はい。こちら農水省製麺局ラーメン課

ネクストテクスト (nexttext.org) の名物コーナーがブログで再出発。ラーメン課長の
愛と情熱を全世界へ。

つけ麺専門店 七福神

2005-05-19 12:05:18 | ラーメン店調査 (51~55点)
池袋西口の「えびす通り」路地裏に軒を構える一見、何の変哲もない店であるが、この店の実力の高さが尋常ならざるものであることを知る者は多い。

私がこの店を訪れたのは平日の夜であったが、カウンター席ではどこからともなくやって来た客が一心不乱につけ麺を啜っており、比較的わかりにくい場所にあるにもかかわらず、どうしてこの店を探し当てることができたのだろうかとその情報収集力の高さに舌を巻かざるを得ない次第なのであった。

「もりそば」のテイストは「東池袋大勝軒」系であるが、その実力はもはや、親元である「東池袋大勝軒」を超えていると言っても過言ではないだろう。コシの強さと舌触りの良さを徹底的に追及した自家製麺は、この店が開店するに当たってまず一番はじめに考えたことが「つけ麺に合うような麺づくり」であったことから考えても不味かろうはずがない。つけ麺にありがちな鼻に付く雑味も全くない至高の逸品である。麺の太さは「東池袋大勝軒」よりも若干細めであるが、ボリューム感はいささかたりとも損なわれてはいない。

東池袋大勝軒」のつけダレにリンゴ酢を加え甘酸っぱさを強調したスープは異様に美味く、定期的に食べに行かなければ禁断症状を呈することは必至である。麺を啜り上げれば、その麺に絡まったスープのピリッとした辛味が味蕾を刺激し、その後しばらく経ってからリンゴ酢の甘酸っぱい旨味成分が脳天を直撃する。この辛味と甘酸っぱさのダブルパンチに平静を保っていられる者などほとんどいないだろう。

メニューは多岐にわたり、変わったところでは「もり角煮」や麺量1,200gを誇る「もり極(きわめ)」という一体誰が完食できるのだろうか小一時間は問い詰めたいようなものもある。1,200gと言えば、並のラーメンの10倍程度の麺量である。私も700g程度までであればコンディションが良ければ一気に食べることが可能であるが、1,200gともなればおそらくどれだけ頑張っても完食することはできないだろう。

ちなみに、今回私は「あつなまの大(つまり、もりそばの麺を熱くしてもらってつけダレに生卵を加えたものの大盛のことである)」をいただいたが、これで麺量は500g強程度であると思われる。「もり極」はその2倍以上はあるというのだから、その怪物ぶりは推して知るべきである。

麺:13点、スープ:17点、具:4点、バランス:10点、将来性:8点の合計52点。

池袋界隈には「東池袋大勝軒」「麺舗十六」「ごとう」「七人の侍」「岡崎」などつけ麺の名店が多いが、その中でも1、2を争うレベルの高さを誇る上、他店が営業を終えている夜間の営業も行っているので、つけ麺好きにとっては大変重宝する店となるだろう。自信を持ってお勧めできる一店。


所在地:池袋
高田馬場に支店あり
実食日:2004年3月

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やなか草

2005-05-18 02:45:31 | ラーメン店調査 (51~55点)
世の中のラーメン屋には支店や姉妹店、系列店と称して本店とは似ても似つかないようなひどい品を平気で出している店が多い。そのような支店を野放図に放置する本店のクオリティ管理意識の低さにも大いに問題があるだろう。実際、本店と支店の味が大幅に異なると揶揄されている店は、支店の不味さが指摘されてから程なく本店のクオリティも大幅に低下し目も当てられないような無惨な状況を呈することが多い。

ここ平井の「やなか草」は葛西の雄「ちばき屋」の姉妹店。分量も味も具も「ちばき屋」と全く同じものを出すのだが、この店の味は果たしてどのようなものなのであろうか、本店と較べてクオリティが落ちるということはないのだろうか、とそのようなことを確かめるために私は今回、この店を訪問したわけである。

「やなか草」の所在地は「ちばき屋」と同じく、駅からは近いものの比較的人目に付きにくい路地にある。が、マスコミやラーメン雑誌などでしょっちゅう大々的に採り上げられる「ちばき屋」の方はそのような路地裏にありながらも開店と同時に客が大挙して押し寄せ大行列を作っているような状況にある。

一方、姉妹店の「やなか草」の方はそれ程マスコミに採り上げられる機会がないためか、現在のところは判りにくい路地裏にあることが功を奏し、食べ手にとっては非常にありがたい状況となっている。私が訪問した平日の夜も、行列はおろか比較的広めにとった店内の客すらまばら。先客4、後客1と非常に優雅な状況であった。

しかし、これで味の方がイマイチであればこのような閑散とした状況にも全く意味がなくなってしまう。先程述べたとおり、多くの支店が本店ほどの客を誘引できないのは「本店よりも味が悪い」という事実があるからである。味が悪ければ客が来ないのは当たり前。行列に並ばずしても本店と全く同じクオリティのラーメンを食べることができることに意味があるのである。

さて、ここ「やなか草」のラーメンは果たしてどちらなのだろうか。やはり他の例に漏れず「ちばき屋」よりも味が落ちるのか、それとも「ちばき屋」と全く変わらぬ見事な逸品を提供する稀有な例外なのだろうか。蓋を開いてみたら結果は後者であった。

いや、むしろ使っている器に「やなか草」独自の創意工夫が発揮されていることや、「ちばき屋」では若干多いかなあと感じた(麺量に対する)スープの量が見事に改善されており、簡単に完食できるような仕組みとなっているところには舌を巻いた。

評価としては「ちばき屋」と同じ麺:13点、スープ:17点、具:5点、バランス:10点、将来性:8点の合計53点を与えても差し支えないものであり、これ程までに高いクオリティのラーメンを行列なしにあっさりと食することができるありがたさを噛み締めずにはいられなかった。平井近辺に住んでいる人は是非訪れてみてほしい。


所在地:平井
本店は葛西。お台場、仙台にも支店あり。
実食日:2004年3月

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なんつッ亭 弐

2005-05-13 03:25:34 | ラーメン店調査 (51~55点)
近年の、とりわけ、ここ数年間におけるラーメン業界は栄枯盛衰が著しい。2003年12月に一大人口集積地である渋谷の千歳会館に鳴り物入りでオープンしたフードテーマパーク「麺喰王国」の人気が蓋を開けてみれば芳しくなく、先日早々に閉鎖の憂き目に遭った一方で、新店やフードテーマパークが、東京都内はもちろんのこと、各地方においても続々と産声を上げている状況にある。

特に全国各地における有力ラーメン店を一堂に集めたラーメン・フードテーマパークは百花繚乱の状況を呈しており、もはやどこにどのようなテーマパークがあるのかを把握することすら、困難な状態となっている。率直に申し上げて、私などは、このようなテーマパークの濫立について、食傷気味の感すら抱いているところである。

そのような状況下において他の凡百のテーマパークとは一味違ったテーマパーク、「麺達七人衆 品達」が、品川に登場した。何が一味違うのかと言えば、まずは出店している店舗が個性派ぞろいであることが挙げられる。

