はい。こちら農水省製麺局ラーメン課

ネクストテクスト (nexttext.org) の名物コーナーがブログで再出発。ラーメン課長の
愛と情熱を全世界へ。

麺郎

2005-06-23 22:17:21 | ラーメン店調査 (41~45点)
「ラーメン二郎」の中でも比較的評価が低い品川店、虎ノ門店で修行した店主が出している店ということでそれ程期待はせずに訪問した店だったのだが、予想を大きく上回るクオリティの高いラーメンが出てきて驚かされた。

2003年にオープンしたばかりの新店であり、しかも、浅草橋の目立たない路地裏にあるという立地の不利からか、私が行った平日の夕食時でも客数はまばらであり先客1、後客1という状況であった。

メニューは小ラーメン(普通盛)、大ラーメン(大盛)、味噌ラーメン、つけ麺等。夜営業のみの限定メニューとして辛味噌ラーメンなども置いている。二郎系であるにもかかわらず「味噌ラーメン」をメニューに掲げているところが目を引いたので、初回はデフォルトからというルールを破って味噌ラーメンをオーダーすることにした(味玉をトッピング)。

ちなみに、この店、無料トッピングとして野菜、ニンニク、アブラの追加が可能であり味の濃さの指定が自由であるところは二郎譲りなのであるが、味濃いめを「カラメ」とは呼ばずに「味濃いめ」と呼ぶところは独特である。

今回の私の無料トッピング指定は「ニンニクアブラ」。通常、私は二郎で無料トッピングを行う時には「ニンニクアブラカラメ」を指定するのだが、今回は味噌らーめんということもあって味の濃さを変更することは控えたのだった。

ラーメンを作っている時の店主の手際などから「もしかするとこれは予想に反して旨いのかも知れない」との直感を抱いていたのだが、出てきたラーメンを食べてみると直感に違わずやはり旨い。味噌スープは味噌の豊潤な膨らみが鼻腔を心地よく刺激する濃厚かつ円やかな逸品であり、二郎系特有のアブラやニンニクの存在感に負けてはいない。しっかりと芯が通った味の良いスープである。

麺は断面が円形に近い固茹での極太ストレート麺を用いており、三田や目黒の二郎(やや平麺に近い柔らかめの極太麺を使用)や虎ノ門の二郎(単なる太麺を使用)とも異なる独自の世界を創造している。麺は数多い二郎及び二郎系の中でもかなり旨い部類に属するのではないだろうか。第一、麺の品質が数ある二郎よりもワンランク上といった感じがする。

二郎特有のB級グルメらしさを残しつつも、麺やスープの品質を上げることにより洗練の美まで兼ね備えた不思議なラーメンであり、敢えて似たようなラーメンを挙げるとすれば小伝馬町の「ぽっぽっ屋」に雰囲気は似ているような気がする。「ぽっぽっ屋」とは店の場所も極めて近いこともあって、今後の展開次第によってはなかなか良いライバル同士になるかも知れない。

が、具の「豚(チャーシュー)」はいただけない。小さなものがたったの1枚載っているだけで味も凡庸である。これについては更なる改善の余地があるだろう。

評価としては味噌ラーメンで麺:11点、スープ:14点、具:3点、バランス:8点、将来性:9点の合計45点といったところか。

現在のところは「ぽっぽっ屋」に振られた時の抑えといった位置づけだろうか。言うまでもなく品川、虎ノ門二郎の水準は完全に凌駕しておりそれらとは較べるべくもないが、「ぽっぽっ屋」と比較すれば「まだ何かが足りない」といったところだと思う。


所在地:浅草橋
実食日:2004年3月

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2004年2月6日~8日

2005-06-23 22:14:29 | 過去の「麺日和」
2月6日(金)
前日のラーメン行を一軒に抑えたためか、体調もかなり回復してきた。待ってましたとばかりに1日に体調不良のために断念した宿題店である「ラーメン○二郎2号店@要町」へと向かう。この店。最寄り駅は要町なのだが、実際はかなり歩く。番地が豊島区から板橋区に変わり不安が募るが、それでもまっすぐに山手通りを北上していくとやがて右手に環七スタイルの店舗が見えてくる。それが「ラーメン○二郎2号店」である。

