はい。こちら農水省製麺局ラーメン課

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麺屋夢うさぎ

2005-05-07 10:29:03 | ラーメン店調査 (46~50点)
営団東西線西葛西駅から北上すること10分あまり。番地は西葛西ではなく北葛西となり、駅前の喧噪もにわかに遠のいていく。決して高級でも上品でもないが、その土地に住んでいる人たちの日常生活の息づかいが聞こえてきそうな街並み。東京東部エリア独特の風景であるが、そのような街並みに溶け込むようにして日々、ラーメンを作り続けている店が「麺屋夢うさぎ」だ。

私は休日の昼時に食べに行ったが、店の前に並ぶ行列も小さな子供を連れた地元の家族連れが多く、見ているこちらの心も和やかになってくる。最近、ラーメンがブームとして採り上げられるようになってから、マスコミが大々的に宣伝した店はたちまちラーメン・フリークの溜まり場となり、彼らが作る長蛇の列が地元の客を遠ざけてしまう傾向がある。しかしラーメン屋にとって本当に大切にすべきは、渡り鳥のように各地のラーメン屋を食べ歩く(私のような)ラーメン・フリークではなく、そうした地元の住民だろう。そのような意味でも、「夢うさぎ」は地元の人たちから愛されることに成功している店であり好感が持てる。

特製ラーメンを注文した。「麺彩房@新井薬師」で修行した店主が作るラーメンは、華やかさや派手さはないものの、どの素材も突出して自己を主張することなく、各々の分をわきまえながら穏やかに一杯の器の中に収まっている。ほんのりと魚介類の風味が漂うが、決して悪趣味ではなく、柔らかな舌触りが心地よい良品だ。ゲンコツと鶏ガラのほのかな甘味が巧みに魚介類のクセを殺し、粒状の黒胡椒がスープ全体をピリッと引き締めている。言うなれば、物腰は柔らかくクセはないが実は非常に切れるヤツ。そんなイメージがするスープだ。

大成食品製の中細麺も、雑味や臭みなどはもちろん全くなく、スープの持ち味を最大限活かし切っている。こちらも一見するとこれといった特徴やインパクトはないが、一口啜れば、実はスープとの相性を考えつくした挙げ句に投入された凄腕の刺客であることに気付く。具のチャーシュー、煮卵ともに秀逸。

地味ではあるが、丁寧な仕事がなされており好感度大。地元のリピーターと思しき客の大半は特製つけ麺を注文していた。きっとつけ麺も旨いのだろう。

麺:12点、スープ:16点、具:4点、バランス:9点、将来性:9点の計50点。

麺、スープ、具、バランスともに穴がなく、これといった特徴がないにもかかわらず、ここまで旨いラーメンを作ることができるのかと感心してしまった。シンプル・イズ・ベストを再確認させてくれる一杯。自信を持ってお薦めできる東京東部エリアの良心のような店である。


所在地:西葛西
実食日:2004年1月

採点方法について
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