通常この手のテーマパークには、いわゆる功を成し名を遂げた有名店の支店が誘致されるケースが多い。これはスポンサーとしてテーマパークに出資する企業の立場からすれば仕方ないことではある。しかしながら、そのような店はチェーン化が進んでいることがままあるため、別に、わざわざテーマパークに足を運んでまでその店を訪問しなければならない必然性がない。そのため、誠に遺憾ながら、フリークにとっては価値が低いものであることが多いのである。また同様の理由から、成長期を終えて安定期に入った店なども多く、そのような店のラーメンは、これもまた誠に遺憾ながら、あまり美味くない場合が多い。

ところが、「麺達七人衆 品達」は、そのような誘致方法を採っていない。たとえば、名店の誉れ高い店であるが、それまで支店も出したことがなく、しかも立地上極めて不便な場所にあったためにその店を訪問するだけで丸一日が潰れてしまうというような店や、有名店ではあるが、コンセプト・チェンジしており「麺達七人衆 品達」でなければ食することができないような店、を誘致しているのである。

またこのテーマパークのもうひとつの特色として、各店舗間のバランスにこだわらず、誘致したい店を誘致するという方式を採用しているところが挙げられよう。熊本ラーメンの店の隣に同じく熊本ラーメンの店をぶつけるなど、これまでのテーマパークの常識から言えば滅茶苦茶なことをしているのである。テーマパークを構成する数店舗のうち、2軒が熊本ラーメンなどということはこれまであり得ないことであった。

そのような他のテーマパークとは一味違った「麺達七人衆 品達」の店舗構成を具体的に紹介すると、2005年5月現在、「なんつッ亭 弐」「ひごもんず」「せたが屋雲」「きび」「旭川ラーメンSaijo」「麺屋蔵六」「くじら軒」の7軒。最近、数店舗をテーマパークに進出させている「くじら軒」を除けば、なかなかユニークな組合せである。

と、「麺達七人衆 品達」の紹介が長くなってしまった。そろそろ本論に入ろう。

その中でもダントツの集客力を誇るのが「なんつッ亭 弐」である。大袈裟ではなく、文字どおりのダントツの一番人気店であり、他店との集客力の差は、他の6店舗における行列を足し合わせても、まだ同店のそれには遠く及ばないといったところである。私が訪問した小雨がぱらつく昼下がりにおいても、40人以上の客が長蛇の列を成しており、待ち時間は軽く1時間を超えた。同時刻の他店の状況と言えば、「せたが屋雲」に2、3名の客が並んでいただけであったことからも、同店の人気の凄まじさが御理解いただけるだろうか。まさに独り勝ちの様相を呈している。

秦野の山奥の難食行列店「なんつッ亭」初の支店であり、「なんつッ亭」が既にカリスマ級の名店の域に到達していることを考慮しても、それほどまでに他店と人気に差があることについては、予想の範囲外であった。

他店もそれなりに名の通った又は美味そうなラーメン屋だったこともあり、「なんつッ亭 弐」の長蛇の列に飛び込むことを躊躇する局面もあったが、そのような逆境を避けて通っていては、到底ラーメン課長などを名乗る資格はなかろう。「同じ熊本ラーメンなのであれば、隣の『ひごもんず』であれば待ち時間ゼロで食することができる。だったら「ひごもんず」で良いではないか」と私の中の弱い人格のほうが私に囁く。が、違うのだ。そのような問題ではない。「ひごもんず」は既に4、5回は食しており、しかも、西荻窪駅前で食することができるではないか。我に返った私は、和気藹々と歓談しつつ待ち時間を過ごす行列中のカップル客を尻目に、ストイックな面持ちで列に加わったのであった。

待つこと1時間強。もちろん、1時間前後の待ち時間など、私にとっては日常茶飯事なのでさほどの苦痛を伴うものではないものの、ようやく店内に到達したと思ったら、まだ10名程度の客が列を成していることにはさすがに閉口してしまった。席数はカウンター席が18、テーブル席が4の合計22席と結構多めなのであるが。
 
ここまで待たされると、連食を考えていながらも、ついボリュームの多いメニューをオーダーしてしまうのが人間の常であろう。私も例に漏れず、「ちゃーしゅーめん」の大盛りと温玉(温泉卵)に加え、半めしまでオーダーしてしまった次第である。 

麺は硬めのストレートであり、味も名店の名に恥じない優良品。スープは表層に黒いマー油が膜を張っており、濃厚な豚骨スープとのハーモニーが素晴らしい。豚骨スープとマー油を組み合わせることは、典型的な熊本ラーメンの手法を踏襲したものであるが、豚骨スープ、マー油ともに、他店のそれとは一線を画したハイ・クオリティーを維持している。豚頭を中心に丹念に煮込んだ豚骨スープは濃厚で深いコクがある。しかしながら、いわゆる豚臭さは皆無であり、ほんのりと甘みがかっていて飲みやすい。口に含むと、上品で甘美なクリームスープを味わっているかのごとき錯覚を受ける美味い豚骨スープのお手本のような名作であり、マー油のクオリティが高いことも相俟って、熊本ラーメンの極みのような境地を現出させている。とりわけ、マー油と豚骨スープが渾然一体となって混ざり合う後半における美味さは、熊本ラーメンでは他に比肩するものがないレベルにまで到達している。一言で言えば極めて丁寧に作られたスープ。野趣味溢れるコクの中に凛とした気品があり、コッテリしているように見えるのに食べるとなぜかあっさりしているように感じる人が多いのではないか。

具は、のり、ネギ、モヤシ、チャーシュー、そして温泉卵であるが、モヤシはしっかりと水切りが施されており、スープの味を邪魔していない。私は、ラーメンにモヤシは要らないのではないかと常々思っているが、こちらのモヤシについては、不要であるとまでは感じなかった。チャーシューは、熊本系にしてはかなり、ラーメン全般の中でみてもそれなりに美味い。温泉卵は半熟トロトロ系。相当上手に食べなければ黄身がスープに混ざってしまうため、純粋にスープの旨味を味わいたいと考える向きにとっては不満が残るところかもしれないが、温泉卵そのものは「さすが!」と頭を垂れるほかないクオリティーの高さを誇っている。

評価としては、麺:11点、スープ:18点、具:4点、バランス:10点、将来性:10点の合計53点。

オープンして日が浅いためか、厳しい見方をすれば、まだ超絶的に美味いという領域にまでは到達していないと思うが、見方を変えれば、オープンして日が浅いにもかかわらず、この実力の高さは相当なものだということにもなる。2時間以上並んでまで食する価値があるとは言えないが、1時間程度の待ち時間で済むのであれば、この一杯で十分おつりがくるだろう。


所在地:品川
神奈川県秦野に本店あり
実食日:05年2月

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[閉店] 醤屋 (2)

2005-05-10 00:02:54 | ラーメン店調査 (51~55点)
■■ 閉店しました ■■

原稿を書いている内に無性に「醤屋」のラーメンが食べたくなって仕方がなくなってしまったので、立て続けに同じ店を訪問することは少ない私ではあるが、ついつい、馬込まで足を延ばしてしまった。今回のターゲットはこれまで食べたことがなかった「紫」か「海物語ラーメン」。

店に到着した時に見た「海物語ラーメン」の写真がしっくりこなかったので、無難に「紫」をオーダーすることにした。もちろん、サイドメニューの豚めしを併せてオーダーすることも忘れない(今回は「大盛豚めし」をオーダー)。

