ブラスカル

元マラソンランナーですが、今や加齢と故障でお散歩専門、ブラタモリっぽく街歩きをしています。

19年6月に読んだ本

2019-07-01 00:50:06 | 読書
読んだ本の数は24冊。各社の夏の文庫本フェアがスタート、うち半分の12冊が、新潮文庫、角川文庫、集英社文庫でした。
カドフェスから8冊。
◆愛がなんだ (角田光代)
妄想女性の恋愛物語。これ、映画になりにくそうだけど、どうなのかな。
それにしても、テルコ、怖い。自分だったら絶対関わり合いにならないようにするけど、マモちゃん、クズだなー。
◆探偵倶楽部 (東野圭吾)
富裕層相手の会員制探偵倶楽部、クールな男女2人の探偵、キャラは不明なるも仕事はビジネスライクで正確で迅速。東野さんの初期作品のようですね。淡々としていて事件の真相は味わい深く、東野さんの片鱗が。
◆空想科学読本 滅びの呪文で、自分が滅びる! (柳田理科雄)
今年のカドフェス本はこのシリーズ第3弾。今まではウルトラ怪獣中心だったが、話題の範囲が随分と広がってきたような。内容は相変わらず。
◆地獄くらやみ花もなき (路生よる)
怪異ネタのラノベ数あれど、どれもこれも同じように思えて、なかなかこれだ!ってのに出会えない。これもそんな一作。
◆敗者たちの季節 (あさのあつこ)
地区大会決勝戦でサヨナラホームランを打たれての敗北と相手校不祥事による繰り上げの甲子園。レギュラーになれなかったキャプテンとその彼に想いを寄せる幼馴染、、、心の中にどこか負けを背負った、色々な立場の者たちから見た憧れの舞台。試合のシーンの少ない、いかにもあさのさんらしい高校野球のお話。
◆営繕かるかや怪異譚 (小野不由美)
「奥庭より」「屋根裏に」「雨の鈴」「異形のひと」「潮満ちの井戸」「檻の外」の短編が6編。海の近い日本海側の城下町を舞台に、古い家で起きる怪異現象。怪異を退治するのではなく、共存できるように家をリフォームする営繕屋かるかや。かなりぞわっと来た。
◆准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき (澤村御影)
大学一年生の深町くんと高槻准教授の凸凹コンビが、オカルトがらみの事件を解決する、『幽霊の正体見たり枯れ尾花』的日常系ミステリー。実は主人公二人だけが怪異体質で、インチキ現象を見抜くというパターン。二人のキャラが良いですね。この手の小説の中ではかなり面白い方と思います。
◆角川まんが学習シリーズ 日本の歴史 15 戦争、そして現代へ 昭和時代~平成

ナツイチから3冊。
◆言えないコトバ (益田ミリ)
益田ミリさんって、随分とこだわり?を持ってコトバを使っているんですね。私は、仕事柄もあって無頓着に横文字を取り入れてしまう方なのですが、でも、何となく、プライドと言わずに矜持って言ってます。そういえば、パパ・ママをおやじ・おふくろに切り替えた時、自分も大人になったなという気がしましたっけ。
◆桜のような僕の恋人 (宇山佳佑)
これでもかというくらいに切ないラブストーリー。これでもかがてんこ盛り過ぎて、今一つのめりこめず、冷静に読んでいる自分がいました。
◆ひとりずもう (さくらももこ)
彼女が小学校高学年から高校を卒業して漫画家デビューするまでの自伝的エッセイ。高2までは、彼女特有の自虐スパイスが効いたおもしろ話だが、漫画家になるというスウィッチが入ってからの彼女の一図な想いはなるほどと思わせられました。ご冥福をお祈りします。

新潮文庫の100冊から1冊。
■スクールカースト殺人教室 (堀内公太郎)
学園内の教室で、深夜、担任の教師が殺害される。その日から5日間を描いた、テンポのよい学園ミステリーで、1日で一気読み。黒幕は何となく読めてしまうのでだが、生徒間のドロドロの人間関係と見て見ぬふりをする教師がなんともひどい。

◆死にがいを求めて生きているの(朝井リョウ)
植物状態で眠り続ける智也とそれを献身的に見守る雄介。幼馴染の二人の歪んだ友人関係を第三者の視点で綴る。生きがいではなく死にがい、生きがいがあって、それに向けて頑張るのではなく、生きがいを持っている自分であろうとする、そんな目的と手段が逆転したまやかしの生きがいを、朝井さんは死にがいと呼んだのだろう。朝井さんの若者の心理描写がすごくうまい。

◆ひとつむぎの手(知念実希人)
今年の本屋大賞ノミネート本。この本、もっと上位でもよかったのでは。
医局を巡る白い巨塔ばりのドロドロ、と思わせておいて、実に爽やかな読後感。私利私欲が全くない人なんていない。自分の夢をかなえるために他人を蹴落とさねばならない時もある。でも、それにもまして大切なものもある。使命感を忘れてはいけないと改めて思った。同じ志を持った人が、必ず見ていて、評価してくれる。これは医者に限らない。どんな仕事でも「初心忘れるべからず」

