意外に知られていませんが、中世の写本芸術は、19世紀にリバイバルを迎えているんですね。
その様子を紹介するために昨年出版された"Revival of Medieval Illumination"((書名をクリックするとamazonに飛びます)は、21世紀のカリグラファーにとって、インスパイアーされるものが多い、良い教材になると思いました。
本当はこの本、他の人には教えたくないかも。(笑)
全体の1/3をしめるフランス語論文を私は読めないわけですが、写真は見てるだけでも内容を物語ってくれます。(ちなみに2/3は英文なのでご心配なく。)
中世の写本芸術は19世紀になって良さが見直され、さかんに写本を真似た芸術作品が作られた時期です。
見直されたきっかけは、フランス革命軍の襲撃に遭った修道院から略奪された写本が、市場で売買されるようになったことでした。今まで修道院の宝として大切にされてきた写本が、悲しい略奪にあったものの、一般市民の目に触れ、惹きつける機会になったからでした。
それで19世紀にMissal Paintings(ミサ典書の描き方)という絵画技法書がいくつも出版されるようになり、英国やベルギーやイタリアやフランスなどを中心に、アマチュアを含めた一般の芸術家たちが、写本っぽい書き方で、各種の証書や宗教本や広告などをデザインするようになったのです。
""The Country Flowers of a Victorian Lady"(書名をクリックするとamazonに飛びます)という本をごらんになったことがあるでしょうか?
ファニー・ロビンソンというアマチュアの画家で、中産階級の英国女性なのですが、写真の左側にその本の1ページを写しておきました。
まさに写本から影響を受けた作品を描いています。
"Revival of Medieval…”を読むまで、私はファニー・ロビンソンがたまたま個人的に写本から学んでイラストを描いているものとばかり思っていましたが、おそらくMissal Paintingsの技法書から学んだ一人にすぎなかったのでしょう。
学究肌ではなく、時代の子だったわけです。その証拠に、彼女のカリグラフィーはやや心許なく、ゴシック体にしては、文字と文字との間隔が開きすぎて素人っぽいのです。
写本から直に学んでいたらこういう文字は書かなかったと思われます。
ファニーの植物画は愛らしく、昔から好きだったのですが、時代の背景が見えたことで彼女に一歩近づけた気がします。
写真右は、The Revival of Medieval…からの1ページです。
全部お見せしたいところですが、米国アマゾンではSearch Inside機能がありますので、そちらで多くのページをごらんになれると思います。
アールヌーボーとも重なる時代の作品たちですので、その洗練され具合は大いに参考になるでしょう。
残念ながら、どのページの写真も大写しばかりではありません。縮小されたものが多く、細部までじっくり研究するには不向きですが、作品全体のバランスの取り方などには適しています。
高価な本ですが、ぜひ蔵書に加えられては?
その様子を紹介するために昨年出版された"Revival of Medieval Illumination"((書名をクリックするとamazonに飛びます)は、21世紀のカリグラファーにとって、インスパイアーされるものが多い、良い教材になると思いました。
本当はこの本、他の人には教えたくないかも。(笑)
全体の1/3をしめるフランス語論文を私は読めないわけですが、写真は見てるだけでも内容を物語ってくれます。(ちなみに2/3は英文なのでご心配なく。)
中世の写本芸術は19世紀になって良さが見直され、さかんに写本を真似た芸術作品が作られた時期です。
見直されたきっかけは、フランス革命軍の襲撃に遭った修道院から略奪された写本が、市場で売買されるようになったことでした。今まで修道院の宝として大切にされてきた写本が、悲しい略奪にあったものの、一般市民の目に触れ、惹きつける機会になったからでした。
それで19世紀にMissal Paintings(ミサ典書の描き方)という絵画技法書がいくつも出版されるようになり、英国やベルギーやイタリアやフランスなどを中心に、アマチュアを含めた一般の芸術家たちが、写本っぽい書き方で、各種の証書や宗教本や広告などをデザインするようになったのです。
""The Country Flowers of a Victorian Lady"(書名をクリックするとamazonに飛びます)という本をごらんになったことがあるでしょうか?
ファニー・ロビンソンというアマチュアの画家で、中産階級の英国女性なのですが、写真の左側にその本の1ページを写しておきました。
まさに写本から影響を受けた作品を描いています。
"Revival of Medieval…”を読むまで、私はファニー・ロビンソンがたまたま個人的に写本から学んでイラストを描いているものとばかり思っていましたが、おそらくMissal Paintingsの技法書から学んだ一人にすぎなかったのでしょう。
学究肌ではなく、時代の子だったわけです。その証拠に、彼女のカリグラフィーはやや心許なく、ゴシック体にしては、文字と文字との間隔が開きすぎて素人っぽいのです。
写本から直に学んでいたらこういう文字は書かなかったと思われます。
ファニーの植物画は愛らしく、昔から好きだったのですが、時代の背景が見えたことで彼女に一歩近づけた気がします。
写真右は、The Revival of Medieval…からの1ページです。
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アールヌーボーとも重なる時代の作品たちですので、その洗練され具合は大いに参考になるでしょう。
残念ながら、どのページの写真も大写しばかりではありません。縮小されたものが多く、細部までじっくり研究するには不向きですが、作品全体のバランスの取り方などには適しています。
高価な本ですが、ぜひ蔵書に加えられては?