出てきた「紫」は、非加熱本格生醤油を用いた「黒」よりは幾分スープの色は薄いが、「白」よりは幾分色が濃いといった感じのもの。私の右隣の客が「黒」、左隣の客が「白」を頼んでいたので三者の違いがよくわかった。

三者のちょうど中間的なスープを用いた「紫」はビジュアルそのものはごく標準的な醤油らーめんといったテイストであり、「もしかするとこれが醤屋のスタンダードなのではないのかなあ」とふと考え込んでしまった。もっとも、私以外「紫」を頼んでいる者など誰もいなかったのだが。

スープは、「黒」よりはかなり癖が抑えられてはいるものの小豆島の醤油のほのかな甘みが嫌味なく食べ手に伝わってくるような燻銀的な秀作。あまりこれといった特徴がないため衝撃的に旨いといった種類のものではないが、しみじみと旨い。「紫」には刻み玉葱は入っているが焦がしネギは入っていない。

スープを飲み進めていく内に小さなエビの破片を発見したが、ひょっとするとエビを素材として使っているのだろうか。全く気が付かなかったが。

少し硬めに茹でられた細ストレート麺とスープの相性は「黒」と同じく頗る良好。が、醤屋の唯一の欠点(?)である麺の分量に較べてスープの量が多いことが「紫」ではより一層顕在化する傾向にあり、麺を食べ終わった後に残してしまったスープを最後まで飲み干すことには若干苦労した(結局完食はしたが)。決して単独で飲み干すことができないスープではないのだが、「黒」や「白」のような際立った特徴がないだけに「飲みたい」というインセンティブが湧かないといった側面があることは否めない。

「黒」や「白」が誰にでも判るような衝撃的な旨さで食べ手を魅了するものだとすれば、「紫」は東西南北の様々な種類の醤油らーめんを食べ尽くした者だけがわかるような旨さを持っている。いわば「玄人受けするラーメン」とでも言えるのだろうか。

評価は「紫」で麺:13点、スープ:16点、具:5点、バランス:8点、将来性:10点の合計52点。

スープは確かに非常に旨く、これはこれで「ひとつの完成されたスタイル」なのだろうけど、「黒」よりも突き抜けたものがない分評価は若干下がる。麺は「黒」と同じものを同じ製法で提供しており、そうであれば「14点」とすべきなのであろうが、僅かに「紫」に使う麺としては完成度が下がるような気がした。「紫」にはより太い麺を使った方がしっくり来るのではなかろうか。バランスの項目についても同様の理由により「8点」とさせていただいた。
醤屋 (1)を読む


所在地:馬込
実食日:2004年3月

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ちばき屋

2005-05-07 11:45:57 | ラーメン店調査 (51~55点)
東京東部を代表する超がつく有名店であり、味付玉子に半熟玉子を使用した嚆矢であることでも有名である。現在、味付玉子に半熟玉子や温泉玉子を用いる店は激増し、日本全国に数多く存在しているが、その元祖がここ「ちばき屋」なのだ。この発想力、独創性の高さは特筆に値するものであり、手放しで賛意を表したい。

私は今回はお台場にある支店を訪れたが、2年ほど前に葛西の本店にも訪れたことがある。葛西の本店の方は、マスコミへの露出も極めて多く、今や押しも押されぬ大行列店になってしまったが、お台場店の方は、立地が少し目立たないところにあるためか、それとも出来立てホヤホヤの新店であるためなのか、少なくともランチタイムやディナータイムを外しさえすれば行列することなくラーメンにありつくことが可能な状態にあり、強くお勧めしたい。

だからと言って、通常のラーメン屋における本店と支店の関係のように、お台場店のクオリティが葛西の本店のそれよりも落ちるなどといった事態は招来していない。お台場店を守る頑固一徹そうな店主を一目見れば、その事情は容易に看取できるであろう。そのような意味においても安心してお勧めできる稀有な一店である。

私が訪れた日曜日の16:30で先客は2名。ワンタン麺に名物である味付玉子をトッピングしてオーダーした。

縮れが強い細麺は弾力性もあり、雑味も全くなく、アッサリしたラーメンにはこのような麺を用いるべきなんですよというお手本のような逸品。煮干しの持ち味が隠し味として活かされた仄かな甘みが印象的なスープは、「ちばき屋」ならではのこの店でしか味わうことのできない傑作であり、この日1軒目に訪れた「秋葉家」と比較すれば、こちらの方がはるかに旨味がわかりやすく一般受けしそうだと思うようなテイスト。加えて、スープと麺の絡みが極めて良好であり、一部のフリークの間においては味の低下がささやかれている「ちばき屋」ではあるが、この日のこのラーメンを見る限りにおいては、当分は安泰だろうなとの印象が強かった。

具のワンタンは、特筆すべきことのない普通の品であったが、これはあくまでもオプション的な位置づけの品なので御愛敬といったところか。元祖味付玉子は、今となればこれといって驚かされるようなものではなかったが、「元祖」というところにむしろ大きな意味があるのだと思う。貝割れ大根はチャームポイントか。

評価としては、麺:13点、スープ:17点、具:5点、バランス:10点、将来性:8点の合計53点といったところ。

味の低下などが取り沙汰されている「ちばき屋」ではあるが、現在でもなおいささかも衰えることなく東京東部エリアの名店として君臨し続けている巨星との印象を私は受けた。純粋にラーメンの味だけを見れば、依然として指折りの名店であろう。


所在地:葛西
支店:お台場、平井、仙台
実食日:04年2月

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ラーメン○二郎2号店

2005-05-07 11:42:30 | ラーメン店調査 (51~55点)
三田を拠点とする「ラーメン二郎」は非常にオリジナリティーが豊かなラーメン屋で、現在首都圏に十数店舗ほどの支店及び系列店が存在するのだが、それぞれ三田本店のテイストは継承しつつも、各店ごとに独自の創意工夫により味の改良を推し進めているところである。それらの二郎系列の中でも、その限りなく強い個性により凶暴的なまでの進化を遂げた店、それが名店「ラーメン二郎 赤羽店」である。

これは余談になるが、不思議なのは、三田本店の直弟子に当たる店が「赤羽二郎」、「赤羽二郎」の直弟子に当たる店が「目黒二郎」になるのだが、目黒と三田の両店は、「「目黒二郎」は「三田二郎」のコピーだ」と言われるほどテイストが似通っているのものの、その間に挟まる「ラーメン二郎赤羽店」は、その両店とも全く似ていないところである。つまり「三田二郎」にとって孫弟子に当たる「目黒二郎」は、「三田二郎」の忠実なコピーなのであるが、「目黒二郎」の親であり、「三田二郎」の子である「赤羽二郎」は、まるで異端児のような凶暴さを発揮しているのである。常識的に考えれば「赤羽二郎」の子である「目黒二郎は、赤羽の血を引いて然るべきだろうと思うのだが、隔世遺伝でもしたのだろうか。

さて、「ラーメン○二郎2号店」は、その「ラーメン二郎赤羽店(2002年より「ラーメン○二郎」に改名)」の2号店。つまり「赤羽二郎」の凶暴な遺伝子を余すことなく受け継いだ二郎の暴れん坊将軍である。

