ウクライナが必要とする限りの支援」を各国と確認したが、温度差が改めて露呈した格好だ。キール研究所は「ウクライナが必要とする支援と実際の支援に大きな差が出ている」と指摘する。

 戦争はどのような形で終結に至るのか。米政府は「最終的に外交によってのみ決着する」(バイデン氏)との立場だ。しかし、ロシアが一方的に侵攻を続け、ウクライナが徹底抗戦を続けている以上、その道筋は見えていない。

 米シンクタンク「ランド研究所」のサミュエル・チャラップ上級政治研究員と「欧州外交評議会」のジェレミー・シャピロ研究部長は米紙への寄稿で、ウクライナ側とロシアの双方がより強力な手段で反撃する「負のスパイラル」に陥っていると分析。「ロシアとNATOの直接的な衝突につながりかねない」と警告し、妥協の余地を探るために「米国と同盟国はロシアとの対話を開始すべきだ」と主張する。

 一方で、クリントン米政権下で駐ウクライナ大使を務めたスティーブン・パイファー氏は、ロシア側に真剣に対話する姿勢はなく「交渉の好機とは到底思えない」と指摘。ロシア軍が東部や南部の大部分を占拠したまま撤収する保証もなく「ウクライナにとっては停戦さえも危険。交渉開始などの判断はあくまでウクライナ政府に委ねるべきだ」と強調する。

 バイデン氏はこれまで「ウクライナ抜きで、ウクライナに関する議論や決定は行わない」「ウクライナに領土割譲を迫るようなことはしない」と明言してきた。ブリンケン米国務長官は19日の声明で、侵攻開始から半年を前に「交渉の場でウクライナが強い立場に立てるように追加の兵器を提供し続ける」と強調した。当分はロシアとの直接的な衝突は避けつつ、引き続き軍事支援が強化されることになる。【ワシントン鈴木一生】

 
 

ウクライナ侵攻
2022年8月24日 5:00 [有料会員限定]

ロシアのウクライナ侵攻開始から24日で半年。戦闘の先行きは読めないが、プーチン大統領についてはっきりしたこともある。時間をかけてでもウクライナを支配下に置こうとする執念と、その実現のためには西側との関係を改善するつもりもないという覚悟だ。

勢力圏の回復が最優先

・7月11日、ウクライナ全土の住民にロシア国籍の取得手続きを簡素化する大統領令に署名

・8月22日、「ロシアは強力で独立した世界の大国だ。我々は祖国の利益に合致する政策のみを国際舞台で追求することを固く決意する」とプーチン氏が発言

・9月にもウクライナ南部ヘルソン州でロシア編入を認める住民投票を実施の見通しとロシア紙が報道

これらの事例が示すのは、プーチン政権はウクライナのゼレンスキー大統領が降伏しない限り戦いを止めるつもりはないということだ。

占領地を拡大して「ロシア化」を進め、何年かけてでもウクライナを勢力圏に取り戻すことを最優先に置いているとみられる。仮に停戦合意しても、占領地をてこにゼレンスキー政権を追い詰めていくのだろう。

占領地では通貨ルーブルでの取引など「ロシア化」が進む(7月25日、南部ヘルソンで)=ロイター

それが西側諸国による制裁強化に結びつくことは覚悟のうえだ。エネルギー、食料、宇宙開発、核兵器――。あらゆることを対西側の政治カードとして利用し、対ウクライナ支援疲れを誘う姿勢が鮮明になっている。

西側との関係で退路を断つ一方で、中国、インドのほか、アフリカ、中南米などの米欧とは一線を画す国との結びつきを強め、制裁の影響を最小限にとどめる戦略だ。

西側諸国に問われる覚悟

西側諸国はウクライナを支援し続ける覚悟だけでなく、世界の分断を図るロシアにどう向き合い、対処していくかが問われている。

ロシア国内の世論はどうなのか。それを左右する経済の先行きに対するロシア人の立場は3つに分類されそうだ。

1つは戦争に反対する悲観論者。インテリ層が多く、一部の品不足やモノやサービスの質の低下などをいち早く感じ取っている。2つ目はプーチン政権を支持し、中国などからの輸入代替政策を期待する人たち。そして、多数派を占めるのが、政治、経済に関心がなく、戦争による変化をまだあまり認識していない層だ。

今後の世論に影響を与えるのが3番目の人たちだが、「異変」は着実に広がっている。それは日本からもうかがえる。

7月中旬の伏木富山港。極東ウラジオストクに向かう貨物船に中古車が満載されていた。新車に近い車もある。日本からロシアへの中古車輸出は侵攻直後の3~5月は制裁に伴う決済への不安から前年同月を下回ったが、6月は前年から24%増え、1万8000台強と単月では2020年以降で最高となった。