「らーめん」に「国産ニンニク(100円)」をトッピングし、その後供される直前の無料トッピングにおいて「ニンニクと生卵」をオーダーした。この日の「○二郎」のラーメンは、「○二郎」にしては比較的穏やかな分量であり、ペロリと平らげることができた。本店同様、猛々しくも極めて旨いラーメンである。


2月7日(土)
池袋にてラーメン食べ歩き。1軒目は「らー麺の創造 つけ麺岡崎」。長い店名だがこれが正式名称である。午後から六本木で所用があったため、11時30分の開店直後に入店し、「白(塩つけ麺)」をオーダーする。この店。ラーメン・フリークの間では有名な話なのだが、平日の夜は「音痴貴族」というパブに様変わりし、ラーメン屋ではなくなってしまう。平日の昼と土日だけ「つけ麺岡崎」としてつけ麺を提供し、それ以外の時間はあくまでもパブ「音痴貴族」なのである。それはともかくとして、ここの「白つけ麺」は極めて旨かった。つけダレがつけダレ然としていないところが特に良い。

昼から夕方にかけて六本木にて所用を済ませた後、夕方から再度池袋に復帰し、学生H等と合流。学生Hは、去る1月17日に「じゃんず」でラーメンを共にして以来の付き添いとなる。学生H等に刺激的な経験を味わっていただくために、前日に引き続き2回目の「ラーメン○二郎2号店」行きを決意。今回は、「豚入りらーめん」に無料トッピングで「ニンニク・野菜・脂・生卵」をオーダーしたら、極めて凶暴なラーメンが出てきて肝を冷やす。苦悶の末、何とかスープ以外は食べ切ったが、その日の夜はひたすら体調不良に苦しんだ。


2月8日(日)
昨日の夜の無理食いが祟り絶不調かと思いきや、案外体調は良好であり、むしろ「○二郎」2連食のたまものなのか胃袋が拡張し、昼過ぎには空腹感を抱くに到った。

大森の注目店である「秋葉家」に向かう。「秋葉家」は、スープ、麺、具のすべてを炭焼きにより調理するコダワリの店であり、男性客よりもむしろ女性客に人気があるという稀有な一店。現地に到着してみれば、さもありなん。石畳がぎっしりと敷き詰められ、炭焼きの炭の芳香が漂う店内は、まるで寺社仏閣に迷い込んだような趣だ。「和風らぁめん」をオーダーし一気に完食。丁寧な戻しが為されたメンマや炭焼きでじっくりと焙ったものと思しきチャーシューが美味。

その後お台場に立ち寄り、久方ぶりに「ちばき屋」のラーメンを堪能すべく、「ちばき屋お台場店」へと向かう。ちなみに、「ちばき屋」は葛西の名店中の名店であり、ラーメン屋において初めて半熟温泉玉子を提供したパイオニアとして名高い。ワンタン麺にその味付玉子をトッピングしてオーダーしたが、「ちばき屋」ってこんなに旨かったっけ。メチャクチャ旨いじゃないか。当然のごとく完食してしまったが、「○二郎」で大変な苦悶を味わった翌日にこの体たらくなんだから、懲りないヤツだなと言われてしまえば返す言葉もない。


[※編集者注]
この日誌は過去に発表済のものである。既に1年余りが経過しているが、ラーメン課長が日々過激にラーメンと対峙している様子が余りにも生々しく描かれた貴重な資料であり、今回のブログ化に際して再度掲載することにした。
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赤坂味一

2005-06-19 09:47:40 | ラーメン店調査 (36~40点)
船橋市内にある魚介醤油系ラーメン店の老舗である。元々東京都は港区赤坂に店舗を構えていたのだが20年ほど前にこちらに店舗を移し、現在までに至っている。3年前の石神本には掲載されていた店なのだが「石神本2003~2004」からは落ちていたため味の低下が懸念されたものの、私の知人であるP女史がよく利用している店とのことだったので、機会を見つけて食べに行くつもりであった。

