「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~

英国に留学して放射線研究に取り組む日本人医師ブログ

論文に関する雑感

2017-05-02 | 雑記
最近、半年ぶりくらいに論文が立て続けに出版されました。たかが症例報告、されど症例報告。医学者として研究もしてきましたが、一応は臨床医でもあるので、私はこれまでに幾度も症例報告を書いてきました。今回の2報も非常に稀な症例に関して報告しました。自分が診てきた患者さんたちの記録を後世に残すことが、いつか、どこかで、誰かの助けになることを願いながら。

昨年は幸いにもかなり論文を出版できましたが、さすがに今年は数報程度に留まるのではないかと思います。今、手元にある論文たちをなんとか今年中には出版させたいとは願っています。おそらく近い将来に採択されると期待できるものも幾つかありますが、それでも昨年の出版数には届かないでしょう。とはいえ、これから今年はこれまでの最高傑作を世に出すつもりです。もしかしたら、私が死んだ後も名が遺るような、そういう論文を。

もちろん、現在、日本の共同研究者の先生方と一緒に進めている研究にもかなり自信があります。この共同研究の成果はおそらく来年以降に出版されることになるだろうと思われますが、私の指導教官が「最高の科学ジャーナルを目指す」と豪語するだけのインパクトがあるようですので、なんとか私も頑張って世に送り出したいと願っています。
低線量放射線被ばく影響に関して、おそらく福島原発被災地の多くの人たちを励ますような内容になります。当初の悲観的な予想を良い意味で裏切られた結果が蓄積されており、「生命の強さ」をつくづく感じさせられました。生命の神秘を垣間見たような心地です。これから論文にまとめていく作業を始めますが、早く世に知らしめたいと思います。私自身の博士号がそれにかかっているという事情もありますが。

一生懸命に書いた論文は、他人からどんなに拙く思われたとしても、我が子のようにかわいいものです。個人的には誰かに拙文を読んでもらえたならば、それだけで嬉しいですね。
医学部の学生だった頃、ある先生が仰っていたのをふと思い出します。
「生きた証を、論文として、遺している」と。