想風亭日記

人里離れた「想風亭」にて、旧事(ふるごと)を読み、黒犬を友とする日々

門番 乙号

2008-03-01 20:23:31 | Weblog

締め切りの月末は、東京。
今朝、オフィス入口近くに門番、乙がにらみをきかせておりまして
見抜かれているような不安なココチ。
いや、激励か?

約束を守るのは大変に難しい。
若い頃からいつも切羽詰らないとダメなたちです。
切羽詰まってもダメなものはダメと開き直るほど「強気じゃない」と
言ったところ、師のお言葉。
「そりゃ、強気じゃないだろ、やるのが強気」

レーセイになれば、おっしゃるとおり。
ひたすら弱気ですが、このまま、行きます。

東京の夜は長い・・・
はやく森へ帰りたいのだ。


 

 

 


草衣の心は・・・

2008-03-01 00:05:43 | 晴耕雨読

京都は栂尾にある高山寺は、今では世界遺産に登録されてしまいましたね。
大好きな明恵上人が住まわれた石水院があります。(以前からここだけ公開)

昔昔の高僧を大好きなとは、いかがなものか、なんて普段はツッコミ入れる側ですが
明恵お上人様は明恵さんと呼ぶ人も多いように、崇敬の気持ちがそのまま温もりに
なって「大好きな感じ」を感じさせてくれる希有な存在なのです。

石水院へ上がっていく石段は、濃い緑の苔に被われています。
しっとりとしてビロードのような深い色合いの緑に吸い込まれるような
気持ちでだんだんと登っていくと、質素な木造の石水院があります。
初めて訪れた時は、お寺の印象がまったくなく、伸びやかで
簡素な造りが意外でした。そして、明恵さんの空気を感じました。

幅広の縁側に座って、前に広がる山の木々や空を眺めます。
庭はいかにも手入れしたというふうでなく、様々な野草や低木が
植わっていて、そこにリスが遊びにきていても不思議でない感じです。
樹上座禅図にあるような、あの小さくて愛くるしいリスです。

明恵さんの周辺にはかわいい生きものがいろいろと居ますね。
あまりにも有名な、鳥獣戯画は高山寺に伝わって今に至るのですが、
それがごく自然な気がします。

草衣の心、草衣とは禅の言葉です。草で編んだ質素な衣を着るとは
世俗の欲から離れて生きる姿を喩えたもの。
それが月に似ている、静寂と輝きを備えた境地だというのです。

写真の石は、師が山道からエッセエッセと運んで置かれたもので、
黒犬くんがときどき失礼してションするので、苔が生えてきて。
その苔から、石水院を連想し、縁側から見えた空の雲など
思い出しているのです。
'07秋の撮影。