Felineの札幌の日々

カリグラフィーを忘れたカリグラファーangelic felineの怠惰な札幌生活。

ウェルカムボード サンプルその3 ー イタリック体

2006年02月27日 16時32分35秒 | Calligraphy
先日のバラとカンパニュラをモチーフにしたウェルカムボードができた。

一見すると絵を描くのが面倒くさそうなデザインだけど、バラのほうはパターン化しているし、線の細い細密画ではないので、何度か練習しているうちに楽に仕上がるようになった。

それにしてもイタリック体である・・・。
カリグラフィの道に入って最初に習ったまま、6年間封印してきたイタリックを書いてしまった。
通信講座の1回目の提出さえまだ出していないというのに、ああ、書いちゃった。

書きながらドキドキするが、それでもこの書体は練習していると不思議に楽しくなってくる。
他の書体と違って気持ちが開放してくれるというか、特別な魔力を持っている。
そうそう、ルネッサンスの華やかさが伝播してくるのだ。

文字を書くことに熱中してくると、どこか取り憑かれたような感覚になることがある。
それがカロリン体やメロビンジアンやロマネスク体だったりすると、気持ちは修道院のスクリプトリウム(写字室)にいる修道士のストイックな気分になってくる。逆にこの巫女体質(?)を利用して、バスタルダの時は書家でありアルケミストでもあったジャン・フラメルにこちらから乗り移られようとしていたこともある。
イタリックは大きく開けはなった窓からフィレンツェのドゥオーモが見え、音楽が外から聞こえてくるようで、前向きな気分になってくる。

時代を超えた感覚になるのは、いつもいつもじゃないけどね。

文字を書いた緑のガッシュを、私は勝手にティーグリーンと名付けた。
書きやすかったし、若々しさを表現していて結婚式にも合うんじゃないかな。


ところでウェルカムボードの仕事をするというのに、こんなこと言うのは何なのだけど・・
Welcome to our Wedding Receptionという定番のセリフはなんか可笑しくないか?
それが嫌で、今回作ったのはみなwelcome to ourの言葉を外してWedding Receptionだけにした。

ゲストが来たとき直接、新郎あたりがWelcome to our wedding receptionというならありそうだけど
それを披露宴の看板にするというのは、誰でもお入り下さいという感じがして変だと思う。

家々の玄関に最近やたらとWelcomeと書いたトールペイントの札を見るけど、店をやっているわけでもないのに不特定多数に対してウェルカムはやっぱり変じゃないの?
あれだと、泥棒さんもいらっしゃいと手招きしているようでバカっぽい感じがする。
英米で暮らしたことがないから実際のところはわからないけど、たぶん一般の家庭が意味もなくwelcomeなんて札は出していないだろう。
考えても見て欲しい。日本語で「いらっしゃいませ」とか「ようこそ」なんて札を玄関に飾る気がする?

これもいわゆる和製英語の一人歩きじゃないだろうかと思うのだ。

昨年末、近所にイタリア料理の店ができたけど、表の看板に堂々とRestrantとミススペルを掲げている(もちろん正しくはRestaurant)のに比べれば、まだいいか。
その店ときたら、イタリアの地名を店名にしているのだけど、イタイことにrとlを間違えているのだ。
そういう無神経な店なので、味見に行ってみたら、やっぱりたいしたことなかった。


練習ついでにバラのバースデイカード

2006年02月25日 01時43分56秒 | Calligraphy
ダンナの父上のバースデイがもうじきなので、バラのデザインの練習もかねてカード作り。
紫の花はカンパニュラにしてみた。
蔓植物ではないけど、そうなってしまった。
デザイン的にもう少し頑張れば、ウェルカムボードにも使えそうかな。

文字のほうは大胆にもXハイトを引かず書いたためカリグラファーの風上にもおけないヘタレ文字なので凝視しないように。

サンプルその3を目指して・・・バラの習作

2006年02月24日 19時44分14秒 | Calligraphy
大いそがしである。

昨日はカロリン体の最終課題の下書きに着手しはじめ、
今日は早速ウェルカムボードその3の制作を目指して、デザインを考える。
おっと、その前にもう枯れかかっているけど、ボタニカルアートの宿題の色塗りを仕上げなきゃ・・・前回の宿題はあまりの忙しさにパスしてしまったのだ。今回はやっていかないと何のために習っているのかわからなくなる。
幸い今日は夕食を作らなくて良いと言われているので、思いっきり自分のことに打ち込める。
(ここ最近、主婦業というのは有名無実化してきているなぁ。ご飯作るのが精一杯だ。)