評価は「ラーメン二郎赤羽店」と同じ。麺:13点、スープ:17点、具:4点、バランス:10点、将来性:7点の合計51点であるが、この店独自の新システムとして特筆すべきは、オプションとして希望により「ニンニクダレ」か「ショウガダレ」のいずれか一方を無料で提供してもらえることだ。トッピングで「ニンニク」をオーダー(無料)し、100円を払って国内産ニンニクを頼み、最後のトドメとして「ニンニクダレ」をトッピングすれば、もはや、その後1~2日間は決して大手を振って街を歩くことができないこと、これ必定の理であるが、この多種多様なニンニクが醸し出すハーモニーがまた病的に旨いのである。翌日に大切な商談やデートがなければ是非ともお試しいただきたいトッピングである。


所在地:要町
実食日04年2月

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中華蕎麦ぷかぷか

2005-05-07 11:34:39 | ラーメン店調査 (51~55点)
中目黒は現在、3軒の有力店、すなわち「八雲」「框堂」「中華蕎麦ぷかぷか」が互いに凌ぎを削り、覇権を競っているといった状況を展開させている。

八雲」はその3軒の中でも比較的昔から存在する古豪であり(とは言ってもオープンからそれ程の期間が経っているわけではないが)、「たんたん亭@浜田山」の系譜を引く名店。アッサリした支那そばを食べさせる店であり、数多くのリピーターを抱える目黒区の有力店である。

一方、「中華蕎麦ぷかぷか」と「框堂」は出来立てホヤホヤの新店。前者は、高田馬場の「渡なべ」で有名なフード・プロデューサー渡辺樹庵氏がプロデュースした塩ラーメンを看板メニューに据えた店であり、後者は、海出汁と山出汁の2種類の出汁を用いて、それぞれの出汁で塩、醤油、味噌の3種類のラーメンを作るという器用な店。この両店の看板メニューは塩ラーメンなので、それぞれの店で食べ比べてみるというのも面白いだろう。それぞれ違ったアプローチから塩ラーメンを作っており、同じ「塩ラーメン」とはいえ、本当に表現方法は多種多様なんだという事実に改めて思い知らされることになるだろう。

さて、この店「中華蕎麦ぷかぷか」は中目黒駅を降りて山手通りを右折。そのまま暫く直進し、レンタルビデオ屋を右折し、「目黒銀座」という商店街に入ってすぐの左手に位置するカウンター9席ほどの小さな店である。商店街をそのまままっすぐ進めば「八雲」があるが、それよりはずっと手前である。焼肉屋の隣。

メニューは、塩らーめん、醤油らーめん、つけめんにトッピングで味付玉子やチャーシューを付けることができるという至ってシンプルな構成。メニューの順番からも判るとおり、この店の看板メニューは「塩らーめん」である。私も躊躇うことなく塩らーめん(味玉入り)をオーダーした。

やや小振りの丼に品よく盛り付けられた2枚のチャーシューと味付玉子が、食べる前からこの店のレベルの高さを実感させてくれる。鳥取産の丸鶏や厳選された調味料により丹念に作られるスープは、どちらかと言えば、独創的なラーメンが多い渡辺氏プロデュースのラーメンとしては、極めて「正統派」といった面持ち。ともすれば個性的であることばかりに目を奪われがちな昨今のラーメン業界においては、かえって新鮮であり、好感度大。アクセントとして加えられたニンニク油、焦がしネギが両者相俟って、スープのクオリティを限りなく高め、食べ手を至福の境地へと誘ってくれるだろう。

心持ち柔らかめではあるが、しっかりと芯を残しつつスープの中を泳いでいる細ストレート麺も、この塩スープによく調和しており旨い。渡辺系のお家芸である半熟トロトロの味付玉子は言うまでもなく絶品。玉子から溶け出した黄身が、塩スープに混ざれば、デフォルトとはまた違った新たな旨さを感覚することができる。1回で2度美味しいというわけだ。

麺とスープの分量のバランスまでキチンと計算されているのだろうか。違和感なくごく自然にスープの最後の一滴まで飲み干すことができる。味のバランスだけではなく、このような分量のバランスにまで配慮することができる姿勢は素晴らしい。このような姿勢が客を唸らせる名品を生み出す原動力になるのだろう。

麺:12点、スープ:18点、具:4点、バランス:9点、将来性:9点の合計52点。

中目黒の3軒の中では、ここ「中華蕎麦ぷかぷか」のクオリティが少し抜けていると思う。数多い渡辺樹庵プロデュースの店の中でも「渡なべ」に次ぐクオリティの高さを誇っており、自信を持ってお勧めできる一店だ。


所在地:中目黒
実食日:04年2月

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CHABUYA JAPAN SIORAHMEN BRANCH

2005-05-07 11:33:48 | ラーメン店調査 (51~55点)
「柳麺ちゃぶ屋」が2003年7月に満を持してオープンさせた塩ラーメン専門店である。

まだ聞き慣れない言葉かも知れないが、最近の首都圏のラーメン業界では、あるラーメン屋が従来からその店で出しているラーメンとは全く種類が異なるラーメンを出す店を新たにプロデュースするという「コンセプト・チェンジ」が頻繁に行われるようになってきた。例えば「一風堂」の「五行」、「田中商店」の「つしま」、「せたが屋」の「ひるがお」と「大大」、「麺屋武蔵」の「二天」と「麺屋武蔵武骨」が代表例であるが、「柳麺ちゃぶ屋」と「CHABUYA JAPAN SIORAHMEN BRANCH」の関係も同じ。本体である「柳麺ちゃぶ屋」の方は醤油らーめん、味噌らーめんは作るが、塩ラーメンは作らない。単に本店が支店を出す場合とは異なり、本店が作るラーメンの味も低下せず、いや、むしろ全く違う種類のラーメンを店舗を構えて提供することができる程の実力があるわけだから、むしろ味は益々向上し、食べる側にとっても全く新しいラーメン屋が誕生することと同義であり、大歓迎というわけである。中でも、とりわけ「ちゃぶ屋」のコンセプト・チェンジであるこの店の評判は極めて上々であり、ラーメンのクオリティーも頗る高いことを保証しよう。

メニュー構成は2004年1月現在で、しおらぁめん(700円)、ちゃーしゅーめん(900円)、梅塩らぁめん(700円)など。冷ざるらぁめんなどという涼しげな品も用意されている。

繊細で優美なしおらぁめんを専門的に提供する店だけあって、店内の雰囲気もそれに相応した「雅」を感じる造りとなっている。2列に配置されたそれぞれ5席、合わせて10席程度のカウンター席は、フスマを模した衝立てに隔てられており、食べ手は落ち着いてゆっくりとラーメンを食することができる。漆黒のテーブル、深紅の椅子、足下を照らす柔らかい白色蛍光灯が、黒、赤、白のコントラストを鮮やかに浮き彫りにし、あたかも幽玄の世界に迷い込んだような錯覚に陥っていく。もはやラーメン屋が、女性ひとりが立ち入るのには勇気が要る場所である、という概念が過去の遺産になりつつあることを否応なく思い知らされる。

私は、ちゃーしゅーめんをオーダー。トッピングとして玉子を注文した。供されたちゃーしゅーめんは、例えようもない芳香を漂わせる半透明のスープの上に、青ネギ、白ネギ、焦がしネギがアーティスティックに盛り付けられ、紅一点である赤唐辛子が眩しげだ。秩序よく並べられたチャーシューは、食する前から既にそれが絶品であることを確信できるような見事な出来映え。控えめに載せられた玉子の白が無邪気で微笑ましい。

