最初の小さな一棟目が完成したのは二年たった頃でした。
意外と早い。(全員素人のわりにはです)
そういえば玄人の左官屋さんが一人混じっていたっけ、失礼。
あの人、どうしてるかな。
井戸もみんなで掘りましたので、台所に水道がつきました。
これは大革命大進化でした。
ま、今日のテーマはそういう自慢、いや自己満足じゃなくて
ねずみ師がどうしてねずみを名乗るのかというお話です。
ある夜、ガサゴソと小さな音がするので眼を覚ましたねずみ師は
懐中電灯で物音のする方を照らしました。
そこには段ボール箱がひとつありのぞきこむと、いました。
小さな白いネズミが滑って、音をたてているのでした。
段ボールの底からなんとか絶壁をよじのぼろうとして、
入るのはカンタンだけど、出るに出れなくなったのです。
何度も挑戦して、段ボールが揺れています。
ねずみ師がよく見ようとすると、ネズミもまたじっと
見上げています。そしてふたつの眼同士はキラっと通じ合いました。
ねずみ師はそっと手を伸ばして白い小さな身体をすくい上げました。
てのひらに乗ったネズミはじっとしています。
冬の終わり頃でした。
まだ寒い明け方、ひき戸をあけて表にそっとネズミと置くと
「おかえり」(と言ったかどうか)と放しました。
ねずみ師はシュラフ(寝袋)へ戻りました。
小さなネズミの眼が、すこしもおびえていなかったことに、
ねずみ師はほっとして、また眠りにつきました。
それからもネズミは懲りることなく現れました。
(つづく)
意外と早い。(全員素人のわりにはです)
そういえば玄人の左官屋さんが一人混じっていたっけ、失礼。
あの人、どうしてるかな。
井戸もみんなで掘りましたので、台所に水道がつきました。
これは大革命大進化でした。
ま、今日のテーマはそういう自慢、いや自己満足じゃなくて
ねずみ師がどうしてねずみを名乗るのかというお話です。
ある夜、ガサゴソと小さな音がするので眼を覚ましたねずみ師は
懐中電灯で物音のする方を照らしました。
そこには段ボール箱がひとつありのぞきこむと、いました。
小さな白いネズミが滑って、音をたてているのでした。
段ボールの底からなんとか絶壁をよじのぼろうとして、
入るのはカンタンだけど、出るに出れなくなったのです。
何度も挑戦して、段ボールが揺れています。
ねずみ師がよく見ようとすると、ネズミもまたじっと
見上げています。そしてふたつの眼同士はキラっと通じ合いました。
ねずみ師はそっと手を伸ばして白い小さな身体をすくい上げました。
てのひらに乗ったネズミはじっとしています。
冬の終わり頃でした。
まだ寒い明け方、ひき戸をあけて表にそっとネズミと置くと
「おかえり」(と言ったかどうか)と放しました。
ねずみ師はシュラフ(寝袋)へ戻りました。
小さなネズミの眼が、すこしもおびえていなかったことに、
ねずみ師はほっとして、また眠りにつきました。
それからもネズミは懲りることなく現れました。
(つづく)