7月中旬、伏木富山港に停泊中の貨物船には中古車が満載されていた

日本からの中古車輸出に詳しい富山高等専門学校の岡本勝規教授は「制裁対象外の銀行や第三国の銀行などを利用し、支払いは問題ない。足元は運搬船が足りないほど需要は旺盛」という。

ロシア国内ではトヨタ自動車をはじめ海外メーカーは生産を停止し、新車の正規輸入もなくなった。ロシア車の生産は続くが、人気が高いのは中古とはいえ外国車だ。車以外でも西側製品の多くは並行輸入にシフトしている。

確実に広がる経済のひずみ

制裁の影響を軽減するロシアのしたたかな一面といえるが、その裏返しとして国内産業のひずみも浮き彫りとなり始めた。自動車やIT(情報技術)関連機器など先端分野では空洞化が進み、価格も確実に上昇している。もっと深刻なのは品薄感が出ているワクチンや医薬品だ。乳幼児や病気を抱える人たちの間では不安が急速に広がっている。

サンクトペテルブルクに住む20代の教師はこういう。「最大の苦痛は、毎日多くの人々が無駄死にしているのに声を上げられないこと。戦争に反対する自分が少数派であるかのような孤独感や失望感にさいなまれる。戦争を支持する隣人への嫌悪感も増している」

侵攻は西側との対立を決定的にし、経済的な停滞を招いているだけではない。国民レベルでも分断が深まり、無気力感が広がりつつある。そんな愚策をプーチン氏はやめるつもりはない。

 

 

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Unknown (きなこ)
2022-08-25 11:13:58
ウクライナ人もロシア人も、戦争でひどい被害を受けている。
戦争は恐ろしいです。
日本が中国と戦争するためのロードマップを解説した動画を見つけた。
紹介する。
s://www.nicovideo.jp/watch/sm40945541
頭にhttp
を付ければ見られると思います。
噓であって欲しいが、あ~~~と思えるので、さらに恐ろしい。
返信する
Unknown (まさか、と思った人)
2022-08-25 14:24:49
> そして、アメリカの核の傘と植民地支配に甘んじるのではなく、日本が独自にロシアとウクライナの間に入って調停外交ができるくらいの本当の意味での国際社会で生き抜く「力」を身に着けることが必要なのです。


戦後、暫くの間、敗戦に挫けず、日本復興に残りの人生を捧げた人たちが、日本国民ここにあり、と示した大小の出来事があったことを思い出しましたね。
外貨持ち出し制限いっぱいの金をトランケースに詰め込み、肌見放さずだったかな・・・、いつも拙い記憶で申し訳ありませんが、そんな類の制限がたくさんあった時代に飛行機代がもったいないと船旅で太平洋を渡り、あちらの人たちと商売で渡り合った話を散々聞かされた思い出が刺激されたというか。

日章丸事件とそれに対する日本政府の事件対応などはそんな出来事の一つなんでしょうかね。それを期に日本は中東諸国から、欧米とは違う独自の信用を得られたように記憶しております。
そして、湾岸戦争当時、確か、仲立ちできるのは、世界広しといえど、そんな信用力を持つ日本しかないと言われたようにも記憶していますが、当時、そして、その後の歴代自民党政権の欧米追従姿勢に、そんな信用力もあっという間に失い、今では見事に見る影もない。

仲良くしようと言葉にするのは簡単だけど、
戦後しばらく後、取引をしようと中国奥地へ出向いたら、親兄弟、親族一同を日本軍に殺されたという人に、ここへ何しに来たと罵倒されたなんていう話も思い出しました。その場へ赴いた日本人は完全に戦後派なのに、帝国陸軍の戦争犯罪で罵倒されたことで、戦争の恨みはいつまで続くのだろうとの教訓話です。

信用を得ることは大変だけど、失うのは簡単。
そして、一度失った信用を取り戻すのはもっと大変なのは誰もが知っていること。
ましてや、バカにしたり蔑んだり、流行り言葉を使えば、ハブる、です
かね、アメリカNATOに入れてあげる、あげない、でこんな事態となることもあるのに、やはり、馬の合う合わないは、人が集まれば、どうしても起こってしまう、それこそ、人間が生まれながらにして持つ、心中を透けて見せてしまうアホ芸なんでしょうかね。

それをどうやって乗り越えていくかが人類の命題なんでしょうかねと思ったら、
何度でも同じことを繰り返すも皆の遺伝子に組み込まれているアホ芸のひとつなんでしょうかねと思ったりもして・・・。w
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