大きなレンゲでスープを啜る。名作だ。パーフェクトとしか申し上げようがない。気品すら感じさせる潮の香りが、まず鼻腔をくすぐり、舌でスープをそっと愛でれば、パッと弾けるような旨味が口内で花火のように炸裂する。アッサリとしているが、味に明確な主張があり、味に明確な主張はあるが、決して押しつけがましくはなっていない。このスープを青、白、焦がしネギの3種類と一緒に胃に注ぎ込めば、もはやその圧倒的な美味にただただひれ伏すしか術はない。「参りました」と。

具の3種類のネギはもちろんのこと、チャーシューについても全く何も申し上げようがないほど美味であり、舌の上でとろけていく傑作なのであるが、中でも特に玉子の出来は超絶的。中心部のみがわずかに半熟になっているのだが、スープに調和する見事な味付けが施されており、必食の逸品だ。

麺は「ちゃぶ屋」譲りの、細いストレート麺をやや柔らか目に茹でた品を用いているが、スープ、具と調和しており頗る美味い。ただし、スープと具の神々しいまでの完璧さと比較すれば、ややレベルが下がるかなといった印象は否めない。が、これはあくまでも相対的な話であって、一軒のラーメン屋の麺として考えた場合、美味いことに間違いはない。全体として美しい乙女を想起させるようなラーメンであり、完成度は極めて高い。

麺:12点、スープ:20点、具:5点、バランス:8点、将来性:9点の合計54点。

毎日のようにラーメンを食べている私でも、食べながら「これはうまい」と声に出して言ってしまったほどの絶品である。


所在地:護国寺
実食日:04年1月

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中華麺家まんまる

2005-05-07 10:24:11 | ラーメン店調査 (51~55点)
東京東部エリアの店には、地味で一見したところこれといった特徴やウリがないように見えるのにもk拘らず、非常に完成度の高いラーメンを食べさせてくれるところがいくつかある。「めんやもも@一之江」「夢うさぎ@西葛西」などが代表格であるが、ここ「中華麺家まんまる」もその内のひとつ。

奇抜さや新奇性こそないが、ジンワリと心に響く旨いラーメンを食べさせてくれる。「まんまる」は四ツ木駅から商店街を北上すること5、6分。お世辞にも活気があるとは言えないような商店街の外れに店舗を構え(付近に住む人たちには失礼ではあるが)本当にこんな場所にあるラーメン屋が旨いのだろうかと心配になってくるほどだ。

しかし、店内に入ってきびきびとラーメンを作るスタッフの姿を見ればその心配が杞憂であったことがすぐに判るだろう。ラーメンを作るスタッフの姿は活気に満ちあふれ、目に映るまんまるオリジナルTシャツもどことなく誇らしげだ。

カウンター10席程度に半個室になっている4人掛けテーブルが2卓。結構収容数は少なめなのだが、スペースをゆったりと広めにとっているので窮屈さは微塵も感じさせない。

ワンタンメンを味付け卵入りで注文。

これは旨い。ラーメン系Webサイトの情報どおり、ワンタンの中に具は殆ど入っていないのだが、おそらく単独でワンタンを味わうことよりも、スープが絡んだワンタンを味わうことに主眼が置かれているのだろう。文句なしに美味い。具が入っていないことにも不満はない。

穏やかではあるが香ばしさが五臓六腑に染み渡るような醤油スープには心持ち硬茹での中太麺が組み合わされており、「醤油らーめん」という作品の持ち味を、それこそ頭の先から足のつま先まで存分に堪能することができる。食べ進めている内にいつの間にかスープの最後の一滴まで飲み干さずにはいられない魔性の魅力を持った傑作だ。

麺:13点、スープ:17点、具:5点、バランス:9点、将来性:8点の計52点。

葛飾区ナンバーワンの店であると同時に東京東部エリア屈指の名店でもある。実力は間違いなく超一線級だ。「麺・粥けんけん@立石」が対立候補筆頭に挙がるが、こちらの方がやや上だと私は思う。


所在地:四ツ木
実食日:2004年1月

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熟成鶏醤油らーめん上弦の月

2005-05-07 10:21:49 | ラーメン店調査 (51~55点)
2001年オープンと比較的新しい店ながら、今や蒲田のみならず首都圏でも有数の大行列店にまで上り詰めた大注目の一店。

以前は豚骨醤油味のラーメンで勝負していたが、方針を変更して、現在は高品質な国産地鶏を数種類組み合わせて作った鶏ベースのスープに大栄食品製の極太麺を組み合わせたオリジナリティの高いラーメンを提供している。

スープを構成する具材から麺そして具の一品一品に至るまで、いささかの妥協もなく厳選、吟味された食材を使用しており、この飽くなき旨さへの探求心は一体どこから生まれてくるのだろうとただひたすら脱帽する限りである。

その日納得のいくスープができなければ店を開けないことでも有名で、店内の貼り紙によれば、初年度は330日のうち何とたったの90日しか店を開けなかったそうである。もはや執念にも似たおそるべき味へのこだわりだ。また「何と」であるが、そのラーメンが何とたったの450円で食べることができるのである。驚異的なコストパフォーマンスである。もう一度言う。これだけの拘りの材料を惜しげもなく使用したハイグレードなラーメンが450円ポッキリ。にわかには信じがたい。

営業時間は一応公式には17時から24時までとなっているが、この店に関しては「あってない」ようなもの。

1日に作ることができるラーメンの数は200杯限定であるから、多分かなり早めに店に行かなければスープ切れ営業終了の憂き目を見ることは確実だ。ちなみに日曜と祝日が定休日。

私は開店前に行列に加わったが、そのタイミングで既に60人前後の大規模な行列。実に2時間30分にも及ぶ順番待ちの末、頼んだのはラーメン大盛りに半熟煮卵をトッピングしたもの。茶褐色の濁ったスープに海苔が数枚、チャーシューが2枚とほうれん草が載っている。その中を悠々と極太の麺が泳ぐといった趣だ。分量はかなり多めで、大盛りともなれば「二郎」や「大勝軒」の並盛りの分量とほぼ互角になるといったイメージだ(もしかすると正確なグラム数が書かれてあったかも知れないが、それは失念した)。

席数は、カウンター8席、2人がけテーブルがひとつ、そして4人がけテーブルがひとつと手狭であり、その狭い店内に女性店主山口和歌子さんのかけ声が響き渡る。非常に好感度の高い接客態度で、食べる方も何だかホンワカした気持ちにさせられる。旨い店というものはこういうところからして違うのだ。

スープは見かけ上は濁った茶褐色で、かなりの濃度を予感させるのだが、口に含めば意外にもまろやかで、それでいて鶏のコクが十分に溶け出している魅惑的な味だ。スープの表面に浮かぶ鶏油が食欲を増進させ、最初から最後まで箸を持つ手が休まることがない。

麺は、「ラーメン二郎」さながらの腰の強い極太麺で、「ああ、今私は麺を食べているのだな」という実感が厭応なく込み上げてくる。縮れ麺を用いているので、スープとの絡み具合も抜群。極太の麺が掬い上げるスープを麺とともに燕下する快感は、まさに2時間以上の行列の労苦を帳消しにして余りあるものだ。もちろん一気に完食した。まさに言うことなし。