事前に入手したラーメンの写真やP婦人の実食報告などからテイストは「永福大勝軒」に近いんだろうとの当たりを付けていた。であれば煮干しが利いた魚介系の醤油スープの上にカメリアラード油が湛えられているはずである。

永福大勝軒」系のラーメンならばそれ程大外れはしないはずである、むしろ船橋随一の名店だったりするのではないか。と、意気込んで訪問したら最初から何と先客が0名、客は私だけという状況であり、度肝を抜かされたものである。

気を取り直してカウンター席の左端に陣取り、中華ソバとおにぎりをオーダーした。この店、何と中華ソバ1杯がたったの500円、一般的にラーメン屋においては最も高価格な贅沢品であるチャーシューメンでも値段はたったの650円と破格である。今時、チャーシューのオプションがたったの150円ぽっきりという店は珍しい。一方、メンマラーメンの価格は700円。決して高くはないが、チャーシューのトッピングよりもメンマのトッピングの方が高いとは一体、どういうことなのだろうか。

よほど粗悪なチャーシューを使用しているのだろうか。などと考えていたら中華ソバが完成したようだ。早速ビジュアルを数秒間観察してみる。やや大ぶりな丼にかなり多めの中細縮れ麺が泳ぐという「永福大勝軒」系ならではのスタイル。スープの表層をラード油が覆っているところまでそっくりだ。だが、具として載せられているチャーシューとメンマが麺の分量と比較するといかにも頼りなさげである。特にチャーシュー。見た目にもはっきりと品質が悪いだろうことを想起させるような出来映えであり、一目見た瞬間に、チャーシューを食べるのは後回しにしようと決意する。

何はともあれスープを一口味わってみることにした。ラード油の味わいが程良く利いた煮干しの風味が強いスープである。「永福大勝軒」と比較すればラード油の量が少なく、その分煮干しの苦みが前面に出ている嫌いはあるが悪くはない。と思いつつスープを飲み進めていく内にラード油がなくなってしまい、それとともに、煮干しの苦味だけが突出する飲みにくいスープに変貌してしまった。おそらく煮干しに頼りすぎるがあまりに軸となるべき醤油の味わいがどこかに飛んでしまっているのであろう。しっかりしたタレを用いていないのではないかと推察される。

中細縮れ麺のスープの持ち上げは良い。かなり大量のスープを絡め取るような工夫が凝らされているらしく、ラーメンづくりのマニュアルを着実に守っている痕跡を垣間見ることができるが、スープが苦いため、それはそれでなかなか辛いものがある。

具のチャーシューは上で述べたとおり論ずるに値しないような代物であり、たとえチャーシューメンが650円と破格の値段で食べることができたとしても私としてはそれをお勧めする気にはならない。

評価としては、麺:9点、スープ:11点、具:2点、バランス:7点、将来性:7点の合計36点といったところか。

このテの魚介系醤油ラーメンがそれほど普及していない千葉県においては貴重な存在であることに間違いはないが、特にスープと具のクオリティには改良の余地があるのではないかと感じた。更なる努力を促したい。


所在地:千葉県船橋市
実食日:2004年3月

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2004年2月3日~5日

2005-06-19 09:44:36 | 過去の「麺日和」
2月3日(火)
仕事後、夕方から所用があったため麺休。


2月4日(水)
体調が随分回復したので多少の冒険はできそうだ。退庁後、中目黒に向かい、渡辺樹庵プロデュースの新店「中華蕎麦ぷかぷか」で塩ラーメンをいただく。癖のない端麗な塩スープの上に焦がしネギが載せられており、極めて美味。

この店、まだまだマスコミや雑誌への露出が少ないためか、現在のところ全く何の障害もなく簡単にラーメンを食することができる。ちなみに私が向かった19時30分過ぎの状況は、先客なし、後客はたったの1人と非常に優雅な状態であった。中目黒駅のすぐそばという立地の便もあり、一度ブレイクすれば行列は必至であると思われる。食べに行くのであれば今がチャンスであろう。