◆鯖 (赤松利市)
武骨で時代遅れのあらくれ貧乏漁師たちの物語と思わせて、見事な起承転結。エセ京女で割烹の女将の恵に手玉に取られていたところへ、謎の中国人女性アンジが登場。これはすべてアンジのすじがきですな。あっという間に巻き取られ、利用され、価値観も結束も壊されてしまう哀れで愚かな漁師たち。(シンイチ、何やってんだよ!という気もしますが、、、)文字通り生臭い破滅のエンターテインメント。

◆麦本三歩の好きなもの(住野 よる)
なえたい夢とか、人生目標とか、これだけは譲れない自分の信念・信条とか、そういうものとは無縁に、温い人生を送っている麦本三歩の日常をコミカルに描いた短編集のような作品。個人的には、人生を無目的に、怠惰に過ごす生き方に賛同できない、こんな後輩が職場にいたら難儀だなーとも感じるのだが、その割には「あるある」などと共感出来てしまうことも多々あるのが、我ながら矛盾しているというか、不甲斐ないというか。

◆罪の声 (塩田武士)
単行本で読んだが、文庫本になったので再読。結構細部を忘れていて、面白く読めたので、再読してよかった。実際のグリ森事件を題材に、実にリアリティのあるミステリーだが、改めて小説としても良くできているなと思った。俊介と阿久津がいつ交差するのかのハラハラ感、30年前の、分かるわけないじゃないと思えるような事件の取材が細い糸でつながって、阿久津の最初の英国出張の伏線に至る。この人、うまいなー。
◆歪んだ波紋(塩田武士)
その塩田武士さんの最新作、今年の吉川英治文学新人賞受賞作。
新聞社、TV局の誤報、虚報に纏わる連作短編集。「黒い依頼」「共犯者」「ゼロの影」「Dの微笑」で新聞、TVのレガシーメディアの古い体質や虚報を通じて人間の弱さ、ずるさを浮き彫りにする。最終話の表題作で4編の短編がつながっていく。今度は許英中のイトマン事件?と思わせておいて、最後は奇想天外などんでん返し。相賀の「記者は現場やで」のことばが重い、メディアの在り方を問う一作。

◆麒麟児(冲方丁)
冲方さんの歴史モノ。勝海舟、自分の最も好きな歴史上の人物のひとりである。スケールの大きさ、視野の広さ、聡明さと胆力、幕臣にこの人がいたと言うことが日本の暁光。そして私利私欲と短慮に走りがちな官軍にも西郷という無私の傑物がいた。無血開城に英国の影響力が強くあったとは知らなかったが、それを読み切り交渉に臨む海舟、今の日本にもこんな外交官が欲しいものだ。

◆サブマリン (伊坂幸太郎)
数年前に単行本を図書館で借りて読んだが、文庫本化されたので購入して再読。内容をすっかり忘れていた。罪を犯すと法的制裁以外にもその罪に纏わる様々な連鎖が発生する。マスメディアや事情を良く知らない人からステレオタイプに扱われ、社会の中で、潜水艦のように沈んでいなければならない日々を送ることになる。昨今高齢者の交通事故が話題になっているが、年老いてこんな重荷、絶対背負いたくないよねと思ってしまった。

◆カモフラージュ(松井玲奈)
小説を書く芸能人は数あれど、この本は正真正銘の元アイドル、SKE48のツィン・センター、W松井の一人、松井玲奈さんが著者。アイドルの書く小説って、楽屋落ちというか、自分の体験を元ネタにしたようなものが多いのだけど、これはコミカルあり、ホラーありの短編集。恋愛もの2作も風変りなテイストで面白い。

◆余物語 (西尾維新)
どこまで、いつまで続く、このシリーズ。大学生になった暦くん第二作は斧乃木余接ちゃんヒロイン。斧乃木ちゃん、登場頻度高いな。今回のは幼児虐待が生む怪異ということで重いテーマなのですが、そこは物語シリーズ、オチるとことにオチました。

◆オリジン 上(ダン・ブラウン)
ラングドン教授シリーズは4作目。今度は現代アートですか。相変わらず面白い。黒幕はほぼ見えている感じもするのですが、当然このままでは終わらない、どんでん返しありですよね。下巻に行きます。

◆ブラタモリ 17 吉祥寺 田園調布 尾道 倉敷 高知
吉祥寺、JR中央線は街道とか関係なく新宿からまっすぐ西に線路が引かれているから道が斜めになっちゃう。井の頭通りは水道道路、境浄水場のどんつきから先も多摩湖まで自転車専用道路になっていて、吉祥寺から多摩湖を1周して帰ってくるとほぼフルマラソンの距離になる。倉敷、ブラタモリのビデオでおさらいしてから行ってきた。原田マハの「楽園のカンヴァス」にも出てきた大原美術館がすばらしかった。モネの「睡蓮」以外にも、収集時はほぼ同時代にパリで活躍していたのであろう有名無名の印象派の画家たちのコレクションがすごかった。
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