ただ、贅沢を言えば具のチャーシューが他のアイテムよりもややレベルが落ちる。ごくごく僅かではあるが、臭みが残っているような気がした。あと、スープについて。これはこれで極めて旨いのだが、もう少しだけスープに主張を持たせてもいいかなと感じた。もしかするとこのスープでは少し物足りないと言う人もいるかもしれない。しかしこれはあくまでも私見といった程度のコメントであり、現状でも滅法旨いことに何ら変わりはない。

評価として、麺:13点、スープ:16点、具:3点、バランス:9点、将来性:10点の合計51点。

2004年現在における大田区最強のラーメン店。東京南部エリアに範囲を広げたとしても「凛@大井町」くらいしか敵はいないのではないか。


所在地:蒲田
実食日:04年1月

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2005-05-07 10:08:43 | ラーメン店調査 (51~55点)
ぽっぽっ屋」が東京東部エリアの二郎系の雄であるとするならば、「凛」は東京西部エリアの雄である(大崎は地理的には東京南部エリアといったほうがいいかも知れないが、東京都区内を大きく東西に区分すれば西部エリアに属するであろう)。かつては本店が大井町にあり、支店が大崎という布陣だったが、最近大井町の本店が大崎の支店に吸収される形で統一された。

僕はあまり話をしたことはないが、山中さんという個性的なことで有名な天才店主が腕を奮うラーメンを求めて、日夜店の前に大行列ができる。おそらく混雑時であれば1時間待ちは必至であろう。それでも大崎店に店が統一されてからは少しは待ち時間が減少したと思う。

この店は全国の数あるラーメン店の中でも非常に変わり種。というのはメニュー構成が極めてイレギュラーなのである。メニューはまず、「普通」のラーメン(これには醤油と塩がある)と「賄い2(「マカツー」と呼ばれている)」と呼ばれるラーメンの2つに大きく区分され、前者は中細麺を透明感の高いスープに入れて食べる上品でアッサリとした支那そば風、後者は前者とは打って変わって油にまみれたコッテリスープに極太麺をこれでもかという具合に丼一杯に湛えた「二郎」を地でいくテイストなのである。

分量は、おそらく前者と後者とでは倍以上は違うであろう。どちらも極めて美味いが、ファンの心を虜にしてはなさないのは「マカツー」の方である。現在「マカツー」には5種類のバリエーションがあり、「醤油(マカユ)」「塩(マカシオ)」「味噌(マカミソ)」「カレー(マカレー)」「カレーチーズのせ」が券売機に表示されているメニュー。それ以外にも「マカたんたん」「賄い1」といったメニューも期間限定で登場するようであるが、残念ながら僕はまだお目に掛ったことがない。幻のメニューである。

それぞれのメニューを簡単に紹介すると「マカユ」は二郎のテイストをそのまま継承するもの。「マカシオ」は「凛」の開店当初からの看板メニューであり、当時は「二郎」の塩バージョンを食べることができると評判になったものだ。実は「二郎」の塩バージョンというのは、それまでありそうでなかったのである。「マカミソ」は「マカユ」や「マカシオ」の登場以降に定番メニューに昇格した新顔であるが、味噌スープと麺とのバランスが絶妙で人気が高い。「マカレー」は元々店主が遊びで作っていた限定メニューだったものが、ファンのリクエストに応えて定番に昇格したもの。カレーラーメンなんて邪道だという声が聞こえてきそうだが、ここんちのはそういった声を沈黙させるほどに美味い。「二郎」の上にカレールーが乗った凶暴な作品である。

分量は「二郎」や「二郎系」の中でもかなり多い方で、気軽に大盛りを注文してしまうと後悔することになる。それでも大井町の時代よりは量は幾分少なくなった。麺は軟らか目の極太麺がなみなみと丼に盛られており迫力は十分。麺の上に載せられる野菜の分量も多い。

評価としては(1)麺11点、(2)スープ17点、(3)具4点、(4)バランス10点、(5)将来性10点の合計52点。

ぽっぽっ屋」とは本当に甲乙つけがたい。実力伯仲といったところであり、ともに極めて優秀な店である。強いて言えば、完成度の高さを求めるのなら「ぽっぽっ屋」、ボリュームや食後の満足感を求めるのなら「凛」といったところだろうか。あれを1杯食べておけば、丸一日何も食べなくても平気な程なのだから。


所在地:大崎
実食日:02年12月

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ぽっぽっ屋

2005-05-07 10:07:35 | ラーメン店調査 (51~55点)
もはやあまりにも有名な話であるが、この店を語るためには絶対に必要な大前提なので、少しだけ行数を割くことをお許し願いたい。

これまでにも何度か書いたように東京には「らーめん二郎」という三田を本店とする超有名店があり、その店の支店が都内各地に点在している。これらの各店には、三田店のお膝元である慶応生とそのOBを中心とした熱烈なファンが存在し、彼らが着実にその旨さを人々に布教していった結果、現在「らーめん二郎」とその一派は、東京ラーメンシーンにおいて欠かすことのできない一大勢力にまで成長を遂げた。

脂にまみれ、コッテリと濃厚ではあるが、しばしばコンソメにも例えられる位の切れ味の鋭いスープと極めて男性的な極太麺。加えて、肉の切れ端のようなチャーシューとどか盛りの野菜。それらが三位一体となって構成されるラーメンは、あまりにもインパクトが強く、独特の味わいがある(それがさらに凶悪な進化を遂げたのが「赤羽二郎」である)のだが、いったんハマってしまうと、それを定期的に食べないと生きてゆけない、あたかも薬物中毒患者のような様相を呈する。カロリーが高いことは解っている、食べ過ぎると体に良くないであろうことも理解している。にもかかわらず、彼らは日々「二郎」に向かい、そして己の業の深さを嘆くのである。彼らは一般に「ジロリアン」と呼ばれ、ラーメンマニアの中でも独特の存在感を放つ一派として君臨している。

最近になって、上記の彼らのように「二郎」に魅せられた人間や「二郎」で働いていたスタッフなどが独立して「二郎」の名を冠さない店を続々とオープンさせている。それが「二郎系」と呼ばれる一派であり、東京西部では「」「いごっそう」「どっとや」、東京東部では「ぽっぽっ屋」などがその代表的な存在である。

とりわけ、西部エリアの「」、東部エリアの「ぽっぽっ屋」は、ある意味では本家の「二郎」を超えたとの評も高く、「二郎」ファンにとっては貴重な存在である。まさに、東西を二分する「二郎系」の両雄だと言っても良かろう。

さて、「ぽっぽっ屋」であるが、店名は言うまでもなく映画の「ぽっぽや」をもじって名付けられたもの。「っ」がひとつ多いが、これで「ぽっぽや」と読ませる。この店は「堀切二郎」の影響を受けており、他の「二郎系」に比して少しみりんの味が強いスープがそのニュアンスを窺わせる。ただし、単なる「二郎」の模倣にとどまらず、具に大量の野菜を使用するなど、より深みのある複雑で濃厚な味わいを創出するための工夫は怠らない。

デフォルトは「ラーメン」と呼ばれる「二郎」のそれを彷彿とさせる一品であるが、研究熱心で野心的な店主がその天才的な才覚を持って編み出した「つけ麺」「油そば」「サラダ麺」「海の塩ラーメン」「味噌ラーメン」など、そのいずれもが極めてオリジナリティーが高く、斬新でなおかつ美味である。