最初に着手したのがボタニカルアート。
全部塗り終わってから「そうだ、葉っぱの丸みを出すには、中心を塗り残しておかなきゃいけないって習ったんだった」と気づき、水筆でぬらしタオルであわてて葉の中心を拭き取った。
でもどうやらやらないほうがよかったみたい。不自然な部分が薄くなってしまって明らかに失敗。
バラは葉っぱが難しいと聞いていたが、本当にイマイチの出来。

そしてウェディングボードのコーナーを飾るためにその勢いでバラを使ったデザインの習作を描いてみた。
バラはトールペイント風のデザインだけど、これをアクリル絵の具ではなくガッシュで描くので同じような感じにはできない。

最初が写真左下の紫の花と一緒に描いたもの。
でも紫の花のツルや葉が毒々しくて、これを結婚式に使うなら、かなり改良が必要そう。

次に着手したのがウェディングベルとリボンのデザイン。
リボンの描き方が難しい。
カランダッシュのセルリアンブルーに少しW/Nのパーマネントホワイトを入れてみたけど、もっと淡い色にしないと悪めだちするかな。
リボンは本当に描くべきなのかどうか迷う。
MGスクール生であることを誇りに思っているけど、ライフ・アソシエーションの流派を少し羨ましく思うのは、お花はこうやって描きなさい、リボンはこうやって描きなさい、という装飾のやり方が全部決まっていることだ。忠実に従っていけばあまり考えなくても無難に作品が作れそう。
MGスクールは写本から古典的な装飾は学ぶけど、実際にデザインするのは全部自分だからなぁ。
おかげで絵の描けない私もずいぶん鍛えられた。でもこういう苦しい時はつい「楽できて羨ましいな」と思ってしまう。
ああ、いかんいかん。
あちらの流派の方でも、私が尊敬するのはオリジナルな作品を追求されている中澤千寿子さんとかだから、やっぱりオリジナルをめざさないと。

さて、このデザインが完成したとして、書体はどうしよう?
ゴシック・テクスチューラには合いそうにない。
やっぱりイタリックかな?
でもイタリックは時間がとれなくて、結局いまだに全然練習できていない。
先日、通信教育の最初の宿題を授業のときに持って行ったら
「なんですか、このpは? このUもダメ。ただ書いただけでしょ。もう2回目なんだから・・・」と言われてしまって、それ以降、萎縮して書き直せていないのだ・・・。
あれでも私としてはうまく書けていたつもりだったのにぃ。



ウェルカムボード サンプルその2

2006年02月21日 17時54分46秒 | Calligraphy
第2サンプルがなんとか完成。
写真の左側がそれ。
なんとか完成・・・というのは十分デザインに納得しきっていないから。

ファンデーショナル体で作ろうと、シンプルなものを目指して最初に右側のものをデザインした。
赤と金で結婚の目出度さを表現したつもりだった。
だが夫に意見を求めたら

 ー こんなの1円の価値もない

 ー 僕だったこんなのコンピュータで作る
   高い金出してカリグラフィーで作ってもらう良さなんてないじゃない

 ー 淋しすぎる。 もっと花を全体に描け。

といわれ、納得できない意見も含まれていたが確かにカリグラフィとしての良さは何もないことに気づき、アイディアを練り直した。

全体に花を描けば華やかな感じにはなるだろう。
でもそれだと高いものになってしまう。
値段設定を下の方でキープしたまま華やかさを演出できる方法はないだろうか?