ぷかぷか」で塩ラーメン完食後、余勢を駆って2度目の「八雲」来訪。肉ワンタン麺を食する。ここの肉ワンタンは相変わらず具がぎっしり詰まっており旨かった。実はこの店の名物は、どちらかと言えば「蝦ワンタン」であり「肉ワンタン」ではないのだが、私はどうも蝦が苦手であり、肉ワンタンばかりをオーダーしてしまう。まあ肉ワンタン麺の方が蝦ワンタン麺よりも200円もお得なのでいいか。


2月5日(木)
この日は池袋。昨日の「ぷかぷか」と同じく渡辺樹庵氏がプロデュースした店である「瞠(みはる)」に向かう。こちらは「渡なべ@高田馬場」にも似たラーメンとつけ麺を提供する新店であり、池袋の外れに位置しているにもかかわらず、客の入りはすこぶる良い。「味玉つけ麺」を注文。魚介の味を前面に押し出した攻撃的なつけダレは脂分も満点であり、極めてオリジナリティに富んでいる。平太麺とつけダレの絡みも申し分なかったが、麺に独自の主張がありすぎて必ずしもバランスが良いとまでは言えない。

その後「七人の侍」に向かおうとも考えたが、営業しているかどうか微妙な時間帯だったので止めておいた。そのまま帰宅。それにしても、渡辺氏はいったいいくつのラーメン屋をプロデュースしているのだろうか。


[※編集者注]
この日誌は過去に発表済のものである。既に1年余りが経過しているが、ラーメン課長が日々過激にラーメンと対峙している様子が余りにも生々しく描かれた貴重な資料であり、今回のブログ化に際して再度掲載することにした。
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2004年2月1日~2日

2005-06-19 09:43:47 | 過去の「麺日和」
2月1日(日)
前日「俺の空」で3時間にわたる寒空の下での行列待ちに耐え忍んだためか非常に体調が悪く、腹痛と頭痛がひどい。いやそれだけならばまだしも特に吐き気がひどい。

今日の第一希望は池袋要町にオープンした「ラーメン二郎 赤羽店(2002年より「ラーメン○二郎」に店名変更)」の2号店であったが、この日のコンディションでは到底完食は覚束ないだろうとの判断を下し、同じ二郎系ではあるが比較的テイストがマイルドだとも言われている「らーめん辰屋@松陰神社前」に向かうことにした。

これから先しばらくは「石神本」を使わず、様々なツールを駆使しながら主だった店を食べ歩くという作業を地道に行っていくことになる。必要な情報と不必要な情報とを選別する能力、自らの経験や勘に基づき旨い店を探知する能力が求められてくるわけだ。またそれこそが本来のラーメン道であるとも言えるだろう。

らーめん辰屋」は、世田谷界隈における二郎系の穴場店とも言われている店であり、二郎独特の男性的な持ち味を遺憾なく残しつつも、創意工夫により独自の改良を加えたラーメンを食べさせる優良店である。夕刻過ぎに三軒茶屋まで向かい、そこで東急世田谷線に乗り換え、夜の部の開店まで松陰神社前駅前のカフェで時間を潰してから、現地に向かった。コンディションは絶不調であったが何とか完食し、この日はそのまま帰宅した。


2月2日(月)
体調は相変わらず悪く完治にはほど遠い状況であったが、症状は昨日よりは幾分マシ。前回の自由が丘行の際に積み残しとして残されていた「せたが屋」のコンセプト・チェンジである「大大」を中心に、あと一軒ほど付近のアッサリ系の店を回れればいいかなという感じだったのだが、おあつらえ向きの店を発見。「鮎ラーメン@二子玉川」である。「鮎ラーメン」の開店時間は21時からなので、「大大@自由が丘」を回った後にゆっくり向かえば十分に間に合う。