僕は東京東部の江東区に住んでいるということもあり、本店・支店ともに「ぽっぽっ屋」には極めて足繁く通っており、上記のメニューについてはほぼ食べ尽くしているところであるが、どれを食べてもそのそれぞれに強い個性があって飽きることはない。

麺は、「二郎」及び「二郎系」は極太の縮れ麺を使うことで共通しているが、硬さについては店ごとにマチマチであり、例えば「三田二郎」「目黒二郎」「」などはどちらかと言えば軟らか目に調理してくるが、「赤羽二郎」「ぽっぽっ屋」などは極めて硬めに調理してくる。どちらも、店の創意工夫が活かされた結果そのような形になったのだと想像されるが、特に「ぽっぽっ屋」の麺は極めて硬くて歯応えがあり、「硬め」などで注文しようものなら、あたかもアルデンテのパスタと格闘しているような気になってくる。縮れも極度に強く、使っている麦のためだろうか、麺の色は心持ち黒みがかっている。見慣れない人にとっては個性的すぎて食べ始めるまでは少し違和感を抱くことだろう。

ただ、一端食べ始めれば誰もがこの傑作に心を奪われ、いつの間にか完食してしまうことだろう。「二郎」をさらに発展させたスープと、力強くいかにも麺を食べているといった印象のある極太麺の組み合わせならば、それも当然のことである。

「二郎」や「二郎系」にしてはやや少な目の分量も、女性にとっては歓迎すべきことだろう。同じ「二郎系」の代表格であっても「凛」がその凶暴な分量を主張しているのとは正反対のベクトルである。食欲のある男性であれば、大盛りを注文してもOKだろう。

具の分量も適度。しかも「ラーメン」には「二郎」にはないタマネギが加わり、スープの旨味に絶妙なアクセントを添えてくれる。オプションの味付け卵も半熟トロトロの逸品。

評価は「ラーメン」で(1)麺12点、(2)スープ16点、(3)具4点、(4)バランス10点、(5)将来性10点の合計52点。

全てのメニューがお薦めできるが、特に「油そば」と限定メニューの「味噌ラーメン」は絶品。間違いなくこの店でしか味わうことのできない傑作であるから、是非一度食べてみていただきたい。また、特筆すべきことであるが、実力店の割にはなぜか行列していることも少なくお手軽感がある。


所在地:小伝馬町
支店:勝どきトリトンスクエアー
実食日:03年2月

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せたが屋

2005-05-07 10:02:15 | ラーメン店調査 (51~55点)
研究熱心で優しい人柄の店主が作る、削り節、煮干し等をベースとした魚介類系のラーメンは、熱烈なファンを数多く擁する。2000年に開店。オープン当初からフリークの間では評判の高かった店である。その後一時閉店となったが、2001年にファンの要望に応えて再び蘇った。

メニューのベースは「ラーメン」と「つけめん」の2種類。麺は普通の麺と極太平麺の2種類から選択可能。どちらも美味いと評判であるが、特に「極太平麺」は、この店でしか食べられない絶品だ。

ボクが選んだ「せたが屋ひらつけめん」は、極太平麺が350グラムという凶暴な分量を誇る一品(普通のラーメンの3倍弱)であり、せたが屋の「らーめん」と較べても、約2倍の分量らしいのであるが、情報によると、なぜかスルスルと胃の中に収まってしまうという。まあ僕も大量のラーメンを一気に食べることには職務上慣れているので、分量の多さについてはさほど気にせずに注文した。

ラーメン作りの雰囲気は熱心そのもの。麺の湯切りもこれでもかという程に完璧に行っており、クオリティは高い。

出てきた品は、平たい皿に極太平麺が山盛りになっており、成程、非常に美味しそうだ。スープも、鼻が悪いボクでも十分に煮干しの味を感じ取ることができるほど、濃厚で美味そうなコッテリ系。具のチャーシューも味付け卵もよく出汁が染みこんでいる。

まずは一口。これが壮絶であった。煮干しをベースとした個性的なスープの味が口内に立ち上る。すこし唐辛子が混じっているのだろうか、心持ちスパイシーな味がするが、それがなお一層食欲を掻き立てる。とにかく、スープは非の付けどころのない凄まじい旨さを誇る。例の極太平麺とスープの相性がすこぶる良好であることは、もはや言うまでもない。

麺の食感も、ラーメンを食べ慣れているボクでさえ未知の体験と言うべきものであり、食べていて気持ちがよい。

具も、予想通り文句の付けようがない。心持ち小さく刻まれたチャーシューの破片を、麺に絡めて食べると、尚一層風味が増す。

机の上に「ガツン汁」という魚介類とカエシを混ぜたタレが置いてあり、コッテリ派の人にお勧めだそうだが、麺を半分くらい食べてからこのタレをスープに少し加えると、旨味が一層増幅する。

つけ麺は、麺を食べ終わってから残ったスープを割ってもらう「スープ割り」を行うのが常識であるが、余りにもスープが旨すぎたため、この日の僕は「割り」をしてもらう間もなくスープを飲み干してしまった。

ここまで美味いつけ麺に出逢ったのは、8年前の東池袋「大勝軒」、3年前の高田馬場「べんてん」以来である。食べた瞬間に体に稲妻が走るような、壮絶な出来。350グラムでは足りない。もっと食べたいと思わせる芸術品である。これは、病みつきになりそうだ。

(1)麺15点、(2)スープ18点、(3)具4点、(4)バランス10点、(5)将来性8点の計55点。

僕にとって駒沢大学は、なくてはならない場所となった。この「せたが屋」と、そして「大八車」、超一流の店が2つもある。これからもきっとお世話になることだろう。


所在地:駒沢大学
実食日:02年5月

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くじら軒

2005-05-07 09:31:32 | ラーメン店調査 (51~55点)
あっさり系の醤油スープに針金のようにピンと伸びた細いストレート麺を使うラーメン界の革命児。なおかつ、神奈川県下のラーメン屋の実力の高さを全国に知らしめた張本人でもある。

のどかな港北のセンター北は、いかにも新興住宅地といった雰囲気が漂う小綺麗で清潔感のある街であるが、その街の道路沿いに木目造りアウトドア風の建物が一軒。それが「くじら軒」である。人通りの少ない道路に突然現れる大行列が目印である。休日の昼時ならば、30~40人は堅いであろう。しかも、麺の茹で加減を絶妙に保つために、一回に3人分しか作らないという。それだけでも「いったい、どれだけ待てば食べることができるんだろう」と不安になり、尻込みしたくなる。そんな重圧を圧してでも食べたい店が「くじら軒」である。

ここは、前述のようにあっさり系の醤油スープにストレート麺を採用した数少ない店。その中でも薄口のスープを使った一品が「ラーメン」、濃口のスープを使った一品が「支那そば」である。ただ、薄口、濃口のどちらもあっさりした穏やかで優しい印象のスープであり、通常ならばこのようなスープには絡み具合を考えて縮れの強い麺をつかうのが常識である。

僕も数多くのあっさり醤油ラーメンを食べてきたつもりであるが、そのいずれもが縮れ麺を採用しており、それが普通だと思っていた。今でこそ、大和「中村屋」のようにあっさり系スープにストレート麺を使う店もちらほら存在しているが、この方法を本格的に採用した店は「くじら軒」が最初ではなかろうか。いわば「ラーメンの常識を覆す革命」といったところだと思うが、そのストレート麺が、また不思議なほどにスープとマッチしていて美味いのである。

