想風亭日記

人里離れた「想風亭」にて、旧事(ふるごと)を読み、黒犬を友とする日々

くるひ

2008-04-09 22:46:45 | ヨムヨム
10世紀の終わりころ、十七歳で即位され在位二年、
十九歳で出家された花山天皇は「花山院のくるひ」
と物語(栄華物語、大鏡)に記されています。

「くるひ」「ものぐるひ」
昔の言葉です。

気狂いではなく、いわば非常識というか
人のしないようなことを大胆にもしてしまう、
奇行、矛盾した行動をさして言ったもので、
普通じゃないよ、あの人って感じのこと。

物語は時勢の権力者に都合のよいように記されるものだから
書かれたことの裏がわを読みとることが大事なんだな。

栄華物語といえば、藤原氏を讃えたもの。
藤原氏の権謀術策に陥れられて出家した帝のことを、
よく書くわけもない。

くるひの人のほうが、よほど興味がわくんでないかい?
権力をほしいままにした俗世の化けものより
よほどすぐれていたのではないかと思うんである。
くるひたくもなるものよ、ってか。
正気を保つには捨てるものが多すぎて、
捨てたあとの空洞を埋めようと、人はえてして
一途になったりするんでないかい? 
一途、情熱的が過ぎると、くるひ と成り果つる。

出家されたのちに、詠まれた歌一首。

 木立をばつくろはずして桜花
    風がくれにぞ植うべかりける

う~ん、なんてさりげない。

うさこは家を建てるとき、執着していた桜の木、
風が吹いたら軒先にぶつかるぞ、という大工の言葉に
負けて伐ってしまった。

「風がくれにぞ植うべかりける」って、言えばよかった。
んだな、伐るべか?って念押しされておしまいだろうけど。
上の写真は執着の一枚、記念品です。

(花山天皇が退位後に隠棲し終の住処とされた花山院菩提寺は
 兵庫県三田。今年は花山法皇壱千年御遠忌の行事)


オトナになったらおみやげなぞ、ないぞー。
ガックシ。

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
T.Hサ~ン (raichioo)
2008-04-09 22:53:09
PCネット開通、おめでとうございま~す。
さっそく想風亭にもお越しいただき
ありがとうございます!
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。