ということで、退社後「大大」に向かい「豚玉そば」とカレーを食べた後、「鮎ラーメン」で「鮎丸ゴトラーメン」を玉子入りで食べた。「鮎ラーメン」だけあって隣のカップル客の女性が著しくあゆ似。まあしかしこれはさすがに偶然であろう。一応ダブルで完食したが、一杯一杯。まだまだ本調子ではないようだ。


[※編集者注]
この日誌は過去に発表済のものである。既に1年余りが経過しているが、ラーメン課長が日々過激にラーメンと対峙している様子が余りにも生々しく描かれた貴重な資料であり、今回のブログ化に際して再度掲載することにした。
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珍珍亭

2005-06-18 12:47:22 | ラーメン店調査 (41~45点)
「油そば」というジャンルのラーメンがある。スープを使わずにタレと油だけを用い、それらに麺を絡めて食べるスタイルのラーメンである。今でこそ、特に首都圏ではさほど珍しい食べ物ではなくなったが、かれこれ10年前に初めて私が油そばを食した時の衝撃は未だに忘れられない。太麺にタレと油をこれでもかと言わんばかりに絡め、お好みで卓上に置いてあるタレを継ぎ足したりラー油をぶっかけたりおろしニンニクを絡めたりしてワシワシと麺を食べ進めていくのだ。食べ方としてはインスタント焼きそばのそれに類似するところがある(ちなみに酢を投入すると味がマイルドになる)。

私は忽ちの間にその粗野で男性的なラーメンに魅せられてしまった。特に、私は「ぶぶか@高田馬場」の油そばが好きで頻繁に食べに行っていたのだが、油そばについての関心が高じ色々と情報を探っているうちに、ここ「珍珍亭」が油そばの元祖であることを突き止め、今回こうして訪問したわけである。ちなみに「油そば」を出す店は一般的に吉祥寺以遠の中央線沿線のラーメン屋に多く、多摩地方の「地ラーメン」の一種であるとも言われている。

「珍珍亭」は私の事前の想像よりも遙かに混雑しており、武蔵境から徒歩15分程度の必ずしもアクセス至便とは言えない場所にありながらも、ひっきりなしに客が訪れる人気店だ。席数も25席程度とラーメン屋にしては大規模な設定であるにもかかわらず、私が訪問して20分くらい経つと店先にまで行列ができたほどの賑わいだ。

客構成を見ても、カップルなど物見遊山的な客は殆どおらず大抵は店の近くに校舎がある亜細亜大学の学生や地元に住んでいる人達のようだ。よって、店内のあちらこちらで常連客と店の人との親しげな会話が交わされ和気藹々とした雰囲気だ。

こういう雰囲気、私は必ずしも嫌いではないが一見さんにとってはちょっと辛いものがある。この手の店ではほぼ必ずと言っても良いほど常連だけが知っている「裏メニュー」のようなものがあり、これを知らなければ本当に美味しいメニューにはありつけない場合が多いのだ。

私はそのような裏メニューなど知る由もなかったが、まずはデフォルトからということで油そば大盛に味付け玉子をトッピングオーダーさせていただいた。すると、手違いでネギまでもがトッピングされたものが出てきたのだが、周りの常連客が頼んでいるものを見れば、どうやらこれがこの店の油そばの美味しい食べ方のようだ。皆、ネギ増しをオーダーしていた。

何だか得したような気持ちになってしまった(もちろん、お金を支払う時にその旨は申し上げたのだが、店の人は快く「サービスしておきますよ」と仰ってくれた。こういうところもこの店の人気の秘密のひとつなのだろう)。

出てきた油そばは「元祖」に相応しく、太縮れ麺が丼にどっさりと盛り付けられた迫力満点のビジュアル。それ程多くはならないのだろうと高を括って大盛りをオーダーしたのだが結構麺量が多くて驚いてしまった。特盛りがかなり多く出ていたことには、もっと驚いてしまったが。タレは結構薄めであり、「ぶぶか」をはじめとする追随店のようなデフォルメされたコッテリ感はないが、元祖ならではの威厳がある。

具はメンマとチャーシューが載るが、小さな「なると」が1枚載っているところが老舗を感じさせてくれる。最近では「なると」をラーメンの具として使う店はすっかり少なくなってしまっているからだ。