僕がまだこの店の存在を知らなかった頃(というよりもその頃はまだ「くじら軒」がこの世に存在していなかったのだが)、「一度あっさり系醤油ラーメンをストレート麺で食べてみたい」と常々思っていたのであるが、その願望はなかなか叶うことはなかった。それを一番最初に叶えてくれたのがここ「くじら軒」である。

もちろん、通常あっさり系醤油ラーメンにストレート麺を使わないのには理由がある。ストレート麺はその形状ゆえ致し方ないことなのであるが、スープをほとんど絡めないため、麺を食べる客にスープの味が伝わりにくいのである。ゆえに、あっさり系のスープには縮れ麺を使う手法がこの世界の半ば常識と化していた。その常識を覆してまでストレート麺に拘ったのも、もちろん「くじら軒」なりの理由があって、それはスープに余程の自信があるからである。

食べてみればそれも納得。「くじら軒」のスープは全体として魚介類の風味を全面に打ち出しており、最近よく見かけるニューウエーブ系のスタイルを踏襲するものであるが、ありがちな魚介類独特の癖や嫌味が全くと言っていい程にうち消されている。爽やかで喉越しも極めて良い。

具は、デフォルトで、ほうれん草、チャーシュー、海苔とナルトが乗り、控えめな印象を受けるがそれぞれの素材もそれなりに良い。ただ、やはり「具」というひとつのジャンルで捉えれば、少々物足りないといったところか。

評価としては(1)麺14点、(2)スープ18点、(3)具3点、(4)バランス10点、(5)将来性8点の合計53点。ただ「バランス」は10点満点でも足りないくらいに高く、ルールを破って12点くらい与えたいほどである。

ストレート麺とスープとが織りなす感覚は、多くの人にとっては全く斬新なものであろうかと思う。都内に住む人にとってはかなり不便だとは思うが、是非とも一度足を運んでその妙味を体験していただきたい。


所在地:センター北
都内および大阪府に支店あり
※当店は、農水省製麺局ラーメン課の推奨店です。
実食日:01年10月

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すみれ

2005-05-07 09:28:25 | ラーメン店調査 (51~55点)
「すみれ」の紹介をする度にいつも思うことがある。ああ僕は、初めて「すみれ」の味に出逢ってからというもの、一体どれ程多くの人間にすみれを紹介し、彼らの「味噌嫌い」を「味噌信者」へと改宗させたことだろうか。

いわゆる「味噌ラーメン」は、2003年現在、知名度こそ高いものの、まだそれ程の好評を博しているとは言い難い状況にある。正直、醤油ラーメンは勿論のこと、トンコツラーメンよりも人気は低く、最近においては塩ラーメンにも追い抜かれているといったところだと思う。数十年前、醤油と味噌の2大系列を担っていたその片割れともあろうものが、まさかそれ程の憂き目を見ることを誰が予想しただろうか。

しかしながら、残念なことに、現在やはり味噌系は、当初期待されたような評価を受けていないなぁ、というのが正直な僕の感想である。その理由はひとつ。味噌ラーメンそのものが、数十年前の味から殆ど進化を遂げていないのである。

味噌は、そもそも他のジャンルのラーメンと較べて大きなハンディキャップを背負っている。それは「味噌汁」という大きなライバルかつ味噌ラーメンの生みの母の存在だ。我々日本人は、醤油スープには馴染みがなくとも味噌汁には馴染みがある。殆どすべての味噌ラーメンが、その「味噌汁」を超えられないのである。

一般的に美味い「味噌ラーメン」を作るのは非常に難しい所作だと言われている。麺の味を引き出し、味噌汁との差別化を図るためには、スープが味噌汁であってはならないのである。味噌のキツイ味をどのように操縦し、麺とのバランスを保っていくのか。いかにして味噌汁レベルからの脱却を図るか。それは、味噌ラーメン業界の永遠の課題であった。

その課題を見事に打ち破り、味噌ラーメンとしては完璧に近い作品を作り上げたのが「すみれ」である。これを超える味噌ラーメンは、当分の間出現しそうもない。少なくとも都内で食することのできる期間限定メニューでない味噌ラーメンとしては、ここ「すみれ」が最高峰であろう。はっきり言って別格である。

「すみれ」は、ラーメン博物館に居並ぶ数多くの店の中でも、1、2を争う古株に属する。しかし行列は現在でも全く絶えることはない。それどころか、常に安定して非常に長い行列を作っているのは、日本全国から精鋭が集まる「ラ博」にあってもここ「すみれ」だけであろう。

ニンニクやラードが惜しげもなく加えられた濃厚味噌スープ。その表層には厚さ数㎜はあろうかと思われる油膜が覆い被さり、熱が逃げないように工夫。それが功を奏してか、最後の最後まで熱々の状態を保持している。あまりにも熱すぎるため、初心者は舌に火傷を負わぬよう細心の注意を払わねばならない。僕などは、十分に事情を承知しているのにも拘らず、未だに火傷を負ってしまうことがある。

スープの中にアクセントとして加えられている肉ミンチも俊逸。熱々濃厚スープと肉ミンチの組み合わせは、悪魔的な旨さを現実のものにする。これはもう、一滴たりとも残さずに飲み干さずにはいられない驚異的な味だ。

そこへ縮れの強いシコシコの中太自家製麺が加わるのだから鬼に金棒だ。強い縮れが濃厚スープを「これでもか」と言わんばかりに絡め、スープを湛えた麺が口内を縦横無尽に弾け飛ぶ。

具は、チャーシュー、味付け卵などだが、味付け卵も半熟トロトロの、キチンとツボを押さえた逸品であり、美味い。敢えて言えば、チャーシューにやや難があるかも知れない。固いすじ肉ではないが、必ずしもトップレベルではないと思う。

もう一つの特筆すべき事項として、ここはメインの味噌だけではなく、醤油や塩も作っているのだが、それらも(味噌ほどではないにせよ)相当レベルが高いものである。

味噌で評価すると、(1)麺13点、(2)スープ19点、(3)具3点、(4)バランス10点、(5)将来性8点の合計53点といったところか。

ちなみに、この店の姉妹店「純連」の東京初の支店が高田馬場にあるが、そちらであれば時間帯によっては行列にならぶことなしに、同じ味にありつくことが可能である。どうしてそんなに簡単に食べることができるのか。それは、その支店の立地場所が高田馬場だからである。高田馬場は、凄まじく高いレベルの店が軒を連ねる日本有数のラーメン激戦区であり、不幸なことに高田馬場には、同じく十撰に推した「渡なべ」や「べんてん」など、超が付く一流どころが存在し、これらの店が「純連」と競合することとなる。「純連」もそれらの店に負けずとも劣らぬクオリティを誇る名店なのであるが、いかんせん有名になりすぎてしまい、「渡なべ」や「べんてん」のように、知る人ぞ知るといった隠れ家的な要素や、この店以外では食べることができないといった付加価値がないため、食べ手側の立場に立ってみれば相対的に有難味がなくなってしまうのである。


所在地:横浜・ラーメン博物館
都内では高田馬場に姉妹店「純連」東京総本店あり
※当店は、農水省製麺局ラーメン課の推奨店です。
実食日:02年11月

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