出てきた結論はフローリッシングだった。

ファンデーショナルとフローリッシュを組み合わせることってまずない。
つまりファンデーショナル体はアセンダー(l、k、h、dなどの上に伸ばした線)やディセンダー(p、qの下に伸ばした線)が短いのが特徴で、フローリッシュはこれが長い書体に通常組み合わせる装飾だから。
果たして合うだろうかと不安に思いながらも試行錯誤を重ねた。

そしてできたのがwedding receptionをひとつのロゴのように◆っぽくまとめた写真のデザインだ。

ただ難点がひとつ。
手早く作れる大量生産も可能なデザインとして作ったつもりが、結構書いていて難しい。
特にpから下のほうへだんだん小さくなっていくループを完成させるのに、何枚も何枚も書き直した。
バスタルダで鍛えたつもりだったが、羽ペンでも途中で途切れたりいびつなループになったりで、決して楽なデザインとは言えない。
注文がきたら本当にうまく作れるかしら?

最初のほうのデザインはWとRがビルトアップ、つまりペンで書くのではなく、定規を使って描いていくタイプの大文字にしたので、これもこれで時間がかかってしまったけど、楽さで言えば最初のほうがずっと楽だった。

最初のデザインとあとのものと共通な部分は赤と金の菊科の花だけど、もう一つは大きかったハートをループの先に小さくつけたこと。
大きなハートのほうは「ありがちな」デザインなのでいかにもモノマネって感じに見えるし、新婦はともかく新郎はハートなんて照れくさいかもしれないので、小さくしてよかったかもしれない。

今、不安なのは果たして黒で文字を書いてよかったのかどうか。
私としては赤と黒の組み合わせはスタイリッシュで好きだけど、結婚式に黒文字を書いていいのかどうか迷うところだ。
かといって、茶色を試してみたけど、どうもしっくり来なかった。
根本的に色の組み合わせをチェンジすべきかどうか若干、引っかかっている。



ウェルカムボードのサンプルやっと一つ完成

2006年02月11日 17時26分53秒 | Calligraphy
ウェルカムボードのサンプル作成の期限まで、もう1ヶ月を切ってしまった。
ほとんど決まっていたデザインのものだけでも完成しておけば、いくらか精神的に楽になるので、家人が海外出張中の今、全力投球でとりあえず作ってみた。

サンプルとして架空の人の名前をあれこれ考えてみるが、うまい組み合わせがなかなか思いつかないものだ。
欧米人の名前ならなぜかドンドン思い浮かぶのだけど。
今、結婚する世代ってどんな名前が多いのだろう?

公私混同気味だが日付は、私たちの結婚十周年(えっ!もうそんなに経つの?)記念日を勝手につけた。
名前は結局、欧米風にしてしまったけど、ん?なんだか親しみのある名前だ。(知ってても、大きな声で言わないように)

話は変わるが私は結婚してからの名字が気に入っている。
旧姓も格調があって大好きだったが、外国人には長すぎて難しくて覚えてもらいにくかった。
かといって、下の名前のほうは短いけど、日本人以外からみると、100%男の名前だと勘違いする強い音に聞こえるらしく、性別では混乱させることが多かった。
アフリカにいた時などは、使用人のボーイもコックも運転手も「こんな男みたいな名前ありえない」と思ったのか、勝手に語尾変化させて呼ばれていた。
どこに行っても女だとすぐわかってもらえて、かつ覚えてもらいやすい名前ならいいのに・・・と子供心に日本名を恨めしく思ったものだった。

ところが今の名字は、完全に日本の名前でありながら、同じ名字がイタリアやドイツにも少数ながらあるのだ。
ローマ字でぐぐってみると、トマソ・ディ・○○教授なんて人が検索にひっかかってくる。
ダンナの父もかつて○○教授と呼ばれていた。
同姓の教授がイタリアと日本にいると考えるとちょっと楽しい。


私はふだんネットで英語のやりとりをする時は下の名前をローマ字で略してしまい、クリスチャンネームを名乗っている。そしてあの名字なので、外国人から見るとますます国籍不明らしく、しばらくやりとりするとたいてい「何人か」と聞かれる。日本人だと答えると「アメリカ人かと思った」と返ってくる。日系なのかイタリア系なのかわからないが、確かにアメリカにも同姓のミュージカル役者や研究者がいるようだ。

正体不明の東洋人というのもどうかと思うが、とにもかくにも一目で性別がわかってもらえる名前というのは、いちいち説明したり、自分の名前にMrs.を付けたりする必要がなくてとてもありがたい。