私は麺の2/3は卓上に置いてあるトッピングを入れずに食べ進め、後半の1/3は少しラー油を振り掛けて食べたが、この店のラー油は辛味を控えてあるのだろうか、それ程味の激変は生じなかった。

評価は麺:10点、スープ:14点、具:3点、バランス:8点、将来性:8点の合計43点といったところか。

落ち着いた味わいの油そばであり後発の各店のようなコッテリ感は必ずしも持ち合わせてはいないが、時折、無性に食べたくてたまらなくなるような魅力を持った一品である。


所在地:武蔵境
実食日:2004年3月

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中華そば専門店 八兵衛

2005-06-18 12:46:09 | ラーメン店調査 (46~50点)
この原稿を書いているのは2004年3月2日なのであるが、この時点で既に「八兵衛」はこの世には存在しない。去年の5月にオープンしたばかりのこの店は、ほんの1年も経たない去る2月29日をもって閉店の憂き目をみることとなってしまったのである。いくつかのラーメン系の雑誌にも取り上げられラーメン・フリークからの評判も決して悪くはなかっただけに、その短命が惜しまれるところである。この場を借りて謹んでご冥福をお祈りしたい。

既になくなってしまった店についてコメントを述べても致し方ないという意見もあることとは思うが、追悼を捧げるとの意味合いも込めてごく簡単にこの店の評価を書いておきたい。メニューは、中華そば、つけ麺、みそらーめん、鳥そば鳥めしなどによって構成されており、鳥そばが看板メニューであった。

この店が終始こだわっていた素材は「鳥」であり、東北産の老鶏を用いたスープは一口目のインパクトこそそれほどないものの、飲み進めていくほどに老鶏の濃厚なコクが五臓六腑にまで染み渡り、しみじみと旨いものであった。とりわけこの店で特筆すべきは食べ始めと食べ終わりにおけるスープの激変ぶりであり、私がオーダーした鳥そばに到っては、食べ始めはどちらかと言えばアッサリしすぎていて物足りないと感じられたスープが、食べ進めていく内に具としてチャーシューの代わりに用いられる鶏肉から染み出したエキスが相乗効果的に味わいを深化させ終盤には得も言われぬ玄妙な風合いを醸し出したものだ。

麺もこのスープと相性がよい中太麺を用いており印象は悪くはなかった。また具の鶏肉も非常に柔らかく美味であった。

評価としては麺:11点、スープ:16点、具:4点、バランス:8点、将来性:7点の合計46点を捧げたい。

もはや将来がなくなった店に対して「将来性の項目」を用いた評価を行うのも考えてみれば奇妙なことなのであるが仮にこの店が存続していた場合、この店は今後、どれだけのオリジナリティあるメニューを開発できたかどうかを想定して得点を付けさせていただいた。


所在地:大久保
実食日:2004年2月

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[閉店] 極麺王

2005-06-17 21:06:45 | ラーメン店調査 (46~50点)
■■ 閉店しました ■■

第5代目ラーメン王の立石憲司氏がプロデュースした話題の店。最近これといった変化がなかった巣鴨のラーメン・シーンに旋風を巻き起こしている。いや、巣鴨のみというよりは首都圏のラーメン業界に大きな衝撃を与えていると言っても良いだろう。それもそのはず。この店のラーメンは既存のラーメンの枠を破った諸処の要素をアバンギャルドに採り入れ、ラーメンの常識を超えたラーメンを創り出している。これはある意味、ラーメン業界に対して新たな挑戦状を突きつけていることと同義だと言っても過言ではない。立石氏の大胆不敵な笑みが浮かんできそうである。

まずは、麺のインパクトの大きさ。何と茹で時間が8分もかかる超極太麺を使用し、そのビジュアルはあたかも名古屋名物きしめんのごとし。幅が1センチ近くはありそうなその超極太麺は噛み切るだけでも多大なる労力を必要とし、否応なく食べ手を麺との壮絶なる格闘へと巻き込んでいく。私はこれまで数多くのラーメンを食べてきたが、これくらいインパクトの強い麺を見たことがない。

このような麺と合わせるスープともなれば、相当インパクトの強いものでなければスープが負けてしまうような気もするのだが、ところがどっこい、立石氏はこの麺に魚介系のスープを合わせている。通常、魚介系のスープと言えば繊細な麺と合わせ「和風」を演出するのがセオリーみたいなところがあるのだが、その常識を完全に覆すような組み合わせだ。ラーメンをよく知れば知るほど、超極太麺と魚系スープの組み合わせの斬新には唖然としてしまうことだろう。

もちろん、魚系のスープではあるものの麺に負けない存在感を演出するために魚系の持ち味を活かしつつも醤油のかえしを濃厚にし、飲めば飲むほど噎せ返るような醤油の存在感が全面的に立ち上がるようなガツン度の高い味付けにしている。

幅の広い超極太麺がこのスープを存分に絡めないはずがなく、麺とスープのバランスは絶品の域。麺を持ち上げればその麺にスープが付着しているのが見た目にも容易に判るほどであり、スープを単独で啜らずとも麺を全て啜り終えただけで自ずからスープの分量が半分以下になってしまうほどである。

二郎を彷彿とさせる具の野菜も新鮮でシャキシャキ感の高い逸品。ここまでインパクトの強いラーメンながら食べ手の健康に対する留意すら感じさせるものである。チャーシューと煮卵は平凡なので取り立ててチャーシューをトッピングオーダーする必要はないだろう。チャーシューをトッピングするのであれば、この店でしか味わうことのできない麺を増量する方がお得感は強いであろう。

私は今回はデフォルトのラーメンの大盛に煮卵をトッピングさせていただいたが、聞くところによれば麺のインパクトをより存分に味わうことができる油そばも好評なようだ。

ただし、私が食べに行った時には偶々だったのであろう。先輩と思しき者が見習いの店員にラーメンづくりを実地で指導しており、私はその先輩の指導を受けて見習いが作ったラーメンを食べさされることになってしまった。ラーメンづくりを指導するのであればせめて客のいない時間に練習用のラーメンで行ってほしいものである。

評価としては麺:12点、スープ:14点、具:3点、バランス:10点、将来性:10点の合計49点。

ここでしか食べることのできないきしめんライクな麺、麺とスープのバランス、将来性のポイントが極めて高い店である。非常に個性的なので好き嫌いが分れてくるとは思うが、一度は訪れてみる価値のある店なのではなかろうか。


所在地:巣鴨
実食日:2004年3月

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竹家ラーメン

2005-06-17 21:06:03 | ラーメン店調査 (31~35点)
前身は「竹家食堂」という北海道帝国大学前に店を構えていた中華料理店であり、日本で初めて「ラーメン」という言葉をメニューとして用いた店として知られている。札幌ラーメンの祖でもある。こららの詳しい経緯についてはここでは詳しく書かないが、店内の蘊蓄書きに余すところなく書き尽くされているので、興味のある御仁はこの店まで足を運んでいただきたい。

さて、私は開店直後である11時30分過ぎにこの店を訪問した。おじさんひとりとおばさん2人が切り盛りする温かみのある店内だ。セットメニューとして醤油らーめんと小やきめしのセットである「Aセット(800円)」と味噌らーめんと小やきめしのセットである「Bセット(850円)」がある。

いずれのセットもよく出るようであるが、特にBセットの評判が上々だ。私も札幌ラーメンの祖ということで「味噌らーめん」をデフォルトであると判断し、Bセットをオーダーした。

出てきたらーめんは現在主流となっている味の濃いコッテリとした味噌らーめんとは異なり非常にアッサリしたスープを用いている。私が幼い頃にイメージしていた味噌らーめんそのもののテイストであり、味噌らーめんのルーツを感じさせてくれる懐かしい味だ。しかし、その当時としては非常に旨いと評判になったのであろうが、「この味が現在も通用するのか」と問われれば誠に残念ながら疑問符を付けざるを得ないところである。決して不味くはないのだが旨くもない。味に奥行きが感じられないのである。

麺は何ら特徴のない極々普通の中細麺を用いており、スープとの絡みなどを計算したものであるとは思われない。また、湯切りも当然のことながら甘いので麺が心持ちふやけてしまっているような気がした。いささか厳しすぎる見方であろうか。

しかしながら、麺、スープのクオリティの割には具のチャーシュー、そして、特にサイドメニューのやきめしの旨さは最高レベルである。ラーメン課とは無関係になってしまうのだが、私個人としてはこの店で「大やきめし」のみをオーダーしてもそれで大満足できると思う。それくらい旨いやきめしなのである。やきめしだけであれば是非とも再食したい。

評価としては麺:8点、スープ:10点、具:3点、バランス:6点、将来性:7点の合計34点といったところではあるが、とにかくやきめしは旨い。


所在地:兵庫県神戸市灘区
実食日:2004年3月

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どらいち

2005-06-17 21:05:05 | ラーメン店調査 (46~50点)
麻布十番から魚藍坂に到るまでの界隈は港区でも有数のラーメンストリートと言われており、麻布十番に近い方から「義丸」「麻布ラーメン」「笑の家」「盛運亭」「壱参ラーメン」などがひしめきあう激戦区である。その一画、ちょうど「盛運亭」の向かいあたりに2003年5月、新たにひとつのラーメン屋が産声を上げた。それが「どらいち」である。神奈川県藤沢にある名店「どら一」の支店だ。

私が訪問した平日の夜は客数も疎らであり、訪問時の先客は0、食べている間にも客は1人しか来なかったが、なかなかどうして思わず唸ってしまうような絶品ラーメンを食べさせてくれる。

オーダーしたのは「優麺(ゆうめん)」と呼ばれるラーメンに味付け玉子。ちなみに「優麺」は載せる具をチャーシューとトリの2種類の中から自由に選ぶことができる(しかも同額だ)。私はこの前食した大久保の「八兵衛(閉店)」のトリそばの具(トリ)の旨さが忘れられず、思わず「トリ」をオーダーしてしまった。

おそらくデフォルトはチャーシューなのだろうけど、まぁこういうこともある。4人掛けの広々としたテーブルに静かに腰掛けてラーメンを待っていると、5分くらい経って親切そうな店主がテーブルまで品を運んできてくれた。

まずは、ラーメンをマジマジと眺める。事前に入手していた情報によれば「サーモンからダシをとっている」とのことだったので酒ならぬ鮭臭いスープを想像していたのだが、サーモンの使用はスープに微かな甘みを添える程度に抑えられている。私はこの店を訪れる前「鮭臭いスープなど本当に旨いのだろうか?」との疑問を抱いており、正直言って、あまり訪問することに乗り気ではなかったのだが、良い意味で見事に予想を裏切られる結果となった。

サーモンの代わりに前面に押し出されているのは醤油の旨味であり、サーモン特有の天然の甘みに力強くサポートされた醤油スープの味はぐいぐいと食べ手を惹き付けるだけの魅力に満ちあふれている。

このスープに合わせている麺も硬めに茹で上げられた細平ストレート麺であり、平麺特有の食感が心地よい上に臭みや雑味などとは一切無縁の境地を現出している。しかも、ストレート麺ながら表面積が大きい「平麺」はスープの持ち上げが良いため、わざわざレンゲで一々スープを掬わなくとも麺を
啜り上げるだけでスープの旨さを存分に堪能することができるのだ。よって、麺とスープのバランスも非常に良好であると言えよう。完食は必至。

具のトリや味付け玉子についても首都圏における一流店の水準には十分に到達しており、不満は全くない。

麺:12点、スープ:16点、具:4点、バランス:9点、将来性:7点の48点であり、現在、古川橋近辺のラーメン屋でライバルとしてこの店と真っ向から勝負できるのは「笑の家」くらいのものではないのだろうか。それくらいクオリティが高いラーメンである。


所在地:白金高輪
実食日:2004年2月

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